物語る亀

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物語愛好者の雑文

<短評>映画『モアナと伝説の海2』ネタバレ感想&評価! 主張を排して神話へと回帰したミュージカル映画

 

今回は『モアナ2』の簡単な感想記事になります!

 

うちとしては短めの記事となっておるぞ

 

モアナと伝説の海2 (オリジナル・サウンドトラック/US版)

 

カエルくん(以下カエル)

先に言ってしまうと、そこまで語ることも多い作品ではないという評価ですね

 

亀爺(以下亀)

その分、多くの観客が楽しめそうな気がするの

 

カエル「それでは、感想記事のスタートです!」

 

 

 

 

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ChatGPTによるこの記事のまとめ

  • 今作は癖が少なく、多くの人に受け入れられる内容で、特に映像美や自然描写が魅力的。ディズニーの高い技術力が光り、娯楽性の高いミュージカルパートも楽しめる。
  • 『モアナ2』の物語は神話的な要素を強調しつつ、主張を抑えたシンプルな構成が特徴。ポリネシア文化を尊重した舞台設定が神話に近づいた印象を与え、ミュージカルや映像美が際立つ仕上がりとなっている。一方で個性やメッセージ性が薄く、記憶に残りにくい作品とも言える。

 

 

 

 

 


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Xの短評

 

 

 

Xに投稿した感想

#モアナと伝説の海2

アニメーション表現のレベルの高さと映像の美しさはやはりディズニーという印象で予想以上にミュージカルでずっと歌っておりモアナやディズニーファンの方が喜べばそれでいいのではないでしょうか

 

物語は”神話への回帰”をボクは感じており、近年の脚本・物語理論は神話の研究からスタートしていますが今作は神話そのものへと戻っていった印象でそのため現代社会を反映している箇所は見受けられませんが、近年のメッセージ性過多とも言える反動もあるように見受けられるのでこれでいいのではないでしょうか

 

特に大きく語ることはないですが多くの人に受け入れられそうな作品ですね

 

 

感想

 

それでは、感想から始めていきましょう

 

癖の少ない、多くの人に受け入れられそうな作品じゃな

 

カエル「アメリカなど世界でモアナヒットが期待される今作ですが、内容も多くの人が好きというような作品に仕上がっています。世界中で好きになる人は多くても、嫌いになる人はあまりいないんじゃないかな?」

 

亀「とても癖がないというのは重要じゃな。

 例えば政治などが絡んだりすると、人や国、地域によっては反感を覚えたりすることもあるじゃろうが、今作はモデルとなったポリネシア諸島、つまり南国の楽園というイメージの強い場所の文化を推し出した作品となっているの」

 

アニメーションに関しても文句があまり出ないよね

 

ディズニーの高い表現力に支えられた、映像美が楽しめる作品となっておるの

 

カエル「ディズニー映画のCGアニメーションのレベルは当然世界屈指のものがありますが、今作も特に海などの自然描写、そして水の表現が美しい映画となっています!」

 

亀「ミュージカルパートが延々と続くような映画となっており、それも極めて楽しくて娯楽を提供してくれる映画であったの。

 もちろんその点でも文句なく楽しめるような映画となっておるの」

 

……と、ここまで語ってきて早くももう喋ることがないんだよね

 

あまりなんだかんだと解説&考察するような作品ではないからの

 

カエル「なんというか……うちみたいなところからすると、ちょっと苦笑するタイプの作品でもあって……なんかを語るようなところが、ほぼないんだよねぇ。

 よく言えば癖がないというか、悪く言えば無機質的に感じるというか……」

 

亀「うちは”作品”と”商品”という語り方をするが、今作は作者の思想や理想を詰め込んだ作品というよりも、大衆に対して受け入れてもらうための商品としての側面が強いように感じた。

 だからこそ見やすく仕上がっておるし……ワシからすると物足りないが、まあこういう作品もいいか、という感覚になってしまう」

 

 

 

 

神話への回帰

 

今作の物語に関してはどう思った?

 

神話への回帰、という言葉が当てはまるのではないかの

 

カエル「近年は特にハリウッド映画に関して、大作になればなるほど脚本のメソッドが定着しています。有名なところでは三幕構成などの基本的なところから、13メソッド法などの様々な手法があり、これを知っていると非常に多くの現代ハリウッド映画がこの手法によって成り立っていることがわかります」

 

亀「ワシなんかは、それを学んでしまったから、ディズニー映画は特にそれに沿っているために、タネの知っているマジックを見ているようでドキドキしないんじゃがなぁ……

 それは置いとくとして、それらのメソッドが確立した基となる物語の構造分析は、基本的に神話や昔話の研究から始まっておる。

 1928年のソ連で刊行されたウラジミール・プロップの『昔話の形態学』では、物語の構成され方が31種類であることを明らかにした。ここから、今でも日本でたまに聴くか『物語の種類は31種類しかない』と言われることの出典じゃろうな」

 

ふむふむ……そういう昔から続く物語を原型に、物語分析は発展したんだね

 

もちろん、現代の物語はより複雑になっていくが基本形はこの辺りになる

 

亀「そしてクロード・レヴィ=ストロースはアメリカ先住民の神話研究を、フランスのロラン・バルトが『物語の構造分析』などの著作を基に物語構造の分析は進んでいき、それが発展して今日の脚本術へと至るわけじゃな。

 色々と難しいことを言っておるようじゃが、ここでは”物語論は神話や昔話から始まっている”ということをおさえておけばいいぞ」

 

 

 

 

現代の神話としての創作

 

それがモアナ2の物語とどのように絡むの?

 

近年のディズニーの持っていた政治的な正しさ(ポリティカル・コネクトレス)の物語面の脱臭とでもいうかの

 

カエル「政治的な正しさの脱臭?」

 

亀「見方にもよるが、今作は物語上で政治的な主張が少ないようにも見受けられる。

 とはいえ、そもそもモアナという作品が女性主人公で活発な女性像を描いており、しかもポリネシア諸島を舞台とした物語となっているために、物語の骨格そのものが政治的な正しさに満ちているとも言えなくもない。

 しかし同時に骨格をそのようにしたことによって、物語の面において現代的な政治的な主張を行う必要性がなくなったともいえる。

 その結果、物語メソッドの大元となった神話的な素養が今作ではかなり強調されたというのが、ワシの結論じゃな」

 

それが”現代において神話を生み出している”という評価になると

 

ポリネシア諸島の文化や歴史を尊重した結果、より神話に近づいたという方が正しいかもしれん

 

亀「もちろん、今作はフィクションであり、なんらかの神話を下敷きにしていると主張するつもりはない。というよりも、そこまで調べておらん。

 モアナ1の頃はディズニープリンセスが”女性主人公”で”有色人種”で”恋愛をしない”という構造そのものが政治的な正しさにもなった。しかし今作ではそれらが強調されておらん。

 もしかしたらそれは社会の成熟という捉え方もできるかも知れんが……むしろわしは、それらを物語上で積極的で説教のような政治的な主張を行わなくても、少なくとも日本では活発な女性が冒険をするような物語は普通に受け入れられる余地であったり、素養が、特に漫画・アニメ・ゲーム文化の発達や少女漫画などによって成熟していたのではないか、という思いもあるかの」

 

そういった色々なことがあった結果、物語としてはシンプルになったと

 

だからこそミュージカルとしての魅力が発揮されたともいえるかもしれんの

 

亀「それでいうと……まあ、ワシも含めて近年のディズニー作品の政治的な部分に関して気になった者にも、とても気に入りやすい作品に仕上がっておる。そして、だからこそミュージカルや映像の美しさが際立って感じられる。

 しかし、同時に個性があまり感じられないし、メッセージ性なども少ない。言い方を変えてしまえば……1年後には今作のストーリーを忘れてしまうじゃろうなぁ