物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~』感想とこの映画の意味について考察 前作よりも格段に面白い!

カエルくん(以下カエル)

「前回も語ったけれど、結構厳しい論調になっちゃった作品の続編だよね……」

 

亀爺(以下亀)

「明らかに主は対象外な映画じゃったからな。若い女の子を中心に人気のある映画を見て、語ってどうしようというのかの?」

 

カエル「まあ、アニメ映画だから見に行くスタンスだけどねぇ……それでも場違いってものはあるよ。周りは女子中高生を中心に若い子ばかりだよ」

亀「今の時期に『劇場版KING OF PRISM』がやっていなくてよかったの。もしもあの映画を酷評していたら、大炎上間違いなしじゃ」

カエル「またさ、その日に公開したのが『ズートピア』とか『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』だからねぇ……この映画が云々じゃなくて……というか、実写含めてもいい勝負ができる作品なんてほとんどないのに……」

 

亀「公開時期もよくはなかったの。GW映画だから被せてきたのじゃろうが、それを含めても、相手が悪かった。

 では今回は? というと……ファン層が被りそうな映画はないかの?」

カエル「『妖怪ウォッチ』とかとも違うからね。スターウォーズともファン層は被らないし……まあ、ズートピアともかぶってないけれどね」

亀「じゃあ今回はどうだったのか……ということをこれから語っていこうかの」

 

 

 

 

 

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「好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~」第3弾本予告 「今好きになる。-triangle story-」榎本虎太朗(CV:花江夏樹)Ver.

 

 

 

1 映画の感想

 

カエル「じゃあ、まず感想を語るけれど……面白かったよね!

亀「前回より格段に良くなっておったの。やらなければいけないものが少なくなって、お話に1本の軸が生まれたの。

 前作が問題あるのは色々詰め込みすぎたところじゃろうが……本作はしっかりとキャラクター数を絞ることによって、色々と見やすくなっていたからの」

 

カエル「前作は3組の恋愛模様に迫るって内容だったけれど、映画の短い時間の中で3組はさすがにねぇ……さらにハニワの曲もたくさん入れて、ライブシーンも入れてって感じだと忙しくなりすぎだよ」

亀「詰め込みすぎじゃったの。

 今作は前作の主人公たちの弟、妹のお話であるが、3角関係に終始することによりよりわかりやすく表現されておったな」

 

カエル「前作を見ているから整理されているところもあるかもしれないけれど……キャラクターの数もスッキリしているしね。今作で重要な立ち位置を示す三角関係以外でも、サブキャラクターの数も……こういうとなんだけど、チャラい男親友、真面目系男親友、孤独系? 女子の3人という風にわかりやすく役割分担されていたし」

亀「前作はメインとサブを同じように描くことで、むしろキャラクターの個性が消えておった。

 元々はニコニコ動画などを中心に人気のあるコンテンツの劇場版ということで、紛れもなく『予習必須のファン映画』となっておったし、それでよかったかのかもしれんが……今作は『これだけ見てもわかりやすい映画』になったおるのでないかの?

 わしも年甲斐もなく、キュンキュンしてしまったわい。女子中高生も同じような気持ちを味わっておるのかのぉ……」

 

カエル(うわ、キモ……)

 

 

 

音楽等に関して

 

カエル「音楽は相変わらずいいよね」

亀「ニコニコ動画などで人気のHoneyWorksの楽曲があるからこそ、よりキャッチーな作りになっておったの。

 わしなどはニコニコ動画やボーカロイドはあまりきかんから、銀魂のOPからハニワを知ってCDを聞いているニワカじゃが……そういう人間でも惹かれるキャッチーさがある。

 考えてみればこれは『君の名は。』的とも言えるかもしれん」

カエル「音楽と絵が融合したアニメーションってことだね。よく言う『アニメの強み』ってやつだ」

 

亀「今作はあくまでもBGMとして使われるのであって、音楽が大きな意味を持つのかと言われると難しい部分ではあるが……考えようによっては『逆』じゃからな」

カエル「……どういうこと?」

亀「普通は『映画』があって『音楽』があるものでじゃ。つまり先に作られるのはストーリーであり、絵である。じゃがな、本作は『音楽』が先にあって、そこに絵やストーリーがあって生まれる物語じゃ。

 そうじゃな……もっとわかりやすく言うと、さだまさしや中島みゆき、BUMPの物語調の楽曲があり、それをモチーフに映画化をして、というべきかの?」

 

カエル「逆にわかりにくくなっているような……

 その意味ではこの映画もまた『2016年の革命』の1つかもしれないね。

 今年は『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』という……ブランドイメージも監督イメージもオタク層にしか知られていなかったような作品が大ヒット、さらにスマホなどのアプリゲーム主導の映画の登場だったり、ゲームと連動した部分はあるとはいえ『モンスト』のようにネット配信だけしかしていないアニメの映画化が興行収入を1位を達成したし……」

 

亀「ニコニコ動画で人気のあるユニットが発信となって、アニメ映画も作ったというのは1つの革命かもしれんな。

 その意味で……この映画の革新性というのもなかなかに大きいの。アニメや表現の可能性も広がるわい」

 

 

 

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声優に関して

 

カエル「まあ、今作はいかにもなアニメの内容で、しかもアニメではおなじみの声優たちだから……当然のように何の問題もないかな

亀「特別ゲストの芸能人は『少しうまい芸能人』レベルの演技で……おそらく本人たちも声優を目指しているのじゃろうが、さすがにこのメンバーに囲まれるとの。その意味では悪く言うのも躊躇われるの。

 その中でも特にいいとすれば……やっぱり細谷かの? 普段は朴訥なイメージもある役者じゃが、あのチャラさが中々良かったの」

 

カエル「元々贔屓しているのもあるかもしれないけれど、この作品のピュアな世界観の中で1人だけ異彩を放っていたから、というのもあるよね。

 女の子をとっかえひっかえして遊ぶけれど、それが楽しいとも思っていない、虚しい日々を過ごすとかね」

亀「高校生にしてはピュアな世界観じゃからな。その分、柴崎とアリサに関しては特に注目しておった。

 まあ、女子の考える少女漫画と言えばその通りじゃし、深いテーマ性も暗喩も社会性もないが……それでいいからの、この映画は」

 

 

 

ここから先は映画の感想から外れます。

 

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センパイ。 / HoneyWorks meets TrySail by ゴム(HoneyWorks) 音楽/動画 - ニコニコ動画

大嫌いなはずだった。/HoneyWorks meets 乃木坂46 by shito/HoneyWorks 音楽/動画 - ニコニコ動画

 

アリサと柴崎関連はこちら

 

ハートの主張 / CHiCO with HoneyWorks by shito/HoneyWorks 音楽/動画 - ニコニコ動画

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2 キャラクター映画としての革新性

 

カエル「さて……ここからどうやって語ろうかな……正直、ネタバレというほどのネタバレもないんだよね。

 お話のストーリーも王道だし、誰もが想像出来る展開があって意外性もない。あんまり調べてないけれどさ、この元になった楽曲もあるんでしょ?

 そうなると『物語性』の意味では語ることってあまりないよね……」

 

亀「……先ほども語ったが、この映画の『革新性』についてちょっと語ろうかの。

 おそらく、この映画を観に来る層は女子中学生、高校生などが中心じゃろう。映画館でも比較的若い層がたくさんおったな。わしや主みたいな層はそこまでおらんかった。アニメ映画だと大体おるんじゃがな……」

カエル「予習も必要かもしれないしね」

 

亀「その意味では『艦これ』とかと同じかもしれんの。

 もしくは実写でいうと『HiGH & LOW THE MOVIE』などと同じように『知ったキャラクターが劇場で動きまわる』ということで人気を集める、ファン映画じゃな」

カエル「ある意味ではスターウォーズとかもそうだよね。人気シリーズってその世界観とかキャラクターを共有して出来るものだけど……」

 

亀「そのキャラクターの作り方の問題かの。

 この映画の核心としては『ネットメディアから始まったコンテンツ』ということかの。プロではなく、実力のある素人による同人出身媒体からのスタート、という点において面白い存在じゃな」

カエル「そこは考えてみるとニコニコ動画の役割って大きかったよねぇ……」

  

 

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ニコニコとボーカロイドの革新

 

亀「かつて誰かが語っておったことじゃが、ニコニコとボーカロイドの出現によって表現の構造は大きく変わった、と言われておる。

 それまでの表現の構造というのは『トップダウン式』だったわけじゃ。このブログもそうじゃが、一部のスーパースターや歌手、作品に関して言及することにより成立していた部分がある。

 しかし、ニコニコとボーカロイドの登場により『ボトムアップ型』に変わった、ということじゃな」

 

カエル「1部の才能ある人たちに限られるかもしれないけれど、音楽と歌と絵というキャッチーな表現によって一般人が人気者になっていく、という現象だね

亀「それによって出てきた歌手などは、もはや説明するまでもない。インターネットの小さい文化かと思われるかもしれんが、その手の歌手や楽曲を作っていた面々は間違い無くこれから先、音楽界の中心や注目を集めるところに立つであろうな」

 

カエル「そう考えるとこの作品もHoneyWorksも今後のアニメ文化やネット出身の文化を語る際に重要になってくるわけだ……」

亀「まあ、今になって始まったものでもないし、実験サービスも含めれば今年で10年目と考えると、ようやくこうして『形』として見やすいものになってきた変化かもしれんな。

 これから先、ネット文化とアニメや表現を取り巻く状況はさらに変化するかもしれんの。テレビでアニメが全く放送されない、という時代が来るかもしれん。ネットでうまく集金できるようになったら、の話じゃがな」

 

カエル「まだまだ可能性がたくさんあるんだね……」

 

 

 

最後に

 

カエル「でもさ……結局のところこう言った作品って特別な才能がないと難しいよね……」

亀「さらに難しいのは『いい作品が必ずしも注目されるわけではない』ということじゃの。

 こうしてネットで文章を書いていると大きな検索キーワードの取り合いになる部分がある。検索に強くないが、いいブログもたくさんある。その逆もまた然りじゃ。

 本当は『みんな違ってみんな良い』のはずなんじゃが、どうしても競争になってしまう部分がある」

 

カエル「世の常ではあるけれどね。その意味ではニコニコもランキングが重要な意味を占めるという意味では同じか。まあ、タグ検索があるからまた向こうは一般のネットとは違うかもしれないけれど」

亀「まあ、どこの世界も目立ったもの勝ちということかの」