カエルくん(以下カエル)
「……今日もまたゴジラネタなの?」
ブログ主(以下主)
「昨日もゴジラで更新しようとしたけれど、忙しすぎて無理だったわ……」
カエル「別に更新頻度はいいんだけどさ……ゴジラネタはいつまで続くの?」
主「一応、今回で最後かなぁ……あとはテレビで放送された『ゴジラ ('84)』もまとめたいけれど、見る時間がなさそうだし……でも、またもしかしたらゴジラ関係で更新するかもしれないから、楽しみにしていてね!」
カエル「……とりあえず今日のネタを始めようか」
1 ゴジラの歴史をまとめた一冊
カエル「まず、この題名を考えると明らかにシン・ゴジラについて意識したような本だね」
主「シン・ゴジラ公開前に出版だからもちろんあまり触れてはないけれど、ゴジラとエヴァについてしっかりとまとまっているよ。
例えば、1954年のゴジラが誕生した経緯だとか、監督の本多猪四郎についてもしっかりと書いてあるし、ゴジラ入門書として、そしてその歴史を再確認するにもいい一冊じゃないかな?
新書という形の本はどうしても文量が制限されてしまうものだた思うけれど、これは簡潔だしね」
カエル「ゴジラもそれこそ60年以上の歴史があるし、エヴァも語ろうと思えばいくらでも語れる作品じゃない? その二つをあとがきを抜けば200Pを切るように書ききったからね」
主「この情報化社会において金を出す本というのはどういうものか、ということを書いた作家がいたけれど、これはゴジラに興味があったり、ゴジラや他の怪獣がどのような意味があったのか知りたい『オタク』には、その価値がある本じゃないかな?」
カエル「一般層の人もいかにゴジラ……というか怪獣映画が『深い』ジャンルというのかわかるから、読んでほしいよね。特に、古い怪獣映画となると詳しい時代感覚がわからないから、この作品が何をテーマにしているのかわかりづらいし」
主「例えば『ゴジラ対ヘドラ』だったら環境問題がテーマというのはわかるけれど、『ゴジラvsキングギドラ』がバブルで増長した日本経済を揶揄するものだったというのは、もう今の若い人たち……そうだな、30歳以下にはわからないだろうね。
もちろん、ゴジラだけじゃなくて、ラドンやモスラといった人気怪獣が如何にして誕生したのかもわかったし」
エヴァの解説について
カエル「エヴァは語るのが難しい作品だよね……人気はあるし、ファンは熱いけれどいくらでも解説する余地があるから、何を言っても正解で、何を言っても不正解みたいなところがあるもんね」
主「あのヒットしていた時代のエヴァ解説本をブックオフで100円で売っていたから買って読んでみたんだけど、結構酷いものも多くてさ……挙足取りとしか思えないような細かい部分を粘着質に語るものから、
『お前見てないだろ!!』と言いたくなるような本まで本当に色々だった。
それだけ人気があったといえばその通りだけどね」
カエル「さすがに現代に発売するだけのことはあって、考察はしっかりとしているね。当時の庵野秀明のインタビューから、キャストの発言を踏まえ、その中でも大切な『キリスト教の世界観』に加えて、『ロボット作品の歴史』についても言及しているから、相当の知識がある人だね」
主「作者の長山靖夫らしく、さすがは星雲賞受賞作家といったところか。多分、これほどの知識がある人だったら語りたいことはもっとあるだろうけれど、この分量に抑えたんだろうな。
2 ゴジラシリーズの歴史
カエル「これでゴジラの、怪獣の歴史について整理できた言うけれど、端的に言うとどんなものなの?」
主「まずゴジラが誕生した時はゴジラは戦争と原爆、空襲といったものの象徴というのは、よく言われることだよ。そこについては本書を読んで、その意味について知って欲しいけれど、問題はそのあとだよ。
この本を読んで教えられたけれど、『ゴジラの逆襲』は本多猪四郎監督じゃないんだよね。しかも調べたら、かなりの突貫撮影で脚本などを練る時間もない。
そしてこの作品からお馴染みの『ゴジラVS怪獣』という路線がとられることになる。つまり、戦争の象徴としてのゴジラはいなくなるわけだ」
カエル「この本にも書いてあるけれど、それで原作の香山滋がゴジラシリーズから降りたってあるね」
主「前に書いたけれど、『戦争や核兵器の象徴=ゴジラ』のロジックからすると、ゴジラがヒーローということは『戦争や核兵器が世界を救う』ということになりかねない。
もちろん制作サイドにはそんな意図はなかったけどさ、人気を出すためには『正義のヒーロー、ゴジラ』を欲したんだよね。そしてその判断は正しかった。この路線があってこそ、ゴジラはここまでの人気を博すキャラクターになったから。
悪として日本を滅ぼすゴジラと、正義として地球を守るゴジラが早くもここで生まれたんだな」
カエル「そして『キングコング対ゴジラ』にて伝説的な大ヒットを遂げるというね」
主「それからも怪獣ブームに乗って次々と怪獣が作られて、その中にはゴジラでもお馴染みのラドンだったり、モスラもいるわけだ。
特にモスラが『女性向けの特撮』として作られたということは面白かったね。モスラって、なんで蝶ではなく蛾なのかと疑問だったけれど、あれはカイコガがモデルなんだ。カイコガの成虫はフワフワしていて、本当に可愛らしいから、女性人気を狙うにはうってつけだと思う。女性人気も一番高いらしいし、その意図は成功だろう」
映画からテレビに移った怪獣
カエル「でも、ゴジラシリーズは人気をなくしてしまうね」
主「これは岡田斗司夫も語っていたけれど、『ウルトラQ』が始まったからテレビで怪獣が映るという時代になったことによる。そしてウルトラマンの登場により、さらに劇場から怪獣は減っていき、やがて怪獣はテレビの時代になるわけだ」
カエル「その中でアニメ界も大きな変換点を迎えるわけだね」
主「そうね。例えば『鉄腕アトム』もそうだけど、テレビアニメ初期のロボットアニメの敵役というのは怪獣的なものよりも、人間的なものが多かった。
鉄人28号は操縦者によって善悪が変わるなど、よりロボット感を出したものの、その相手や悩みなどは怪獣的というよりも、人間的だし。
そしてマジンガーZによってロボットに乗り、その相手が人気だった特撮からアイディアを得て、怪獣のような存在と戦うことになっていくわけだ」
カエル「これがもうロボットアニメの基礎みたいなものだよね。例えば『ロボットに搭乗して、怪獣(説得のできない脅威)と戦う』というとファフナーとかもそうなるね」
主「それが原型としてもう既にあるわけだよ。ということは、エヴァを考えてもそれは同じなわけだ」
シン・ゴジラがエヴァ?
主「使徒って何かというと、それは怪獣と同じような存在なわけだよ。説得のしようもないし、通常兵器は全く効かない、日本に上陸して好き勝手やる相手。そこを考えるとゴジラとかと何も変わらない。
基本的なフォーマットは伝統的なロボットアニメや、ウルトラマンなどの特撮の上に成り立っているわけだ。
だからそんな庵野秀明がゴジラを撮ったら、その大元の怪獣ものをモチーフにしたエヴァに似るのは必然だと思うけれどね」
カエル「話をこの本に戻すと、怪獣は既に子供達にとって当たり前のコンテンツになっていた。そして偉大なるマンネリを迎えて、怪獣映画ブームは終焉していくんだよね」
主「それはこの本にも書いてあるね。そして昭和ゴジラシリーズは終わるわけだ。
個人的意見として一つ言いたいのは、子供向け作品というのは子供騙しで作っちゃいけないんだよ。子供だけじゃなくて、大人の鑑賞にも耐えるものが受け入れられる。
それはジブリも、ディズニーもピクサーもそうでしょ? クレしんもそう。大人が楽しいと思わないものを、なんで子供が楽しいと思うのさ?
その意味で、今回のシン・ゴジラは大成功だったと思う。これは子供にも受けるよ」
最後に
カエル「この本を読んで感銘を受けた部分って何?」
主「ゴジラにしろ、エヴァにしろ、それは終わらないコンテンツという意味で同じ、ということかな。繰り返される物語としてのゴジラとエヴァ。
この繰り返すって、オタク的物語論として結構面白いワードだよね。それこそ転生物と呼ばれるジャンルもあるし、永遠に終わらない日常=日常系作品という見方もできる。
終わらせるということのない、永遠に続く物語としてのゴジラとエヴァの視点が、実は転生物を含めた現代の『物語』に対する思いに繋がるんじゃないのかなぁ……なんて思ったり。まだそこまでの考察はないけれどね」
カエル「……なんか難しい話になりそうだなぁ」
主「でも一つ言えるのは、ゴジラにもエヴァにも興味がある人は、思考の整理のために読むのがオススメかな。そして、どちらかを知らない、もしくはどちらも知らない人は、ゴジラとは、エヴァとは何かを知るのに丁度いい本だと思う」
カエル「話題のシン・ゴジラを補完する本として注目だね!!
……とりあえず、今回は乗ってあげたけとさ……次はちゃんとゴジラ以外の記事を書いてよ? みんながみんなゴジラ好きなわけじゃないんだからさ……」
主「……すみません」
カエル「謝ればいいってもんじゃないの。ネタが尽きたわけでもないんでしょ? いい大人なんだから、そこいら辺もちゃんと計算して……え? カメラまだ回ってる?
……わーい、主! 次の記事も楽しみだね!!」
主「……役者だわぁ」
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