物語る亀

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物語愛好者の雑文

2016年のアニメ映画の大革命を総まとめ! 監督から鑑賞スタイルまで変化がたくさんありました。

カエルくん(以下カエル)

「結構何回か語ってきたけれど、最後にまとめとしてこのことについて語っていこうか」

 

ブログ主(以下主)

「やっぱり2016年はいろいろな意味でアニメ映画の変換点だからなぁ……それはもちろん人気監督の変化もあるけれど、制作スタイルだったり、あとはお客さんの楽しみ方も変化したよねぇ」

 

カエル「いくつかは今に始まったことではないにしろ、それが少しずつ伸びてきたのがわかる年だったかもね」

主「前にも語ったけれど2016年は新時代の幕開けとなるんじゃないか? それは00年代後半の色々なアニメ映画が作られたり、ジブリの解体があったりという流れがあってからのことだけど、それが形に出た一年だと思うんだよね」

 

カエル「じゃあ、ここから語っていこうか」

 

 

 

 

 

 

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 1 新時代の幕開け〜監督編〜

 

カエル「まずはここだよね。何回も語ったけれど、今年大ヒットした作品……『君の名は。』『この世界の片隅に』が顕著だけど、テレビやおもちゃで大人気な作品とは関係ない、映画が初映像化した作品が多くのヒットを迎えたね

主「今まではそういう作品はジブリが代表だったけれど、やっぱり『監督の名前』ジブリというブランド名が大事だったわけだ。

 それは現在も同じで、それ以外にも『妖怪ウォッチ』や『劇場版 名探偵コナン』などのテレビで人気のキャラクターアニメ作品は相変わらず強いし、ディズニー、ピクサーのような作品も人気だな」

 

カエル「新時代の幕開けと言いつつも、そのあたりの状況は何も変わらないよね。それはそれまで築き上げてきたブランドイメージとか、キャラクターイメージっていうのはそれだけ大事ってことだね」

主「今年は『劇場版 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』とか、『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ』とか、記事にはしていないけれど『

映画 クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』とかも内容もよくて大ヒットした。

 これらの作品は原作イメージを守らなければいけないという枷のようなものはあるけれど、実は裏テーマも込められていて、結構面白かったりするんだよな

 

カエル「ここまでは『変わらないもの』だね。

 じゃあ、変わったものについて語っていこうか」

 

 

新たな監督が日の目をみる

 

カエル「まあ、今回語ることはここだよね」

主「まず、一番大きいのが新海誠の大ヒットだ。

 新海誠ってオタクの中では有名だし、海外でも少なからず評価をされていたわけだ。海外で受賞した経験もあるしね。だけど、一般的にはそこまで知名度がない監督、とされていた。前作の『言の葉の庭』も約2億円と興行的には特筆するものはない、と言われている。

 個人的にはこの評価に疑問符をつけるけれど、一般的な知名度はないとされる監督だよね」

 

 この記事でも語っています。

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カエル「そしてそれは『聲の形』の山田尚子監督と京アニ、そして片渕須直監督も同じだったと。オタク的知名度は高くても、一般的知名度は低いもんね」

主「そういった人たちが大ヒットを出したという、このことがまさしく異常事態なわけで……それまでアニメ映画ってどうしても苦戦を強いられる部分もあったけれど、宮崎駿の引退(後に撤回)とスタジオジブリの実質的解体によって『国民的アニメ映画』の穴がぽっかりと空いたわけだ。

 そこにハマったのが細田守であったわけだけど……おそらく、ジブリを子供の頃から見てきた日本人にとって、アニメというのはもっと身近な存在になった。だからこそ、新海誠の大ヒットなどが生まれたんだろうな」

 

カエル「ジブリの功績って大きかったんだねぇ」

主「今の若者でアニメに対する眼って、多分ドラマとかとあまり変わらないと思う。それこそ『テレビを見るとバカになる』と言われた時代もあったけれど、今はそんなことを言う人はいない。

 それと同じで、普通にデートや友達とアニメ映画を見に行く……そんな時代になったと言えるんじゃないかな?」

カエル「時代の流れともマッチした結果だね」

 

 

 

 

この流れはまだまだ続く?

 

カエル「じゃあ、気になるところでこの流れってまだまだ続くのかな?」

主「続くと思うよ。

 来年はまず大きいところでいうと『ひるね姫』が神山健治監督とIGの三大神の中から2人(黄瀬和哉、西尾鉄也)や、日本最高峰のアニメーターである井上俊之、君の名は。の作画監督の安藤雅司の参加も発表されている。

 この映画のクオリティも相当なものになると思う。

 それからオタク的に言えば森見登美彦原作で四畳半神話大系でも見事な作品を作り上げた湯浅政明の『夜は短し歩けよ乙女』や、シャフト関連で夏の東宝と組んだ打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? などだな。

 あと忘れちゃいけないのはジブリの後継者になるかもしれない『借りぐらしのアリエッティ』などの米林監督の『メアリと魔女の花』がある。

 この辺りは……君の名は。クラスのヒットはさすがに難しいけれど、結構な爆発力を秘めていると思う

 

カエル「それ以外でも『虐殺器官』やらゴジラやらと色々とあるしねぇ……」

主「しばらくこのアニメブームは続くんじゃないかな? 

 今は押井さんも新作アニメを作っていないみたい? だし、一昔前の『宮崎、高畑、押井』といった面子の時代が終わって、群雄割拠の新時代に突入するかもね。まだまだ原恵一とかもいるわけだし」

 

カエル「おなじみのキャラクター映画もあれば、海外アニメもあるしねぇ……面白そうな年になりそうだね!」

 

 

 

 

2 ビジネスの変化

 

カエル「ここは、一番大きいのは『この世界の片隅に』だよね」

主「まず、アニメを作ることで重要なのは……というか、アニメに関わらず映画を作る時にって話だけど、それが『資金の集め方』なわけだ。

 やっぱりお金はかかるしさ、スポンサーを獲得しなければいけない。今年でいうと……実写ならば『ケンとカズ』という映画が400万円の制作費がかかったとされていて、貯金だけで作ることは……まあ、不可能ではないわけだ。

 もちろんその例はアニメにもあって、それこそ新海誠は1人で作り上げた『ほしのこえ』などがあるし、今年は『ねむれ思い子 空のしとねに』もあって、個人で作ることは不可能ではない、ということが証明されているわけだ。

 それでもさ……やっぱり商業としては辛いものがあるわけ

 

カエル「アニメってなんでも書けるし、なんでもできるような部分、つまり人間ドラマもSFもミステリーも同じように絵で作れるけれど、逆に言うと絵を作らないとアニメにならないから、何を作ってもコストはかかりやすいよね……」

主「映画はカメラを回せば作れるけれど、アニメは絵を作らなければいけないというのがネックでもあるんだよね。

 だけどアニメって儲からないって言われているから、お金を集めるのが難しいわけだ。それが1番いわれていたのは片渕須直監督なわけだよ」

 

カエル「作品評価は非常に高いのに、売れてこなかったからね……」

主「直言うと、作品クオリティと売り上げは全く比例していない。だけど、そんなのはアニメや映画に関わらず当たり前なんだよねぇ……それはこのブログでもなんども語っているけれど、いい映画(個人の感想)が必ずヒットする世界だったら楽だけど、そうじゃない。

『これほどいい映画なのに……』とグググっとオタクが唇と噛み締めていたところに、クラウドファンティングというものが登場した」

 

カエル「オタク向きだよねぇ……いくらでも出す人いるしね」

主「そういうビジネススタイルができた、というのも大きい。これは以下の記事でたくさん語っているから、これ以上はそっちを読んでね」

 

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劇場アニメの功績

 

カエル「これは?」

主「今までのアニメ映画って、さっきも言った通り原作人気がすごく重要だったわけだ。漫画原作のテレビアニメが大ヒットして、映画化して……とかの流れがあるか、もしくは完全オリジナルが多かった。

 だけど、今年はそうじゃないアニメ映画もたくさんある」

 

カエル「総集編以外というと……『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~  』とか『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ 』とかかな」

主「そうそう。

 これらの作品はネットやアプリとして有名だった作品が、テレビなどの媒体を介さずに劇場公開されたわけだよね。

 もちろん、モンストに関してはアイテムを配ったりとか、色々と裏工作とも取れることがあったことはあるけれど……ここで重要なのは『新しいビジネススタイルが生まれた』ということなわけ」

 

カエル「テレビシリーズを経なくてもヒットするアニメ映画は作れるってことだもんね」

主「これは『劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm』もそうだけど、そこまで一般的な知名度がなくても、工夫次第によってロングラン上映や、売り上げを誇ることはできるということの証明でもあると思う。

 もちろん、これには賛否はあると思うけれど……劇場アニメに対するハードルが下がってきたということはもっと評価されてもいいんじゃないかな?」

 

 

 

 

3 観客の変化

 

カエル「これは……『君の名は。』や『この世界の片隅に』に代表されること?」

主「ある意味ではそうかもしれない。

 まあ、先にあげたことと被る部分も多いけれどさ……

 新海誠なんて全く知らない、アニメなんて見たこともない、っていう一般層……この世界に関してはお爺ちゃん、おばあちゃんがこのアニメ映画を劇場で見に行く、ということをやっているわけだ。

 それまではアニメ映画は子供かオタクが中心だったけれど、ここ数年で一般層が見に来るということも増えた

 

カエル「新海監督も99%男性客だったのが、女性客が増え始めたのが2010年くらいって語っていたもんね」

主「もちろん、作品によるという注釈はつくよ。だけど、ここ数年で子供だった人たちがアニメを劇場で見るという動きが一気に加速したとも言えるわけだよ。

 それは今に始まったことではなくて、ジブリだったり細田守だったり、あとはあんまり売れていないようなアニメ映画もあるけれど……そういった作品が、一般層を劇場に呼ぶことに貢献していて、それが結実したのが今回のことだったと思うんだよね。

 年齢層の増大ってすごく大きい事件だと思う。簡単にできることじゃないし」

 

カエル「客層は大きく変化したもんね……」

  • 主「その意味では……少しオタクたちの気持ちもわからないではない。

 今は『女子供を騙すような映画ばかりじゃないか』って北野武を始め、いろいろな人が語っているけれど、多分旧来の『男が99%』の時代を知っているオタクからしたら『なんだこれは!?』って気持ちになるのかもね。

 だけど、興行的に辛い思いをしていたのはそう言ったオタク層向けという小さな市場でしか勝負していなかったし、一般向けはジブリやキャラクター映画が独占に近いような状況だったからであって、この変化は、個人的には歓迎すべきものだと思うよ

 

 

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鑑賞スタイルの変化

 

カエル「これは『劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm』が1番顕著かもね。つまりさ、応援上映とかのことだよね」

主「そう。それまでは黙って鑑賞が基本だった映画が、応援上映という形式を入れることによってコンサートやイベントとして参加できるようになった。

 それはいい変化だと思うよ。自分は歓迎する」

 

カエル「元々大きな市場を狙えないならば、コアなファンを何度も繰り返し足を運ばせようって選択かぁ……」

主「これも賛否があるのは理解できるけれど、だけどさ、先にも言った通り『いい映画が売れる』ということではないんだよ。そして日本のアニメは名作も多いけれど、その多くが稼げていない。

 そのことを考えると『良いものを作れば売れるんだ!』というのはもう難しいでしょう。

 いかにしてお客さんを劇場に連れてくるか、ということを考えれば、モンストのオラ玉もそうだし、応援上映もそうだし、入場者特典もその1つなわけでさ

 

カエル「考えようによっては舞台挨拶とかもプラスαの特典で釣るという意味では同じだしねぇ……」

主「劇場というのは交流の場でもあるわけでさ『映画を見ておしまい』だけで終わらないというのも大事じゃない? そのための応援上映やコスプレ上映であり、さらには映画館主催のオフ会とかさ、そういうものもあっていいと思う。

 お客さんを如何にして劇場に呼ぶか、映画館で見てもらうかという工夫は、制作サイドと劇場の両者がタッグを組んで考えていくべき課題だしね

 

カエル「字幕上映もその1つだしね……」

主「字幕も今に始まった話じゃないけれど、ホスピタリティという意味ではそれも同じだよね。障害を抱えていても、子供がいても映画を楽しめる、というのは大事なことだから」

 

 

 

 

最後に

 

カエル「とりあえずこんなところかな?」

主「基本は過去に語ってきたことと同じだけど、色々と小さいながらも変化した部分、それから大きな流れとして変化が見えてきた部分も多いと思う。

 それこそクラウドファンティングでは来季テレビでやる『リトルウィッチアカデミア』とかもあって、そういった流れの上に成り立っているというのも忘れずに付け加えておくけれどね」

 

カエル「あとはクオリティの高さもやっぱりあるよね」

主「『クオリティが高いものが売れるわけではない』といったけれど『クオリティが高い方が売れやすい』というのは変わらずあるからなぁ。

 やっぱり、アニメ映画の平均点は邦画に比べて高いと思う。色々な映画があったけれど、聲の形やこの世界の片隅に、みたいな挑戦的なことをしている映画って中々ない印象かな?

 まあ、趣味の問題かもしれないけれどね」

 

カエル「オタクだから肩を持つだけかもしれないし……」

主「でも今年はたくさんのアニメ映画を見たけれど、総じて平均点は高かったよ。あまりにもおかしな作品って中々なかったような気がするし、途中退席を考えた映画も……なかったんじゃないかな?」

カエル「それだけ手間暇かかっているということでもあるんだろうね」

 

 

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