カエルくん(以下カエル)
「じゃあ、主が今1番楽しみにしているテレビアニメ、リトルウィッチアカデミアの感想記事を始めるよー!」
ブログ主(以下主)
「日曜日の深夜が憩いの時間です、本当に」
カエル「本当はもっともっとアニメについて語りたいんだけど、時間がねぇ……」
主「映画を毎週何本も観ているのに、観たい映画がさらに増えていくってどういうことだよ!?
意味が全くわからないよ! なんでこんなに毎週公開するのさ!」
カエル「……何を怒っているのか全くわからないんだけど……」
主「しかも小規模公開映画も面白い映画が多いし、少しでもいい評価があると見に行きたくなるし……
これで漫画や小説もあるんだよ!? 全く手が回らない!」
カエル「別に誰も頼んでいないんだけど……」
主「こうなったら奥の手を使うか……?」
カエル「え? 何?」
主「……会社を退職する」
カエル「あ、その選択肢はやめといた方がいいよ。1番ダメなパターンだから。映画を見るのも小説、漫画を買うのもお金がかかるからね。
仮に主の年収が300万円に満たない低所得者だとしても、それだけ稼ぐのは相当大変だから」
主「わかっているわ!
まあ、でもやっぱり夢は追いたくなるよねって話で……」
カエル「こういうのは趣味だから面白んだよ?」
主「……これ以上つまらない話をする前に、感想記事スタート!」
1 リトルウィッチアカデミアとは?
カエル「まずは、このブログでリトルウィッチアカデミアとはどのような作品として捉えているか、ということについて説明しようか」
主「本作は『SHIROBAKO』や『千年女優』などと同じような作品であるという評価をしている。つまり、一見するとただの魔法少女の成長物語のようであるが、その本質は『アニメを描いたアニメ』ということだ。
SHIROBAKOはアニメを作ることを描いたアニメであり、千年女優は映画を描いたアニメ映画だから、似ているものがあるな」
カエル「最近だと絶賛公開中のラ・ラ・ランドもそうだよね。あれも『(ミュージカル)映画を描いた映画』として話題だし」
主「そうね。 SHIROBAKOは直接的なモデルもいるから、あまりひどい描き方はできないけれど、本作はあくまでもメタファーとして魔女を使って描いているから、そういうことも可能になるわけだ」
物語は新たなステージへ
カエル「まだ途中だからはっきりとはわからない部分もあるけれど、この7話以降というのは何を表しているの?」
主「まず、1〜3話は状況説明とアッコがなぜそんなに魔女になりたいのか、ということを中心に描いてきた。
これは魔女=アニメーターのメタファーであるけれど、アニメ業界に新しく入ってきたアニメーターが、なぜそれをやりたいのか? という動機を描いている。
それははっきりと『夢』とか『好きだから』というような、憧れからスタートしているわけだ」
カエル「シャリオというのは『憧れの天才アニメーター』の象徴だっていう話だもんね」
主「現実に話すと、例えば宮崎駿とか庵野秀明に憧れてアニメ業界に入るのと一緒なんだよ。そのスタートを描いたのが1〜3話。
そして4〜6話は覚悟を描いてきた。つまり、ネットじゃクソみたいに叩かれるし、学園=アニメ会社は金回りが悪いし、そもそも魔法=手書き作画は時代遅れみたいな扱いを受ける……それでもあなたは魔女=アニメーターを目指しますか? という。
その現実を見た上で、アッコは『シャリオになりたい!』と涙ながらには話す。これによって、覚悟が決まったわけだな」
カエル「じゃあ、この7、8話はどのように評価するの?」
主「一言に表すのは難しいけれど……強いて言うならば『創作における問題点』に着目している、という言い方になるかな?」
カエル「じゃあ、今回はその目線からこの作品を語っていこうか」
2 七話の感想
カエル「先に7話の感想から始めようか」
主「前回語れなかったからね、まあ、少しだけ語っておこうか」
カエル「7話は一見するとアッコのドタバタ話だけど、これをどう解釈するの?」
主「夢もある、覚悟も決まったアッコだけど、残念なことに1つだけまだ足りないものがある。それは何かというと『実力』なんだよ。
教えてもらったことができない、満足いく結果を出すことができない。
『SHIROBAKO』でもあったけれど、アニメーターは描いた枚数に応じてお金が支払われる、能力給なわけじゃない? だけど、まだ経験の浅い『好き』の気持ちだけのアッコには能力がないんだよ」
カエル「どれだけ勉強=座学、論理を学んでも実際に書く手の早さ=魔法の技術は簡単に上がらないってことだよね」
主「あの金魚先生の言葉が聞き取れない、というのも、そもそも専門用語がわからないという解釈もできる。
例えばさ、そこいらの全く素人が……そうだな中割り、原冊、タップとかって言われると全く理解することができないじゃない? それってどういうことなんだろう? って考えているうちに、それを理解している周りの生徒たちはどんどん成長してしまうんだよ」
カエル「だからたくさんの魔法を学んでも、それが全くわからない=素人、ということを描いているんだね」
主「アッコってアニメーターとして考えるとかなり凄い奴でさ、そんなに絵を描いたことがない、下手くそな素人だけど、アニメーターになりたいと思ってアニメ専門学校に入ってきたようなものなんだよ。魔女家系=訓練してきた生徒たちとは、元が全く違うわけだから」
見守る先生と生徒。いい関係です。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
クビになりそうなアッコ
カエル「そのアッコが退学になりそうっていうのは、どういう事なんだろ?」
主「つまり、これってアニメ業界に対して疑問を呈しているんだよ。ど素人の新人であっても、ある程度の結果が求められる。何もできないというのはいらない、というの即戦力主義が今のアニメ界。
どれだけ熱意があっても仕事をこなす事が出来なければ退学=クビになってしまうという事を描いてきた」
カエル「ふむ……じゃあそれでいいの? ってことなのか」
主「最初はみんな素人なんだけど、その時点である程度以上の能力を求められる仕事でもあるんだよね。でもさ、それって考えてみるとおかしな話なんだよね。
例えば料理や大工の職人を目指すとしても、最初は包丁や金槌を持ったこともない若い人を教えることから始まるわけだからさ。それが見習いとして……まあ、あまりいい環境ではないにしろ、衣食住がついたりして育てる土壌はあるわけだ。
だけど、アニメ業界にそれがあるかというと……そうでもないよね」
カエル「そういうことを描いているわけだ。じゃあ、あの魚の先生のことって?」
主「見方を変えることで見えてくるものもあるということだと思うし、それで理解できることもあるということでもあるだろうね。
ただ、この話は少し皮肉でもあると思うんだよね」
カエル「皮肉?」
主「あれだけの奇跡が起きないと、その体質は変えられないっていう皮肉」
カエル「ああ……確かにあんな奇跡って中々起きないものね」
主「アッコは残り1回の魔法を他の魚のために使った……そういう他者を思いやる心を持っているし、すごく大切なものを持っているのに、試験やその時点の能力で弾くことが正しいのか? ということ。しかも理論を実践しているのに……
その体質を変えるべきだっていう意見もあると思うんだよね。
だから『バカです!』までアーシュラ先生は言い切ったんだよ。少しでも成長している人を、守らない体質ってどうなの? ということをメッセージとして持っている。すごく挑戦的だよね」
3 八話が描いたこと
カエル「じゃあ、次は8話に関してだけど、これって何を描いているの?」
主「8話はスーシィの夢の中に入るという話だけど、すごく大事なことを描いている。創作の態度として、これは本当に大切なことなんだよ」
カエル「へぇ……それって何?」
主「もちろん、絵としてはアメリカのようなカートゥーンの絵柄を真似させたり、昔ながらのアニメを表現したかった&若いアニメーターに教えたかった、というのはあると思う。
ああいうのも結構いいよね。古い技術っていつも時代遅れのように言われるけれど、実はそこから新しい表現って見つかったりするから、そういうのもすごく大事。
TRIGGERのすごいところは、今ってこういうことを学ぶ場所ってほとんどないじゃない? こういう絵で作る会社は……どうだろう、TRIGGER以外ないんじゃないかな? その教育の場としても機能しているよね」
カエル「ふぅ〜ん……今回って夢の中の話じゃない? これって魔法モノであって、ただでさえ何でもありの世界観のわけじゃない? その上で、さらに何でもありの夢を舞台にする理由ってあるの?」
主「そこがこの話の重要な部分なんだよ!」
こんな化け物を生まないように……
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
夢の中の暴走
主「これってアニメ表現に限らないけれど、ここ最近個人的に危惧していることでもあるんだよね……」
カエル「お! というと?」
主「今ってスマフォの広告などで漫画が貼られているじゃない? あれって結構残虐な漫画がエロチックな漫画が多いわけだ。
じゃあ、何でそんな漫画ばかり広告が貼られると思う?」
カエル「……え? それはその方がクリック率がいいからでしょ?」
主「そう。たった1コマ2コマで広告をクリックしてもらう、作品に興味を持ってもらうための方法なんだけど……そのために過激なことを描いている作品が多いわけだ。
本当はそういう作品でもないのに、少しでも残虐な、あるいはエロチックな場面をピックアップして売ろうとするというね。
でも、これってやっぱり効果的なんだよ。おそらくこうでもしないと宣伝としては約にたたないから」
カエル「それが今回と何と関係があるの?」
主「つまりさ、創作においてキャッチーだからとどこまで過激なことをしていいのか? という問題を含んでいるわけだ。
直接的に作品名は避けるけれど、最近そこそこヒットした漫画でもそういうのがあるじゃない? 例えば人を食べるとかさ、究極のエロのハーレム空間を作り出すとか……もちろん、それはダメではないし、しっかりと考えられて練られていれば問題ないんだよ。だけど『そうするとキャッチーだよね』って安易に手を出すと、トンデモナイものが出来上がる可能性もある」
カエル「この世の中はR18ばかりになってしまうかもね」
主「そういったキャッチーな要素を多く取り入れようとしたら、暴走してあんな化け物ができてしまうかもしれない。それを自制しなければ、エンターテイメントとして失格である、という教育でもあるわけだ。
そしてそれは業界全体に求められることでもある。たった1人、1社がトンデモナイものを作り出したせいで、規制を行い始めたという例はどこの業界でもあるでしょ? そういうことをする人が1人いると、業界全体を滅ぼす可能性すらも含んでいる。特にエンタメ業界は目につきやすいからね」
エンターテイナーとして
カエル「ああ、その主張を補完するのが、その前にさらりと出た『色々なスーシィの姿』なんだね!」
主「その通り!
あの中で『影響されやすいスーシィ』や『すぐ真似するスーシィ』『すぐパクるスーシィ』が出てくる。そのあとに『人を喜ばせたいスーシィ』が出てくるけれど、そのやり方が間違っているとアッコに指摘される。
それってすごく大事なことで、こういう気持ちを潰していかないと表現者として大成しないよってことでもあるんだよね」
カエル「だから裁判にかけようってことになるんだ」
主「世間に唾を吐くことも、すぐ真似することも、影響されやすいのも悪いことではないよ。模倣精神といえば、それはそれで創作者に大切なことだから。
だけど、そういう気持ちを助長させては真のエンターテイメントにはならないんじゃないの? ということでもある」
カエル「……でもさ、それをTRIGGERがいう? って気持ちも少しはあるけれど……」
主「たぶん、相当過激なことをしている会社のように見えても、どこかで一線は引いているんだろうね。確かにエロもあればグロも度々登場する会社ではあるけれど、それを見ていて不快にさせない、自社の倫理観に則った作品を制作しているということかもね」
『パクリ』 と『パロディ』は難しい……
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
キャラクターの深堀
カエル「最後に、キャラクターのお話だけど……」
主「特に7話なんかは後々の伏線をきっちりと貼っているとみた。例えば7話はこの作品で重要な立ち位置になるであろうアーシュラ先生の深掘りだったわけだけど、それは後々に生きてくるでしょう。
この作品を見ていてすごいなぁ、と思うのが、この伏線の張り方とキャラクターの活かし方で……4話のロッテのお話もそうだけど、この先に生きてきそうな設定を次々に開示していくじゃない?
結構伏線を張る時って明らかな伏線を張ったり、そういうことに終始する回はつまらなかったりするけれど、本作はそうなっていない。きちんと各話にテーマがあり、教育的な意味があり、そしてそれを楽しませるエンタメ性がある。
やっぱり見事な作品だよね」
カエル「その意味でいうと8話のスーシィのお話は?」
主「能力はそれなりにあるんだろうけれど、エンターテイナーとしてすこし危ない方向に行きがちなスーシィの姿が描かれたからさ、今後は手段を選ばずとか、そういう方向に走り出しちゃうかもしれないね。
この先……特に2クール目にどんな展開にしてくるか、全く読めない部分でもあるけれど、結構活かしようがあると思う。相当練られたストーリー構成だなぁ。
オリジナルの強みでもあるよね」
最後に
カエル「じゃあ、これで最後にするけれど……」
主「たぶん、これって来週も更新するだろうなぁ……
3話ごとにキーになるお話が入ってくるし、次は結構すごい回になるはずだよ!」
カエル「ちなみに、元々そうかもしれないけれど今回はパロディが多かったよね」
主「こう言うテーマの作品だから、というのもあると思う。エンターテイナーとしての『パロディ』と『パクリ』って似ているようだけど全く違う。
こんな作品を作るのは勇気が必要なんだよ。もしかしたら『お前が言うな!』って言われるかもしれないし、さらに『あんな会社が大きなことを言いやがって……』みたいな影口を叩かれる可能性もあるから。
だけど、こういう事を描くTRIGGERや吉成監督、今石洋之のチャレンジ精神というのは面白いよね。どこの会社もそれぞれの特徴を活かすように制作しているけれど、特にTRIGGERは尖っていて面白いよ」
カエル「チャレンジ精神に溢れる作品なんだね」
主「ああ! こういう作品がもっとたくさんあるかもしれないのに、それを見る時間がない! もっと時間が欲しい!」
カエル「時間は有限だよ、頑張って自分で捻出してね」

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