物語る亀

ネタバレありの物語批評

迷家-マヨイガ- 3話までの感想と分析

 迷い家が3話まで放送されたのでその感想と分析をしてみる。

 それにしても先週2話が震災特別編成によってテレビ放映されていないはずだが、そこはどうなるのだろうか? ニコニコ動画で無料放映されていたから良かったものの、テレビしか見てない人は2話は見れないのか?

 それとも知らないだけで放送されていたのかな……?

 

 

 

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 1 圧倒的キャラクター数

 本作の最大の特長というのはやはり、圧倒的なキャラクター数だろう。

 1話からして30を超えるキャラクターが紹介されたが、それで名前と顔を一致させろというのは無理な話だ。それをわかっているのか、スタッフ側もキャラクター名を良くある姓名ではなく、ほとんどあだ名のようなハンドルネームで通している。

 

 公式サイト(これが中々面白いデザイン)のトップページ(と言うよりランダムで飛ばされる遊びのページ)に名前のあるヴァルカナ、光宗、スピードスター、リオン、真咲(横暴なリーダー、主人公、親友、パーカー少女、ヒロイン?)の5人以外は特に名前までを覚える必要はないのだろう。

 

 その代わりに与えられているのが、属性と役割だ。

 わかりやすいのは運転手で、あの人の名前を覚える必要はないが「煮卵の運転手で大人」という属性と役割だけ覚えておけばいい。

 つまりダーハラはこの会の主催者であり、熱帯夜はエロいお姉さん、氷結のジャッジネスは厨二病と覚えればいいわけだ。

 個人名に意味はなく、言うなればモブである。学園モノのクラスメートの A、Bなどと変わらないわけで、学園モノなどで時々えらい可愛いモブなどもいるがそれと同じということだろう。

 

 なので本作において30人全員を区別して、個人名を覚えることにほとんど意味はない。濃いキャラクターを堪能して、気に入った人物の属性を覚えればそれでおしまいでOK。多分絶対に覚えないといけないのは上にあげた光宗、スピードスター、リオン、真咲くらいで、なるべく覚えるべきキャラクターがヴァルカナ、こはるん、まいまいだろう。

 犯人がいるならば、この中から出てくると思われる(邪道なメタ推理だが、これ以外の人物ではモブが犯人みたいな、格落ち感が出てしまうだろう)

 

 

2 本作の見方

 本作を見ていく上で問題になるのが、どのような視点で鑑賞するか、ということである。

 

 例えば本作と似た雰囲気の作品でいうとやはり監督が同じ『Another』か、あとは『ひぐらしの鳴く頃に』あたりになるのではないだろうか。

 この2作をどのように見ると1番楽しめるのか、という問題がある。

 

 例えばミステリーとして見ると当然面白いものの、荒さが目立つ作品でもある。特にひぐらしに関しては、何が問題なのかをしっかりと見極めなければいけない上に、SF要素もあるのでアンフェアな感も否めない。

 ではホラーとしてみた場合は両者ともに優れた描写もあるので楽しめるだろうが、Anotherに関してはあまりにも酷い死に方ゆえに、どことなくギャグにすら思えてしまうこともある。その分、何が死のきっかけになるかわからないゆえ、本来ならば箸休めになるはずの水着回ですら緊迫感が漂うものになった。

 

 それでは話を迷い家に戻すが、この作品をミステリーとしてみるか、サスペンスとしてみるか、ホラーとしてみるか、どの視点で見るかということによって評価は変わると思うのだ。

 では3話まで見たら大体何かわかるかな、と思いきや、今回を見終わってもまだ序盤であり事件や死者は出ないのかと思っていたら……

 ラストでぶっこ込んできた!!

 

 やはり3話が1つのキーポイントだったのだろう。

 日常描写も『無限のリヴァイアス』のようなギスギスした雰囲気も始まったので、ちょっと不気味さが増してきたように思う。ここまではゆっくりとした作りながらも、後が気になる作品に仕上がっている。

 

 個人的にはミステリーでいてほしいので、犯人は真咲あたりにして少しホラーちっくに仕上げてくれたら嬉しい限りである。

 

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3 岡田麿里脚本の妙

 今回は岡田麿里が脚本を担当しているが、やはり近年大人気脚本家だけあって、会話の使い方が非常にうまいなと感心する。

 

 例えば運転手の「煮卵ぉ〜」発言であるが、ここで素ラーメンだけでなく高々煮卵でも執着する人間性と貧しい人生を送っていることに悲壮感が現れるし、この一言があるだけでキャラクターがはっきりと生きてくる。

 特に3話になるとそういう部分が各キャラクターに見えてきた。

 

 例えば宿泊場所のグループ分けの方法が『ぐっとぱー』なのか、『ちっけったー』なのかという論争があったが、こういう何でもない描写とそれに対する反応によってよりリアル感を演出している。

 ジャケットが破れた際に「これ2万円もしたのに……!」というセリフなど、ジャケットだったら普通にありうる値段であり、微妙に貧乏気質な金銭感覚がわかるような絶妙な値段でうまいセリフだ。

 あと気に入ったのは熱帯夜のさり気ない下ネタで、ここは岡田麿里の真骨頂を感じた。このリアル感が生々しさにもつながるので、岡田脚本には賛否があるのだが、今作では水島監督の効果もあってか上手く使われている。

 

 

4 面白い試み

 さて、今作で1番面白いなと思ったのは、後援会という形でクラウドファンティングでの集金も含めたビジネススタイルである。

 

 私が今確認したところ、目標金額330万円に対して倍以上の700万円を集めているらしい。アニメに詳しい人ならば誰でも知っているだろうが、今のアニメ業界はビジネススタイルとして破綻していると言っても過言ではない状況だ。

 あのスタジオジブリですら、宮崎駿が引退を表明したらリストラ(というよりも他の会社と同じ契約社員化)をせざるを得ないことになってしまった。

 

 最近では『百日紅』であったり、『リトルウィッチアカデミア』などでクラウドファンティングで集金した予算を使って製作されたアニメはあったものの、やはり劇場アニメであってテレビアニメではあまりない形であった。

 一度放送された作品を、しかも録画もできる現代においてパッケージ化して売るというのはそもそも難しいスタイルである。そのためあまり売れないから高くなる、高いから買い手が減るという悪循環に陥っている。

 

 だが、クラウドファンティングはオタク向けの集金方法だと思うのだ。

 元々好きなものにお金を使うことに躊躇のない趣味人だし、それで直接作品に援助することができるのであれば、お金を出す人というのはそれなりの数がいると思うのだ。私も贔屓の監督の新作であれば、一万円くらいは出すかもしれない。パッケージを買うのと違うメリットがあるだろうし

 

 この試みがどのような結果を生むのかはまだわからないが、作品外の部分においても注目してみていきたいと思っている。 

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