今回は絵本もヒットした『えんとつ町のプペル』の感想になります!
予告からして、結構楽しみな作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
「一部では色々と言われている作品ではあるけれど、予告を見る限りしっかりと作ってあるし、ダメな予感はあんまりしないんだよね。
アニメ映画だし、それを確かめるためにも向かってみました!」
亀爺(以下亀)
「ぜひとも、面白い作品に仕上がっていることを期待したいの」
カエル「それでは、早速ですが記事のスタートです!
アニメ映画座談会『アニなら!』にて、えんとつ町のプペルを語りました。
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感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
#えんとつ町のプペル
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年12月25日
アニメーションのキレが抜群!
街の雑踏などはさすがスタジオ4℃と唸ったほど!
あと声優陣がうまかったなぁ…特に窪田くんは事前知識を入れないとわからなかった!
物語は…なんか全体的にぼやけていた印象
引っ掛かるものが皆無だったのは残念だった pic.twitter.com/sQUkzNQ4Pa
これは……ちょっと語ることがすくない作品ではあったかの
カエル「まずは、なんといってもスタジオ4℃の映像表現が見事だったよね。
『海獣の子供』『鉄コン筋クリート』などの独特な画風というか、アート的でありながらもエンタメ性も兼ね合わせ、独自の世界を広げてきたスタジオが制作しています。
今回も、その独特の映像センスが楽しめたのではないでしょうか」
映像表現に関しては文句なし、見ている最中も『これは4℃らしい作品』と唸ったの
亀「煙突ばかりで少しだけ煙いあの町の、若干陰鬱としながらも、子供むけ作品として暗くなりすぎないバランスなどは本当に素晴らしかった。
色や町がそこにある感じというかの、その作り込みが見事。
今作はプペルのキャラクター性が独特ながらも、それが全くの違和感がない作品となっておる」
カエル「原作の絵本も町並みが本当に素晴らしくて、この舞台がプペル、ルビッチに次ぐ、第3の登場人物という印象もあったよね。
動かすとなるととても大変なことになるけれど、それも作り込みが素晴らしいから、あまり気になることがなかったし!」
亀「例えば、序盤にとてもよく動くアクションシーンなどもあったが、それらは見ていて爽快感すら覚えるものであった。
横スクロールアクションのゲームのような描写もあり、色々と演出的な冒険もされていて楽しかった。
またキャラクター表現などは絵本よりも、よりキャラクター味が増しているとでもいうかの……CGに合うようになっておる印象がある。ここは言葉にするのが難しいが、の」
一方では、少し気になったのはハロウィンダンスなどの音と動きを合わせるシーンかなぁ
あまり魅力がなかったの
カエル「ハロウィンダンスはそのための振り付け師がいたり、相当力を入れていたのもわかるんだよ。それで動き回るのも確かにすごくて、見応えがあるんだけれど……こう、何かが違うというか……」
亀「それこそ新海作品があれだけヒットしたからこそ、多くのアニメで音楽を鳴らしてエモーショナルにすることが流行しておる。その試み自体は間違いだとは言わん。それこそ、ディズニーがミュージカルとして昔からやっているように、とても効果的でわかりやすく楽しい描写であるからの。
しかし……どうにも、とてもいい楽曲を使い、動きもいいのにも関わらず、グッとこない。
音と絵を合わせることはまた1つの才能であるが、新海監督とまでは言わないまでも、もう少し力を発揮して欲しかったというのが、正直なところじゃな」
カエル「なんていうか……全部が抜けているというかなぁ。
見た目は派手なんだけれど、味が感じられない印象もあったんだよね」
亀「作品全体を見たときに、その場面をそこに入れる必然性がない、などもあったのかもしれん。あとは作品テイストを大きく変えるほどのものでなかったり、との。
色々と効果的な演出も見受けられたものの、ここが難しく、かなり中弛みがでてしまった印象もあるの」
物語について
一方、物語についてなんだけれど……
ふむ……何とも表現が難しいの
カエル「えっと……端的に言って、面白かったの、つまらなかったの?」
亀「ふむ……わからん。
強いて言えば、無味無臭じゃ」
カエル「……え、それってどういうこと?」
亀「元々絵本原作の作品を頑張って引き伸ばしていることもあるんじゃろうが、物語としては相当スカスカなように感じてしまった。
しかも、間延びしたスカスカではなく……単純に、味気ない。
味がない。
わしとしては、眠くなってしまう部分もあるが……ひっかかかるものが何1つとしてなかった印象じゃな」
それって、元々の物語が悪いということ?
ふむ……西野亮廣のストーリーテラーとしての大きな課題が、ここにあると言わざるを得ない
カエル「色々と批判されている部分もあるし、一方で褒められている部分もあるという、とても評価が難しいよね。
芸人が絵本(笑い以外の表現)をしました! というのとも、ちょっと違う気がする……」
亀「まあ、色々な評価があるじゃろうし、良い面も悪い面もあるじゃろうが、この本のように名義貸しのような形であれ旗振り役となり、監督として声をあげ、数多くのクリエイターを動かす作り方そのものは否定しない。
今作が映画化まで繋がったのは”キングコング西野亮廣”という名前があったのは間違いないからの。
ただ、あくまでもわしから見たらじゃが……ストーリーテラーとして大きな課題がある」
カエル「それが、さっきの”無味無臭”ということ?」
亀「そうじゃな。
つまり、個性がない。
顔が見えない。
何を考え、どのような思想を持ち、何を伝えたいのか。それが伝わってこない。
例えば、絵本作家でいえば五味太郎などは強烈な個性の持ち主じゃろう。『みんなうんち』なんて絵本を思いつき、形にできる時点で、常人とは異なる個性を持つ。
『大人問題』という本を読むと、言っていることがあまりにも突飛すぎて、気を失うかもしれんぞ」
それから近年の絵本では『くまとやまねこ』を強くオススメしたいの
クマとヤマネコの関係を通して、死について考えさせられる名作絵本だね
亀「これらの作品からは強烈なまでの作家性・個性、あるいは思想がある。そしてそれを押しつけず、子供たちに考えさせる……いや、もっと根源的な、そう、気づかせる、とでもいうかの。そういった面白みがある。
わしが思うに、多くの作家志望者とプロ作家の違いの1つが……もちろん作品量産スピードとか、あるいは単純な技術力などもあるじゃろうが、それ以上にこの”作家性・個性”というものがあると思う。
優れた作家は1P、いや、冒頭の1文を読ませるだけでも、その世界へと誘う。
ただの日本語の羅列が、明確な個性をもった文章として、匂いや味を感じさせる。
そのむせかえるような匂い……それこそが”個性・作家性”につながる」
カエル「それがあまり感じられない、と……」
亀「おそらく、西野が批判される理由もそうじゃろう。
確かに言っていることは壮大で、夢もある。行動力もあり、実行してきた結果もある。
じゃが……その根底にあるもの、つまり、思想・心情・信念、そういった表現者としての核になるものが見えづらい。
そして、それを指摘されるからか、あるいはそれを隠そうとするのか、自分でも気がついておらんのかは知らんが、いつも何かに怒っているように見えてしまう。
その結果……本人はどう思っているかはわからんが、ビジネス的なものに感じられてしまう。
今作も、とても良いことを言っておる。教育的にも思える。
しかし、胸にこない。
良くも悪くも引っかかるものがなく、言葉や物語が上滑りしている。
この作品をここまでの完成度に引き上げた作画などのスタッフ陣はとてつもないと思いつつも、物語そのものは味気ない……それが今作のチグハグさかもしれん」
キャストについて
最後に、キャストについて触れていきましょう!
そこも文句なしに褒めじゃな
カエル「今作は芸能人声優を起用した中でも、成功例として語られるであろう作品の1つではないでしょうか!?」
亀「最近は芸能人声優=下手、ということは少なくなったが、今作はまた1つその思いを打ち破る作品となったの。
ルビッチ役の芦田愛菜はとても純心な少年の声を当てていた。感情が豊かで、よく伝わってくる演技であったの」
カエル「何よりも褒めたいのは、プペル役の窪田正孝だよね!
言われなければ全くわからないような、見事な演技だったよ!」
亀「完全に声がいつもの演技とは違う人で、少し間の抜けた……おじさんとまでは言わないまでも、変な人だと思わせたからの。
それでも芯のところはあったかい。その人間性がはっきりとでておった。
その真逆の演技を披露したのが國村隼であり、その声質などからいつもの國村隼だと一発でわかる演技ではある。しかし、その含蓄のある、深みのある演技は何も言わせることなく、作品世界へと引っ張り込む。
役者がキャラクターに合わせるのではなく、キャラクターが役者に寄っていく演技、とでもいうかの。その引っ張り方が本当に素晴らしい」
カエル「今回は文句のある人はいなかったよね!」
亀「強いて言えば、藤森慎吾がいつもの藤森節が出過ぎているような気もしたが、それも許容範囲じゃろう。
全体的に十分楽しむことのできる、見事な作品だったと思うぞ」
最後に
今回は短めですが、この辺りで記事は終了になります!
悪くはない。ただ、もうし少し物語に味付けをしっかりとして欲しかったの
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