今回は『コナンとアベンジャーズの興行収入問題』に関する考察となっておる
やはりアニメ好きとしては言っておきたいことがあるからね
亀爺(以下亀)
「ちなみに、このブログを読んでくださっている方は知っておるかもしれんが、アベンジャーズ音痴のアニメオタクの意見となる」
主
「でも、この問題ってすごく大事なことを含んでいると思うけれどね。
では、早速記事を始めていきましょう」
1 なぜアベンジャーズはコナンに負けたのか?
では、いきなりになるが、なぜアベンジャーズがコナンに負けたのかの?
予想できる事態ではあるよねぇ
亀「興行収入ではアベンジャーズの勝利、動員数ではコナンの勝利となっておる。これは4DXなどの単価が高いスクリーンでアベンジャーズが稼いだことが効いておるの。
コナンはスクリーン自体は普通の映画と同じ条件&子供料金もあり、興行収入では少し不利になってしまうことがある」
主「確かに公開3週目ですけれど、相手は名探偵コナンだからなぁ。
国内でも屈指の興行収入を誇り、近年は邦画最高収入を上げることも多くて、2017年は堂々の1位です。
2016年は『君の名は。』と『シンゴジラ』という化け物がいたけれど、それでも60億円を突破しているお化け映画コンテンツだ。
そりゃ、アベンジャーズも初週でとても人気があるかもしれないけれど、GWに入って子供連れが多く劇場に訪れることを考えても、コナン有利は揺るがないと思うけれど……」
亀「しかし、お祭り映画のアベンジャーズでも負けるか……」
主「そのアベンジャーズの日本での歴代最高収入は『アベンジャーズ』の36億円。
ちなみに、ヒーロー単体の映画では大ヒットラインと言われている15億円にも届かない作品も多いのが現実である。
それと公開時期も違うから一概に比べられないけれど『ドラえもん のび太の宝島』の初週が8億4300万円なので、公開初週のドラえもんと勝負しても勝てたとは言いづらい。3週目のドラえもんには勝てただろうけれどね。
『インフィニティウォー』は日本での最終興行収入が40億〜50億円前後と、過去最高収入が期待されているけれど……
どうだろう、コナン、ドラえもん超えは難しいのかな。
日本でも『パイレーツオブカリビアン』や『ハリーポッター』などは100億円クラス稼いでいるけれど……それに比べると、マーベル映画って日本だとイマイチ盛り上がっていないと言わざるをえないのかなぁ」
亀「しかし、たった10年間で、日本では原作の知名度も決して高いとも言えない状況でそこまで流行したことは素晴らしく、今後も注目すべきコンテンツであることは間違いないの」
ヒーロー映画の一般知名度は?
亀「ふむ……映画好きはこぞって見ておる印象があるがの」
主「いつも言うけれど、映画をヒットさせるのに重要なのは年に1回しか映画を見ない人をいかに映画館に向かわせるか、という問題でさ。
ぶっちゃけ、自分みたいな年間100作、200作観る人なんてどうでもいいの。だって黙っても映画館行くし、そんなコアなファンばかりで映画は回らない」
亀「映画好きの中では常識的な作品であっても、一般層は全く知らないということもありうるからの」
主「これは自分もそうだけれど、人は自分が知っていることを相手が知っていて当然という思考が働く。
特にオタクは『これくらい知っているでしょ、常識でしょ』という認識が働いてしまいがちだ。
例えばさ……アニメオタクは宮崎駿、高畑勲、細田守、新海誠あたりは誰もが知っていると思っている。だけれど、実際は国民的と言えるのは宮崎駿ぐらいで、一般の人は細田守も新海誠も名前すら知らないパターンも多いでしょう。
知っている人はアニメや映画に少しでも興味がある人くらいじゃない?」
亀「とことん興味がない人間には届かない話じゃからの。
別に知らんでもいい知識ではあるから、能動的に情報を取り入れないと全く知らないことも多い」
主「興味がない人は『anan』と『cancan』の違いも『マガジン』と『サンデー』の違いも『レクサス』と『ベンツ』の違いもわからない。
ヒーロー映画でいえば知名度が飛び抜けていると言えるのはバットマン、スパイダーマン、スーパーマンくらいなのかな?
自分もそうだったしね。バットマンとスパイダーマンがDCとマーベルで違う世界観の作品の登場人物ということを知ったのは、ちょっとヒーロー映画に興味が出てきたここ数年の話だし……
DCだなんだってことを知っている人は実はかなりの映画オタク、ヒーロー映画オタクと言えるかもね。
しかもそこにX-menまで絡んできたら……もうわけがわからないよ」
ヒーロー映画の敷居の高さ
これは何度も言及しておるの
やっぱり単純に楽しむにはハードルが高いよね……
亀「まず、キャラクターを覚えなければいけないというのは、結構な手間でもある。
日本のおなじみのアニメ映画は1つ1つが独立しており、1作目を見なくても何も問題がない。もちろん、コナンは安室などの新キャラクターが重要な役回りのため、理解ができんこともあるかもしれんが……基本はコナンの設定を理解していればわかる作品になっておるし、劇場版のスタートで説明までしてくれる。
一方で、アベンジャーズ系はキャラクターそれぞれを覚えるという前提もあるからの……」
主「シリーズものは途中から鑑賞しづらいという弊害があるからね。
あのハリーポッターですら、興行収入は右肩下がりだった……それでも歴史的な大ヒットシリーズだったけれど。
特に日本においてはアイアンマンとコナンだったら、絶対コナンの方が知名度がある。
スパイダーマンとコナンでいい勝負なんじゃないかな? もしかしたら、コナンの方が知名度が高いかも?」
亀「連載開始から30年以上、それこそ30代以下は全員コナンの名前くらいは知っていると言っても過言でないかもしれんの」
主「コナンもアベンジャーズもキャラクターの魅力が、作品の興行に大きく関係していると思うけれど、その知名度の差は大きいでしょう。
アベンジャーズで3人以上キャラクターを言える人は……実は早々少ないのかも。逆にコナンで3人以上キャラクターを言える人は、そこそこいるんじゃないかな?
あとはアメコミやヒーロー映画に対する『子供っぽい、オタクっぽいもの』という偏見もあるだろうし……それはコナンも一緒かな?」
亀「まとめると
- 見なければいけない作品が多い
- キャラクターの知名度の問題
- ジャンルに対する偏見
などが日本でアベンジャーズがイマイチ流行らない要因としては大きい、ということじゃな」
2 日本のコンテンツ産業
ヒーロー映画がなぜ日本では流行らないのか?
次に、なぜ『日本ではヒーロー映画が流行らないのか?』という問題をさらに考えていくぞ
コナンが日本にあるからです
亀「……コナンがあるから?」
主「もちろん、コナンだけではないけれどね。
東宝をはじめとして日本では強力なコンテンツがたくさんあって、ドラえもん、ポケモン、コナン、しんちゃん、アンパンマン、プリキュア、仮面ライダー、戦隊ヒーロー、妖怪ウォッチ……
自分がアニメ好きだからよくわかるけれど、ほぼ毎月のように大きなアニメコンテンツが公開されている。
さらにオタク向けアニメ映画を含めるとほぼ毎週、一般向けでも細田守などのアニメ監督が3年に1回、注目度の高いアニメ映画となるとほぼ毎年のように公開されている。
これだけのキャラクターコンテンツがひしめき合っている国は珍しいのではないか?」
亀「おもちゃ屋やゲームショップなどに行き、ほぼ国内産、あるいは国内用に日本語に翻訳されたものがたくさん並んでおるが……
日本にいると勘違いしそうになるが、そんな国は実は少数派であるからの」
主「昔、台湾に行ったけれど……もちろん台湾が歴史的、地理的にも特殊なこともあるだろうけれど、ゲームショップに行くと日本語と英語ばかりなんだよね。現地向けに翻訳されているものはそう多くなかった。
何が言いたいかというと、多くの国にとってはコンテンツ産業というのは輸入することが多いものなんだよ。
もちろん、自国の人気キャラクターなどもいるだろうけれど、人気は限定的だったりするのだろう」
コンテンツ産業大国
亀「それで考えると、日本とアメリカが2大コンテンツ産業大国と言えるのかもしれんの」
主「特にキャラクターコンテンツは非常に強い。
アメリカではディズニーやミッキーが世界的な人気キャラクターだけれど、日本では任天堂がそれに匹敵するくらい大きいキャラクターコンテンツであることは間違いない。
マリオ、ドンキーコング、ゼルダ、ピカチュウ(ポケモン)……任天堂だけで世界的なキャラクターに溢れているよ」
亀「それこそ『レディプレイヤー1』を見ればよく分かるの。あれだけアメリカと日本のコンテンツを多く使いながら、何百億という大ヒットを飛ばしており、世界的な大ヒットを記録しておる。
もちろんアメリカのキャラクターの力、スピルバーグ監督の名前と信頼感、ハリウッドの豪華な映像クオリティもあるが、その中に日本のキャラクターコンテンツの力があることは疑いようがない」
主「日本って内需で回ってしまうんだよね。
今は色々なサービスが登場して、それこそ漫画村などを始めとして違法サイト、またキンドルや動画配信サイトによって旧来の販売の形が維持できない、お金になりづらいという大問題は抱えているものの、コンテンツ自体は依然として人気があるわけで……
なぜ日本でアベンジャーズをはじめとした、世界中で大人気のヒーロー映画がイマイチ流行らないのか? といえば、それに勝る認知度を誇るキャラクターコンテンツが大量にあるからというのも理由の1つ」
亀「他の国はアメリカのキャラクターコンテンツの知名度や人気に勝る自国のキャラクターがいないのかもしれんが、日本はいくらでもいるということじゃろうな。
日本で新しいキャラクターを流行らせるのは、それだけ難しいということかもしれん」
主「もちろん『スターウォーズ』や『ハリーポッター』のように1度獲得した人気は根強いものがあるけれど……あれだけ偶発的な要素もあるブームにならない限り、なかなか定着はしない。
ヒーロー映画はそのブームが訪れたとは言い難いねぇ」
日本のキャラクターコンテンツの問題点
亀「あくまでも日本限定かもしれんが、ヒーロー映画などに負けないキャラクターコンテンツがたくさんある日本の問題点とは何かの?」
主「自分がアニメ好きでアニメ映画を中心に見ているからこその違和感かもしれないけれど……日本人は自国のキャラクターコンテンツに対して過小評価しすぎているきらいがある」
亀「どうしても子供向けアニメ映画は子供が見るものだ、という認識があるかもしれんの」
主「ディズニーだって基本は子供が観るものだけれど、大人だって楽しんで鑑賞している。
もちろん、日本のアニメなども大人向けの作品もあるけれど……
自分は子供向けアニメ映画を語るときにいっつも言うけれど、テーマ性の深さやメッセージ性というのは、子供向けアニメ映画だから浅いということはない。むしろ、それをより強く意識している分、より尊く力強いものになっている。
1番の問題は日本のキャラクターコンテンツの価値を1番理解していないのが、日本人であるということだ」
亀「少なくとも日本において『コナン』は『アベンジャーズ』に勝てるだけの人気を誇るキャラクターコンテンツである、というのは証明されたわけじゃからの。
もちろん、アニメと実写の違いなどもあるじゃろうが……」
レディプレイヤー1は日本のキャラクターコンテンツの強さを見せつけた作品でしょう
日本のキャラクターコンテンツを広めるために
これは大きな可能性を示しているんだよ
主「今回の問題って2つの見方があると思う」
- 日本国内ではコナンはアベンジャーズより人気
- 世界ではアベンジャーズはコナンよりも人気
亀「……まあ、単純な話じゃな」
主「これって、日本の市場が世界でも特殊だと言えるかもしれないけれど、同時にそれだけの可能性を抱えていると自分は見ている」
亀「……つまり、世界でもコナンはアベンジャーズに勝てる可能性があったのかもしれない、と?」
主「コナンだけじゃないよ。
日本には世界に誇るキャラクターコンテンツがいくらでもある。
それこそ上記のコンテンツ以外でもガンダム、デジモン、ゾイド、遊戯王、ソニック、ストレートファイター……いくらでもあるわけ。
これって本当に異常なことで、じゃあ日本はそれをうまく使えていますか? と言うと、そうじゃない。
アベンジャーズなどのユニバース構想をやらなければいけないのは日本だよ。
アメリカでできたガンダムVSゴジラをなぜ日本でできないのか? という問題につながってくる」
亀「ハリウッド映画は確かにそのクオリティの高さも素晴らしいが、世界に通用する1番の理由は、それだけ世界に向けて発信しているから、ということじゃろうな」
主「アニメだから、と言ってしまったら、じゃあディズニー/ピクサーは? という話にもなってくる。結局、海外に対するアプローチがまだまだ弱いんだよね。
日本のコンテンツは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が大ヒットし、4大GOTY(ゲームオブザイヤー、ゲーム業界の大きな賞)を総なめにするという快挙も達成しているけれど、あまり報道されていないのが現状だ。
クールジャパンなんていいながら、歴史的な快挙があまり報道もされず、しかも海外にキャラクターコンテンツを使われている状況……
悔しくないのか!!」
亀「……謎に熱くなってきたの。
日本のコンテンツって世界有数ではあっても、その売り込み方が致命的に下手くそなんだろうなのではないか? ということじゃな」
主「多分、任天堂がアメリカの会社であれば『ゼルダの伝説』は間違いなくハリウッド映画になる。
そして100億円どころか、1000億円レベルの興行収入を達成する可能性だってある。
これだけの宝の山がありながら……それを活かしきれていない現状が悲しくなるよね……」
まとめ
では、最後にまとめとなるが……簡単にいえばこれが言いたかったわけじゃな
×アベンジャーズがコナンに負けた
◯コナンがアベンジャーズに負けない魅力がある
アメリカが特別なのだろうけれど、もっと日本のコンテンツを売らないとね
亀「それこそ、ポケモンの映画やデジモンなどはアメリカを中心に記録的な大ヒットをしているが、それが続かなかったということが悲しくなるの」
主「ハリウッドからしたら、日本のコンテンツってドル箱だろう。
もちろん制作費や技術が雲泥の差であるアメリカを中心に考えてはダメなのかもしれないけれど、ミッキーに変わるコンテンツが欲しいディズニーなんか、喉から手が出るほど欲しいコンテンツばかりじゃない?
亀「バブル崩壊前だったらもっとこれらのコンテンツを育てて、海外に向けて発信ができたのかもしれんがの……やはり、あの空白の期間は痛い」
主「あと、アニメ好きからするとすごく思うのが、一般的な映画好き(洋画好き)の人は、コナンや日本のアニメ文化をナチュラルに下に見ているような気がする。
自分がこの記事で1番言いたいのは、日本のキャラクターコンテンツはアメリカにも負けない、魅力あふれるものである。
だから洋画好きとしては『アベンジャーズが負けた』と言いたくなる気持ちもわかるけれど、コナンや日本のアニメ、キャラクターコンテンツは世界でもムーブメントを引き起こす可能性を秘めているということをアピールしたいね」
亀「『日本の市場が特殊だ』と考えるだけでなく『日本のキャラクターコンテンツが世界にアピールできていない』と考えて、現状の映画やエンタメ文化に対する状況の変化を行って欲しいの」