……それでは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の辛口感想記事になります
配信が1日ずれていたの知らなくて、結構焦ったよ
カエルくん(以下カエル)
すぐ配信するだろう、と思って褒め意見の前半部分だけあげたら、この体たらくでしたね
主
すぐ追記できると思って中途半端な記事をあげて、すみませんでした
カエル「実際、記事自体は大まかにできていたけれど、最終回を観て感想が変わって手直しはしたの?」
主「全く変わらない。
むしろ、そのままアップしてもよかったくらい、予想通り。
というか、連続ものの最終回で評価が一変するほどの作品って、それは逆に何かあったとしか思えないから……2クールまで見れば、最終話前には評価は大体固まっているものだし。
逆に言えば、最終回1話だけで出来ることって、そんなに多くないってことだよね。
これまでの物語に満足している人は満足だろうし、不満な人は不満だろう」
カエル「なるほど。
今回は前回の記事につなげると、1万文字越えでかなり長くなるので、2記事に分けました。こちらは後編になります。
では、辛口の感想記事を始めましょう!」
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辛口作品感想
……はい、てなわけで、前半の記事は褒めておきながら、後編は好き勝手お話しするコーナーです
ようやく自分の出番ってわけですね!
カエル「まあ、もう先に語ったように世間評価が絶賛で固まっているような作品だから、逆に何を言っても揺るがないという気持ちはあるんだろうけれど……また色々と苦言を呈される前に、お手柔らかにね?」
主「はいはい!
さて、バリバリ語っていくよ!
……といっても、1期に関しては基本的に褒めなんだけれどね」
本当は1期放送後にも記事を書こうと思っていましたが……なんというか、気力が湧かなくてかけませんでした
あの時書いていればって思うことは多いよ!
カエル「そんな話は置いておいて……1期は良かったと褒めていたよね?」
主「新基軸のガンダムを見せるという覚悟も感じたし、実際、とても作り込まれているようにも感じた。
例えば宇宙の大企業グループの総裁の父親に反発するために、株式会社ガンダムを立ち上げるのは、スタートアップ企業という意味で現代の日本のビジネスシーンでもよく言われている重要なことだし、そんなガンダムは今までなかった。
それで家族の軋轢の問題にも絡ませてきたのは、面白い試みだな、と褒めたいんだよね」
リアルのSNSでのバズり方も含めて、めちゃくちゃ上手い手だったよね
それから”成長しない主人公のスレッタ”が見せた、あの1期ラストも良かった
カエル「その時のツイートがこちらです」
とりあえず今考えているのは、水星の魔女においてスレッタは何1つ変化しておらず、そのようなスレッタを作り上げたのはミオリネであり視聴者もまたそれを覗き見るという形で共犯関係にあったのでは、という話
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年1月12日
それと付随して実はミオリネとスレッタは婿と花嫁ではなく疑似的な親子関係(ミオリネが親、スレッタが無垢な子)であり実は1期の内容はミオリネは疑似的に毒親となる過程を踏まえていた説
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2023年1月12日
それを採用するとダブスタ親父→ミオリネ→スレッタという3世代にわたる親子関係の話にもなる
スレッタは自分の善悪の価値観を持たず、誰かの言う通りにしか行動できない子どもだったこその、1期ラストの行動につながるという描写だよね
主「結局、1期は最後までスレッタは一切成長しなかった。
できなかった、という方が正しいのかな?
そこがあのラストにつながり、そしてそれはスレミオの関係を楽しんでいた視聴者も共犯関係に落とし込み、狂乱させるという、とても上手い構造の作りだった。
もちろん、全体の最終話がこれだったら絶望だけれど、あくまでも1期の終わり……中間地点であり、2期への繋ぎとしては見事という他ないよね。
このように、1期は結構褒め意見が多かったんだよ」
2期の物語の混乱
それが、2期になると途端にダメになると?
う〜ん……結局、キャラクターと作画さえ良ければ、それで全部いいの? って気分なんだよね
カエル「前半で亀爺が褒めたところは素晴らしいと思うけれど、逆にいうと、それだけなのでは? ということ?」
主「キャラクター性の強烈さだけで引っ張っていった気がしている。
というのは……1期の頃から危惧していたポイントがあって、それはスレッタというキャラクターは主人公なんだけれど”変化しない主人公”なんだよ。
スレッタ自身は成長も変化もしなくて、周囲がスレッタと交流することで変化していく。良くも悪く、ね。
そして、その欠点が2期では如実に現れた印象だ」
う〜ん……2期では、きちんとスレッタも成長したけれど……
そのスレッタが、物語全体の中で蚊帳の外なんだよ
主「例えば、起業の話……株式会社ガンダムも主軸はミオリネだから、スレッタはあくまでもそのサポートや、広報担当というだけ。
もちろん、宇宙と地球の差別問題や戦争なんて、全く関与しない。
そもそも水星出身だから、地球のいざこざなんて関係ないと言えば、関係ない。宇宙の中でも水星なんて田舎も田舎って設定だしね。
もちろん、シャディクの暗躍も関係しない……
家族の問題……母親関連は関係するけれど、むしろ陰謀云々にはプロスペラがめちゃくちゃ絡んでくるだけに、スレッタ自身はそこに関与しようがないんだ」
だから、蚊帳の外だと……?
もちろん、スレッタと家族の問題はちゃんと描こうとしているのは伝わってきた
主「目的も勝利条件も何もない、ただの巻き込まれるだけの主人公なんだよ。
後半はきちんと成長して……Twitterでも話題になっていたけれど、エアリアルから離れた時は独り立ちで、うずくまって泣いていたのは誕生の象徴だという意見に、自分も賛成する。
なんならば、クワイエット・ゼロに関与されない、オーバーライド圏内での活動を可能になっということは、家族の縁とか、ある種の呪いを振り切っているという解釈だって成り立つわけだよね。
だからこそ、終盤は家族に立ち向かうことで、成長を描いた」
この作品で描きたかったことはなんなのか?
そう考えると、スレッタの物語にはきちんと決着をつけているけれど……
じゃあ、地球と宇宙はどうなったのさ?
主「株式会社ガンダムは?
なんで起業したの?
ガンドアームの平和利用は?
その他にも総裁やら、決闘システムの意味とか、復讐だとか、全〜部投げっぱなしじゃん。
エピローグにそれっぽく入れただけ。地球との確執だって、トップ企業や経営者の財産をあげますって、もうお花畑もいいところの最低の落とし所だよね。
今度は地球側で内ゲバだったり、宇宙との確執が始まんの、間違いないじゃん」
カエル「それは……まあ
主「さらにいってしまえば、女性主人公である必要も、スレミオの同性愛描写も、ただの描写でしかなくて、そうでなければ表現できない何かを目指した感じじゃないよね?
それこそ当初は『少女革命ウテナ』を挙げる人も多かったけれど、その域どころか、単にキャラクター萌えのために消化されちゃってんじゃん。
世界を革命する力なんて、カケラも存在しなかった」
これは、また手厳しい意見で……
先に断っておくと、1期はそれを描ける可能性を感じたんだよ
主「先にも語ったように、1期はその芽はきちんと芽吹いていた。
でも……まあ、やっぱり尺不足と練り込む時間が足りなかったんだと思うけれど、それらの描写の意味が全くなくなって、結局はキャラ萌え描写とSNSバズを狙った表面的なものになってしまった。
それがとても残念だし、1期に期待していただけに、2期の物語の迷走ぶりが、本当に信じられないくらいだった」
本作の本当の主人公とは?
そうなってくると、何が失敗だったの?
やっぱり、キャラクターの組み方だと思うんだよね
カエル「えーっと……水星の魔女とは誰だったのか? ってこと?」
主「それもそう。
本作の本当の主人公は、どうみてもプロスペラだったじゃん」
敵役らしく、話の中心にいつもいたしね
暗躍はして、家族の問題も抱えていて、理想と思想もあって、最後に救いもあって……
主「その意味では、やっぱりキャラクターの組み方が違っちゃった。
スレッタはあくまでもプロスペラのおまけでしかなかったんだよ。
もちろん、プロスペラが主人公だと現代のガンダムの主人公としては色々と問題があるのもわかるけれどさ。でも立ち位置も、プロローグのことも含めて、すごくいいキャラクターだった。
その視点と比較すると、スレッタとミオリネのこととかは、すごく物語として軽くなるんだよね」
今作をガンダムとして描こうとしたこととは?
小林監督の過去作と比較して
水星の魔女を語る際に重要な作品を下敷きにしたいということですけれど……
やっぱり、小林寛監督の『ひそねとまそたん』だよね
あまり注目されづらいタイトルかもしれませんが、実写映画監督としても活躍する樋口真嗣が総監督、さらに脚本は岡田麿里という豪華スタッフの作品です
水星の魔女と重なる部分も多いと思うんだよ
カエル「まあ『ひそね〜』は自衛隊の話だけれど、戦闘訓練のお話という意味では、学校を舞台として今作と大きく変わらないのかなぁ。
簡単に列挙すると、こういう共通点があるのでは? という話です」
水星 ↔︎ ひそね
- 主人公……田舎(水星)出身の主人公 ↔︎ 田舎(富山)出身の主人公
- 舞台……戦闘訓練を受ける(エリート)学校 ↔︎ 戦闘訓練を受ける(エリート)自衛隊
- 乗り物……意思を持つ機体(エアリアル) ↔︎ 意思を持つドラゴン(まそたん)
- 女性像……男性向け作品(ガンダム作品)で活躍する女性主人公 ↔︎ 男性社会(自衛隊)で活躍する女性主人公
基本的な構造は、結構似ていると思うんだよね
主「あとは主人公がコミュニティの中で異質な存在というのも同様。
さらに言えばテーマも似ているかもね。ひそねはほんわかした画風だけれど、男性社会で社会進出する女性たちの話という意味では、水星と同様に進歩的なお話でもあった。
ただし、ひそねは1クールということもあって、スレッタ以上に能動的に変化するし、お話自体もまとまっているけれどね。
水星は風呂敷を広げ過ぎて全く畳めていないし」
こうやってみると、総監督制の監督とはいえ、小林監督の作家性というのが見えてくるかも……
もちろん『キズナイーパー』も含めて、岡田麿里の作家性もとても強く反映されているから、難しいところだけれどさ
カエル「でも、小林監督はその個性のある脚本家の意見や作風をしっかりと取り入れながら、ガンダムらしさ〜などの外部要因を入れながら、今の社会に求められている姿を取り入れて、それで映像的な魅力もしっかりとコントロールするというという、職人的な監督さんなのかもしれないね」
主「すごく調整役として上手いのだろうなぁ……という勝手な印象を受けた。
ひそねを参考に出したのは、この作品も社会と個人の変革を描いているからなんだよね。そして水星も家族描写を軸に、社会と個人の在り方を描いてきたし、過去の因習を断ち切るという進歩的な一面があった。
ただし、その上手さ……1期の頃は水星も上手かったけれど、2期は完全にまとめきれてない。
その点で言えば、ひそねの進化版を描こうとして、思想や社会性では、ひそねよりもその点では後退したという印象を抱いてしまった」
ガンダムらしさとは?
でも、ガンダムの新基軸を作り上げることには成功したわけだし……
……成功しているのかなぁ
主「じゃあさ、ガンダムらしさってなんだと思う?」
カエル「え?
それこそ答えが1つになるわけではないだろうけれど……魅力的なモビルスーツ戦闘とか、キャラクターとか、社会性とか、色々だよね?」
主「自分が思うに、初代や富野由悠季監督がガンダムで達成した偉大さというのは、戦争を語ったとことだと思うんだよ。
それはある種の……絶対悪の悪の軍団が出てきて〜とかではなく、お互いの正義と正義のぶつかり合いと、複雑な社会と大人の、ある種腐った魂胆が交差するような物語。
日本の場合、実写映画やドラマで戦争を語ろうとしても、それは第二次世界大戦の日本を語るだけで、戦争は語らないんだよね。その意味では、ガンダムを含めて、戦争を語れるメディアとしてアニメや漫画は、まだ成立している」
特に富野さんは、あの当時他作品でも戦争を描いてきた監督だよね
そしてその中に、キャラクターを超えた”人間”というものを描こうとした。
主「自分の中では、富野由悠季という監督は、日本アニメを……いや、もしかしたら世界で初かもしれない、大人の鑑賞できる人間的な複雑な心情を表現したという意味で、今以上にもっと評価されなければならない偉大な監督であると思っているんだ」
もちろん、今でも高い評価を受けている監督ですが、それでもまだ低いのでは? と……
ある種の革新を遂げた人だったからね
主「それで、水星では後半はガンダムっぽさを追求していたような印象は受けたよ。あからさまなフェンシングの……レイピアでの対決とかさ、あんなの、描写としては無駄だけれど、ファーストを意識してやりたかったのは、わかる。
お約束もいれながらも、きっちりと外してきたのもわかる。
でも、それがなんなわけ?
そんな、描写だけオマージュして、どうすんのよ?」
これがガンダムの名前を冠していなければ、単なるオマージュで良かったよ?
主「でもさ、これはガンダムなんだよね?
だったら、いっそのこと、あんなオマージュなんていらなかった。とことん新基軸の、ガンダムらしさから外れたガンダムでも良かったじゃんって。
そんなオマージュだけしたら……形だけ模倣して、社会も、人間性も描けていない。
そんなの、仏を彫って魂入れず、と言われても仕方ないんじゃないの?」
結局のところ……今回のガンダムは、やりたいことのテーマも見えなかったんだよ
主「作り手の思想や社会感が見えてこないんだよ。
そんなの入れたら、炎上するかもしれないけれどさ。でも、そういうものを入れて、社会や人間を語ったから、ガンダムって偉大なんだよね。
その思想が空っぽで、ガワだけ良いものを作っても……自分は虚しいだけだと思うけれどね」
最後に〜辛口意見を無視したからこその成功〜
というわけで、厳しい評価でした
まあ、前回の記事で語ったことを繰り返すようじゃが、それでも成功は成功じゃからな
カエル「う〜ん……これも作品と商品の違い、なのかなぁ」
亀「主の言うことも分からんでもないが、しかしそんな社会性や人間性など、今の視聴者が望んでいるのじゃろうか?
むしろ娯楽として、友人たちとワイワイお話しできる作品を望んでいるのだとしたら、この路線で正解だったのではないじゃろうか?
それは消費かもしれんが、消費の何が悪い。
だからこそ商品として優れているという話になるんじゃうし……その作家性やガンダムらしさを望む姿勢こそが、新規ファンを遠ざけてきたのではないじゃろうか?」
あれ、亀爺は肯定派なんだね
わしは、現代のガンダムを観れたからの
亀「色々な意見もあって良いと思うが、先に語ったように、勝利条件がはっきりとしている中で、それを達成しておる。
それで視聴者が楽しんだならば、それは間違いなく勝利じゃ。
主が好きな『鉄血のオルフェンズ』のような作品になったら、ガンダムのTVシリーズは、もう5年は作れなかったかもしれん。
それを考えると、わしはこの水星はちょうど良い作品だったと思うがの」
カエル「色々な意見が出てくるのは、良い作品なんだろうねぇ」
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