物語る亀

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物語愛好者の雑文

迷家 9話までの感想 本当に大丈夫なのか、この作品……(迷い家)

 迷家の9話までを見たのでその感想などを挙げていくが、まあ、誰もが思うように本当に終わるのか不安になってきてしまった。

 個人的に今期は平均点の高い良作揃いの豊作なシーズンではあるのだが、日常系やギャグものが中々面白い一方、ストーリーものの作品がもう少ししっかりとしてほしいなぁ、と思っている中でミステリーやホラーとして高い期待をしていた迷家がこのような調子なので、より残念に思っている。

 あと数話で終わるのかなぁ?

 

 

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 1 ここでの新キャラは……

 私は1話から3話まで鑑賞していた時点では本作をミステリーとして考察していた。少なくとも、この村をこはるんにメールで教えた張本人はいるはずだし、何らかの黒幕はいなければ話の筋としておかしい。

 それが『ひぐらしのなく頃に』の羽入のような人間とは言い難いトンデモナイ人物だとしても、存在はしていると考えた。

 だが、ここまで鑑賞してきた結果、今の所そんな人間はどこにもいないのである。

 

 しかもここに来て真咲のいとこであるレイジという新キャラの登場である。

 その人物を黒幕とするのであれば、できればもっと早い段階(3話くらいには)からその存在を示唆しておいて、少しずつ掘り下げていかなければ唐突な登場に視聴者は戸惑うのではないだろうか。

 

 あくまでもミステリーとして見ていた私の落ち度かもしれないが、ノックスの十戒の第1項目『犯人は物語の当初に登場しなければいけない』を大きく裏切ってしまっている。

 これはミステリーにおいて犯人探しの段階で黒幕が突然現れた人物であった場合、アンフェアであるし面白味に欠けるから、という理由であるが、分かりやすいトリックや黒幕であったとしても最初に登場した30人のうちの誰かにしておいた方が良かっただろう。

(まだ最終回前のため、よっつん=レイジ説もあるのでなんとも言えないが、私はこの可能性は低いように思っている)

 

 

2 登場人物の多さの意味は?

 登場人物が多い水島努監督作品といえばまず『SHIROBAKO』が第1に浮かぶが、アニメ制作をテーマとした物語であり、それぞれの部署やたくさんの人の手によってアニメというものは作られているという作品であっただけに、それだけ多くの登場人物が出てくることは当然のことだった。

 最終回、宮森が走って打ち上げ会場に辿り着き、そこで色々な人を見渡しながら挨拶をするシーンなどは、それだけ多くの人が関わっているという事実をこちらにもわかりやすく教えてくれる内容になっており、感動も増す見事な演出だった。

 

 では迷家においてはどうかというと、特に人数が多い意味があまりないように思われて仕方ない。

 『Another 』のように人が次々と無残な姿になるわけでもなく、集団心理の暴走の描写は少しあったものの、それが効果的に使われたとも言い難い。幾つかの過激派のような派閥に分かれたり、魔女狩りのようなシーンにおいて暴走したりと集団心理の暴走ということは始まっているのだが、なんだかんだで盛り上がる前に全部それがうまく丸く収まってしまっている印象が拭えない。

 

 その上に今回黒幕と思われる人物が初期の30人以外から登場とあっては、ではなぜこれほど多くのキャラクターを出したのか、理解に苦しむのだ。これが一人一人魅力的なキャラクターであれば問題ないのだが、おそらく視聴者の大半もまだ名前と顔が一致していないような薄いキャラクターの方が多い中と、せっかくの主人公格である光宗なども魅力がなくなってしまうだろう。

 

 

3 テーマが見えない

 登場人物の多さやら何やらと語ってきたが、私が一番問題だと思うのはこの部分である。

 普通、物語作品であればアニメ、映画、漫画、小説と媒体を問わずにテーマがなんとなく見えてくるはずなのである。それは強烈な社会に対するメッセージ性だったり、演出効果の実験であったり、作者の内面を深くえぐりだすものであったりと様々だが、何がしたいのかは何となく見えてくる作品も多い。

 

 だが、迷家に至っては全てが迷走状態にあるように見えてくる。

 もしかしたら最初にやりたかったことが、諸事情によりできていないのにスタートしてしまったから今のような迷走が始まったのかな? と穿った見方をしてしまうほどである。

 

 本作を語る上でミステリーなのか、ホラーなのか、サスペンスなのかジャンルがわからないということは度々これまでも書いてきたが、それもまた視聴者を迷走させる一因となっているのかもしれない。私もスタートから6話くらいまでは何が起こるかわからないことをテーマにしているのかな? と少し楽しみに鑑賞していたが、ここまで見ても話は進展しないし、事件らしい事件はほとんど起きないし、起きるかと思ったら実害はなく終了……と大変期待外れな結果になっている。

 

 マチアソビか何かのイベントで9話で大どんでん返しがあるという話だったが、9話まで鑑賞してもそれはないし……

 

 というわけで、迷家はその名前の通り迷作になってしまうかどうか、ここまで見たからには最終話まで見届けたいと思う。(最終話後の感想記事はダメ出しの嵐になりそう……)

 

 

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