今回は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE3 ワールド ヒーローズ ミッション』について、感想を語っていきましょう!
やはりジャンプの看板の1つとだけあって、大した人気じゃな
カエルくん(以下カエル)
「どうしても鬼滅の刃や呪術廻戦の大人気ぶりばかりが目に入るけれど、このヒロアカもすごくお客さんが入っていて、東京などの大都市は緊急事態宣言+席数半減なのに驚異的な売り上げを記録しています!」
亀爺(以下亀)
「さすがはジャンプの看板。こうやって人気が可視化されると、そのあまりの勢いの強さに驚いてしまうの」
カエル「ちなみに、うちは本誌勢でヒロアカは漫画・映画共に履修済みです!
ネタバレはしませんがほんの少し本誌の内容の雰囲気程度には若干触れることだけは、ご承知おきください。
ちなみに、うちが1番好きなヒロアカのキャラクターは梅雨ちゃんです!」
亀「……やはり、そこはカエルなんじゃな。
いや、中の人が悠木碧だからなのか……
それでは、感想記事のスタートというかの」
YouTubeチャンネルもやってます。ヒロアカの動画はこちら
感想
それでは、Twitterの短評からスタートしていきましょう!
#heroaca_a
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2021年8月6日
アクションすげぇ!
アクション作画で有名なボンズの現在の看板作品らしく自由自在に動き回り迫力がある作画がずっと続く、おそらく2021年NO1のアクション映画!#ヒロアカ らしさに溢れており過去2作品にも勝るとも劣らない面白さを見せてくれた、まさにプルス・ウルトラな作品に! pic.twitter.com/p0znrv8iAK
まさに、映像を楽しむ映画であったな
カエル「近年のジャンプアニメ映画は『ワンピース』『鬼滅の刃』など、人気作品ということもあって、どの作品も高クオリティな一流のアニメ制作会社が、その魅力を発揮している印象だけれど……単純なアクション描写だけだったら、もしかしたらジャンプアニメ史上No1だったかもしれないね!」
亀「やはり、アクション描写に定評のあるボンズらしさの多いにある作品じゃったな。
今やジャンプの看板であり、ボンズの看板でもあることから、相当力を入れていることがわかる。今や、中村豊をはじめとした超絶クリエイターたちの映像美が楽しめる作品として、ヒロアカファンのみならず、アニメファン、作画ファンも高い注目を集めている。
それに見事に答えた結果であったじゃろうな。
映像面に関しては文句なし、単純な迫力・アクション描写だけでいったら……2021年は多くのアニメ映画があったものの……いや、ハリウッドの実写作品と比較しても、1位に輝く可能性すらある作品じゃな」
今回は映像表現が本当に素晴らしくて、しかも縦横無尽に様々な見せ方をしてくれるんだよね!
その見せ方も多彩であったの
カエル「架空の国、オセオンを舞台としているけれど、ヨーロッパ風の街並みの中をパルクールのように走り回る作画の回転するカメラとか、あるいはデクの黒鞭を使ったスパイダーマンばりのアクションとか……もう、印象に残るアクションシーンの連続だったものね!」
亀「おそらく、映像表現そのものに関しては特に文句が出ないのではないじゃろうか。
一方では、アクションが激し過ぎて何が起きているのかわからないという場面も散見されており、そこは評価が割れるポイントかもしれん。まあ、贅沢な話と言われたらその通りであるがの。
また、コロナ禍もありながらも前作が2019年の末と考えると、約1年半でここまでの新作アニメ映画を、テレビシリーズと並行して制作したことも驚異的なことじゃな。
少なくとも、映画館で観るべき作品に仕上がっておったし、間違いなく観に行って後悔するということは少ないじゃろう。
ワシもこの夏、オススメしたい作品となっておるぞ!」
海外展開を意識したヒロアカ
ここ最近のヒロアカは、海外人気もとても高い作品となっているよね!
今回は明確に海外向けを意識しておるの
カエル「もちろん、日本国内が市場の基本となるのは当然のことではありますが……前作である『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』は興行収入国内17億円に対して、アメリカでは約13,3Mドル(約14億円)ほどの興行収入を見せるなど、海外・特にアメリカでの高い人気もあります!」
亀「今作は1作目と同様に日本を飛び出しておるが、より世界を意識したような作品となっておる。
世界各地にお馴染みのキャラクターたちが向かい、戦い人々を守る姿などは、現地ファンも喜ぶものではないじゃろうか」
カエル「あとは、今回はテレビアニメともきっちりとリンクしてきて、内容の時系列が一緒に合わさるようにしているのも、日本のファンにとっても嬉しいよね。アニメしか見ていない人であっても、この映画を見に行って全く問題がありません!」
亀「そのため、初見さんにはもしかしたらちと辛い内容になってしまうかもしれん。それでも、ヒロアカという作品の魅力は伝わるじゃろうがの。
原作の今後の展開を考えると、この映画の内容は一縷の清涼剤のようでもあるし、本誌派、コミックス派、アニメ派それぞれで受け取り方が異なるように作っておるのも、個人的にはとても面白いの」
物語について
では、一方で物語に関してはどうだった?
ここは、少し慎重な発言になってしまうかもしれんの
カエル「簡単に過去2作を振り返ると
- 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄(ヒーロー)→原作ではできなかったデクとオールマイトの共闘と、初心者向けの説明も多く施した作品
- 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング→1年A組が全員活躍し、原作最終話の1案を基にした熱い展開が魅力の作品
という明確な個性や役割がありました。
つまり、過去2作は”原作でできなかったこと・あるいは原作でやらないこと”という、原作にかなり寄り添った内容となっていました。
今作はそういう話はあまり聞かないかなぁ……これから出てくるのかもしれないけれど、原作ファンがビックリ! というものではなかった印象もあるかも」
亀「その点では、今作は明確にアクションに見せ場を振った印象じゃな。
それは海外の人にもこの映画の凄さが一眼で伝わるじゃろうし、ヒロアカという作品の核となる思想なども伝わりやすいように描いている。その意味では、正直に言えば物語そのものは若干過去2作に比べると退屈に思えてしまう部分も……ワシにはあった、くらいの表現にしておこうかの。
それでも、後半に発揮されたテーマであったり、この作品の魅力などは『さすがは黒田洋介が脚本をしている!』と思う部分もある。
今作は複雑なことをしているわけではないじゃろうが、それでもシンプルにまとまっている印象じゃな」
オリジナルキャラクター、ロディ・ソウルについて
今作ではオリジナルキャラクターのロディが登場するけれど、彼の魅力も爆発していたね!
出久、爆豪、轟などのメインどころときっちりとタメをはることができるキャラクターじゃったな
カエル「ヒロアカの何がすごいって、映画オリジナルキャラクターがそのまま原作に出てきて欲しい! と思えるほどのキャラクターの魅力だよね!
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄(ヒーロー)』の時のメリッサが特にそうだけれど、映画のオリジナルキャラクターで終わってしまうのはもったいないなぁ、と思うほどの存在感を発揮していたよね!」
亀「もちろん、メリッサも今作のロディもとても重要なキャラクターであるのじゃが、この1作だけで消費されるような薄いキャラクターの作り方をしていないわけじゃな。
ロディに関しては出久と重なる部分、あるいは全く正反対だからこその魅力という部分も多くあり、キャラクターとしてとても愛されるものとなっておった。是非とも本編に登場してほしい、という声も多く上がりそうじゃな」
何よりも、吉沢亮の演技がものすごく光っていたよね!
さすがは仮面ライダー俳優といったところじゃろうな
カエル「2019年に公開された『空の青さを知る人よ』でも大絶賛の演技を披露しましたが、今作でもその演技力は全開!
特に今回は多くのアニメ的な演技を行う既存キャラクターがメインの中でも、芸能人声優ながらも違和感を抱かせなかった演技が、本当に見事でした1」
亀「むしろ、声で伝えるという意味では本業であるはずのアナウンサーの方が違和感を抱かせるような出来であったからの。
おそらく、今作の吉沢亮の演技にケチをつける人はそうそういないのではないじゃろうか。近年は芸能人声優であろうとも、いい演技を披露する人が多くいるが、ヒロアカはそこいらへんは一切外さないの」
カエル「ちなみに映画オリジナルキャラクターでいうと、今作のヴィランであるべロスも超いいキャラクターをしていて、原作でいうところのレディ・ナガンのような活躍をしていたので、こちらもあれで退場じゃない方が、僕は嬉しいです!」
以下ネタバレあり
作品考察
各キャラクターの見せ場について
では、ここからはネタバレありで語っていこうと思います!
先に、今作の欠点について語っていこうかの
カエル「さっきも語っていた物語面に関するところだね。
前作がほぼオールスターキャストだったこともあるけれど、今作はオリジナルキャラクターを活躍させることもあって……出久、爆豪、轟以外はそこまで活躍がなかったことが気になるかなぁ」
亀「それは、まあ、仕方ない部分もあるのはわかるがの。
特に今作ではロディとの融和を図っていくシーンなども絶対に必要になる。
その面に関してはとてもよくできており……例えば出会いのシーンでのトランクを間違えるところでは、出会いとして王道でありながらもキチンとドラマを動かすことができるような方法を選択しておる。
また挿入歌が含まれたロードムービーシーンでは、端的に2人の旅が描かれており、そこで2人が同一化を果たしていくところを描いておる。
その意味ではとても意図がわかりやすい作品ではあるのじゃが……」
やっぱり、前作・前前作に比べると……ちょっと『また轟・爆豪かぁ』という部分は出てきちゃうのかなぁ
人気キャラクターだから、それはそれで正しいのじゃがな
カエル「あとは冒頭のアクションなども楽しかったし、爆豪・轟だと戦闘描写も特別派手になるってのはあるだろうね。
お茶子とか梅雨ちゃんとかは、色々と便利な能力だけれど映像的なアクションの面白みという点では、少し制限があるタイプではあるし……」
亀「それが若干ノルマ的に感じてしまった部分はあるかの。
あとは敵を倒すためのロジックがあるとはいえ、ほぼゴリ押しのみというのも少し気になったところではあるが……まあ、そこはいいじゃろう。なんだかんだ言っても、あのラストの決着のつく場面では、笑うしかないほどの映像的迫力を感じたからの」
ヒロアカが見つめてきた正義
ヒーロー映画でとても大事な”正義とは何か?”ということに関しても、しっかりと描かれていたよね
ここはとても一貫していたポイントじゃな
カエル「今作では強能力の持ち主ばかりだったこともあり、その強さこそが正義のあり方のようにも見えなくないという風になりがちだったところを、きっちりとヒロアカ流の正義を描き抜いてきたね!」
亀「ヒロアカが一貫して描いてきたのは『ヒーローとは心のあり方だ』ということじゃろう。
今作ではそれは諦めないところだと描かれていた。たとえ危険だと分かっていても、それでも引かずに戦い続ける部分、それこそがヒーローだということじゃな。
この正義像の描き方そのものにはとても納得する部分がある。
やはり、スーパーパワーを持つ者だけがヒーローではないし、そんなものがなくても心意気さえあれば君もヒーローであるということは、とても伝わってくるからの」
それでいうと、出久とロディの対比というのもあるのかなぁ
過去に何をしていたが、が問題ではないということじゃな
カエル「ロディは犯罪の手助けをするような、自分で言っているようにチンピラではあるけれど、でもだからと言ってヒーローにはなれないというわけではないよね。ヴィランではないし、家族を守りたいという強い気持ちがあれば、君もきっとヒーローになれる! ということを描いているわけでさ!」
亀「うむ、その意味でもとてもわかりやすい描写であったの。
ロディは決して強い能力ではないし、今回の敵も無能力な者が正しいとする思想の持ち主じゃった。そこは犯罪描写も含めて、過去の大事件を連想させることも挑戦したポイントじゃと思う。
今回の敵は、ともすれば出久がそうなっていたかもしれないということも、少しはあるのじゃろう。しかし、例え能力があろうともなかろうとも、ヒーローとしての心意気があるということが、出久を間違った道へは行かせない。
その正義のあり方を見事に描いていた作品じゃったな」
継承と警鐘〜デクの歪み〜
今作のテーマの1つが継承なんだろうなぁ
そこも出久とロディが合わさるように作られておるの
カエル「そっか。
出久がヒーローとしての師匠であり、父親のような存在であるオールマイトにOFAを継承されたように、ロディも父親からあの教団を止めるための力(プログラム)を受け取っていたんだね。
そして、それを行使するという意味では、この2人は全く同じ存在なんだ」
亀「そうじゃな、
与えられたものが違うとはいえ、どちらも正義を為すための力じゃ。それが与えられたことだけでなく、正しく使えたことも含めて、とても素晴らしい表現じゃったと言えるじゃろう。
そして一方では……この作品ではやはり原作の展開を考えると、警鐘の意味合いも強く感じさせられた」
警鐘……?
これもよく指摘されることではあるが、出久がかなり特殊なタイプのヒーローであるということじゃな
カエル「それがデクの歪み、ということに繋がってくるんだね。
自分の身体のことを勘定に入れずに、ただ自分が信じるヒーロー活動のために突き進んでしまう……その危うさも感じさせらたということだ」
亀「出久というヒーローは、1作目から続くように基本的には根性論の部分もある。もちろん、ヒーローとしてはそれはとても大事なのじゃろうが、だからこそその歪みというものも強く感じさせる。
だからこそ、今の本誌のような展開につながってくるわけじゃな。
今作は本誌勢、コミックス勢、アニメ勢は感じ方も変わってくると先に書いたが、そこまで意識してこのような展開にしてきているとしたら……いや、ほぼ間違いなくしているのじゃろうが、大したものじゃな。
今作はヒーローであることの継承と理念というプラスの面、そして警鐘というマイナスの面もしっかりと描き切った作品としても、評価できる作品であったの」
最後に
というわけで、感想記事でした
やはり、ヒロアカはレベルが高い作品だということがはっきりとわかるの
カエル「ちなみに、冒頭で亀とかも出てきたね」
亀「あぁ、あれはうちに対するメッセージじゃろうからな。
『いつも応援ありがとう、ブログ見ているよ』というの」
カエル「……そんなわけはないけれど、まあ、とりあえず言ったもんがちってところにしておきましょうか」
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