物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『メッセージ』ネタバレ解説&感想! ヴィルヌーヴらしさに溢れた『言語のSF』登場! 

カエルくん(以下カエル)

「えー、今回は語ることが多いので、記事前のコントはほとんど省略します」

 

ブログ主(以下主)

「ヴィルヌーヴの新作だからね! 仕方ないよね!」

 

カエル「ちなみに原作未読、ヴィルヌーヴ作品は『静かなる叫び』以降は全て見ているくらいにはヴィルヌーヴファンであり、今最も注目すべき映画監督と位置付けているファンの感想記事になります」

主「まあ、はまったのは『静かなる叫び』を見た後だから、ここ3ヶ月ちょっと? くらいだけど、逆に言えば1番熱がある時なので、それだけ熱い感想があるかも。

 本当は過去作全て見たいけれど『渦』などはともかくとして短編は日本で手に入るのかもわからないしなぁ……」

カエル「でも今最も注目を集める監督の1人というのは多分映画ファンの共通認識じゃないかな?

 

主「自分が監督名だけで映画館に初日に走ろうと思うのは『ラ・ラ・ランド』などのデミアン・チャゼルとヴィルヌーヴくらいかな。アニメ監督だったら山田尚子などを始めとしてたくさんいるけれど……

 というわけで今回は『メッセージ』の感想だけでなく、過去のヴィルヌーヴの作品などとも比較しながら語る記事になります。

 長いです

カエル「あとは原作は未読なのでその視点からは語らないです。

 これで原作からの視点もあったらもしかしたら過去最高の長さになったかも……」

主「じゃあ、早々に感想スタート!」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • SF苦手な人間として
  • 2 ヴィルヌーヴについて
    • カナダ出身というバックボーン
    • 過去作のつながり
  • 3 言語について〜基礎的な知識〜
    • 表意文字と表音文字
    • ちょっと余談 日本語の特性
    • 時制について
  • 以下ネタバレあり
  • 4 『言語』のSF
    • 受け手に依存する『文字』
  • 5 アメリカと中国
    • 時制と『メッセージ』
  • 6 未来と受け繋がれること
    • SFと家族
    • 最後に

 

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映画『複製された男』感想と解説 恐ろしくも哀しいクモの意味

カエルくん(以下カエル)

「いよいよ楽しみにしている『メッセージ』の公開だね!」

 

ブログ主(以下主)

「それに向けて少しばかりヴィルヌーヴの記事について厚くしようと思っていたんだけど……」

 

カエル「今週は『灼熱の魂』『複製された男』『ブリズナーズ』について語ってヴィルヌーヴ週間にしよう! と息巻いていたはずだけど……どうして公開日になって1つ目の記事を書いているのかな?

 やっぱり忙しいとか?」

主「いや、単なる怠惰。

 別に仕事が忙しいとか、プライベートが充実しているとか一切ないよ」

カエル「……え? なんか、小説を書いていたとか、映画をたくさん見ていたとか勉強していたとか……」

 

主「一切ない。元々5月ってやる気がないんだよね。4月で締め切りの小説新人賞も多くて、ブログもGWを終えるとしばらくの間アクセス数が稼げない時期だし、そもそも最近アクセス数が減っていく一方だし(笑)

 しかもFEヒーローズってスマホゲーがさ、めちゃくちゃ面白くて……元々FEシリーズ大好きなんだけれど、今回イベントで30分に1回しかできない戦闘のイベントが始まったんだよ! それをやるじゃん? そのままTwitterやゲームをやるじゃん? 30分すぎるじゃん? でまたイベント消化して……ってやっていたら、ブログなんて手につかないよね(笑)」

カエル「(笑) じゃねーんだよ!! 

 なんだよ怠惰って! 今月2日に1本も記事を書けていないんじゃないの!? ネタはあるんだろうが! さっさと書けよ!

 そんなところだけ押井守かお前は!?」

 

主「いや、でもこの文量の記事を2日に1回あげているだけで十分な気も……」

カエル「それが3日に1回になり、一週間に1回になり、やがて書かなくなるんでしょうが! それが1番わかっているんだから、さっさと書く!」

主「……はいはい。

 じゃあ、今回はヴィルヌーヴ作品ということで最も意味が分かりづらい作品であろう『複製された男』について解説と共に書いていくよ

 

  • 1 評価の芳しくない作品
    • 映画としての出来は?
  • 2 作品解説
    • 講義について
  • 3 二人の男
    • クモのモチーフ
    • 『1度目は悲劇、2度目は笑劇』
    • 最後に

 

 

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映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』感想 合うか合わないかは感性によるんだろうなぁ

カエルくん(以下カエル)

「じゃあ、今週公開の邦画の中ではおそらく1番注目されてそうなこの作品について語っていくとしようか」

 

亀爺(以下亀)

「小規模公開ながら映画好きの中では注目されておる印象があるの」

 

カエル「この作品は実は試写会で見たんだけど、平日ということもあるのかもしれないけれど、若い女性が多い印象だったなぁ。ターゲットにしている層がそのあたりで作為的に選んだのか、それとも偶然なのかちょっとわからないけれど……」

亀「主役が池松壮亮じゃからの。どちらかというと女性向けということなのかもしれんな」

カエル「試写会の場所が渋谷でさ。このお話って渋谷とか東京の街が多く出てくるお話だから結構リンクしていて……まあ、多分それも狙っているんだろうけれどね。

 こういう『東京』のお話って比較的多い印象だけど、東京に1回も行ったことがないって人もそれなりに多いと思うけれど……そういう人はどんな印象を持つんだろうね?」

 

亀「ピンとこないのかもしれんの。

 例えば『田舎の町』が重要な意味を持つ物語などもあるが、それは田舎であるということが大事なのであって、その特定の場所が大事なわけではない場合が多い。じゃが、東京が出てくる場合は『東京という街』が重要な意味を持つ作品も多いからの。

 もしかしたら東京について語る……それだけで想定する観客を限定してしまうのかもしれんの

カエル「自分は福岡とか札幌ってまだ行ったことないけれど『福岡という街が……』と言われるとへぇ……としか思えないし。まあ、確かに東京という言葉と場所に特別な意味があるのかもしれないけれど……」

亀「そのあたりについても記事で考えてみようかの

 それでは感想記事のスタートじゃ」

 

  • 1 ざっくりとした感想
    • 役者について
    • 今作のMVP
  • 以下作中に言及あり
  • 2 詩を物語にするということ
    • 東京という街
    • 街中で流れる歌
    • 最後に

 

 

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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』感想など この邦題、いいじゃない!

カエルくん(以下カエル)

「えー、今回はこのブログが比較的苦手にしているタイプの映画である、マーベル系映画ですが……」

 

ブログ主(以下主)

「いやー、今回悩んだね。今月1番大きな映画であることは間違いないけれど、記事にするべきかどうか……」

 

カエル「前作は観たの?」

主「見たよ。マーベル系映画が苦手な理由って、予習しなければいけないことが沢山あることなんだよね。もちろん前作などは見ておかなければいけないし、語るんだったらマーベルコミックの方にも手を出した方がいいでしょ? 

 そうなるとどれだけ時間を取られるんだ? って話で、結構ハードルが高いわけよ」

カエル「う〜ん……それを言うとアニメ映画とかゴジラシリーズ、スターウォーズも似たようなものだけどねぇ。新規参入にはハードルが高いというのはシリーズものの欠点かも」

主「だけど本作のような数がない作品はまだついていけるじゃない? シビルウォーを理解するために見なければいけない映画はたくさんあるけれど、今作を理解するために見るべき映画は前作だけであって。

 それなら自分みたいなのでも今からついていけるから嬉しいんだよね」

 

カエル「……ちなみに前作の感想は?」

主「スターウォーズって現代風にするとこのようになるんだなぁ、くらい。いや、面白かったし、映画館で見るともっと印象が変わるんだろうけれどね。

 もしかしたら『ダークナイト』の幻影を求めすぎているかも」

カエル「う〜ん……今回も苦言が多くなるのかなぁ?

 じゃあ感想を始めようか」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • キャラクターについて
  • 以下作中言及あり
  • 2 今作のテーマ
    • 脚本上の違和感
    • 邦題について
  • 3 懐古的SF映画?
    • SF映画の発展
    • 時代とともに変化するSF
  • 4 本作が示した『SFの新たな姿』
    • 圧倒的正義の不在
    • 最後に

 

 

 

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映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ネタバレ感想&解説、評価 静かに染み入る珠玉の1作

マンチェスター・バイ・ザ・シー (字幕版)

 

 

なんだか、久々に新作映画レビューを書く気がする……

 

 

先週は結局新作映画をみにいかなかったからの

 

 

ブログ主(以下主)

「4月5月って色々と忙しいからね。歓送迎会だ、呑み会だ、映画会だって年度始めを迎えた上に連休前後だから、結構この手のイベントが目白押しの季節でもあるし」

 

亀爺(以下亀)

「……呑んでばっかじゃの」

 

 

 

主「あんまり呑み会って好きじゃないんだけどねぇ。そんな時間があるなら映画を見て、そして語っていたいよ」

亀「唐突な最近の若者らしさをアピールしておるの。それで『自分は若者だよ!』と喧伝しておるのか? 若さをアピールし始めたらもう若くないぞ。

 ましてや、さだまさしやチャップリン、ビリーワイルダーなどが大好き、というだけでなんとなく察するものもあるがの……」

 

主「人生って色々あるんだよ。

 女の子がウルトラマンが好きだったり、男が口紅などをつけることだってありうる。固定概念はよくないよ! さだまさしのコンサートに行く中高生だっているんだから!」

亀「……なんとなくライブをコンサートと呼んでいる段階で一昔前のような印象があるのはわしだけかの?

 駄話はここまでじゃ。今回は語ることが多いのじゃから、感想記事に入るとするかの」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • 語られざる思い
    • 観客に委ねる映画の間合い
  • 以下ネタバレあり
  • 2 スタートから語りかける
    • 映画としての魅力
    • リーの葛藤
    • パトリックの苦悩
  • 3 許されざる者
    • リーの変化
    • 唐突な救いと戸惑い
  • 4 本作が脚本賞を受賞した理由
    • 人生って何?(少し余談)
    • 最後に

 

 

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障害は萌えポイントになりうるのだろうか? 聲の形などが示した未来

亀爺(以下亀)

「ちょっとここで問題になりそうな記事をあげるのじゃな……」

 

ブログ主(以下主)

「本当は『サクラクエスト』『放浪息子』かヴィルヌーヴ作品の感想記事を書こうかなぁ、と思っていたけれど、ちょっと興味深い話を見つけたので!」

 

亀「来週には『聲の形』のソフトも発売するからの

主「その援護射撃だよね。まあ、援護になるのか背中から味方を撃つのかは怪しいところだけど!」

亀「難しい上に、様々な主張が入り混じる話題になるからの。いつも以上に言葉を選ばねば、大変なことになるかもしれん」

主「ただの個人ブロガーの戯言だけど……自分がよく語るのは『障害と物語の関係性』であって、今年入ってから鑑賞した映画の中で高評価するのは障害や病気の作品が多いというのもある。

 自分は聲の形は障害者ポルノから脱却した名作だという評価をしているけれど、そうは思わない人もいるだろうし……そもそも7回も劇場に見に行って、さらにソフト発売記念でキャストによる舞台挨拶に行くくらいのファンだから悪く言えないということもあるけれどね!」

 

亀「それでは記事を始めようとするかの。

 今回は様々な意見が上がると思うが、お手柔らかにお願いしたいところじゃな」

主「あと『聲の形』のDVD、BDが2017年5月17日に発売だからね! そちらもよろしくね!

 それから丸の内ピカデリーで舞台挨拶もあるのでね!」

亀「……ここまでいくと回し者みたいじゃの」

 

  • 1 今回の経緯
    • 『障害=恋愛における欠点』なのか?
    • 優しいは美徳か?
  • 2 障害は欠点か?
    • 物語と障害
  • 3 先天的、後天的な障害の差があるか?
    • 障害が個性になる日
    • 最後に

 

 

blog.monogatarukame.net

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漫画『娘の家出』 全6巻感想と1話の紹介 志村貴子の優しい描き方が心にしみる……

カエルくん(以下カエル)

「じゃあ、今回は志村貴子の話でもしようか。リテイクも必要な記事がたくさんたまっているしね」

 

ブログ主(以下主)

初期に書いた記事はリテイクするのがブロガーとしての基本! とはよく聞くけれど、それができれば悩みもしないわけで……」

 

カエル「このブログってあんまり手直ししないんだよね。だから書いた直後はともかく、後々読み返すと『なんだ? これ、何が言いたいんだ?』ってことも多くて。そういうことを直すためのリテイクなんだけれど『まあ、いいか。あとでやろっと』と思ってそこでおしまいになりがちで……」

主「明らかな誤字脱字とかはなるべく直すけれど、ほとんどの記事は書いた後1週間もしたら書いたことすら忘れているという……この忘却力の高さが売りだから! いつでも新鮮な気持ちで物語を見ることができるよ!」

カエル「……バカなことを言っていないで『娘の家出』の全6巻のレビューと感想と……批評になるかはわからないけれど、まあ、批評まがいなことを始めるよ」

 

主「ちなみに今回は過去に書いた記事のリテイクでもあるので、その箇所を少し残しますので、なんだか不思議な記事になるかも……

 リテイクといいながらほとんど書き下ろしだけどね!

カエル「書き方そのものが変わってしまっているもんね……」

 

  • 1 志村貴子と『娘の家出』
    • 1話の圧倒的なうまさ
  • 2 全6巻の感想
  • それぞれの愛の形
    • それぞれの人生、それぞれの生き方
    • 最後に

 

 

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