カエル君(以下カエル)
「……迷家、終わったね」
ブログ主(以下主)
「……最終回も終わったね」
主「ここまで見てきたから、感想記事は書くけれど……正直にいうと相当厳しい意見になるから、それは了解した上で読んでほしいな」
カエル「ネット評価を見たら絶賛する感想を探す方が難しいけれどね……」
1 迷家に望んだこと
カエル「主は今期のアニメでは迷家とカバネリ、ガンダムをずっとまとめて来たけれど、なんでこの3作品だったの?」
主「う〜ん、簡単にいうとストーリー性があって展開や視聴者の心に残るような作り方をするような気がしたからかなぁ。
例えば1話時点での春アニメランキングでトップクラスの評価をつけたのがふらいんぐうぃっちだったけれど、じゃあこの作品の面白さって何と言われると、キャラクターの個性や空気感という共感性に頼ったものなんだよね。
その空気感が何に由来するのか、ということも考えるのも面白いけれど、劇的な展開がない以上、ブログ記事で何回も語ることは難しいと考えてるんだ。
でも、劇的な展開やストーリーなら、ここで伏線を張ってここで回収してっていうのがわかるでしょ? 今週の話の構成がうまいか否か、ここまでの構成がどうなっているのか、ということが、少なくとも私には語りやすい」
カエル「じゃあ、迷家に望んでいたことって何?」
主「やっぱりネットがあるから近年の作品では少なくなってしまった連続テレビアニメーションのミステリーかな。もしくはホラー。ホラーって個人的には苦手だけど、水島監督はAnotherとかのホラーミステリーも作ったことがあるし、期待値は高かったんだけどね」
2 迷家の迷走
カエル「結構過去の記事ではミステリーとして考察もしていたしね。でも、結局この作品のジャンルって何になるの?」
主「……なんだろう。結局そこがこの作品が迷作になってしまった最大の要因だったんじゃないかな?」
カエル「どういうこと?」
主「例えば今期でいうと先に挙げた『ふらいんぐうぃっち』は日常系アニメというジャンルになる。カバネリだったアクションとか、SFとか。もっと細かい分類をすればスチームバンクうんたらとか色々な分野にわけられるけどね。
じゃあ迷家を全話見た時に思うのが、結局この作品を見る時にどの視点から見るのが正解なのかということが問題で、ホラー、ミステリーの要素もあったけれどもどちらも弱いんだよ」
カエル「弱い?」
主「そう。例えばホラーとしてみた場合、人を怖がらせようとする描写がほとんどなかったじゃない? 中盤まではオドロオドロシイ雰囲気があったけれど、これならゾンビに追いかけられるカバネリの方がまだホラーをしているんじゃないかな?
じゃあミステリーとしてみた場合、結局事件すら起きてないんだよね。ナナキがうんたらって話もあるけれど、視聴者が犯人(フーダニット)やなぜそうなったのか(ハウダニット)を考える余地があったとは思えないんだ
事件がない事件なんて、ホームズだって解決不可能だよ」
カエル「でも一応黒幕はこはるんで決着は付いていたよ」
主「そうだね。でも黒幕といっても事件がないから何をやったのか、イマイチわかりづらいんだよね。例えば100億円盗んだと言ったらみんな必死になって探すし、犯人も大物って感じもするけれど、10円盗みましただと誰も相手にしないし、多分許す人も多いでしょ。警察官も相手するのかなぁ?
事件がないからこはるんが黒幕って言われても、悪事を働いていない黒幕だからピンとこないでしょ?」
カエル「こはるんが黒幕って位置づけ自体は悪くないよね。キービジュアルもほぼ中央で、これだけ多い中でも目立ってたし。露骨すぎた気もするけれど」
3 登場人物について
主「そうだね。多分初めから決められていたことだったとは思う。1話からのお話の流れも感じたし、意外性のある犯人ではなかったけれど、納得はできる。ただ、やっぱり登場人物が多すぎたことはあるよね」
カエル「そこはどのネット感想でも触れられているよね」
主「迷家がミステリーやホラーとして認識されちゃった一番の理由は、やっぱりこの登場人物の多さだと思うんだよね。モブに毛が生えたようなキャラクターがたくさんいて、1話で運転手さん含めて総勢31人も出てきてしまったことによるものだろう。
本作のようなクローズドサークルだと登場人物が限定されてしまうから、ミステリーでも亡くなる人を込みで多めに登場させるのは定石だけど、これだけの登場人物がいるってことはこの中に犯人がいて、この中の少なくとも3分の1はいなくなると思った視聴者が多かったんじゃないかな?
でも結局はほとんどいなくなっていないから、重要人物の描写を薄くするだけの存在になってしまったよね」
カエル「でも監督の作品でいると『SHIROBAKO』は相当登場人物が多いよ?」
主「SHIROBAKOの場合はキャラクターに明確な役割(仕事)があるし、おそらく登場人物にモデルとなる実在の人物が沢山いるから、この作品とはまた違うんじゃないかな? 全くオリジナルのキャラクターを生み出す方がどうしてもキャラは薄くなるし、ミリオタ、真面目などの属性はあっても『共犯者』とか『被害者』『指導者』『扇動者』『探偵』といった役割はないよね」
4 どこまでが想定通りだったのか?
主「個人的にはこの作品って、毎週放送作品の難しさを表しているような気がするね」
カエル「というと?」
主「多分、スタート時に考えていた大まかなプロットはもっとしっかりしたものだったと思う。だけど、何らかの事情でテコ入れがあって、それを変更しなければいけなくなったんじゃないかな。後半も幾つかは初期状態の設定通りと思わせる描写もあったし。
アニメの場合は絵コンテや脚本で流れを決めて、絵を描かなきゃいけないからね。このスタートの段階で時間がかかると他の作業時間が減ってしまう。もっと練れば良いものになったとしても、ある程度で提出しないといけないタイムアタックみたいなものだ。
これが映画や小説のような1話完結が基本の媒体なら、もっと時間に融通は利くだろうけれど毎週放映のアニメはそうもいかないよね。なんだか後半からは岡田麿里独特の言葉使いも減った気がするし。最終話は『すっとこどっこい』にそれを感じたけど」
カエル「どの仕事もそうだけど、アニメはよりシビアってことだね」
主「話題になったTweetだけど、イベントで声優が『9話のラストがすごい』って発言があったけど、あれはおそらく10話の黒幕こはるんを指したものだと思う。
最近のアニメは3話構成が主流だし、3話のラストで川流れ、6話のラストでデッカい化け物と考えると、9話で黒幕こはるんは作りとして妥当だと思うよ。
後半は間がすごく詰まってたし、地震か製作が難航することがあったのかもね
もしかしたらクラウドファンティングの影響もあったのかな。1番高いコースは30人募集だから、そこに合わせて30人にしたとか。まあ、視聴者にはわからない大人の事情が多そうだよね」
最後に
カエル「元々のプロットはどんなものだったんだろうね」
主「これは完全に妄想だけど、おそらくスタートは『アナザー』や『BLOOD-C』みたいなエゲツナイ作品にしようとしていたと思う。ナナキの設定や途中のミリタリ、裁判要素なんて特に合いそうだし、それならこはるんの黒幕も引き立つし。
だけど大人の事情か、放送されるかどうかを気にしたのかわからないけれど、そのエゲツナイことはできなくなったから、いっそ誰も死なない物語にした。だから迷走しちゃたんだろうね。
この考えなら、事件性のなさだったり、多い登場人物の謎もわかるけど、まあ視聴者には想像するしかない話だね」
カエル「最後のCMされた来期の作品は面白そうだね」
主「91Daysは良さげだから、そっちに切り替えていこうかな、まだまだ沢山終わっていくから、大変だわぁ」