カエルくん(以下カエル)
「2月度で一番注目を集めている作品になるのかなぁ?
ミュージカル映画がいよいよ公開されたね!」
主
「ララランドチームの製作という触れ込みもあって、日本でも高く注目されている作品でもあるな」
カエル「アカデミー賞などの賞レースでは残念ながら選考漏れしていることもあるようだけれど、賛否はありながらも評判はそこまで悪くないようだね」
主「そこについても後半、おいおい触れていきます。
あと今作は間違いなくサントラが欲しくなる案件なので、購入費用は用意しておいたほうがいいかも……」
カエル「おお、ダイレクトマーケティングだ」
主「ちなみに自分も非常に気に入って、レンタル待ちするか買ってしまうか悩んでいる最中であります」
カエル「ではそんな今月1番? に注目度の高いミュージカル映画の感想記事の始まりです!」
作品紹介・あらすじ
19世紀のアメリカに実在した興行師であるバーナムを描いたミュージカル作品であり、昨年大きな話題を呼んだ『ララランド』のベンジ・バセックとジャスティン・ボールが担当した楽曲も大きな話題となっている。
監督はマイケル・グレイシーが勤める。
主演のバーナムにはヒュー・ジャックマン、ビジネスパートナーのフィリップ・カーライルをザック・エフラン、バーナム夫人はミシェル・ウィリアムズが演じる。
貧しい家庭で育ち、仕立屋として父と共にお屋敷にきていたバーナムは一人の裕福な家庭で育つ少女とで会う。身分の違いもあり彼女とは別れ離れになってしまうが、諦めずにアタックを続けた結果見事婚約を果たすものの、仕事は何をやってもうまくいかない。
そんな時に銀行の融資から大金を手に入れたバーナムは美術館を買うものの、お客さんは全く来なかった。このままでいけないと必死に考えた結果、サーカスを始めることを思いつく……
映画『グレイテスト・ショーマン』 Imagination Trailer
1 感想
カエル「では、まずはTwitterの短評からスタートです」
#グレイテスト・ショーマン
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年2月16日
確かに映画としては不細工
だが本作が持つメッセージ性や歌の力などを考えるともう感涙ものですよ
ハリウッドの批評家の低評価や賞レースの苦戦する理由はよくわかるがだからこそ好きな作品でもある
絶対にいい音響の映画館で鑑賞してください
主「批判しようと思えばいくらでもできる作品なのは間違いない。
現在のアメリカでの本作の状況を鑑みても、その評価は決して高いとは言えないものがある。例えばアメリカの大手批評サイト、ロッテントマトでの批評家票は55パーセントと決して高いとは言えないし、アカデミー賞をはじめとする多くの映画賞でもそこまで高い評価を受けたとは言えない現状だ。
極め付けは公開3日間で880万ドルしか興行収入をあげておらず、日本円換算で約10億円くらい? と8400万ドルと言われる制作費を考えると大赤字だという見込みがあるほどだった」
カエル「結構厳しい評価だったんだね……」
主「まあ、それも納得はできる要素もあるんだけれど……でも、この作品をアメリカの観客は愛して、公開10週で約1億5千万ドルを叩き出し、ロッテントマトでも一般ユーザー票だと89パーセントの支持を集めている。
で、その評価には自分も納得。
この映画は批評家が難をつける理由もわかるし、それは妥当だよ。だけれど、自分はこの映画は大好きだし、また観たいと思うほどだ」
カエル「多くの人が挙げるのが『ラ・ラ・ランド』との比較だよね」
主「本作は……そうだなぁ『ララランド』+『SING』だと言えるかな。2017年を代表するミュージカル映画の要素をつぎ込み、さらにその欠点も盛り込んだ作品と言えるかもしれないな」
誰もが比較対象にあげる名作、ララランド
自分も昨年高く評価しました
欠点として
カエル「まずは最初に欠点を挙げていこうか」
主「これはミュージカル映画に多く挙がる欠点なんだけれど、そもそも歌唱シーンなどが入ってしまうから物語の展開がどうしても遅くなったり、急に感じられるようになりやすいんだよ。
ミュージカルシーンというのは物語が動くシーンではない。登場人物の関係性を深化させるにはいいけれど、物語が前進しないという欠点がある。それを無理やり動かしてしまうと、今度は強引過ぎるように観客が受け取ってしまう可能性がある」
カエル「例えば『ララランド』の場合もスタートのハイウェイのシーンなんて物語に一切必要なくて、ミュージカル映画じゃなければ全カットだもんね。
他にも『レ・ミゼラブル』なども映画としての出来はいいけれど、物語としては原作が非常に長いこともあってかなり端折った印象もあるし……」
主「でも、その歌唱シーンがいいんだよ。
この点がミュージカル映画が抱えるジレンマでもある。特に本作はミュージカルパートはサーカス団内のシーンが多く、物語が発展しづらいという欠点を抱えている。
それなのに、本作は105分と非常にミニマムな作品であり、しかもテーマ性や物語性もそれなりに複雑なんだ。
これはミュージカル映画としてはかなり難しくなってしまう」
カエル「確かに脚本上の粗というか、物語の展開について突っ込む人は多い印象かな。ダイジェスト風、という声も聞こえるね」
主「それから、映画の技術としても結構下手です。
ミュージカルシーンは見所満載だけれど、それ以外はほぼダメ。
何よりも編集が下手。切り方が急すぎて物語に膨らみがなく、それが観客を置いてけぼりにしている印象を与えてしまう。
映画というのは映像が主で、音楽はあくまでも添え物であるべきという考え方もあると思うけれど、それでいうと本作は音楽が主体になっている。
だから『映画作品』として低い評価を下すのは、ある意味では妥当な作品でもある」
本作のミュージカル描写はレベルが高く素晴らしいの一言!
褒めるポイントとして
カエル「でも一方で褒めるポイントとしては……まずは圧倒的な音楽の良さは上がるよね!」
主「絶対に本作は音響に力を入れている劇場で見てください!
試写会などの評判が芳しくなかったりするのは、おそらく会場が音響に力を入れている場所ではないことも関係しているかもしれない。紛れもなく音楽映画であり、これだけの魅力的な楽曲を映画館で聴くことは年間1、2作くらいしかないんじゃないか? と思うほど!
間違いなく今年の物語る亀の年間音楽部門賞でノミネートします!」
カエル「このサントラが欲しい! と思う人も多いだろうし、音楽の魅力はやはり大きいよね。それに合わせてサーカス団が動き回る姿も見ていて爽快だし」
主題歌のThis is Me はアカデミー賞にノミネートされています
主「この音楽劇を観るだけでも劇場に行く価値はあるのは間違いなし!
それから、この映画も大きなメッセージ性を兼ね備えているけれど……これが今のアメリカ映画ではありきたりなものかもしれないけれど、それが胸を打つんだよ。ある瞬間では、自分は涙が出たほどだった」
カエル「……あれ? でもいつもは『この手のメッセージはあんまり好きじゃない』と語っていなかったっけ?」
主「これは後述するけれど、このテーマを盛り込んだ映画の多くが『うまい作品』なんだよ。
それはちょっと鼻についたりもするんだけれど、この映画のように欠点を多く抱えている映画だと、そのメッセージ性がより響きやすくなるというのかな?
例えるならばいかにも権威的で偉そうな人に『完璧な人間はいない』と言われるよりも、ちょっとダメな大人にポツリと『完璧な人間はいない』と言われた方が胸にくるでしょ?
そういうこと」
カエル「……どういうことかわからないけれど、その欠点が隙になっているから胸に届いたってことなのかな?」
ネタバレなしのまとめとして
カエル「では、ネタバレなしパートのまとめといくけれど……この映画を一言で表すとそれはどういうものなの?」
主「ズバリ『グレイテスト・ヒューマンはサーカス映画である』ということだ。
見所満載で観客のボルテージが一気に上がるシーンも多いけれど、その間と間を繋ぐ部分があまりなくて、ずっと見所ばかりが続いてしまうという点がある。
目の前で実際に迫力満点に行われるサーカスはそれでもいいかもしれないし、演目も変わるからそれで緩急をつけられるけれど、この映画はその緩急がなくて、ずっと急や見せ場が続いてしまう。それがドラマ性の欠如と言われている原因である」
カエル「105分間の中に収めようと努力したというよりも、歌唱パートを中心に構成して、ドラマパートはあえて短くしたという方が正しいのかなぁ?」
主「でもそれが面白いというのもあるけれど……そういう映画だからこそ表現できたことってあると思っている。
自分が1番胸に突き刺さっているのが、この映画を批評家や観る目の肥えたプロがそこまで評価しなかったこと。
これが本作では1番重要なことだと思っていて……上手い映画では伝えきれない思い、メッセージ、それがこの映画だからこそ伝わってくる。
上手い映画が観たかったらアカデミー賞でも絶賛の『スリービルボード』や『パディントン2』を観たほうがいい。年間でも屈指のうまさを誇る作品と比べるとボロボロな部分も多々あるよ。
だけれど、この映画に込められたものはそれらの映画と比べても決して遜色ないものだと思うね」
酒場のシーンで流れるこの音楽も大好き!
特にバーテンダーの動きにも目がいってしまいます
2度目の鑑賞後の印象の変化
カエル「えー、では2度目の鑑賞の結果もちょっとだけ書いたおきましょうか」
主「いや、1回目での違和感が一切なくなったんだよね。
あれだけ急展開や雑だなぁ、と思った編集が全く気にならなくなって、完璧な作品に思えてきたんだよねぇ」
カエル「え? そんなに印象が変わるものなの?」
主「すごく単純な話でさ、それだけこの作品が好きになってしまったんだよね。後々の展開を知っているから気楽に観れるというのもあるだろうけれど、あのミュージカルシーンは何回も観たいと思ったし。
あと、サントラも買ったけれど……もちろんそちらも素晴らしいけれど、やはり物足りなさがどうしてもある。それはあのミュージカルの踊る姿と一緒に得られる快感がとても大きいからであって、音楽だけが特別優れているから、というだけではないのかもしれない」
カエル「ミュージカル映画だし、そういう部分もあるんだろうけれどさ……」
主「本作は鑑賞を重ねていくたびに面白くなっていくんじゃないのかなぁ?
あの音と踊りの快感は映画だからこそであり、やはり劇場で観ないというのは……とても勿体ないことだと思うね」
以下ネタバレあり
2 序盤から漂う欠点
カエル「ではここからはネタバレが入りながら論評をしていきますが……序盤から酷かったよね。
ただこの酷いというのは『物語性』の意味であり、映画として酷いというのとはちょっと違うけれど……」
主「あの序盤で多くのことを伝えたかったのはわかるけれど、結局は1人の男の子と裕福な女の子が結ばれるまでを、多分3分ほどかな? で一気にミュージカルで駆け抜けてしまった。多分、ここでつまづいた人も多いと思う。
あそこのシーンはバーナムが如何に裕福な存在に憧れていたか、そして妻であるチャリティを愛していたかということを示す大事なシーンであり、大切に描いていかなければいけないのに、それがあまりできていない」
カエル「ダイジェスト風と呼ばれる1番の原因かもしれないね」
主「ここの欠点は正直見過ごせない部分はあって、映像や音楽はとてもいいのに、ここで急に場面が切り替わるから余韻が一切ない。
演出自体はミュージカルらしくて好きだけれど……あれだとこの2人の恋愛劇に感情移入することは誰もできないと思う。
それから、今作は途中で明らかに主人公が交代してしまっている。
フィリップ自体はとてもいいキャラクターをしているけれど、本筋であるはずのバーナムの物語がおざなりになってしまった瞬間がある。この短い尺で、さらにミュージカルも入れるとなるとフィリップのパートは映画全体からしたらかなりの負担になってしまった。
そのせいで肝心のバーナムの重要な局面もまた適当になってしまい、ダイジェストに感じてしまうものになっているわけだ」
欠点があるからこそ輝くメッセージ性
カエル「その欠点があるのは分かりながらも、この映画を賞賛する理由はなんで?」
主「本作はサーカス団の物語だけれど、登場するのは当時から現代にかけても生きづらい、普通の人とはまったく違う個性を持った人たちである。その人たちを半ば見世物のようにすることでお金を稼ぎ、ショーとして成立させている。
この映画を貫くテーマでもあるけれど、彼らは『偽物』と呼ばれる。つまり表現の中でも下等な存在なんだ」
カエル「本作で多く論じるのが『本物』と『偽物』の話だよね。
バーナムには本物に対する憧れがあって、彼は本物のオペラ歌手を発見した時に彼女と一緒に興行の旅へと出てしまう。そのせいでサーカス団は少しずつ客足が遠ざかってしまうというものだけれど……」
主「ここでの本物と偽物の考え方は、他のことでも代用できる。
例えば『白人と黒人』『健常者と障害を抱える人』のように人種差別であったり、職業差別などもそうだろう。
人種や障害に関する差別は現代では最も過敏な話題だけれど、このなんとなく下に見てしまう感覚って多くの人に共感出来るものだと思っていて、オリンピックで盛り上がっている今ならば『eスポーツ』をめぐる動きもそうだ」
カエル「eスポーツ(プロゲーマー)は将来的にオリンピックにも競技として採用されそうなほどの盛り上がりを見せているにもかかわらず、日本は全く盛り上がっていないどころか、非難されることもあるという問題ね」
主「同じような身体的な表現であったり、特殊技能の表現であるにも関わらず、それが正当に評価されないという問題がある。
それは偏見だよ。
偏見だけれど、非難されても仕方がないと考える人もいるような偏見だ」
カエル「他にも『ブロガー』と『ライター』だったり、『同人漫画家』と『連載漫画家』とか……表現していることは同じようなものなのに、なんとなく差別意識を持っていたり、下に見てしまうことってたくさんあって、この時代ではそれが人種や個性的な人たちに対する差別だという話だね」
3 本作の悪役について
主「本作の……これは欠点でもあるのかなぁ。悪役として描かれているのは実はバーナムでもあるんだよ。
主人公でもあり、マイノリティに対して興味を失う悪役、今作で1番クズな存在として描かれているのがバーナムであり、明らかにあれはオペラ歌手との肉体関係がある。
それは映画だし描けなかったから否定したけれど、あの状況で手を出さないわけがない。
彼は自分でも認めているように詐欺師なんだよ。まあ、ストーリーテーラーとして詐欺は当然のことなんだけれどね」
カエル「普通の物語だったら批評家だったり、差別主義の群衆が敵になるけれど、本作は……そこまでではないよね。もちろん、群衆がひどい行動を起こすシーンもあるけれど、あくまでもモブとしての扱いだし……」
主「結局バーナムって全ての災難が自滅なんだ。
本作は批評家や差別主義の群衆なども対立するべき悪としては描いていなかったり、その描き方が弱かったりする。
それはなぜかというと、今作が『偏見』の物語であるからだろう。
このブログもそうだし、SNSなどでの罵詈雑言に似た意見も監督や役者などの表現者に浴びせることがある。そこには明確な悪人ではなく、匿名の悪意が向けられるわけだ。
だからこそ、本作は明確な悪が存在せず、それがゆえに物語としてマイノリティに対する描き方が弱くなった」
マイノリティをいかに描くか?
カエル「一部では批判の声も聞こえるけれど、本作はサーカス団の人(マイノリティ)に対する表現が行き届いてないのではないか? という意見についてはどう思うの?」
主「自分は問題ないという。
ただ、その意見もわからないでもない。結局のところ主人公はバーナムだし、あまり上手くない映画手法によって個性的な登場人物の描き方が足りない部分は確かにある。
例えばフィリップが惚れるのが髭の生えた女性であったりしたら、また味わいは変わっただろうけれど……でも、本作はそのようなマイノリティに対する嘲りの態度は一切ない」
カエル「むしろ過剰なくらい被差別されている人たちというアピールはしているよね」
主「もちろんそのような人を見世物小屋のようにして、お金を稼ぐということに問題意識はあるんだよ。
だけれど、それは表現としては絶対についてくる弊害でもある。
例えばチャップリンは自らが浮浪者に扮することで笑いを巻き起こした。また、ミスタービーンの行動は知能障害を患っている可能性がある。もっと軽いものならばトレンディエンジェルのハゲネタだって、自分のこととは毛髪が薄いという身体表現をバカにして笑いを巻き起こしているんだ。
エンタメや笑いというものは、誰かを見世物にしたりバカにしたりすることによって、笑いや人を楽しませるということもある。
でもこれを否定してしまうと、結局は感動ポルノしかできなくなる」
カエル「ギャップという意味ではスーザンボイルやポールボッツも同じようなものだよね……この人たちが見目麗しい人であったら、それこそ普通の人となって注目を集めづらいだろうし……」
主「マイノリティが社会的に光を浴びる、注目してもらうためにはこのような描き方になるのは当然のことでもある。
大事なのは彼らがどういう選択をしたか、ということなんだよ。
作中のサーカス団員は誰も無理強いされてここにいるわけじゃない。みんな誘われはしたけれど、自らの選択によってここに来ているんだ。そして多くの人の接し方にも納得しているし、ここが天職でありマイホームと感じている。
だからこそ、マイノリティの描き方としては正当だと思うし、この作品はセーフだと自分は判断する」
この場にいる全員はそれぞれ自らの選択でここにいるし、納得もしている
映画と現実の状況のリンク
カエル「作中だと批評家が『これは本当の芸術なのか?』と疑問に思い、それに対して悩むというシーンがあるよね……」
主「それこそ、この映画を取り巻く状況は作中と酷似しているんだよ。
多くの上流階級の人であったり、目の肥えた批評家はこの作品を酷評したり、評価しないで笑っている。だけれど、映画を実際に見る人たち……多くの観客たちはこの作品を賞賛する声も上がっているんだ。
確かにこの作品は上手い映画ではないかもしれない。批評家たちが大絶賛するような作品ではないかもしれない。
だけれど、そんな映画でも意地があるということを示したものである」
カエル「それは作中の登場人物たちと一緒だ、ということで……」
主「この作品の見せ場の1つである髭の生えた女性が歌うシーンの歌詞で『言葉の刃で私たちを傷つける』というものがある。これはもちろん人種差別や偏見に対して声をあげているけれど、この現実の状況では批評家たちに異議を唱えているようにも聞こえてくる。
自分はこの映画は『映画たちの叫び声』であり、偉大なる『映画賛歌』でもあるように感じた。
確かにちょっとの欠点はあるかもしれないけれど、それでもこの『This is Me』と力強く歌いながら映画全体を盛り上げている……その姿こそが本当の見下されたものの反抗だよね。
だから、変な話だけれど自分はこの映画がアカデミー賞や批評家に評価されなくてよかったと思っている。
逆に言えば『光を目指さない』という映画が光(賞)を目指したら、それはあべこべになってしまう。
ちょっと下手だからこそ、欠点があるからこそ『その欠点を愛して私たちは生きるの!』というマイノリティ賛歌として成立する。
これがうまい作品であったら、その味がなくなってしまうんだよ」
カエル「これが『上手い作品では出せない味』ってことなのね」
主「かなりメタ的な視点もあるのは重々承知だけれど、自分はこの映画はその『ダメなところを愛そう』ということを実践しているし、それを補って余りある美点も大いにあった。
さすがにこれを計算したとまでは思わないけれど……でも、だからこそ面白い映画に仕上がっているんじゃないかな?」
最後に
カエル「う〜ん……中々独特の評価になったんじゃないかな?」
主「かなり歪な映画評価かもしれない。単純な映画としては難があるのは事実だから。
でも自分はこの映画、すごく好きなんだよね。鑑賞直後の高揚感などでいったらララランドを超えるほどで、実はかなり高く評価している。
好きと上手いの評価はまた違うけれど、本作は『うまくはない』けれど『大好きな映画』と言えるね」
カエル「でもさ、そういう人もたくさん出てくるんじゃないかな?
そんな愛嬌みたいなところがある作品でもあるよね」
主「マイノリティ賛歌だからこそ生きる作品だとも思う。自分は大好きな映画ですので、ぜひ音響の良い映画館で鑑賞してください」
関連作品
何と言っても今作最大の魅力はこの音楽!
微妙……と思った人でも一気に引き込まれる音楽だったことは認めるでしょう。
ずっと聞いていたい!
また今作で再び脚光を集めたララランドは現在U-nextのみで配信中!
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