カエルくん(以下カエル)
「なんだか永井豪の作品の映像化が続くね」
ブログ主(以下主)
「現代でも人気のあるコンテンツを量産してきた証拠だろうな」
カエル「この作品もファンが多いし、結構求められているハードルはとても高いと思うんだけれど……」
主「どうだろうな?
逆にマジンガーってリメイクのハードルは結構低いような気もするんだよね」
カエル「え? 人気作じゃない。ロボットアニメでは……元祖とまでは言わないけれど、伝説的な影響力を持つ作品だし……」
主「過去に何度もリメイクされているけれど、そのたびに変化していった作品だしね。
それこそ声優だって石丸博也から赤羽根健治に変わっているし、着々と世代交代は進んでいたし……作風などもたくさんあって漫画版やスパロボも含めたら、もうマジンガーらしさってあのデザインぐらいしかないんじゃないかな?
だからこその難しさもあるとは思うけれど……」
カエル「今回はその大人気シリーズを大胆にアレンジしながらも、現代版にどのようにアップデートされているのかも楽しみな作品だね。
では、感想記事のスタートです!」
作品紹介・あらすじ
永井豪が1972年に連載を開始し、巨大ロボットが悪の軍団と戦う中でも代表系な作品である『マジンガーZ』を劇場アニメ化した作品。
兜甲児役に森久保祥太郎、弓さやか役に茅野愛衣とキャストを一新しながらも、石丸博也や松島みゆりも出演し、主題歌もなじみの深い水木一郎が担当するなど、昔ながらのファンを取り込みながらも新しく生まれ変わるマジンガーZになっている。
監督はプリキュアシリーズなど東映作品に多く関わる志水淳児、脚本は小沢高広が務める。
テレビアニメから10年後の世界、Dr,ヘルの野望から人類を救った兜甲児は科学者となり、光子力や古代の遺跡について研究する多忙の日々を過ごしていた。そんな中、富士山の地中深くから謎の古代建造物が発見され、発掘したところマジンガーの何倍もの大きさを誇る新たなマジンガーが発掘された。
その調査を開始したところ、謎の少女が現れる……
それと時を同じくして倒したはずのDr,ヘルたちが再び姿を現しアメリカの光子力研究所と剣鉄也に襲いかかっていたのだった……
”だいたい”3分でわかる「劇場版マジンガーZ / INFINITY」
1 感想
カエル「ではTwitterの感想から始めます!』
ありがとう、マジンガー……
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年1月14日
本当に大好きな作品です
スーパー系だからこそできることを真正面からやり抜き、しかも現代風にアップデートしていて……中盤は涙すら浮かべるほど
戦闘も派手に動き馬鹿馬鹿しさもお色気も完備……
完璧としか言えないよ、マジンガー
主「もう最高だよねぇ。
新しくリテイクされるにあたって、現代の物語にちゃんと昇華されているし、なぜ今の世にマジンガーを作るのか? ということにも意味がある。
それでいながらマジンガーらしさを忘れていないし、永井豪らしさもあり、でもちゃんと新しくなっている部分もある。
動きの迫力もさることながら、それ以外の要素……お色気やコミカル描写も完備していて、メッセージ性も強くて、でもこの作品がスーパーロボットであることを忘れていないことなども含めて、もう完璧な作品です」
カエル「おお、絶賛評だ!」
主「スーパーロボットってやっぱり子供っぽいとかさ、最後は努力と根性でどうにかしちゃうからバカっぽいというところもあるかもしれないけれど、本作はそんなこともないわけ。きちんとDr,ヘルも頭を使って、1番効果的に地球に攻めてきている。
あれを人類の弱点だ! とするのは自分も痺れたよ。
むしろそこを長所にする作品も多いのに、弱点に設定するのか! ってね。
このマジンガーは細かい描写の1つに至るまで結構考えられていて……ちょっと早くも2018年TOP10の1つが埋まったんじゃないの? というくらいの作品です」
カエル「一部ではお色気描写や萌え描写にも非難があるようだけれど……」
主「いやいやいや! 永井豪ですよ? 『ハレンチ学園』ですよ?
現代でいったら『To LOVEる』とか『いちご100%』とか『I's』につながるお色気少年漫画を作り上げた永井豪ですよ!? そりゃ現代だったらあそこまでやるでしょうよ。
そもそもおっぱいミサイルを撃っている作品なんだからさ、あの程度のお色気だったら特に何も変な話はないと思うけれどね」
本作の主人公である甲児もやはりカッコイイ!
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
永井豪作品は現代でも有効?
カエル「偶然なこともあるけれど、この1月は永井豪作品の2つが結構な話題になっているんだよね。でもさ、何で永井豪なんだろう?」
主「永井豪は現代でも通用する作家なんだよ。
海外でも人気があって、昨年日本でも公開の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』もイタリアで大ヒットを記録している。
もちろん、手塚治虫、ちばてつやなどの偉大な漫画家は多いし、その1個下の世代ではあるけれど、この辺りが『王道の漫画』だとしたら、永井豪は『邪道の漫画』なんだよね」
カエル「ヒーロー漫画ならば師匠の石ノ森章太郎の印象も強いけれど、それともまた違うよね」
主「永井豪作品ってやっぱりエログロや過激な設定が多いじゃない?
『デビルマン CRYbaby』の広告でも使われているけれど、永井豪作品を源流とした作品ってすごく多いわけ。いちいち挙げることも憚れるくらいね。
王道の作品って完成度も高いし、そこまで遊べる幅が多くない。例えば鉄腕アトムをリメイクした『PLUTO』や『アトム ザ・ビギニング』などもあるけれど、原作にリスペクトというのもあるけれどはっちゃけづらいというのもあるように見える」
カエル「この辺りは感覚的なところだけれど、中々攻めたことをやっているんだけれど、やっぱりどこか『アトム』の枠内には治ってしまうところはあるのかな?」
主「でも、永井豪作品の場合は現代の表現に変えることができる幅が広いんだよね。
それが『邪道』の魅力だと思う。
例えばお色気描写でも現代的な萌え要素を入れてみたりさ、暴力描写も現代の暴力性に変えるだけで現代的になったり、王道よりも変更できる点は多いと思う。
だからこそ、今でもマジンガーやデビルマンもそうだし、また新作を作るけれどキューティーハニーなどは何度もリメイクをされている。
あとはエログロっていつの時代も流行りやすいんだよね。これがあまりにも過剰だと嫌悪感を生じるけれど、元々が少年向けということもあって永井豪作品はある程度抑制されている」
カエル「エロ描写も一線は超えてこないし……」
主「このあたりのバランス感覚も絶妙だからこそ、エログロで刺激的なんだけれど、多くの人が受け入れることができるラインに仕上がっているじゃないかな?」
以下ネタバレあり
2 本作を語る上で
カエル「ではここからは作中について語っていくけれど……
今作は明らかに『光子力=原子力』として語られているよね?」
主「まず現代的にアップデートされた箇所の1つがそこだよね。
実際、鉄腕アトムも原子力で動いているし、ドラえもんも原子力だ。現に原子力発電所などのPRには鉄腕アトムが起用されていたり、手塚の思いとは無関係にイメージ戦略に結果的に加担することになったという指摘もある。現代ならば自然エネルギーみたいな扱いになるのかな?」
カエル「光子力は無害なエネルギーとはいいつつも、今作ではかなり微妙な扱いになっているよね……」
主「これはもちろん初代でも甲児のお爺さんである兜十蔵のセリフにもあるし、マジンガーシリーズの1つである『マジンカイザー』の OPにも『神か悪魔か鋼鉄のカイザー』という歌詞がある。
カイザーはスパロボから登場して、90年台後半から出てきた作品だけれど、この時代では原子力は夢のエネルギーとは言いづらくなっていた。それでもあの原発事故までは特に議論もされていなかったような状況だったと記憶しているけれど、原発事故により一気にその存在は議論の的になった」
カエル「それもあってこのような作品になったのかな?
……なんだかさ、似たような話を前にもしたような気がするんだよね」
主「フフフ……それこそがこの記事の核心である!」
カエル「お、それは何?」
主「この作品は明らかに『シンゴジラ』を大きく意識した作品に仕上がっているんだよ。
というわけで、以下シンゴジラのネタバレも含みますのでご注意願います」
圧倒的な動きが魅力的!
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
あの作品との関連性
カエル「シンゴジラと?」
主「核(原子力)をテーマに据えるというのもそうだし、過去の作品のリメイクという点でも同じ、そしてその語っているメッセージもかなり似通っているんだよ。
例えば、本作では主人公の甲児は青年から成長して立派な科学者になっている。一方の鉄也は軍籍に身を置いたままであり、作品内でも戦いはしたものの結果的に敗北してしまっている。
これは『原子力をモチーフにした物語』として考えると意味が出てくるわけだ」
カエル「ああ、なるほど。軍属の人間が使う原子力(原爆・原子力潜水艦など)ではなくて、科学的に使う原子力というわけだね」
主「この作品で鍵を握るのは『甲児が科学者』だということ。つまり、平和利用のために毎日研究している存在だということだ。そしてあえてこの作品の軍部などは極力排除したり、そこまで活躍しないようになっている。
ほら、これってシンゴジラに似ているでしょ? あの作品ももちろん軍の戦いも見どころの1つだけれど、活躍するのは政治家であり科学者という、いわば文民である。つまり
文民が核の象徴たるゴジラを制御する=シンゴジラ
文民(科学者)が光子力を制御し悪を倒す=マジンガー
という構図になっているんだよ」
カエル「甲児ってどことなく無鉄砲な熱血漢なイメージもあって、それも間違いではないけれど、元々はラノベ主人公も真っ青なくらい頭もいいトンデモ超人でもあるんだよね。それを考えたら科学者ということも納得なんだけれど、それだけじゃないんだ」
主「そこは過去作や原作などの設定をきちんと考慮しつつ、現代で科学者が主人公である理由をきちんと見出してそれをメッセージ性に繋げているんだよ。
これは初代ゴジラが科学者の物語であるのと同じなんじゃないかな?」
今作でも特にいい味を出していたボス
高木渉の声が最高に合っています!
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
Dr,ヘルの目的
カエル「今作が好きなのが、敵役がバカじゃないところなんでしょ?
確かに今回の敵たちは戦略もきちんと練っているし、その目的も結構面白いものだったね。単純な世界制服だったら見飽きていたけれど……」
主「『好奇心によって攻撃を加えてきたヘル』というのはすごく大事な設定でもあって……これは原子力だけでなく、科学に対する警鐘にも似ている」
カエル「……警鐘?」
主「科学がなぜ発展してきたのか? というと『誰かのために』『社会のために』という理由もあるけれど、1番大きな理由って人間の好奇心だと思うんだよ。
『世界の成り立ちを知りたい』とかさ。
ベクレルの偶然の発見からウランに注目し、キュリー婦人が放射性物質を発見して1911年にノーベル賞を獲得している。その当時は放射能の危険性なんて全く分かっていなくて、ベクレルは普通に試験管に入れていつも持ち歩いていたという話もある。もちろん、放射性物質を素手などで触ることもあっただろう。その結果、放射能による被曝と思われる病気で亡くなっている。
そして原子力は原爆を生み、広島、長崎に悲劇へと道を歩むわけだが……
そのスタートである放射性物資の発見そのものは、単なる『物質とは何か?』という好奇心の研究から始まったものなんだ」
カエル「……その好奇心の結果が原爆につながる」
主「この作品におけるDr.ヘルというのは人間の歴史に対する警鐘の相手なんだよね。
シンゴジラにおけるゴジラが天災などの象徴だったのと同じようなものだ。
その『好奇心からの災い』の象徴に立ち向かうのが『科学者』である……つまり、人間の科学の進歩と歴史についての映画でもあるんだよ」
今作でも異様な迫力を誇るDr,ヘルは科学の悪しき利用者の象徴でもある
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
人間と科学の物語
カエル「もともとヘルと甲児のお爺さんである兜十蔵は友人だったけれど、この場合は『正しい目的の科学者』と『悪の目的の科学者』という意味になるんんだね……
じゃあ『ヘルはつまらなかったら人類を滅ぼす』というのは……」
主「原爆の脅威など、同じことを繰り返すようならば人類は滅びるだろう、ということだ。
いつだって未知の技術は人間をじっと見張っているし、試している。だけれど、それと同じ過ちを繰り返さないで、理性を人間らしさを持って光子力を扱おう、という人類と科学の物語になっているんだ。
だから、シンゴジラと同じなわけ。
『シンゴジラは教授が人間を試した物語』なんだけれど、その教授に該当するのがヘルなんだ」
カエル「本当に人間と科学の物語なんだ」
主「スーパーロボットって『根性だ!』という頭の悪いイメージもあるけれど、でもその奥ではとても大切なことをストレートに見せていることも多々あるんだよ。
そしてこの話もその1つ。
だから話の途中で難しそうな設定をベラベラ話していたけれど、それは頭の良さを見せつけるためとか、設定を理解してももらうためというよりは『科学の物語』をより理解してもらおうということだとも思うんだよ」
カエル「あの倒し方もまんま輪番停電などの311を連想させるものだったよね」
主「あのやり方はわかりやすいよね。ヤシマ作戦やドラゴンボールもそうだけれど『全世界が協力している』というのが目に見えてわかる。
こういう『世界の善意を信じる』という描写こそ、スーパーロボットらしさですごく好きだよ!」
3 もう1つのテーマ
カエル「そして他にもテーマがあるの?」
主「この作品で感動したポイントがいくつもあるんだけれど、そのテーマの1つがやっぱり『継承』の映画でもあるんだよね。
士郎が大人になっているのもそうだけれど、ジュンが子供を妊娠していたのも結構グッとくるポイントでもあって……」
カエル「元々マジンガーZって兜家の継承の物語でもあるもんね。
お爺さんである十蔵が作ったマジンガーZに乗るという物語でもあり、そしてグレートは甲児の父親である剣造と鉄也の物語でもあるわけでだし」
主「ここは若干の賛否はありそうだけれど、あれだけ家族を知らなかった鉄也が……剣造博士の思いが最期にようやく伝わった時に、家族を知った鉄也が父親になるというのもやはりグッとくるものがあるんだよね。
そしてさ、ジュンが過去のことを思い返している時の部屋が、すごく古い家だったじゃない。もう昭和何年だよ! って言いたくなるような部屋で、平成も終わろうとしているのにも関わらず不釣り合いなほどでさ。
でもさ、この部屋って多分『昭和のマジンガーZやシリーズ』を表しているのだろう」
カエル「『あの時は良かったなぁ』って思い返しているシーンだもんね。
それこそ、昔のマジンガーシリーズは良かったなぁという思いもあって……」
主「でもそんな過去はもう戻ってこない。その部屋の周囲は壊されているし……そもそも時代の流れからいっても、ずっとあのままで残り続けるということはないわけだよ。
あの部屋をジュンが出た時『過去のマジンガーとは決別するんだ』という覚悟が感じられてさ……すごくグッときたね」
カエル「いつまでもあのままの時代にはいることはできないものね」
過去にみんなが愛したマジンガーZの象徴でもあるおもちゃ
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
最も感動したシーン
カエル「で、主が1番感動したシーンってどこなの?」
主「甲児がパイルダーで発進するシーンかな」
カエル「ああ、やっぱりあの一連の流れはグッとくるものがあるよね。マジンガーZの最も有名なシーンの1つであるわけだし……」
主「それもそうなんだけれどさ、甲児が『君たちの誰が欠けてもこの戦いには行けなかった。感謝する』みたいな台詞があるんだよ。
ここでもう涙腺決壊だよ。
このシーンは本来、弓親子だったり、ボスだったり、博士やもっと他のキャラクターの反応があってもいいんだよ。だけれど、パイルダーに乗ったまま、甲児の顔のアップもないままこの台詞があって、そのまま『マジンゴー!』と繋がっている。
このシーンで甲児が語っている言葉は、各キャラクターに向かっているわけではないんだよね。
この作品に関わったスタッフであり、キャストであり、そしてファンである劇場の観客に向かって感謝の意を伝えている」
カエル「EDにも『スペシャルサンクス マジンガーZファンの皆様』みたいなことが書かれていたけれど……」
主「それは言葉だけじゃないの。あの最もマジンガーZの象徴的なシーンにおいて……もちろん劇場だから無理だけれどさ『みんなも一緒に言ってくれ!』という思いが詰まった『マジンゴー!』なんだよ!」
カエル「シンゴジラの時でも終盤の演説があるけれど、それは子供達へのメッセージでもあると同時に、ゴジラを愛してくれているこれからの若い観客へのメッセージでもあるという、ゴジラシリーズ自体の継承だということを言っていたけれど……」
主「本作は全く同じことをやっているんじゃないか?
ジュンたちが過去のシーンから決別して、新たなるマジンガーとなり、そして発進していく……これこそがマジンガーZの歴史の重みであり、感謝でもある。
さらにはこの作品、ちゃんと石丸博也や松島みゆりも参加しているわけで、初代から現代へのキャストの継承ということもきちんとできている。
だからすごく……グッと来るんだよね」
やはりパイルダーはマジンガーZの象徴の1つ!
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
その他言いたいことを羅列していきます
カエル「じゃあ、もう最後にこの作品について言いたいことを何個も連呼していくけれど、……まずは『平行宇宙』を扱った作品であることの理由について語っていこうか」
主「今作がなぜ平行宇宙がどうたら、という話になったのかというと、それはマジンガーシリーズが色々と作られていることに関係しているだろう。
漫画版やアニメ版、ゲームなども含めてマジンガーシリーズってそれこそ色々作られている。平行世界がたくさんあるんだよね。
そういったことも色々といいあらわしたかったのが、あの設定だったんだろう。
過去のマジンガーだけじゃない、それこそ世界中で愛されているマジンガーシリーズ全てに対する愛と感謝の詰まった作品に仕上がっているよ!」
カエル「それと、甲児たちが成長しているのもすごく良かったよね。政府の言うことも聞かずに独断で決めてしまったけれど、ちゃんとさやかが先に謝りにいくという姿勢を見せているし……
なんであの服を着たんだろう? というのもまた謎だけれど、ちゃんとサービス精神を忘れないでさ」
主「スーパーロボットらしい無断での発進だけれど、ちゃんとそこに意味があるように描かれているし、自分はリアリティや整合性とスーパーロボットらしさのバランスの整った脚本だったと思うよ」
カエル「あとはジュンが出撃しない理由とか?」
主「あれもグッときたなぁ……新たなる命が戦いに赴くことを止めるというのは、ある意味では古い物語かもしれないけれどさ、その意味では今作は現代のトレンドから逆行しているんだよ。
多様性が人類の弱点であるとか、結局戦いに出向くのは男がメインであるとか……そういう意味では昭和的な物語なのかもしれない。
まあ、マジンガールズなどもいるけれどスポットはそこまで浴びてないしね。
でも、そこが昭和のスーパーロボットらしさも感じられて……もう、泣けてくるよねぇ」
最後に
カエル「あれ? そういえばスーパーロボットよりもリアルロボット派じゃないっけ?」
主「本来はそうだよ。好きな作品もリアルロボットの方が多いし、テーマ性なども好みの作品はリアル系の方が多かった。やっぱりスーパー系は子供っぽいところがあるしさ。
でも、それは見せかけの問題なんだよ。スーパー系は『根性と勢いでごまかせ!』と思われがちだけれど、そんなものじゃない。
その奥にはきちんとしたテーマであったり、思いが表現されているんだ」
カエル「あの勢いとか熱さってスーパー系特有のものがあるよね」
主「自分は本作は『グレンラガン』とか『ガオガイガー』と並ぶほどの大傑作だし、もうスーパーロボットを愛してきた人は全員見るべきだろう。
しかもさ『デビルマン CRYbaby』を見た後にあのラストがあると……もうダメです。涙腺決壊です。これはネタバレできないけれど、同じ永井作品でも繋がってくるものがあって……」
カエル「えー、他作品のネタバレも多い記事になってしまいましたが、それだけ感動したということです」
主「いや、1月からトンデモナイ傑作を多く鑑賞しているからさ、もうどうにかしちゃうんじゃないか? って思うほどですよ。
今年はこの後キューティハニーも控えていて、50周年ということも合って永井豪イヤーになること間違いないので、ぜひこの波に乗っていきたいと思います!」