カエルくん(以下カエル)
「……ユーフォ、終わったねぇ」
ブログ主(以下主)
「この3ヶ月すごく楽しめたなぁ……」
カエル「映画から入ったからほぼ半年間だけど、1期から見ていたら余計に感慨深いものがあるだろうね」
主「自分も映画から入って、慌てて1期を見直して10月から2期が始まって……しかも1期とはまたちがうストーリー展開を見せてきてさ、ここから全てをまた見直せば色々と見えてくるものがあるんだろうな。
京都アニメーションの丁寧な作画が見事に発揮されたし、黒沢ともよをはじめとした声優陣もよかったし……原作を読んでいないけれど、原作が好きな人のTwitterとかを見ても思うのは『あれが違う、ここは原作のほうが』とかってやっぱりあるわけだ」
カエル「それは仕方ないよね。どうしても尺もあるし、小説とアニメの売りってものがあるし……」
主「個人的にはそれはそれで立派なものだと思うよ。それだけ見事な原作を、アニメ用にアレンジしちゃったんだからさ。
そこは個人の感覚によるだろうけれど……やっぱり自分はこの作品を今期随一にして、今年でもトップクラスの作品と推したいね。まあ、今年はそんなにテレビアニメも見れていないんだけれどさ」
カエル「それじゃ、最終回の感想を始めるよ」
1 全国大会の結果は?
カエル「前回のお話になるけれど、全国大会の結果は残念なものになってしまったね……」
主「いやぁ、自分に言わせて貰えばこれが素晴らしいわけだよ」
カエル「日本一になれなかったのに?」
主「ユーフォってさ、基本的に敗者の物語でもあると思うんだよね。それは1期でもそうだったけれど、実力というどうしようもない壁があって、その壁を乗り越えるためにみんな足掻いている。
だけど才能やそこに賭けてきた努力の差ってものは必ずあって……その中で敗者の役割を担ってきたのが中川夏妃であったり、中世古香織だったわけじゃない?」
カエル「劇場版のときもそこを語っていたもんね」
主「そう。敗者が敗者として腐らず、それでも上を目指して頑張って、勝者を支えながらも応援していく……その姿も美しいし、ある意味ではリアルだったわけだ。
本当に実力なんて度外視するような……全国大会で金賞を取るような作品だったとしたら、ここまで描いてきたものがすべてなくなってしまうと思うんだよね」
カエル「……どういうこと?」
主「実力主義によって成立していたドラマが、話の都合のために金賞や日本一になるというのはそれまでの作品を支配してきた『論理』というものを捨て去るような気がする。
だから最後は……敗北で終わるのがこのアニメが描いてきた『論理』の帰結だろうね」
カエル「全国進出が奇跡みたいなものだしね」
お話の美しさ
カエル「一応ネタバレ防止の小タイトルだけど、結局は『敗者が美しい』って話がしたいだけなんでしょ?」
主「みんな勝者に憧れるし、勝つために必死の努力を重ねてきたわけだ。負けたい人間なんて、全国大会まで行けば1人だっていないよ。
だけど、勝者がいれば必ず敗者がいる。どれほど才能があっても、努力していても、それは全国クラスまで行けばみんな同じなんだよね」
カエル「高校野球でいうところの『1度も負けなかった高校は1校だけ、1度しか負けなかった高校はその他すべて』っていう話だよね」
主「これはもう人生論の域になってくるけれど、人間やチームの本当の姿が出るときって負ける時なんだよね。そこで腐る人間か、また上を目指せる人間か……それだけでその人の本性がわかる。
だから、ここで負けても上を目指そうという気概にあふれている北宇治メンバーがやはり眩しくて、誰もが応援したくなるようにできている。その意味でも……美しい物語だなぁって思った」
2 久美子とあすか
カエル「やっぱりここのお話はしなくちゃいけないよね。
2期はこの『継承』ということが中心に語られていたし」
主「1期はどちらかというと世代論だったり、部活のいざこざが中心だったじゃない? それこそ実力主義か年功序列か、とかさ、誰がメンバー入りするのか……とか、そういう色々ないざこざがあっての、2期だった。
1期においてマイナスイメージがついてしまったのが田中あすかと吉川優子なわけだ」
カエル「2期はその2人の株がグングン上昇するように作られているなぁって感じたね」
主「これはまた後々に語ろうと思うけれど……今時の物語って『明確な悪役』って出しづらいんだよね。そんな存在がいて、それを倒せばおしまいだけど、そんな存在がいないから若者は苦しむわけで……
ユーフォという物語はまさしくそんな物語でさ、あすかにとっての母親とか、人間関係のいざこざとか……色々あるにはあるけれど、それを吹き飛ばせばお終いってことはない」
カエル「リアルといえばリアルなお話だけど……」
主「その中でいかに結論を出すか、というのは物語において難しい部分だと思うけれど、この2人を明確な悪としないように、丁寧に丁寧に作られているんなぁって感じるよ」
カエル「その結論がこの継承なわけだね」
主「あとは細かい部分でいうと、ラストの久美子の『大好きですから』って言葉を受けてのあすかの反応を見るに……あすかって案外人の好意に慣れていない人なのかもしれないね。
もしかしたら、生まれて初めて人に好きって言われたのかも。
それが口元だけで惚けたような表情と、雪の降る空がアップにされた演出の理由かもね」
継承されるもの
カエル「そう考えると結構胸にくるものがあるよね……」
主「回想シーンでもそうだけど、最初に吹奏楽部の演奏で久美子を迎え入れるのは……というと言葉がおかしいけれど、勧誘の演奏前に声を出すのはあすかなんだよね。そして同じユーフォパートということもあって、あすかと久美子はある意味では……師匠と弟子っていうのかな? ライバルとも違う関係になるわけだ」
カエル「まあ、そうだよね。久美子はあすかを見て成長する部分もあるわけだし」
主「そんな久美子にあすかも色々と手渡して……まああんな風に飄々としているけれど、特別な後輩になるわけだ。
最終回で滝先生たちが『学校で指導するということはこういうことなんですね』と語っているように、いつまでも先輩はいない。これが学生ではなくてプロならばいつまでもいるかもしれないけれど……こうして毎年毎年色々な思いが継承されていくことにより、よりレベルは上がったり、伝統というものは紡がれるわけだもんね」
カエル「そうだよねぇ……」
主「さらにいうとさ、この作品の後半は久美子と姉の関係もあったわけだ。
姉の吹奏楽が好きって思いも継承して、好きなことを最後までやり切るということの重要性とか、それがいかに幸せなことかということを久美子も認識したと思う。そういった……姉やあすか先輩の思いを受け取って、2年に進級していくわけだ。
それは久美子だけでなくて、他のメンバーもそうでさ。やっぱり3年生を送る時に流れた三日月の舞のソロのシーンの優子や香織の視線とかを見ても……この1年間の思いがたくさん詰まった『継承』の物語がたくさんあったよね。
そういうテーマがよく出ていたと思うよ、この2期は」
3 少しだけ苦言を
カエル「あれ? 少し苦言があるの?」
主「これはもう原作もあるし、この継承ということをテーマにした段階で仕方ないことかもしれないけれど……すっごく単純なお話としてさ、継承をテーマとしたことによって……あすかたちにスポットライトを浴びせたことによって、1年生組の影が薄くなってしまったんだよねぇ……」
カエル「あー……それはあるかもね。特に葉月とかはほとんど出番がなかったし……仕方ないといえば仕方ないけれど」
主「今作のヒロインポジションである麗奈が1番その煽りを食らったよなぁと思って。1期じゃあれほどフューチャーされて、持つものと持たざるものの対比として中々の存在感もあったけれど……その悩みとか、いろいろなところが『惜しい』ことになってしまった印象がある」
カエル「まあ、滝先生と結ばれるわけにもいかないしねぇ……そう考えると仕方ない部分でもあるけれど」
主「もう麗奈の問題は1期で大体解決しているとはいえね。1年生組の扱いが少し雑になってしまったように感じるのは残念なところでもあるかな?
あ、秀一はあれでいいよ。あんまりがっつり恋愛されてもねぇ」
カエル「……このブログでもそんな扱いにされるのか」
最後に
カエル「じゃあ最後に語っておきたいことは?」
主「やっぱり黒沢ともよを始めとした声優陣の演技力も神がかっていたし、京アニスタッフのレベルの高さも見せつけられた結果となった。
これで終がついたけれど……もうさ、総集編の映画第2弾やろうよ! あの音楽を劇場のサウンドで聞きたいよ!」
カエル「スピンオフもできるだろうし『響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ』もあるしね
主「ラストが『響け! ユーフォニアム』で終えるのもいいけれど、いつも通り賑やかに閉めてもいいと思うしさ。
『さよならって言いたくないです!』という視聴者はきっと多いよ?
『またね』の言葉に期待している人だった多いはず!
まだまだできるよ! お金もみんな出すよ、きっと! ってとこで京アニさん、どうですかね?」
カエル「……この青春の感動作にお金の話が絡んでくると途端に冷めるなぁ。
ちなみに、主の中でユーフォって京アニ作品だと何位ぐらいになるの?」
主「う〜ん……氷菓と並んで1位か、少し落ちて2位かな。それでもハルヒとからき☆すたとかもある中でのこの順位は、驚愕の一言だと思うけれどね、個人的には」
カエル「名作ぞろいだもんね。次の作品も楽しみだなぁ!」
過去のユーフォの感想です
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