カエルくん(以下カエル)
「デジモンもついに第3章が公開されて、全6章のうちの半分が終わったことになるね」
亀爺(以下亀)
「そうじゃの。ここに来て話が大きく動き出したの」
カエル「……でもさ、普通こういった OVA作品の劇場公開ってもっと短い……1時間弱しか上映時間がない印象だったけれど、どんどん伸びていくね」
亀「やはり作り込んでいくうちにやりたいことが多すぎて、伸びてしまうんじゃろうな。明らかに1作目などは尺が足りていなかったしの」
カエル「今回は100分超えだから『ハドソン川の奇跡』とかよりも長いわけだもんね。上映時間に関してはここまで長いとは予想外だったよ」
亀「ガンダムUCも結果的に1章追加されたからの。やはり、どうしてもここまで伸びしてしまうものなのじゃろう」
カエル「あとは……やっぱり冒頭のコメントには思うものがあるよね」
亀「十数年もやっていると、色々あるとは思うがの……やはり和田光司さんと、水谷優子さんの訃報というのは早すぎたの。特に今作でもリメイクという形でガッツリと関わっていた和田光司さんの訃報というのは、監督を始めとするスタッフも、音楽による演出などの意味でも頭を抱えることになっているかもしれんの」
カエル「じゃあ、ここから感想を始めようか」
以下ネタバレあり
1 いよいよ冒険が加速する!
カエル「この3章の役割というと、やっぱり『旅立ち』の章だよね」
亀「デジモンといえば何と言ってもデジタルワールドを旅することが大事じゃからな。今までのようにお台場周辺で戦うのもいいが、それだとどうしても街への影響などの……こういうとなんじゃが、余計なことがつきまとってしまって、バトルやドラマに制限ができてしまう。
そのためにもデジタルワールドへの旅たちというのは必要なことじゃったな」
カエル「そこに至るまでの3章と考えれば、長いは長いけれど、ちょうど半分とするといい折り返し地点かもね」
亀「そうじゃの。やはり、バタフライがBGMでかかりながら冒険の決意をするというシーンは、思い出補正もあって涙腺を刺激するものがある。特にOPが今回なかったということを考えると、やはりこの旅たちことが、決意こそが始まりという演出なんじゃろうな。
……まあ、ここは少し思うところもあるんじゃがな」
カエル「お!? それはどういうこと?」
8人+1人というキャラクター数の多さ
亀「やはりの、このキャラクター数の多さというのは少し気になってしまうところがある。作劇的にも難しいのは理解できるのじゃが……」
カエル「まあね。この3章で活躍したというと、光子郎、タケルがメインでスポットを浴びた印象があるね。前回で吹っ切れた丈と、タケル関連でヤマト、ヒカリも出番が多い印象かな?
一方でソラとミミはあまり出番がないし、太一に至っては見所もなかったように思うね」
亀「太一は1章でスポットを浴びたのもあるし、ミミも2章で活躍したからの。ソラは次の4章になりそうだし、配分としてはおかしなことはないんじゃが……
さらにここにパートナーデジモンや社会情勢の話が絡み、芽心やメイクーモンの話も絡むから、どうしても1人1人への注目度は下がることになるの」
カエル「これもテレビシリーズだったら特に違和感がなかったのかもしれないけれどね。どうしても1本の映画として、数ヶ月おきに見ると、出番の多さと少なさに注目しちゃうよね」
亀「あとはこれだけ多いと明確にキャラクターの役割が確立されておらんように思うの。かつての、小学生時代と中学生時代を経て今に至っておるが、ここで選ばれし子供たちが成長しきっていたらドラマにならんし、かといって幼すぎても今までの冒険はなんだったんだ? となるしの」
カエル「特に光子郎だよね。元々コンピュータやプログラムの専門家だけど、能力は高いけれど行動力に乏しいという欠点があったはずなのに、行動力も身につけたから、光子郎1人でいいんじゃないか? と思うほどに活躍するもんね。
専門家の大人たちが『彼にはいつかバレるかもしれないけれど』って言っていたけれど、国家機関すら凌駕する高校生って、何者だよって思ったりさ」
亀「もともとデジタル関連で活躍の機会が多いし、冒険になると太一のリーダーシップなどが発揮されるのじゃろうが、現実世界ならば光子郎ばかりスポットを浴びるのも仕方ないかもしれんの」
2 映画としてみた場合
カエル「これくらい尺が長いと1本の映画としてみるけれど、その場合だと……少し退屈かなぁ? って印象があったなぁ」
亀「バトルが終盤しかないからの。もちろん、次にメイクーモンのが現れたら、そこが大きなキーポイントになるというのもわかるのじゃ。だからバトルは出来んとな。
しかし、最もダレ場になりやすい中盤にもドラマパートを延々とやることによって、少し間延びしてしまった感は否めないかの。
これが60分であれば問題はなかったじゃろうが……」
カエル「でもさ、今回は結構泣ける話だったよね。特にパタモンの健気さというかさ、あの部屋でだシーンとかって涙腺にきたよ」
亀「物語における一つのテンプレートでもあるが、純粋な者が身を挺して大事な人を守るという展開というのは、やはり感動を呼ぶの。元々その口ぶりも見た目も愛らしく、わかりやすくいい子なパタモンで、しかもタケルとの仲の良さもよく描かれておったしの。
そんなデジモンの告白と決意というのは、涙を呼ぶの」
カエル「それが後半にも活きてくるよね。あのバトルとかは、やっぱりそこまでの絆を理解していると余計に胸にくるものがある」
亀「そうじゃの。今作の特徴として挙げられるのが『感染』ということじゃろうが……まあ、デジモンではよくあることでもあるんじゃが、それまでと少し違うのが味方であるパートナーデジモンが感染するというところじゃからな。
それまでの……過去の物語を踏まえてみると、かなり思うところがあるの」
苦言を呈したい部分
カエル「じゃあ、ここでちょっと注文をつける部分を書いていこうか。まだ物語も途中だから、なんとも言えないところもあるけれどね」
亀「今作で気になったのは、アトラーカブテリモンから究極体へと進化したが、そのロジックがよくわからなかったところかの。あれは光子郎とテントモンの絆が深まったり、光子郎が成長したから進化するということじゃったように記憶しているが、今作ではその成長が弱いように感じてしまったか」
カエル「もともと完璧な存在だったから、成長のしようがなかったのかもしれないけれどね。欠点といえば、空気が読めないところとロジカルに考えすぎるところくらいかな? でもそれはキャラクターの個性であって、成長させるべき欠点とまでは言えないしね」
亀「あとは芽心の関連が間延びしてしまっているの。あの子は確かにメイクーモンを思いながらも、今回の事件の元凶という……結果的に、仕方なくということであるが、それで罪の意識があるのはよく分かるが、さすがに引っ張りすぎではないかの?
もう少し描き方を……ストレスを感じないようにしなければ、ヘイトを一身に集めるだけになるかもしれんぞ」
カエル「芽心はみんな思い入れがあるわけでもないし、お馴染みのキャラクターの大集合の中で難しい扱いだと思うけれど、ちょっと描き方がねぇ。
個人的には太一もなぁ。デジタルワールドへ行こうって言われて、断るようなタイプじゃなかったでしょ? むしろ行きたくないとゴネる仲間に向かって『行こうぜ!』って鼓舞するような……時にはそれで空回りするような存在だっと思うけれど」
亀「その描写でも呼びかけたのが光子郎だったから、余計に欠点がないように見えてしまったのかもしれんの。
じゃが、ここまでサブキャラクターが少しずつ成長しておるし、制作サイドもまずは究極体を揃えたいところじゃろう。そのためのスポットを当てたり、成長をさせるために太一、ヤマト、空にはそこまで注目を集めておらんのじゃろうしの。ここはこの先に期待する部分でもあるの」
最後に
カエル「でも、改めて思うのが、こう言う名作シリーズのリメイクって難しいよね」
亀「それこそシンゴジラを見た後だと余計に思うの。みんなの中で思い出のゴジラ像が違うように、デジモン像もまた違う。しかも、今のファンの多くが小学生の時くらいに見ておったのじゃろ? そう考えると、当然のように思い出補正も働くからの」
カエル「後はガンダムUCとか、OVA作品でも作画や演出が素晴らしい作品が続いたしね」
亀「そこは難しいところじゃな。恐らく、この作品も朝アニメとしてみたらそこまで違和感がなく、鑑賞することができたのかもしれんが、今作は映画館で見るOVAじゃからの。その作画などに文句を言いたくなる気持ちもわからんではない。
わしとしてはこれだけの長尺の作品を、このスパンで順次公開してくれのじゃから、クオリティにはそこまでケチはつけないがの」
カエル「何はともあれ、ここで折り返しだし、ここから冒険が始まるからさ! この先の流れに期待だね!」
亀「そうじゃの。全てが終わった時にどういう評価になっておるか、今から楽しみじゃ」
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