カエルくん(以下カエル)
「よーし、今回は久々にアニメの感想記事を書くぞ!」
ブログ主(以下主)
「この冬はほとんどテレビアニメが見れていないからなぁ……溜まる一方だよ、本当に。
その中でも個人的注目作でもあるリトルウィッチアカデミアの記事からスタートしよう!」
カエル「本当は放送直後が感想アップに最適なのに、少し遅れちゃっているもんね」
主「まあ、それは仕方ないよ、うん。忙しいしさ、うん」
カエル「……なんか、今日Tweetで見た心療内科の漫画にそんなのがあったよね。『言い訳を最初に作っておくのは、自身がない人だ』ってやつ」
主「いや! 物理的に無理なだけだから! やること多すぎるだけだから! ああ、忙しいなぁ、うん!」
カエル「またそうやって言い訳を始める! いい? 時間というのはみんな平等に24時間与えられているの! その中で何をするかということが極めて大事なのであり……」
主「よし! 感想スタート!」
1 リトルウィッチアカデミアという革命
カエル「さて、何から話すの?」
主「いきなり話がずれるようで申し訳ないんだけど……この作品って、結構革新的な作品だと思うんだよね」
カエル「革新的? 何、よくある王道魔法少女アニメじゃないの?」
主「いや、まあ、それもそうなんだけど……この作品の成り立ちとか色々考えるとさ、結構新しい存在だなって思って」
カエル「……説明して?」
主「元々リトルウィッチアカデミアという作品は、アニメミライプロジェクトというアニメーター支援プロジェクトの一環で始まったのね。若手アニメーターを育成するという目的で、文化庁から委託を受けた団体が運営していてさ。
簡単に言えば国が金出すから、若手アニメーターをベテラン監督や作画監督が見てやってよ、というプロジェクトなわけだよ」
カエル「国も日本のアニメ界のために何もやっていないわけではない、という一例だよね。なかなか表に出て来ない部分もあるけれど、実際に作品を公開していることを考えれば、これは結構目に付きやすいプロジェクトじゃない?」
主「これは持論でもあるけれど、日本って短編アニメが出て来ないよね。海外だと、芸術的な短編アニメってそこそこあるわけだよ。
ユーリ・ノルシュテインとか、フレデリック・パックとかもいるし。古いアニメーター……と言っていいのかわからないけれど、現代でも通用するアニメを作った偉大な天才がいる」
カエル「日本はどうしてもテレビアニメや劇場アニメが発表の場になるから、短編アニメが陽の目を浴びる機会ってそんなにないよね……」
主「その数少ない機会の1つがアニメミライなどだったわけだ」
クラウドファンディングとアニメ
カエル「これは2016年の大ヒットアニメ『この世界の片隅に』が代表される、新しい集金方法の1つだよね」
主「それが目立つ形で出てきたのが、やはりこの世界の片隅に、だけど、その前からクラウドファンディングでお金を集めるというのは少なからずあったわけだ。その1つがこの作品で……
アニメミライプロジェクトで公開された作品を見て、この続編を作りたいからとクラウドファンディングで募集したところ、海外を中心にたくさんのお金が集まった。開始5時間で目標だった15万ドル(約1700万円)が集まり、募集期間終了時には62万ドル(約7000万円)が集まった。これを受けて本来は20分の予定だった新作が、40分に拡大されたわけだ」
カエル「それが映画化された『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』だよね」
主「もちろん、クラウドファンディングを使って続編を作ったということでも革新的なんだけど……個人的に注目するのが『短編を生かしたオリジナルアニメーション作り』なんだよね」
カエル「……どういうこと?」
短編を生かしたオリジナルアニメーション
主「今でもアニメって原作付きがとても多いけれど、その理由で大きいのは『オリジナルだとどのような作品かわからない』ということだ。
宣伝を打つ時、どれだけ流行るかわからない。そもそもどの層を狙っているのか、キービジュアルなどはあるにしろ、判断材料が少なかったりするわけだ。そういうこともあって、やはり壁があったわけだよ」
カエル「まあ、それはあるよね。ちょっと前に『オリジナルアニメを作ろう!』ということでテレビ東京系列で『アニメノチカラ』という番組帯が作られたけれど、結局大ヒットはせずに終わっちゃったしね」
主「そういうこともあって、オリジナルアニメって他のアニメよりもハードルは高いわけだ。もちろん、オリジナルアニメにも名作、良作は多い……むしろ原作付きよりも多いんじゃないか? という思いはあるけれど、リスクも高かった。
だけど、ここ最近は『短編から長編にするオリジナルアニメ』が出てきたわけだ」
カエル「……前期やっていた『ユーリ!!! on ICE』なんかはそうだよね。あれも短編アニメを集める企画で、庵野監督のスタジオカラーが中心となって始めた『アニメ(ーター)見本市』から生まれた作品だし」
主「短編ってやっぱり冒険の場でもあるわけ。長編だと厳しいけれど、短編だったらできるかもしれない実験的作品もある。そこで色々試した結果、いけると思ったら長編にする。そういうお試しの上に成り立つオリジナルアニメが出てきたということが画期的でさ。
リトルウィッチアカデミアという作品は、先駆的存在だよ。もしかしたら、オリジナルアニメがもっと作りやすくなるかもしれないし、ここから始まる名作、良作もたくさんあるかもしれない」
カエル「画期的なんだね」
2 魔女が示すものとは?
カエル「さて、ようやくリトルウィッチアカデミアの感想に入るけれど……」
主「この前監督の吉成曜のインタビューを読んでいたら、面白い言葉があったんだよね。なんでこの作品は『魔女見習いが主人公なのか?』ということで。
みんなが出来る中で、主人公のアッコだけは魔法がそんなに使えない、普通の女の子の理由だよ」
カエル「TRIGGERでこういうお話を作るのが、少し珍しいなぁっ印象はあるかも」
主「この作品における見習い魔女、というのは、まさしく新人、ないしは若手アニメーターのことを指すわけだ。だから、みんなが出来る中でもアッコはうまく魔法を使うことができない。
だけど、子供の頃に見たシャイニィシャリオに憧れて、というのは、そのまま『子供の頃に見たアニメに憧れてこの業界に入ったアニメーター』と同義であるわけだ」
カエル「なるほどね。だからできなくても諦めずに、発想の転換と好きという気持ちで突き進んでアッコは頑張るわけだ」
主「そう。周囲のみんなができないと思っているけれど、それでも私は負けないよ、というのがそのまんまクリエイター応援歌にもなっている。その意味ではすごく王道的な話でもあるんだよね、好きという気持ちが最強っていう話だから。
そしてその気持ちは3話を見終わった後に、よりいっそう強くなったんだよね」
どうして魔女だったのか?
カエル「なんで魔女だったのか? どういうこと?」
主「もちろん、王道のお話で魔法少女をやりたかったというのもあるし、これは憶測になるけれど……1つは色々な作画的な挑戦ができること。
例えば、今回の3話では箒レースのお話だったけれど、スピーディな空中戦を描くことができるでしょ? だけど、普通の学園ものではこういう作画はできないわけだ」
カエル「そうか! 魔法ものにするとなんでも描けるということだね!」
主「そう。最初は何もできなかったアッコが、少しずつ魔法を習得していく過程というのは、最初は何も……というとアニメーターの方に失礼かもしれないけれど、技量が追いついていなかった作画も、見事に表現することができるようになるということでもある。
そういうメタ的な受け取り方もできる作品なわけだ。もちろん、魔法少女にすることでキャッチーな作風になり、観客も惹きつけやすいというのも1つの理由だろうし、学園モノにすることで人間関係の機微も色々と描けるというのもあるだろうけれどね」
カエル「なるほどね……色々考えられているんだ」
主「この作品って悪者がいないんだよね。
1番ライバル風のダイアナもすっごく真面目でいい子だし。心底悪い人を出さない、というのがこの作品の1つの特徴だとも思うけれど、その理由をメタ的に考えると、1番できるやつを悪者にして、嫉妬の対象にしたり、あるいは打ち負かすような存在になって欲しくない、という思いがあるんじゃない?
基本的にはアニメーションというのは、みんなで協力して作っていくものだから……
ある種の競争社会であるのは間違いないと思うけれど、だけど蹴落とすものではない、という意味もあるんじゃないかな?」
最終的な目標は?
カエル「一部では最終的な目標がない=大目標がないことによる、ゴールの不明確なことが心配要素という声もあるよね?」
主「それはその通り、多分普通のアニメなら自分も同じこと言うと思う。だけどさ、この作品をメタ的に見ると、ゴールってない……というか、自然に決まってくるはずなんだよね」
カエル「……どういうこと?」
主「つまり、クリエイターにとってのゴールって作品が完成した時だと思うのよ。そこから先は営業だとか、売り方の問題で、それはもうクリエイターの手から離れている。
だから、本作って最終話まで作られて、テレビアニメとしてピリオドを迎えるということが大目標であって、別にそれ以外の目標は必要ないんじゃないの?」
カエル「……物語としてそれでいいの?」
主「でもさ、この作品て『魔法少女の日常系アニメ』でもあると思う。日常系というには魔法の存在が非日常だけど、あの世界では日常的なことであって。
日常系アニメにゴールはないでしょ? 学園ものなら卒業があるけれどさ、この作品はしばらく卒業しそうにないし。クリエイターも卒業が遥か遠いということを考えたら、やっぱり同じなんじゃない?」
カエル「わかったようなわからないような……」
主「でもアッコたちの成長とともに作画面も豪華になっていくと思うし、この先もそこまで飽きる内容にはならないと思うよ」
最後に
カエル「あとは、やっぱりこの時間に放送しているのはおかしいよね! この作品は朝の7時とか、逆に夕方6時とかに放送されるべきだよ!」
主「『SHOW BY ROCK!!』もそうだけど、こういう作品が深夜帯に持ってこられちゃうのも問題だよなぁ……テレビ局も5時6時に似たようなニュース番組を放送するなら、週に1度くらい子供向けのアニメとか、あとはポンキッキーズ見たいな番組を放送すればいいのに」
カエル「なんか、思考停止なように思うよね! 時代劇でもいいし、映画でもいいのにね!」
主「結局はテレビ局の都合に左右されがちというのも、アニメ業界が考えなければいけない部分だよなぁ……今はニコニコ動画やYouTubeもあるとはいえ、まだまだ一般的とは言い難いし……収益化もうまく図られていないし」
カエル「……このブログももっと早くから始めていれば、リトルウィッチアカデミアの映画版の記事とかもかけたのにね」
主「あの映画を見たとき『アニメ業界は変わるかも』って思ったんだよね。多分その予測は正しかったけれど……今更ないを言っても後出しだからなぁ……」
カエル「記事の更新速度ってすごく大事なのがわかった一件だね!」

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