今回はサイコパスの劇場版3作品の感想記事です!
3つまとめて語っていきますよ
カエルくん(以下カエル)
「『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」』
『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」』
『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」』の3作品です!
2010年代を代表すると言っても過言ではない、硬派なSFアニメがついに再始動です!
また、テレビアニメ3クール目も制作が決定しています!」
主
「それこそ攻殻機動隊くらいに息の長いシリーズになってきていて、原作抜きのテレビアニメオリジナルの作品でここまで人気の作品は、近年では他にないんじゃないの?」
カエル「原作も人気! とかならばまた話が変わってくるんだけれどね。
それこそ、さっき語った『2010年代を代表する』というのも
”オリジナルアニメ”
”ハードなSF作品”
”ポリス&バディアクション”
と考えると、他に似たような作品すら思い浮かばないという……攻殻機動隊だって、漫画原作だしね」
主「今の時代でテレビアニメ3期に加えて、劇場版1作に劇場シリーズが1作っていうのもすごいよなぁ……
というわけで、この異彩を放つサイコパスの新作劇場版のレビューを始めましょう!」
作品紹介
人間の心理状態や性格傾向などを数値化し、機械である通称”シュビラシステム”が管理するようになった未来の社会を舞台に、潜在的犯罪者を追い処罰する警察官を描いた人気アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の劇場版シリーズ作品。全3章で公開されており、時系列は2期、劇場版の続きの物語となっている。
監督はテレビシリーズと15年公開の劇場版も担当した塩谷直義が3作ともに担当。脚本は1作目が吉上亮、2作目、3作目は深見真が担当し、サイコパスシリーズをよく知るスタッフが担当するほか、音楽はテレビシリーズ版に引き続き、多くのアニメ作品や実写映画にて活躍する菅野祐悟が務める。
また、キャスト陣も変更もなく、関智一、花澤香菜、佐倉綾音をはじめとした人気キャストのほか、シリーズではすでに出番のなくなってしまったキャラクターも出演することも話題に。
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#PSYCHOPASS 3章
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月9日
見事な3部作だったのではないでしょうか
劇場で観るべきクオリティの高さに加えて3期への繋ぎもあり、さらに観なくても2期から3期への導入も可能
独特な設定なので完全初見さんには辛い部分もあるでしょうが満足度が高くPSYCHO-PASSの魅力満載だった pic.twitter.com/6nBgdCPrn7
#pp_anime#PSYCHOPASS
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年1月25日
あーこれこれ、PSYCHO-PASSってこんな作品だったわぁ
シリーズ久々なこともあって全てを理解したとはいえないけれど追いかけてきたファンは楽しめる
初見は多分意味わからんでしょう
ちょっと作画は省エネ気味も弥生がたくさん出てきたから万事OKとしましょう! pic.twitter.com/kPSfiLVn9g
#サイコパス 2章
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月7日
3章公開間近で最終日の今日ギリギリで鑑賞
おっさん達のカッコよさが際立っており1章よりも引き込まれた
サイコパス自身が攻殻機動隊との比較をされがちだが2章はさらに押井テイストを増しパト2を連想するシーンが非常に多いように感じられた
過去に遡る物語だからだろうか pic.twitter.com/s4jnu1BxAs
3章のみに限って言えば面白いもののPSYCHO-PASSであることを忘れそうな話
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2019年3月9日
SFというよりは軍事ものだよね
細かいツッコミやノイズになる描写もあるもののPSYCHO-PASSの描いてきた精神とこの先につながる物語でもあり全3章では1番大事な話だったかな
あとは女性陣が美人だけど一部シーンはドキドキした!
まず、全体としては満足度の高いシリーズだったのではないでしょうか?
主「言い方は悪いですが、この手の3部作などはOVA形式のものもあるので一概には言えないけれど、次の劇場版や次のクールに向けたお金儲けの印象もある作品だって多い。
その中でも、今作はそのリッチな画面作りであったり、物語性に関しても現代風にアレンジされており、見ごたえのあるシリーズとなっていたのではないでしょうか」
カエル「さすがに初見さんにはオススメしづらいけれど、でもサイコパスワールドを楽しんできた方にはたまらない作品になっているんじゃないかなぁ?」
主「劇場で見る意義もあったし、音楽の作り込み方などもしっかりしていた。
ただし、物語の作り方に関しては賛否が若干あると思う……というのも、この3作品とも紛れもなくサイコパスの魅力を内包しながらも、中盤では退屈に思ってしまう部分もあったりして、正直若干眠くなってしまう作品もあった。
このあたりはハードSFで会話劇の多い、若干ミステリー仕立ての物語ということもあるのだろうな」
カエル「専門用語の多さとか、わかりやすいことも少しカッコつけて喋ったりしていていたりするからねぇ……
これがサイコパスの魅力とはいえ……」
主「あとは、単純に自分が15年に公開した劇場版以来久々のサイコパスだったこともあるだろうけれど……手放しで絶賛したいのは2章くらいかな?
でも、この3部作の全てが見ごたえがある内容だったよ」
1作ずつを軽くレビューすると
1作ずつ少しだけ触れる形でレビューしていこうか
どれも見所もある分、少しだけ思うところもあるかな
カエル「では、まずは1作目の『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」』はどうだったの?」
主「今までのサイコパスとしてはほぼ100点の出来だと思う。
だけれど、今までどおりすぎてわざわざ公開する意図を見受けられなかった。
ただし、これは自分自身がサイコパスが15年の劇場版以来ということもあって、設定についてだいぶ忘れていたこともあるのだろうから、必ずしも作品だけのせいではないし……そもそも、そのような観客のために作られた作品だったのだろう。
サイコパスの魅力や面白さが詰まった1作だったと思うし、3作見終わった後だと意義がとても理解できる作品でもあったね」
カエル「次は2作目の『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」は?」
主「この3部作ではやっぱり1番すき。
どうだろ、世間的にも評価が1番高いんじゃないかな?
というのも、サイコパスの持つややこしい部分を人情劇として見せることで分かりやすい人間ドラマになっている。さらに言えばキャラクターの魅力がとても大きいよね。
実はあることがすごく気になったんだけれど、それはこの後じっくり語るとしよう」
カエル「そして3作目の『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」』は?」
主「面白いけれど、サイコパスでやる必要ある? という疑問はあった。
その意味では1番異色な作品だったかもしれない。
また色々と気になるところもあって……狡噛が撃たれるシーンがあるけれどその前後のつながりだったり、行動に疑問符があった。後はそのダメージがどれほどあるのか疑問だったり、細かい部分だけれどね。
だけれど菊池寛の『恩讐の彼方に』を基にした物語なども面白いし、サイコパスという物語の核がしっかりとあって、今作が1番重要な作品になっていたんじゃないかな?
ちなみに、今作をもっと楽しみたい人は『恩讐の彼方に』を読むといいです。
ただし、短編とはいえ大正の作品だから文章も固い部分もあって、現代では日本人でも少し読む人を選ぶかもしれないけれど……よくあの子は読み切ったなぁ、と感心したよ。文章などがよくて面白いけれどね」
3部作の位置付けについて
じゃあさ、この3作を比べてみるとどのような印象だったの?
明確に役割が与えられていたように感じたかな
カエル「役割?」
主「この3部作には以下のような意味合いがあると考えている」
- 1作目→サイコパスの現在を描く(入門&リハビリの1作め)
- 2作目→サイコパスの過去を描く(過去キャラクターなどの登場)
- 3作目→サイコパスの未来を描く(3期につながる物語)
主「最も今まで通りのサイコパスらしい作品は1作めだったろう。自分はむしろ今まで通りすぎて、劇場でやる意義ってなんだろう? と思ったほどだけれど……おそらく、これはサイコパスの数年ぶりの再始動ということもあって、ある種の入門やしばらく間の空いた人たちへの説明も兼ねた作品だったのではないだろうか?」
カエル「たぶん、みんながサイコパスの物語を聞いたら思い返すのがこの作風だよね。
面白いけれど、でも過去作でも見たかなぁ……という気分になってしまったり……」
主「一方で自分が1番好きなのは2作目なんだけれど、これはすでに退場してしまったこともあって出せなくなった過去のキャラクターの登場も兼ねている。
ある意味では振り返り企画でもあるけれど、ファンにはとても嬉しい企画だろう。
征陸智己だったり、青柳などサイコパスファンの中でも根強い人気を誇る一方で、この作品が”機械に支配されたディストピア”であり、その裏には人間の深い感情があるという、機械と人間の対立を描く上では決して欠かせないテーマを内包していた」
カエル「2作目の主人公の須郷徹平と青柳は深いつながりと因縁があるから、その過去を描くと色々と思うところがあるよね……
お祭り企画でもあるから、ここで過去の人気キャラクターを出したということもあるのかな?」
主「そして3つ目は忘れてはいけない狡噛慎也の物語であり、本作の中でも重要なテーマである”復習と正義”について語った作品でもある。
そして、この映画は3期目につながる物語で終わりを告げており、過去に縛られるだけではなく、未来を向いていくキャラクターの姿と、この映画のラストが一致する物語となっていた」
難しい3部作
この3作品の立ち位置って難しいよねぇ
あくまでも”つなぎ”の3部作だからね
カエル「もちろんこれからテレビシリーズの3期目があるとはいえ、そちらをあまりファン向けにしすぎると視聴者数やお客さんは減る一方だし、だからと言ってあまりにも大きく変えすぎるとサイコパスシリーズを愛した人達への裏切りみたいになってしまうし……」
主「この3部作に関しては……もちろん、3期目を観てからじゃないとなんとも言えないけれど、たぶん見なくても話は通じるだろう。
というのも、この3部作では明らかにこの先につながる大きな変化というのは、3作目のラストくらいしかなかったように思われる。
それ以外はキャラクターの掘り下げだったり、あるいはこの世界が内包している問題点の再説明に終始した印象かな」
カエル「たぶん、15年の劇場版である程度区切りがついたところでの再スタートというのもあるのかなぁ?」
主「そうだろうね。
サイコパスは特殊な設定ゆえに初見さんに見やすい物語とは決して言いづらい部分はある。
それでも、今作は初見さんでもわかるようにと配慮されている印象を抱いた。
たぶん、1作目から入門したら、お話にどこまでついていけるかは別としても、このシリーズの人気がどこにあるのかはわかるんじゃないかな?
単純にキャラクターがかっこいい&かわいいと言うだけでもいいし……そのハードなSFの世界に酔いしれるのもいいだろう」
カエル「ふむふむ……」
主「その中では難しいバランスもあったし、作画としても派手なアクションシーンと会話シーンのメリハリだったり、省略や……言い方は悪いけれど手の抜き方も見事だった。全部を全力投球するわけにはいかないからね。
1つ1つの作品に魅力もあり、バランス感覚の良さが際立ったシリーズだったと言えるのではないかな?」
作品考察
どうしても気になったポイント
では、ここからはどうしても気になったポイントについて語ろうということだけれど……
サイコパスのスタートについて、まずは考えていこうか
カエル「大元は『踊る大捜査線』などで知られる本広克行がアニメを作りたいということでプロダクションIGとともに制作を開始。そしてそこに虚淵玄が加わることとなり、総監督本広克行、監督塩谷直義、脚本虚淵玄、深見真、高羽彩という面々でスタートしています。
また2期からはSFアニメや小説を中心にヒット作を生み出している冲方丁をシリーズ構成に招いています」
主「初期のインタビューでも語られているけれど、本作は『攻殻機動隊』から離れて差別化することを意識しているシリーズだった。
とは言っても、未だに攻殻機動隊の影響はどうしても感じられてしまうし、そこから離れるのは相当大変だったろう。
キャラクターも……一部ではゴリラと称される完璧超人である草薙素子とは全く違い、1期では新人の常守朱を主人公にすることで世界観の説明を行い、実力行使役としての狡噛慎也とのバディものとして機能していた」
カエル「ウイリアム・ギブソン系からは外れて、フィリップ・K・ディックの思想実験的なSFを描こう! という話だもんね」
主「今作の場合、1つ大きいのは総監督が本広克行だということもあるだろう。
制作された時代では萌え系や日常系アニメが大ブームを巻き起こしていた中で、いかにもアニメらしいけれど、旧時代的な感も否めないSFアニメで、しかもこれだけ硬派なものを作り上げるのは難しいところもあったはずだ。
それを本広克行の名前と一緒にフジテレビのノイタミナで放送し、その人気を確固たるものとしている。
それだけ骨のある作品なんだよね」
押井守への言及
ふむふむ……だけれど、この作品からは押井テイストを存分に感じるよね?
今作の裏テーマの1つが”押井守作品とどう向き合うか”なんじゃないか? って思うほどだよ!
主「最初はさ、1作目を見ていた時も『……なんか攻殻機動隊っぽいなぁ』と思いながら見ていたけれど、それはIG制作だし、もともと似ているという話もあったしってことでどうしても似ちゃうんだろうなって思っていたよ。
でも、2作目以降は明らかに押井オマージュばっかりだったし!」
カエル「すごく簡単に押井オマージュと思われるシーンを上げていきましょう」
- 1作目……霜月たちが乗り込んだ先が要塞のような施設→イノセンスオマージュ?
- 2作目……ヘリでのビルの銃撃シーンや物語など→パトレイバー2
- 3作目……序盤の店での乱闘→イノセンスの事務所への乱闘
カエル「他にもいくつもあって、3作目に至っては街の様子もイノセンスのアジアなどがごっちゃになった様子があったし、極め付けは音楽までイノセンスみたいなオリエンタルなものになっていたね」
主「2作目とか、見ていると最中ずっと『これパト2じゃねぇか!』って心中で言っていたほど。そりゃ好きなわけですよ。
ベテラン刑事が軍事的クーデターを起こした死亡したと思われる軍人を追いながらも、メロドラマ風の演出もある……これって、もうパト2以外にどうみろっていうんだ?」
カエル「それについてはどのように捉えているの?」
主「今作って言うなれば”過去のサイコパスシリーズのおさらい&未来へのつなぎ”の作品だろう。
もちろん観客を楽しませることもあるし、3期目への集金もあるだろうけれど、スタッフ自身が一度整理する必要もあったのではないか?
その中で……もともと押井作品ファンが多いということもあるけれど、一度サイコパスと押井作品についておさらいしておく必要性がどうしてもあったんじゃないかな?」
カエル「この辺りは3期目を見ないと何とも言えない部分でもあるけれどね」
主「残念ながら押井監督のアニメ作品は10年以上作られていないし、新作アニメも作るって噂もあったのにどうやら完全に頓挫した模様だし……その中で1度振り返る必要性があったのかなぁって。
もしくは、本気で押井監督の新企画のためにスタッフ陣が頑張ってレベルの高さをアピールしたか」
カエル「もうただの妄想だね」
主「真面目な話をすれば、サイコパスは攻殻機動隊シリーズが一度終わったような状態の今、SFポリスアクションのアニメ作品として国内でも唯一無二のものになりつつある。
その中でも先駆者である攻殻機動隊の良さや味を再確認し、そこから脱するためにどうすればいいのか……それを探るという意味でのオマージュや模倣だとしたら、自分はその心意気を賞賛したいね」
まとめ
では、この記事のまとめです!
- サイコパス新劇場版3部作はどれも魅力に溢れた見事な作品!
- サイコパスの現在・過去・未来を描く作品たち!
- 押井守への言及も多数!? この先の展開に期待です!
久々に満足した3部作だったかな
主「前後作や3部作のものはテレビシリーズの総集編などになってしまい、そこまで満足感はない作品もあった。映像的に見劣りするものもあったりね。
その意味では、映画としては評価が難しいけれど、テレビシリーズの……全6話くらいの物語として満足度が高いものだったんじゃないかな?」
カエル「そして物語は3期目に続いていきます!
こちらも注目していきたいです!」