テ今回はテレビアニメ『BNA』の感想記事になります!
Netflixで先行配信を見ました!
カエルくん(以下カエル)
「この記事を書いている時点では1話がテレビ公開なので、この記事では
- 1話の印象
- ネタバレありで6話までの話
をしていきます!」
主
「色々と注目度の高い作品だし、やっていこうか」
カエル「というわけで……早速ですが記事のスタートです!」
感想
テそれでは、Twitterの短評からスタートです
#BNA
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年3月22日
6話まで
いよいよtriggerが世界を取りに来たなぁ…と感じつつも、動物×差別がテーマだとズートピアにはどうしても届かない感も
3話までは心配になった5話以降はキチンと面白い
特に5話はさすが今石絵コンテ、快楽性の塊で脳汁が溢れ出てきた
とりあえず試聴は継続しよう pic.twitter.com/pujvfVaEQH
とりあえず6話までは、この後が楽しくなりそうかなぁ……
カエル「Netflixでは6話まで配信されており、そちらの先行配信を鑑賞しています。
ネタバレしないように感想を話すけれど……ちょっと期待値に比べると、そこまででもないのかな? という気持ちもあるのかな」
主「いや、間違いなく7話以降は面白くなってくるよ。
ただし1〜3話くらいになると……個人的には微妙な出来だった。
もちろん、アニメ作品として……映像面の魅力は突き抜けている。
例えば、1話では序盤の戦闘シーンでみちるが獣人狩りの男に追いかけられているところで、車から落ちてコロコロと丸々姿なんてものは、映像面で見てもこの作品の魅力を端的に発揮したものだったろう」
カエル「動物の特徴を捉えながらも擬人化表現というのは、ディズニーなどの往年の名作から続く、アニメーションならではの快感性をもつ作品でもあるよね」
主「そういった面白さはきちんと完備している。
あとは今回は吉成曜監督作品だけれど、アニメーターとしたは誰もが認める超一流なれども、監督としては長年関わってきた『リトルウィッチアカデミア』に続く2作目だから、ちょっと言葉が難しい部分もあるけれど……
『リトルウィッチアカデミア』でも発揮された、1人1人のキャラクターの魅力を発揮した群像劇としての面白さも発揮されるであろう作品という予感もあるかな」
世界を狙いにきたTRIGGERと、個人的な懸念
テそれだけ面白そうという予感がありながらも、1〜3話くらいは微妙なんだよね?
まあ、舞台設定やキャラクター・状況の説明の回ということもあるけれどね
カエル「リアルサウンド映画部ではこのような記事も書いています」
主「すごく簡単にまとめると、TRIGGERは今作でも明確に世界を取りに来ている。
これは『ズートピア』などもそうだったけれど、この動物社会をモチーフに差別問題を描くことによって、世界的に関心の高い問題を内包し、社会性を獲得しようとしているわけだ。
また、これは近年のTRIGGERらしい意欲的な試みと言える。例えば『キルラキル』も階層の問題を内包していたし、またその描き方は賛否両論があったものの『プロメア』も内容は差別問題を描き出している」
カエル「……なんていうか、TRIGGERってそういう隠れたテーマみたいのをやる印象でもあるんだよね。
ガイナックス時代だけれど、TRIGGERメンバーが中心となった『天元突破グレンラガン』ではロボットアニメの変換の歴史をも表現してきたと言われているじゃない?
あとは……うちの記事では何度も語ったけれど『リトルウィッチアカデミア』はアニメ業界について触れてきたわけだし……」
今回はだいぶ表に出してきたが、そのテーマを描くのは世界展開を狙う上では当然だろう
主「たださ……自分としては、この描き方って『ズートピア』の完成度が圧倒的に高い。
あの120分以内でワクワクする世界観を提示し、肉食獣と草食獣の文化の違いを表現、さらにミステリー、バディ、そういった様々な要素を、高い完成度で描き抜いた作品だ。
そして同じ『+ultra』内では『BEASTERS』もあったわけで……そんな中で、今作のみの特色を出せているのか? というと、少し疑問がある」
テう〜ん……贅沢な悩みな気もするんだよなぁ
あとは、単純に中島かずき脚本のテイストに望むものが、あまり感じられないということもあるかなぁ
主「すごく簡単にいうと、1話〜3話までは王道というか、この作品のテーマを描くことに終始した印象もある。
だけれど……自分は舞台を見ない人間だけれど、中島かずき脚本と聞くと、あのデタラメなまでの熱さを望む人も多いと思う。その意味では、本作の1〜3話はまとまり過ぎているような印象も感じられた。
それは、後述する声優の問題もあるような気がする」
声優について
テえっと……それは主演の諸星すみれが下手って意味?
違う違う、上手い下手ではなくて、方向性の問題
主「過去作……特に中島かずき脚本だと『グレンラガン』も『キルラキル』も『プロメア』もそうだったけれど、主要登場人物が”うたう”じゃない?」
カエル「この場合のうたうっていうのは、ラ〜ラ〜ラ〜♪ みたいなことではなくて……例えるならば寅さんの口上のような、リズム感のある話し方のことだよね。
もっと言えば歌舞伎のような啖呵の切り方」
主「そうそう。
柿原徹也、小西克幸、小清水亜美、松山ケンイチ……これらの主要キャストは、もちろん演技が上手いことは当然だけれど、同時に啖呵を切る独特な話し方が板についていた。
で、今回はそんな演技ではない。
むしろ……吉成曜監督ということを考えれば当然だけれど『リトルウィッチアカデミア』に近い印象がある。
その意味では、あのデタラメな熱さがないことが、自分の違和感の原因かも知れない。
まあ、それを追い求めるならば今石監督でいいわけだから、それが悪いというのも憚られるけれどさ……」
テなんか、それってTRIGGER=今石作品、みたいな印象が強いからじゃない?
それもあるかもね……また、放送前から中島かずきの名前も前面に出して宣伝していたからからこその違和感かも
カエル「でも声優陣が悪いってわけではないんだよね?」
主「そりゃそうだ。
あとはハリウッド式の差別とか、女性の苦境を描いた作品に飽きているというのもあるかもね。
とはいっても……今の状況を見ると、あれだけ語っても全く西洋でも浸透していなかったことがわかって、愕然としている自分もいるけれど。
で、声優の演技に話を戻すと……自分は癖のある声が好きだからというのもあるけれど、今回もいい味を出していると思ったのはマリー伊丹役の村瀬迪与だね。
リトルウィッチのスーシィもそうだったけれど、物語にいいアクセントを与えてくれる。
それこそ、新谷真弓と同じようなポジションの役柄だよね。
重要人物なんだけれど、主人公たちほど目立ち過ぎない、ある意味では3枚目に近いかも知れない、絶妙な脇役。
やっぱりTRIGGER作品には新谷真弓か、村瀬迪与が入ると、キャラクターの広がりが感じられるな」
以下6話までのネタバレあり
作品考察
1~3話の主張
テでは、ここからは6話までの感想をネタバレありで語っていきます1
……やっぱり、1〜3話が失敗した気もするんだよねぇ
カエル「え、失敗?
面白いと思うけれど……」
主「1〜3話って最初の世界観を説明する、いわゆる入門のお話になってくるわけだ。3話までは見て、そこで今後の視聴を決めるという人もいるぐらい、大事な導入になってくる。
今作では
- 1話〜獣人と人間の対立
- 2話〜獣人の世界で生きる女性の問題の深堀り
- 3話〜社会・企業の闇と市長の紹介
こういう風になっている。
もしかしたら、2話構成の方が正しいのかも知れないね。
そう考えると4話が、人間社会での獣人の扱い……それは悪意なき差別・偏見のお話になるから、獣人社会の企業などの闇を描いた3話と、人間社会の獣人への目を描いた4話とセット考えることもできる」
テそれを聞くと、結構計算されているようにも思えるけれど……
……これがなぁ、主張しすぎな気もする
カエル「まあ、うちはハリウッド式の女性解放・差別解消の理念は理解できるけれど、そのメッセージ一辺倒になっている現状に対してモヤモヤしたものを抱いているのもあるからかなぁ」
主「『リトルウィッチアカデミア』もアニメ業界について語った作品だけれど、それを表には主張しなかった。
『BNA』の場合、そのメッセージ性を前面に出しすぎているのではないか? という思いがある。
ただし、世界を狙いに行くならば、これは当然の選択でもある。
『パラサイト』だって、明確に社会風刺の側面があったからこそ、アメリカアカデミー賞でも評価された。いってしまえば、暗喩でなく語る方が”わかりやすく、伝わりやすい”んだよ。
しかも世界的にも売れているテーマだし、注目度を集めるし。
だけれど……それが、自分の違和感になっているんだよねぇ」
カエル「ここは個人の感覚によるものですが……」
主「もっと作品世界と、キャラクター性の説明をして欲しいんだよね。
3話もいうほど高揚感がなかったし……
本作の魅力はここです!
これに注目してください!
そういう個性が感じられなかったかなぁ……
この1〜3話のメッセージ性が前面に出過ぎていて、それがノイズに自分はなってしまったかなぁ」
5話の圧倒的な面白さ
テ先にいっておきますが、5話は非常に面白いです!
さっきから今石さんの話をするのも、この5話が圧巻に面白いからなんだよねぇ
カエル「この回は開始3分くらいで『あ、今石絵コンテ回だ』と気が付くよね。
野球回なんだけれど……例えば、ボールを受け止めた時にクルクル回るとか、あるいは目が飛び出す、腕がキラキラしながら太くなるとか、多くの場面で気持ちいいんだよね」
主「今石監督は『彼氏彼女の事情』などの鶴巻監督などから、漫画的表現に影響を受けているわけだ。それがパンストなどを経て、日本のアニメでありながらも、アメコミやカートゥーンのような動きをさらに追求していって、独特の快楽性の高い動きを獲得しているわけだ」
カエル「ザ・TRIGGERらしい、快楽性に満ちた動きがあるよね。
あとは……間の取り方とかも、ザ・今石作品という感じではあるよね」
主「だからさ……この回は脚本がうえのきみことはいえ、シリーズ構成である中島かずきが関わっていないわけはない……と思うけれどさ、物語の組み方も上手いんだよ。
表向きはきっちりと野球回、でもきちんと快楽性もありつつ、裏では弱いものが反逆していくドラマも描いているというバランスの良さなんだよね。
こういうのを見ると……あの1〜4話が少し物足りなくなる」
カエル「とはいっても、6話も面白いから、徐々に尻上がりでよくなっていく作品といえなくもないんだけれどね……」
主「悪い作品とは言わないし、TRIGGERらしさもあるけれど、ちょっと世界を視野にした目線が前に出過ぎているのではないかなぁ。
まあ、今後に期待ではあるけれどね」