物語る亀

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物語愛好者の雑文

漫画『ドリフターズ』(既刊6巻)ネタバレ感想 神に等しき力を前に、人はいかに抗うのか?

 

 

 

 

ドリフターズの新刊が発売されました!

 

スローペースながらも順調に刊行を重ねているなぁ

 

カエルくん(以下カエル)

「ほぼ年1だっけ? 発売当初から平野耕太作品ということもあって注目を集めたけれど、今回もすごい人気だよね。

 アニメも放送されているし……」

 

「あんまりストックもないけれど、その分じっくりと焦ることなくアニメも描いていた印象だな」

 

カエル「確か、今はまだ原作待ちの状況だけれど、きちんと2期なりで最後までやるよって発表されていたはずだよね。

 それだけ原作に対する評価も大きいという証明でもあるんじゃないかな?

主「普通はヒットしてから2期などを決めていくもんなぁ。

 ヒラコーは漫画好きからの信頼が厚い漫画家でもあるからねぇ。

 というわけで、それでは感想記事を始めましょうか」

 

 

 

 

感想

 

まずはTwitterの短評からスタートです

 

 

やっぱりヒラコーは天才ですよ

 

カエル「描くスピードが遅くて次のお話まで待たされるけれど、それでもファンがずっと待ち続ける面白さがあるということだもんね……冨樫義博にも通じるような部分があるというか」

主「普通はそれだけ待たされら雑誌から切られるか、ファンが呆れて離れるか、もしくは普通に忘れ去られるかなんだけれど、それでも待ち続けるファンがいるってことだもんな」

 

カエル「で、どんなところが天才なの?」

主「ヒラコーの作品ってどこまでが計算で、どこまでが行き当たりばったりなのかがよくわからんのよ。

 普通は物語を読んでいると『あ、ここは伏線だな』というのがなんとなくわかる。

 当然だけれど、作者はその先の展開を考えながら書いているから、その伏線をたどっていけばなんとなく先の展開が見えてくる。

 だけれど、ヒラコーはそれが一切見えてこない。

 とことんその場のノリで書いているようなんだけれど、でも結果としてうまいことピースがハマっていくんだよね」

 

 

 

なぜ島津豊久が主人公なのか?

 

それはどういうところで?

 

例えば、6巻で考えると”なぜ主人公は島津豊久なのか?”という問題だよ

 

 

主「もちろん、島津といえば戦国時代好きにはたまらない圧倒的な武力を持つけれど、九州でも最南端の鹿児島にいるせい(おかげ?)であまり近畿地方の……いわゆる天下取りなどには、あまり縁がない家でもある。

 その中でも豊久って、歴史好きでもないと知られていないような……そこまで有名ではない武将だよね

カエル「島津といえば義久、義弘などの島津4兄弟が出てくるかなぁ」

 

主「じゃあ、本作のような歴史上の登場人物が出てくる漫画の主人公を考えた場合、誰にしますか? と問われて、島津豊久という選択肢はそうそう出てこない。

 現に、主な登場人物は織田信長なんて歴史上の大スターをはじめとして安倍晴明やらハンニバルやらの有名どころも多い。那須与一は……ちょっと通なところかもしれないけれどさ。

 個人でものすごく強い人というならば、剣豪などでもいいわけじゃない?

 歴史を辿れば色々と他にも候補はいるとは思うけれど、あえて島津豊久にしている」

 

カエル「人によって意見は割れるかもしれないけれど、もしかしたら1番一般の知名度が低いまであるかもね……」

主「じゃあ、なんで島津豊久が主人公なのか? という理由については、この6巻を見て貰えばすごくよくわかるわけ。

 確かに歴史的な経緯を見ても、その役割を果たせるのは豊久はかなりあっている。

 そこにライバルのような形で土方歳三が絡んでくるという流れも確かに納得がいく。

 で、問題はこれがどこまで計算なのか? ということでさ……

 正直、作中からはそこまでの計算は感じないんだけれど、でもうまく辻褄合わせだとしても見せてくれるのは、本当にすごい」

 

カエル「納得感もあるよね……下手な漫画家だと、本当に『強引に展開するなぁ』ということもあるけれど、納得感もあるし」

 

 

展開のうまさ

 

次に語るのは展開のうまさということだけれど……

 

これだけテンポが良くて、なのに濃密な漫画ってあまりない印象かな

 

カエル「主に2巻まででエルフを奪還し、ドワーフ奪還、オルテ奪還、そして国王軍襲来までを6巻のうちにこなしてしまうわけだもんね……」

主「かなりお話自体は濃厚で、描こうと思えばもっと長くなるはずなんだよ。

 エルフ奪還だけでも3巻はついやせるし、オルテ奪還まででも10巻まで描けるくらいの濃密さだけれど、それをサラリと描いてしまう。なのに、そこまで展開が早すぎるとか、強引さがないんだよ。

 この物語の取捨選択の上手さが本当に素晴らしい

 

カエル「これが他の作家であれば各人のバトルなどをしっかりと描いて、展開が遅くなりそうだもんね……」

主「それでいながらも各キャラクターの描写が薄いというわけではない。後々につながりそうな因縁や伏線を描きつつ、スピーディに物語を展開しているし、やっぱり並みの作家とは違うな、と感じさせるな」

 

 

 

 

救世主VS人間

 

本作の国王の正体はおそらくキリストだと考えていいのかな?

 

ムハンマドの可能性もわずかにあるかなぁ、とは思ったけれど、まあキリストか

 

カエル「顔の描写がなくて、戦争などにも秀でた天才的な頭脳をもち、人々を先導しながら戦争を行ったという意味では、ムハンマド(モハメッド)の方に近いのかなぁ。キリストって戦争に関して一流だったという印象は全くないし……

 奇跡の数々を見ると、キリストの方が近いけれどね」

主「まあ、誰というよりは複合的に救世主の要素を掛け合わせていると考えた方が妥当かもしれない。

 本作を単純化するのであれば神(ファンタジー)VS人間(科学)の対決とも言えるわけだ」

 

カエル「国王軍の主力となるのはゴブリンやドラゴンを始めとしたファンタジー世界の住人たちだし、廃棄物たちの能力も氷を出したりという点で考えると、魔法のような一面を持つキャラクターもいるね」

主「まあ、それを言ったら安倍清明たちも魔法のようなものじゃねぇか、というツッコミはありそうだけれど、あれは陰陽道だし。陰陽道は実際に平安時代では信じられていたから……というのは苦しいか?

 ドラゴンの炎を吐く能力などを考えると、チート級の化け物揃いであり、力自体は国王軍の方が上だ。

 それに対する豊久たちは、決して特別な能力を持つわけではない……とは言っても、個々の武力自体はさすがにチート級ではあるけれど、まあ群体をどうにか出来るレベルではないわけだ」

 

カエル「今作は英雄が集められて戦うというとFateなどのような要素もあるけれど、軍隊VS軍隊だからちょっと違う味があるね」

主「Fateだったら宝具などの魔法とほぼ変わらないような凄まじい兵器や武器、技で個人を圧倒するけれど、今作ではそれがない。

 そのために軍略と科学(主に火薬)を用いて敵に対し、圧倒的なチート能力を持つ黒王と対決する物語だ。

 その黒王の相手を務めるのも”第六天魔王”と呼ばれ、人でありながら魔王になった織田信長を中心としているのも面白いポイントだね」

 

 

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