物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『ミックス。』感想 新垣結衣と瑛太をはじめとした役者陣の魅力がたくさん詰まった1作!

カエルくん(以下カエル)

「では、ガッキー主演の映画について語っていきましょうか!」

 

ブログ主(以下主)

「いきなりなんだけれどさ……ちょっとぶっこんでいい?」

 

カエル「え? 何? 荒れないようにお願いね?」

主「知り合いの誰に言ってもわかってくれないんだけれどさ……今作のガッキーって鳥居みゆきに似ていない?

 予告の段階から……特に顔がアップになるたびに『鳥居みゆきに似ているなぁ』って思っていて……」

カエル「え〜? それはどうかなぁ……もちろん、鳥居みゆきも芸人でエキセントリックな芸風があるけれど、女優で映画にも主演するほど顔立ちは整っていて綺麗だけれどさ……」

 

主「リアルの知り合いに何人か聞いたら、最初は『え〜? ありえない』ってみんな言うけれど、本作の新垣結衣の画像の後に鳥居みゆきを見せるとわずかに納得する人もいるんだけれどさ……同じこと言っている人に会ったことがない。

 そりゃ、みんな『恋空』の天使のような高校生ガッキーが好きなのはわかるけれど……

カエル「何と言っても美少女の象徴みたいな存在だもんね。

 どんな女性が好き? って聞かれたら、無難に終えたいならばガッキーって答えればいいし、一時期はそれこそ日本で1番かわいい女の子だった時代もあるわけで……」

 

主「でもさ、そこからの脱却も難しいよな。いつまでも可愛らしい美少女ではいれないし……もちろん、今でもかわいいのは間違いないけれどさ、そろそろ女優としての幅を広げないといけない時期でもあって……じゃないと、年取って可愛らしさがなくなると使いづらくなるからね。

 その意味でもガッキーがどのような演技をするのか? ということも含めて注目であります」

カエル「では感想記事を始めましょう!」

 

 

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作品紹介・あらすじ

 

 男女混合ダブルス……通称ミックスで全日本大会に挑むアラサー達の挑戦を、新垣結衣と瑛太のコンビが主演、広末涼子、田中美佐子、遠藤憲一、真木よう子などが脇を固める豪華キャスト陣となっている。

 監督は石川淳一、脚本は古沢良太の『エイプリルフールズ』のコンビが務める。

 また、本作には世界で活躍する卓球選手である水谷隼人、石川佳純なども登場することも話題に。

 

 幼い頃から母の卓球スパルタ教育を受けてきた多満子だが、母が亡くなってからは卓球をやめ普通の生活を送り、一般企業の会社のOLとして働いていた。そんなある日、幼い頃に出会った天才卓球少年、江島が成長して、実業団のメンバーとして同じ会社に入社し、ひょんなことから2人は恋仲となる。

 しかし江島は同じく卓球の実業団仲間である小笠原と浮気をして多満子は捨てられてしまう。失意の中、実家に戻った多満子は母が残し、父がなんとか守ってきた卓球クラブを再建しようとするのだが、そこに謎の男、萩原がやってきて……

 


「ミックス。」予告

 

 

 

 

 

1 感想

 

カエル「では、Twitterの短評からスタートです!」

 

 

主「今年はスポーツとアイドルや人気女優と組んだ作品が結構当たっている印象がある。

 もちろん、この手の作品ははっきりと賛否が割れる傾向にあるので、あくまでも自分の価値観だけれど『チアダン』や『あさひなぐ』はなぜアイドルや人気若手女優を使うのか、その意味もあったし、その競技でないとできない魅力もあった作品なんだ。

 まあ、演出などで難もあるし、苦手な方もいるのはよく分かるんだけれど……

 で、今作はそういった作品の中でも個人的にはトップと言ってもいい作品だね。本作も正直難はあるけれど、劇場内でも笑い声が上がり、涙を誘うシーンもあり、胸を熱くするシーンもあって……1作の映画としてかなり評価が高い作品です」

 

カエル「だいたいこの手の映画って『説明しすぎ』とかって言っちゃうけれど……」

主「本作も説明過多なところはあるよ。演出も過剰な部分も、まあ、ある。でもそのどれもがいい味を出していたと思うんだよね。

 例えばね、新垣結衣演じる多満子の描写はかなり笑いがあって、ラブコメのように撮られている。だけれど、一方で瑛太が演じる萩原が1人でいるシーン……バスの中で外を眺めるシーンや、電話をかけるシーンなどは哀愁すら漂うようなカットになっている。

 メリハリの利かせ方が本当にうまいね

 

 

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2人のミックスが魅せる物語!
(C)2017「ミックス。」製作委員会

 

 

欠点として

 

カエル「では欠点としては?」

主「まずはこの手の邦画に共通する演出の過剰さ。自分はこの手の作品の中では結構抑えられていた方だと思ったけれど……音楽や効果音は過剰につけることはしていなかったと思うけれど、でもダメな人はダメかもね。

 こればかりは相性があるからしょうがない。

 そして決定的なのが、卓球の描写なんだよ

カエル「この手の一流の選手がプレイする設定の作品ってどうしてもそこが壁になってきてしまって……演じる役者は当然ながら素人か、素人に毛が生えたぐらいなんだよね。経験者であっても、うまいとは限らないわけで……」

 

主「今作の新垣結衣をはじめとした役者陣はやっぱり卓球が全日本レベルでないのが、丸わかりなわけ。当たり前だけれどさ。

 そこを演出でカバーしようとするし、それが中々いい味をもたらしているんだけれど……でも誤魔化しきれていない。どうだろうなぁ……自分は卓球素人だけれど瀬戸康史と永野芽郁がうまかったのかなぁ? 

 でもやはり全日本クラスと言われると疑問はある。こればかりは……どうしようもないよねぇ」

 

カエル「大元の役者の実力がねぇ……特に卓球って反射神経などの生まれ持った才能の要素もあるスポーツだし、それでなくても設定上の10年以上卓球をプレイしていなかった選手が全日本を目指すというのも突っ込みどころが豊富で……」

主「卓球シーンに関して文句があるのは仕方ないだろう。ただ、それをカバーする演出は好きだけれど……

 あとは……後半が個人的には難があった。ちょっとノイズになった面もあるけれど……でも全体的にはいい映画でした」

 

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脇を支えるメンツも豪華で見ごたえあります!

(C)2017「ミックス。」製作委員会


  

スタッフ・キャストについて

 

カエル「今回の監督を務める石川監督は初めましてで、そこまで作品数も多くないので語ることはないんだけれど……注目は脚本家の古沢良太ということみたいだね

 ドラマの『リーガルハイ』が高く評価されているらしいけれど、主はドラマは見ないけれど、何に注目しているの?」

主「映画としては『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどが代表作になるのかなぁ。自分が観た作品では、原作との乖離や監督との相性などもあるけれど、うまくまとめる脚本を書くなぁという印象で……

 でも自分が注目したのは『GAMBA ガンバと仲間たち』を手がけたこともある。自分は1アニメファンとして、GAMBAって評価が低いんじゃないかなぁ? ピクサーのようなタイプの作品という注釈はつくけれど、今の日本でもかなりクオリティの高いCGアニメの1つだと思っている。

 もちろん原作からして名作なのはそうだけれど、その構成などもうまかったんだよね。色々な制約がありながらも、いい脚本を書く人だなぁと感心していた」

 

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カエル「今作もその味は出た?」

主「演出もいいけれど、脚本もいいところがあった。詳しくは後で述べるけれど色々な要素がありながらも、過不足のない作品に仕上がっていたんじゃない?

 

カエル「そしてキャストではガッキーだけれど……

 今作はガッキーのための映画になっているよね!

 何度も衣装を変えて、その度に魅力を増していって……ユニフォームや私服だけではなくて、少しではあるけれどギャルの格好をしたり、清純派の女学生だったり、チアガールなどとコスチュームを色々変えていて!」

主「主役がかわいいというのは重要だけれど、本作は新垣結衣の魅力がたくさん出ていたんじゃないかなぁ?

 特に中盤ではキラキラ光る水などの影響あって、映像の味も出ていたし……まあ、ちょっと卓球などのスポーツをするにはぷよっている部分もあるかもしれないけれど、身長の高さなども生きたんじゃないかな?」

 

カエル「瑛太ももちろん元プロボクサーというやさぐれた印象の中に優しさなどもあって!

 もちろん他のキャストも良かったし!」

「役者に関しては、それぞれの味がしっかり出たんじゃないかなぁ? 名バイプレイヤーの遠藤憲一、優しさが溢れて出ている田中美佐子、やっぱり元ヤンが似合う広末涼子に……

 卓球のシーンはケチがつくけれど、それ以外は良かったよ」

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

2 笑いと涙とかっこよさと

 

カエル「では、ここからはネタバレありで語っていくけれど……」

主「本作のような大作……というのかは微妙だけれど、テレビ局主導の映画ってかなりの制約はあると想像する。

 その中でどのように監督ははじめとしたスタッフが取捨選択をして作品を描いたのか、ということに注目をしていこうか」

カエル「まず、この作品のターゲットは多分アラサーってことになるのかなぁ? 新垣結衣をはじめとしたキャストも20代、30代が多いし、お仕事ものだしね。

 だけれど、誰でも鑑賞しやすいように笑いどころはしっかりとあったね」

 

主「自分は本作のコメディ表現が結構肌に合っていたかな。最初にお母さんが鬼の面をつけていたけれど、それを外してもあまり変わらないというのが、真木よう子の変顔も合って結構面白かったし。

 あと『この作品はちょっと面白いかも!』と思ったのはタイトルの出し方で……電車の中で多満子と萩原が倒れこむシーンがあるけれど、そこで小さくタイトルが出てくるんだよね。これは面白かった」

カエル「そのあとのギャグ描写も良かったよねぇ。

 『あなたがあそこでたったから……』

 『押し倒してきたのはそっちだろうが!』

 という会話のやり取りも絶妙だったし、厭らしさを感じない下ネタとして機能していて、多くの人が笑えるレベルだったんじゃないかな?」

 

主「ギャグって結構人によるから、本作のギャグ描写がダメな人もいるかもしれないけれど、でも結構わかりやすく、多くの人に受け入れられるような軽い笑いを重視していたね。

 話としては実は結構悲惨で……そこもミソなんだけれど、その重さを感じさせないようになっていた

 

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テーピングもお手の物!
(C)2017「ミックス。」製作委員会

 

本作のテーマについて

 

カエル「そしてその笑いの中にも色々なドラマを感じさせてくれる作品だったね」

主「本作のテーマとして『恵まれなかった人』をどのように描くか、ということがある。例えば多満子はどんなに努力しても卓球で負けてしまい、結局不器用に生きている。

 萩原は視力をやってしまったボクサーだし、学生の優馬は登校拒否で、落合夫妻は重い過去を背負っていたり、弥生は医者の家庭に嫁いだけれど馴染めなかったり……多くの困難が待ち受けている。

 だけれど、その困難に如何に立ち向かうのか? というのが重要な物語となっている

 

カエル「ふむふむ……」

「落合夫妻が顕著だけれど、その試合会場に立つことすらできないわけだよ。

 この作品を象徴するのが『不器用な人間ってのもいるんだよ。一生懸命生きているやつを馬鹿にするなよ』というセリフで、結局この作品は敗者の物語なわけ。どう立ち上がるのか、まだ戦おうとするのかという姿を描いている」

カエル「敗者の物語が大好きだもんね」

主「う〜ん……自分は勝者の物語ってそこまで感情移入できないというか、どのように人生に対して抗うのか? という物語の方が惹かれるんだよなぁ。だから本作の……特に中盤までは本当に感動していたし、いい映画だなぁと思っていた。後半はちょっと思うところがあるけれどね」

 

 

 

3 演出について

 

カエル「特に中盤などでも、映画を演出や音楽で魅せようという工夫に溢れているし、その成長もしっかりと笑いとともに描いていたし、あんまり飽きることはなかったかなぁ?

 中盤のシシャモの曲がかかりながらの特訓シーンは見ていて面白かったよね。敵が子供だったり、おカマだったりしてさ」

主「本作は『エンタメとしてどのように魅せるのか』という気概にあふれているんだよね。それこそギャグもそうだし、特訓シーンの楽曲を使いながらサラリと見せるのもそう。だけれど、しっかりと映画として、絵としてもいい。

 先ほども語ったように萩原が1人のシーンではきっちりと哀愁が漂うように画面の力を見せていたし、多満子と萩原が水遊びをするシーン……という言い方は微妙か? でもそこはすごく美しかった。

 そのあとの写真も良かったし、新垣結衣という女優の美しさが引き立っていたんじゃないかな?

 特に一番輝いたのは後半の名前が出てくるシーンだろうな

 

カエル「それまでは『卓球の選手』ではなかった彼らが必死の努力をして、そしてその舞台に上がる……その時に初めて戦う選手の1人という『称号』としての名前を手に入れて、ようやく表舞台に立つことができるという胸が熱くなるシーンだったね」

主「あそこで弱者であった存在が如何にその意地を見せるのか? という勝負に立った説得力も生まれている。

 優馬が走り出したり、落合夫妻が写真の前で戦う姿が『人生とは与えられたカードで自分がいかに戦うのか』というメッセージ性があって、自分はかなり好きだったね」

 

 本作の主題歌はこちら

ほら、笑ってる

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  • SHISHAMO
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  • provided courtesy of iTunes

 


 

一方で後半の欠点も……

 

カエル「結構ベタ褒めだけれど、じゃあ欠点は?」

主「簡単。

 恋愛描写がいらなかった

カエル「あー……それは邦画だとしょうがないよねぇ」

主「観客としてはさ、多満子と萩原がどのようにまた戦いに挑むのか? ということを期待していたわけだよ。

 でも萩原は離婚した奥さんや娘に許されて、それで帰って行った。

 だけれど、そのあとの多満子と出会うシーンでは胸キュンではなくて、むしろ浮気男に見えるようになってしまっている。あ〜、軽いやつなんだなぁって。

 もちろん、その後に救済はあるよ? でもさ、あの流れからのあのシーンはいらなかった。むしろ、自分は勝負に向かおう! 戦おう! という気分になっているのに、興を削がれたというのが本音だね」

 

カエル「あそこでミックスだからこそ、男女の恋愛ではなくて同じ競技の仲間であるという描写でもよかったと思うんだよね。でもさ、やっぱり大作映画だからなのか、恋愛になってしまって……

 それってこの映画にのぞむ味とは違うと思うんだよなぁ……もしかしたら多くの観客はガッキーと瑛太の恋愛話が見たかったの?」

 

主「それなら1週我慢して、来週『先生!』でも見ろよ!

 それは冗談としても、それまでこの2人って恋愛というよりは同志だったわけだよね。

 そこが急にそういう関係になると、一気に冷めてしまう自分がいた。まあ、でもそういう依頼もある中で、どのような作品を作り上げるのか? というのも監督の大事な戦いだからさ。

 しょうがないといえばしょうがないけれど……」

 

 

 

 

最後に

 

カエル「まあ、色々と語ったけれど、全体的には満足度が高い映画だったんじゃないかな?」

主「自分はこの作品で監督が作りたい絵も見ることができたと思っているし、その敗者の物語として面白かったよ。後半からラストに関してはかなりファンタジーになった印象もあるけれど、特に中盤までは心が震えていたし。

 大嫌いだった卓球が、母が才能があると信じてやらせていた卓球が、彼女の人生を大きく変えて救うというのも面白かった」

 

カエル「こうやって思い返すと穴はそれなりにあったけれど、でも見ている時はそこまで気にならなかったしね」

主「すごく色々と試したいという気持ちが伝わってきたし、ガッキーもちゃんと可愛くなっていたしね」

 

 

 

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([や]2-4)ミックス。 (ポプラ文庫)

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