カエルくん(以下カエル)
「う……う、ぐす……」
ブログ主(以下主)
「な、なんだよ……カエル、泣いてんのか?」
カエル「だって……だってさ……あの内容、泣くしかないじゃん!!」
主「いや、まあ確かに素晴らしい回だったけれど、アニメで泣くことないじゃんよ」
カエル「あれで泣かないの!? 血も涙もないのか!」
主「好きに言えばいいさ……あくまでも自分は自分なんだ!」
カエル「くそ! 4話の最後の言葉っぽいことを言ってごまかそうとしやがって……あれ? 主、まだ使っていないティッシュが一箱あったはずだけど……」
主「……知らんなぁ」
カエル「あー! ゴミ箱に大量のティッシュが! これじゃ涙が拭けないよ! いったい誰がこんなことを……」
主「よし、感想記事を始めよう!」
1 圧倒的な演出力
カエル「今回の話は話も当然すごく良かったけれど、絵もすごくよかったし、文句のつけようがない神回だったよね!」
主「何よりも演出力が光った形だな。おなじみの手ぶれ風のカメラワークなどもキャラクターの戸惑いだったり、それこそ『揺れる心』をしっかりと表現していたけれど、何よりも……やっぱり光と影の演出だよなぁ」
カエル「京アニに限らないけれどよく注目するポイントとしてあげている光と影の演出だね」
主「まず、鎧塚みぞれに新山先生が『もっと楽しんでいいのよ』という場面がある。ここで映るのは久美子とみぞれがほぼメインだけど、ここで夕方なのがまず恣意的だなって。
その前の発表の場面のままの流れていってもいいはずじゃない? だけど、一回場面転換を挟んで、わざわざ夕方の描写にして、そこでこの会話を挟んでいるのね。これで2人の……揺れる思いというものがはっきりと表されている」
カエル「その後は……物陰で練習している久美子に話しかける、希美だよね」
主「ここで、暗がりにいる久美子に近づいていくように暗がりに入っていく希美だけど、これは関西大会も近いことがあって、部活に戻る可能性をほとんど諦めているということが伺える。だからこの話をしている最中は暗がりにいるわけだ。
そしてその話が終わると……思い出した様に日向の中に入る。ここではみぞれの話をしているでしょう? これで、この2人の関係は隠と陽の関係であり、陽の側に希美がいるということがわかる」
カエル「ここははっきりと暗い久美子との対比があるよね」
主「たぶん、これって真相に近づきつつある久美子と、実は真相を探るまでもない希美の立場の違いも表していると思う。
この作品における……あすかの役割って相当に意地の悪い部分だけど、それは後述するとして……まあ、この作品で一番好きなのはあすか先輩なんだけど! その理由も後述するとして、断片的に『嫌い』というワードを教え込まれた久美子は、その言葉を信じるがあまりに暗中模索に陥っている。
一方で、そんなことをつゆとも思わない希美は、みぞれを探しに行っちゃうんだよね。この後を見れば、なぜ光と影の演出で光に希美、影に久美子だったのかは……語らないでもわかるでしょ?」
教室での『感情の爆発』
カエル「主はこのワードが好きだよね。『感情の爆発』って」
主「ここまでじっくりと溜めていた、この4話までの感情が一気に爆発する瞬間だからね。このリアリティのある描写と、感情の流れこそがこの作品の最大の特長のひとつだと思うよ」
カエル「まあ、それも後述するとして、今は光と影の演出の話だよね」
主「校内を進む希美とは、薄暗闇の中でも確実に光があるのに対して、久美子は若干暗く光を薄めに演出されている。なぜここまで徹底的にそんなことをするのか? それはこの後の教室の描写を生かすためだよ」
カエル「そしていつもの走る演出の後、教室に話は映るわけだ」
主「そう。ここでの走る描写というのも中々面白いけれど、それはいいとして、ここでヌルリと動かした後にみぞれを発見するわけだよね。
それは昼間の室内とは思えないほどに、薄暗いようにできている。そしてその中でも一番暗い、教壇の下にいるのがみぞれなんだよね」
カエル「暗いよね。うずくまっているし、下を見ているし、その落ち込んだ感情をより強調しているよね」
主「そう考えると、あの回想シーンも明るい場面が続いた中で、辞めたことを初めて聞いた時の夕方というのも、いい演出だよ。
そしてそこに登場する優子なんだけど、ここではっきりとわかるのは、隠と陽の関係性だよね。この場面において隠であるみぞれを、光のなかに引っ張っていくのは優子なんだよ。
それを示すのがこのシーン」
主「この演出のために、徹底した光と影のつけ方を強調していたわけだ。全てはこの一瞬のために。ここを最大限生かすために、ね」
カエル「それで、希美とみぞれが楽器を引き渡すシーンは2人とも光のなかにいるんだよね」
引き渡される『オーボエ』
主「この楽器もまたいいよね。その前にさ、明らかにセリフで語っていたわけじゃない?
『楽器だけが……私と、希美を、繋ぐものだから』ってセリフがあってこその場面だよね」
カエル「その前でしっかりと説明しているからこそ、この場面につながるわけだ」
主「やっていることは『たまこラブストーリー』における糸電話と同じなんだよ。糸電話の場合は、2人の恋の感情をそのまま表していたけれど……これも恋愛ではないけれど、同じ。
オーボエというアイテムを共有することによって、2人の間に共通の思いを酌み交わすことになるんだよね」
カエル「そこは作画もすごく力を入れていたね」
主「この話において最大の見せ場のひとつだよ。そういう部分でもしっかりとメリハリがあるからこそ、この話が一層引き立つわけだな」
2 他の登場人物について
カエル「じゃあ、その他の登場人物についてだけど……」
主「まずは優子についてだけど……彼女は一期だけを見ると、少し悪役のような面もあったと思う。だけど、そうじゃなくてさ。この話を見て思うのは……なんというか、義俠心の強い子なんだなって」
カエル「……義俠心?」
主「こう、義理人情の強い女性だね。だからこそ受けた恩は必ず返すし、そのためならば手段を選ばないようなところもある。
その義理の範囲に入れば、これほど心強い味方もいないだろうね」
カエル「義俠心って言葉があれだけど、女子高生の頃って、仲間意識もことさらに強いもんね」
主「その意味ではある種、1番リアルな存在かもしれないね」
カエル「だけど……『希美には勝てないんだなぁ……7年も一緒にいるのに』ってセリフがあったけれど、その光の中に連れてきたのは優子だから、結構大きい仕事したよね」
主「あの状態で希美に出会っても、多分隠と陽だから交わらなかっただろうね。だけど、その前に優子が引っ張り上げたことで……その準備が整ったわけだ。だから、彼女の功績って相当に大きいよ。
それこそ、希美に負けないくらい大きかったんじゃない? 夏妃は……ドンマイ。でも、ここから立ち上がるところに魅力のあるキャラクターだし、この後に見せ場があるんじゃないかな」
あすかについて
カエル「さて、主が1番好きっていうあすか先輩だけど……」
主「ラストの場面のあすか先輩って、夕闇の中で語るわけだよね。この演出っていうのが、明らかに最後のモノローグの『何が本音で、何が建前なのか。その境目はあまりにも曖昧で、この人には一体何が見えているのか、それを考えるのが少し怖かった』といいう言葉を強調しているわけだ」
カエル「でも、何で主はそんなに好きなの?」
主「多分、この作品における狂言回しってあすかの役割なんだよね。基本的にコミカルな印象も強い狂言回しだけど……たまこでいうとモチマッズィやかんながその役割だったけれど、本作ではシリアスに語っている。
そして、その狂言回しが……本作で『信用の出来ない語り部』になっているんだよね」
カエル「つまり、説明役なのに嘘をつくということね」
主「そう。今回は明らかにあすかが余計なことを言ったせいで、久美子は戸惑った。それはある意味では嘘ではないんだけど……真実と呼ぶことはできなかった。
だけど、この信用の出来ない語り部であるはずなんだけど、その行動は信用をしていいんだよね」
カエル「オーボエを持たせたのもあすか先輩だしね」
主「そうなんだよね。3話のラスト楽器演奏も含めて、その行動自体に多分嘘はない。だから余計に混乱するんだけど……
そう考えると彼女の役割ってすごく面白いよね。『穿った見方』なんて言われていたけれど、まさしく彼女の存在自身が……穿った見方を誘発していると思う。あとは、こういう『いい子の話』でリアリティのために釘を打つ役割とか」
カエル「いやな人を演じているってことね……」
主「最後の拳を握りしめた久美子を見るに、おそらくこのあとは……あ、原作を読んでいないのでネタバレなどではなく予想だけど、久美子とあすかのある種の対立になるのかもね」
カエル「その予想は当たっているのか、外れているのか? この先も楽しみだね」
最後に
カエル「でも、この話の意味って一体なんだと思う?」
主「意味っていうか……おそらく、このみぞれと希美の話って、もしかしたら『ありえたかもしれない久美子と麗奈の話』なのかもしれないなぁ」
カエル「というと?」
主「たった1年違うだけで、吹奏楽部を取り巻く状況って一気に変わっているじゃない? じゃあ、昨年の段階でこの2人が……今の1年生が入学していたらどうなっていたのか? っていう話でさ。
もちろん、性格も違うから全く同じとは言わないけれど、麗奈を置いて久美子が部活をやめるという可能性もあったんじゃないか? ってこと。だから、この問題っていうのは久美子と麗奈のIFのストーリーなのかもね」
カエル「だからあんなに怒りを露わにしたわけね」
主「いやぁ! しかしユーフォは面白いな! 4話構成みたいだけど、1話をカウントせずに3話構成の全13話でいくのか? それとも4話構成で全12話でいくのか? どういうテイストで描いていくんだろうね」
カエル「……ふと思ったんだけどさ『穿った見方をしている、信用できない語り部』って……」
主「まずはティッシュを買いに行かないとなぁ。しかし、誰がこんなに使ったんだろうか? ああ、怖いなぁ、なんか幽霊でもいるのかな!」
カエル「……案外仲間意識を感じていたりして……いや、それはあすか先輩に失礼か、あんな人と一緒にしたらダメだね」

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