今回は2020年のポケモン映画である『劇場版ポケットモンスター ココ』の感想記事になります!
公開延期したものの、楽しみにしている作品じゃな
カエルくん(以下カエル)
「毎年、面白い作品を更新し続けているポケモンの新作とだけあって、とても楽しみだね!」
亀爺(以下亀)
「予告を見る限りでは夏に見たい作品ではあるものの、冬でも楽しんでいきたいの」
カエル「というわけで、早速ですが感想記事のスタートです!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートします!
#ポケモン映画#ココ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年12月25日
今年のポケモンは意欲作!
インド映画ばりに歌と動きが派手派手な映像に笑って楽しみ、父と子の関係性を問い直すストーリーには思わず目頭が熱くなる場面も
物語の重さなど気になる点はありつつも全体としては満足感の高い良作ではないでしょうか pic.twitter.com/t1Z0ukLPIs
さすがはポケモン映画、とてもレベルの高い作品じゃったの
カエル「公開延期してしまい、夏の様相がある作品が冬公開になってしまったところもありますが、それ以外はとてもレベルの高い、満足度のある作品なのではないでしょうか?」
亀「全体的にレベルの高さを見せつけられた作品じゃな。
序盤からアクションシーンでは動きまわり、キャラクターの魅力も豊富。画面から溢れるジャングルの自然描写の美しさや、ポケモンたちのみならず、赤ちゃんの動きすらも完璧と言える。
また、音楽に関しては癖はあるものの、それがかえって味となっておる。
そうじゃな……短評でも書いているが、インド映画を見たような印象を覚えるのではないかの」
いきなりこの歌が流れ出して「インド映画!?」となりました……
音楽と合わせて映像が動き回るシーンがとても多かった印象だね
この辺りは『君の名は。』あたりを意識しているのかもしれん
カエル「EDでも今作で中心となったポケモンたちの可愛らしいシーンがあったりと、最後まで飽きさせることなく見せよう! という意識に溢れた作品だったね」
亀「今作の監督を務めた矢嶋監督は2018年の『みんなの物語』から、2年越しのポケモン監督作品となるが、この作品のヒットがあってこその『ココ』であることは間違いない。
この手の毎年作られるキャラクタームービーは企画設立から2年間で1作を作り上げるのが多いとされているが、やはり『みんなの物語』のヒットがあり、伝説のポケモンとのバトルなどを描く旧シリーズとは異なるテイストの作品を作り、それがヒットした形じゃな。
昨年の『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の路線を……つまり、過去の名作をCGアニメ化していく路線を継続するのかはわからんが、1つはこのまま矢嶋監督が引っ張っていくスタイルになることは、ほぼ間違いないのではないかの」
矢嶋監督の思いを反映した、父と子の物語
今作を制作するにあたり、矢嶋監督は以下のインタビューでこのように発言しています!
>ザルードとココ自体は僕の体験談から取り入れていったので……
>僕の体験談を結構盛り込んでいきました。ココに関しても自身の子供時代を思い描いて作っていったので、そこまで大変だった思いはないですね。
とはいえ、なかなか難しそうな部分も見え隠れしてはいたかの
カエル「今作では『ココ』というタイトルがあるように、主人公はサトシではなく、ココと見る方がしっくりくるんじゃないかなぁ。
もちろん、サトシも主人公だから、W主人公と言えるけれど……どちらか1人を選べ! と言われたら、やっぱりココだと思うんだよね」
亀「成長するのも今作で特に多く出番が与えられているのも、ココじゃからな。
今作は予告からも伝わってくるものの、特に”家族・親子関係”というものにスポットを当てておる。しかも、結果的にではあるが……ポケモンに育てられた子供ということで、当然血の繋がりはない。
また人種どころか、そもそも生き物としての種類も異なり、しかも片親じゃ。それを考えると、海外でも通用するであろう家族像を打ち出してきた、ということになる。
それに加えて、現在3歳と5歳のお子さんの育児中の矢嶋監督の父親目線が入る作品となっておる。
少し家族描写などを口にしすぎな気もするが、全体としては納得感の強い作品になっているのではないかの」
作劇の難しさ
とても泣ける作品になっています!
ただし、今回は作劇の難しさというのも少し感じてしまったの
カエル「お馴染みのキャラクターやポケモンが、サトシ・ピカチュウ・ロケット団のいつもの面々しかいないんだよね。
いつもだったら……タケシ・カスミなどのその時々のサブキャラクターだったり、手持ちポケモンが出てきたりするけれど、今回はそれがないわけで……」
亀「ココはポケモンの言葉が話せるが、人間と交わったことがないために人の言葉を話せない。それでも意思の疎通はある程度できるのじゃが……ここが少し、難点として浮かび上がったかの。
というのも、サトシが1人物語を動かしたりするなど、人間サイドでは……なんというか、別の視点を与えてくれる存在がいないわけじゃな」
カエル「例えばサトシが暴走しようとして、それを止めるカスミとか、あるいは料理を作って和やかに話を掘り下げるタケシとか、ってことだね」
亀「ココとサトシは同じような存在として描かれておる。
どちらも直情的でありながらも、非常にポケモン思い。どちらも10歳の少年であり、主人公タイプじゃな。だからこそW主人公として成立しておる。
ココのパートはザルードなどがいるが、サトシはそういった周囲の存在がいない。ロケット団もそういう役割とは少し違うしの。
そこで作劇に重みが出てしまい、停滞感を覚えてしまった印象じゃな。
あとは、後半まではバトルが少ないといのも、少し物語の重みを感じた要因かもしれん。結構ココの説明などを丁寧にやるために、物語そのものの進行が遅くなってしまった印象もあるかの」
声優について
今回は軽く、声優陣について触れていきましょう!
いやいや、これもなかなか良かったの
カエル「ココを演じたのは上白石萌歌ですが、これもなかなか合っていたよね!」
亀「演技そのものはケチがつかん。
とてもいい声で、作品を盛り上げてくれた。声の演技に関しては萌音ちゃんばかりを注目しておったが、彼女もなかなかの素質を見せてくれている。
ただ……やはり、声質が女の子すぎる気もするの。
ココという名前や、髪型などもあって、実は女の子でした! という展開もあるかと思ったの」
カエル「上半身裸だから、そんなわけないんだけれどね」
亀「ザルード役の中村勘九郎も良かった。
今回は津田健次郎と絡むシーンも多かったのじゃが、どちらも渋い声質ながらもしっかりと演技の掛け合いがされておった。
しょこたんは、毎度お馴染みであり、もはや普通の声優と技量も変わらんから言うことなし。
全体的に声の演技の方向性やまとまりもあり、違和感がほとんどない作品じゃったの」
以下ネタバレあり
作品考察
自然と文明の対決の映画として〜『ウルフウォーカー』『羅小黒戦記』との対比〜
では、ここからはネタバレありで語っていきましょう
今作は文明論で語りたいの
カエル「今回、参考にする映画は以下の2作です!
どちらも海外アニメーション映画ですが、2020年でも中心に近い位置にいるであろう作品たちです!」
簡単にまとめると、以下の点で共通する
- 自然と文明(科学)の対立
- 片方は淘汰される側であり、片方が強者
- 自然には自然の文化、文明には文明の文化がある
カエル「ふむふむ……
『ウルフウォーカー』はヨーロッパのアニメーションだけれど、スタジオジブリなどの影響を受けながらも、そこに匹敵しそうなほど大スタジオになりそうな雰囲気すら漂う作品だよね。それこそ”ヨーロッパ版もののけ姫”とでもいうか。
『羅小黒戦記』は中国のアニメ映画だけれど、『NARUTO』などの日本アニメに影響を受けながらも妖精たちが繰り広げる忍術バトルが面白い作品でした」
亀「さらにまとめると、以下のようになる」
- ウルフウォーカー→自然側の主人公でありながらも、淘汰されていく運命を描く
- 羅小黒戦記→自然側の主人公が文明を学び、自然側が淘汰されていく運命を描く
どちらも自然が淘汰される物語ではあるんだね
どちらも非常にうまく、面白い作品じゃな
亀「例えば『ウルフウォーカー』で言えば、淘汰されていく自然がキリスト教の教えによって駆逐されてしまったかつての文明・文化を表現していると言える。
わしが言いたいのは”自然と文明の対比”というのは、どこの国でもよくあるものでありつつも、その描き方が全然違うということじゃな」
カエル「ふむふむ……それでいうと、『ココ』は自然との共生社会を描いているわけだね」
亀「うむ。
今回の敵は科学の暴走じゃ。
わしとしてはあの人を敵にするのは、流石に無理があると感じた部分もあるが……それがザルードと対比していると考えれば、まあ納得はできなくはない。
話を戻して、ヨーロッパも中国も自然というものを壊していき文明を築き上げた歴史を持つ。ヨーロッパの平原は本来森であったが、その木を切り落とした結果生まれたものとも言われておるの」
カエル「日本も環境破壊は進んでいるとはいえ、まだまだ山とかはたくさんあるし、少し郊外に行けば自然もあるよね。
最近は自然と人間の住む世界が近くなりすぎて、害獣などの被害もあるようだけれど……」
亀「ここで"共存しよう"という考え方になるのが、日本流な印象を受けたの。
それこそ『もののけ姫』などもそうであるが……自然の神秘が滅んだとしても、山に住む者と里(文明)に住む者に別れていくという考え方じゃな。片方を滅ぼして……とはならないような物語というかの。
この2作を比較した場合、日本らしさや日本のアニメが子供達に伝えたいことがはっきりとでており、民族性があるようで面白かったの」
最後に
とりあえず、今回はこの辺りで終了になります!
来年も楽しみじゃな
物語る亀、全編書き下ろし書籍がKADOKAWAより発売です!
電子書籍版もあるので、是非ともご購入をお願いします!
上記画像クリックでAmazonのリンクへと飛びます