ここ最近、はてな内を賑わせている『ブログ飯』問題。
とりあえず私もこの波に乗ってみようかなぁ、と思って軽く考えていたのだが、よくよく思い起こしてみれば私もそれを笑えるような人間ではなかっことを思い出したので、ちょっとばかり書かせてもらう。
この手の雑考記事は久しぶりだなぁ……
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ブログで食べていくということ
では、ブログで飯を食べていくというが、果たしてそれはいくら位を稼ぐことを指すのか、とりあえず考えてみたい。
以上の記事を参考にすると、家賃の平均は6万6千円となっている。元データと思われるものを調べてみたら、スーモの記事がヒットしたのだが2009年と少し古いデータではあるが、この6年でそこまで大きく変わるものではないだろう。
さらに光熱費、水道費は1万円、食費が2万円、通信費が1万円となっている、
その他の雑費等はあるが、平均的に一人暮らしをするための最低所得は10万6千円と見ていいだろう。
これは全国平均のため、おそらく物価が高い関東圏の場合は12万円近く必要になると思う。
これにプラスして、交際費やら趣味のお金、ブログを更新するために必要な資料(本やネタを探しに行く交通費など)を加味すれば、一人暮らしとはいえ15万円は欲しいところだ。
20代の平均年収
働いたことのない学生さんにもわかりやすく言うと、20代の平均年収は348万円、25歳でも333万となっている。
勘違いしてはいけないのは、これは給料であって手取りではない。ここからさらに2割から3割引かれるので、手取り平均はわかりやすく3割弱の100万円減として、248万円とする。
ということは平均的な20代男性の場合、賞与などを加味しない場合、毎月20万6千円稼いでいるという話になる。
実際は賞与も加味されるため、日本全国平均の36万円分の給料、つまり手取りでいうと年間で約25万円(毎月約2万円分)引かれることになる。
平均年収分稼ぐには?
では次にブログで稼ぐにはどれだけの PV等を集めればいいのか考えてみよう。
参考記事
ここを見るに大体1PVにつき0,2円〜2円程度の儲けになると書かれている。今回は素人ブロガーということで、0,5円を稼いでいるということにする。
すると平均の手取りの月収、およそ20万円を稼ぐのに必要なPVは40万PV、1日あたり1万強必要ということになる。さらにこれは税金等を考慮していない額なので、そこを考えると50万〜60万PVは欲しいことになる。(当然賞与はなし)
つまり、1日2万PV。
さらに考えなければいけないのは、そこまでいってようやく『平均』年収であるということだ。1日2万PVって相当すごいけれども、人生を回り道するような真似をしてまで手にする額が、ようやくそこいらの20代のサラリーマン並みというのはどうだろうか。
私などは、そこまで稼げるバイタリティや発想力などがあるならば、普通に働くか起業したほうが圧倒的に早いし、安定しているように思う。
参考記事
ちなみにブログの7割は1日50PV以下と言われている。
勘違いしないで欲しいのは、私はブログを書くのはやめなさいと勧めているわけではないし、ブログでお金を稼ぐことも否定しない。(アドセンス等を貼っている以上、否定できない)
ただ、副業としてではなく、本業としてブロガーになるということがどれだけ難しいことなのかを、データと共に示したかっただけだ。
ここから本題
ブログ飯にこだわる人たちって、一体どういう人たちなのか?
私は実際にそんな人に会ったことがないから、想像するしかないのだが、その多くはブログが好きというよりも、
「簡単に金を稼げそう」
「自己顕示欲を満たしたい」
といった意見が多いのではないだろうか。
まあ、それはそれでいいのだが、おそらくブログは先ほども書いたように金を稼ぐならば普通に働いたの方が安定している。20代ならば会社や仕事はある程度選べるだろうし、なんだかんだ言っても仕事はあるものである。
(働けない事情があったり、病気があったりするならば話は変わるが……)
自己顕示欲にしても、ブログやネットをしない人間からすると、ブロガーなんて殆ど知られないものだ。嘘だと思うならば、今までの人生を考えてみてほしい。
学校や職場でブロガーの話をするか?
しないだろう!!
自己顕示欲を晴らしたいならば、歌手になったり、俳優になったり、芸人になったり、もっと様々なやり方がある。
「いやいや、そんな才能ねえっすよ!!」なんて言っているそこの君!
なぜブログならできると思っている!!
結局それだけのPVが稼げると人間というのは、やはりそれだけの才能(文章力、記事量産力、そして何よりも面白いと思わせる発想力)が必要になってくる。それならば若いうちは好きなことで頑張って有名になったほうがいいと思うのだ。
そうは言うけれど……
ただ、私はここまでブログ飯を目指すべきではないと言っているが、タイトルが『ブログ飯を目指す若者を笑えないわ……』なのは、私も似たような思いを抱えているからである。
このブログでもアップしているのだが、私は小説を書いている。
では小説家になるのと、ブログで飯を食べていくこと、どちらがより無謀かといえば、小説家になる方だと思っている。(どっちもどっちのようだが……)
ブログであれば誰でもすぐにアップすることができるし、ある程度継続していけば必ず結果が出てくる。
だが、小説家はまず賞に応募して新人賞を取ることが第一歩であり、そこから作品を世に上梓して生計を立てていかなければいけない。自分の作品が上手いか下手かもよくわからないし、どこが悪いかもよくわからない上に、そこを直せば必ず結果が付いてくるというものでもない。
年齢制限はないので何歳でも目指すことができるが、それはブログも同じだろう。
『新人賞を獲得して作家になりたいならば、せいぜい3作までかな。3作応募するまでに作家になれなかったら、才能がないと思って諦めなさい』
という言葉もネットでえらい批評家が語っている。
●乙一は高校生の頃夏休み中に小説を書きまくって、送った新人賞を3つ受賞した。
●高橋源一郎は失語症を乗り越えて1作目で最終選考まで残り、2作目で受賞した。
●森博嗣は出版社に持ち込みをした際に、直す箇所がなく、さらに4作書き上げて持ち込みをした
などというエピソードも見るたびに「君は才能がないのだよ、諦めたまえ」と言われているような気がしてしまう。
だが、才能がないというだけで諦められるかというと、そんな簡単な話だったら、ブログを立ち上げて小説をアップなんてしないわけである。
この世には『小説家になろう』だったり、様々なブログでアップをしている人がたくさんいる。小説家に限らない。歌、漫画、作曲、その他様々な形で表現をしている人はいるだろう。
その好きという気持ちは、決して自分が否定できるものではない。
だから、本気でブログが好きで好きでどうしようもなくて、1日中ブログを書いていたいし、誰にさらされて叩かれてもブログを書きたいというのであれば、それは立派なことである。
(書く内容は精査すべきであるが)
自分の人生の責任を取れるのは自分だけだ。
それは行動した後の責任はもちろん、行動しなかったことによる後悔なども、受け入れるのは自分だけである。忠告して、止めてくれた他人は誰も責任を取ってくれない。
ブログで食べていくのは非常に大変なことだが、その茨の道をあえて進みたいというのであれば、その先に幸あらんことを祈りながら、この雑文を終えることにする。
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