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Vtuberに感じる可能性
① 海外への展開
次に、可能性を感じるところって、どんなところなの?
やっぱり海外展開も含めてスケールの大きさだよね
カエル「今や日本のアニメも世界展開も視野に入れることが当然のようになってきているね。Vtuberの場合、ENとかID(インドネシア)とか、成長の余地があるところに積極的にライバーを投入していることをスケール感が大きいと指しているの?」
主「それも一因にはあるけれど……そこだけではない。
基本はアニメだろうが、漫画、Vtuberだろうが、IPビジネスだと思うんだよね。
キャラクターやコンテンツを売ることでお金を稼ぎ、クリエイターに還元することで、さらに大きな商品にする。
うちではよくいうけれど……作品を作るのがクリエイターだとしたら、それを商品として売ることが求められているけれど、残念ながら日本のエンタメ産業は作品の魅力があっても商品として売るということががあまりにも弱いように、自分は感じている」
……弱いというのは、具体的な例としてはどういうところを指しているの?
全く新しい流れが見えてこないんだよ
主「売っていることの形態がそこまで変化していないんだよね。
新しい流れの例えとしてYouTuber、Vtuberの新しい流れとも言える、切り抜き文化を挙げよう。
各ライバーの配信は1時間以上、長いと10時間、24時間なんて企画もあるくらい、非常に長い。そうなると新規に入ったり、チェックするのはほぼ不可能だ。
だからこそ、切り抜き動画を有志のファンだったり、あるいはライバー本人が作って、見どころを抑えるようにしている。
もしかしたら、ライバーのアーカイブよりも、短時間で手軽に見どころだけを観れる切り抜きの方が、今は閲覧数も多いかもしれない。確か、岡田斗司夫はすでに自分のチャンネルよりも、切り抜きの方が見られている再生数が多いと話していたような記憶がある。
さらに各会社の方針にもよるけれど、収益の一部は切り抜き動画制作者に渡るようになっていたりもするわけだ」
カエル「例えばTV番組の切り抜きは明確に著作権法違法で罰せられるし、削除されるよね。
それを考えれば、確かに公式が許可して切り抜き動画を作るのは、進んでいるとも言えるのかなぁ」
② 著作権の一部流用の許可
切り抜き文化がスケール感が大きいって話は、かなり突飛に思えるけれど?
切り抜き文化は例の1つだけれど、つまりこれって、著作権の一部開放なんだよ
カエル「著作権の一部開放……?」
主「日本は同人文化もあるから、著作権に関しては世界で見ると比較的緩い方だと言われている。賛否はあるだろうけれど、日本で著作権法がTPP加入の際にとても揉めて、親告罪のまま……つまり、以前からとあまり変えないこととなった。
同時に同人誌文化はすでに既存のキャラクターを使用することを……例えばエロ同人として販売し収益を得ることを……もちろん建前上は経費以上に儲けないこととなっているけれど、実際はそれで経費以上に儲けている人やサークルだっているだろう。ただ、同人活動って8割が儲からないだろうから、本当に儲けているのはごく一部だとは言っておくけれど」
ただ、著作権者が黙認している以上、同人文化で稼ぐことそのものが直接悪いと、自分は言わない
主「その同人文化のおかげで作品のファンが増えたり、二次創作クリエイターが臨時収入や成長の機会、商業的なチャンスが生まれる機会を得る可能性があるというメリットがある。
だけれど実態は権利者が無視に近い黙認をしているから成り立つグレーな文化なのも間違いない」
ウマ娘などのルールがしっかりとある作品もあれば、そうじゃない作品もあるよね
著作権違反の線引きはとても難しいからね
主「それこそニコニコで流行ったMAD動画だったり、あるいは X(Twitter)で流れてくる有名作品のファンアートだって、厳密に言えば著作権法違反だったり、それでXやpixivなどで収益を挙げていれば、著作権者が訴えれば勝てるだろう。
今で言えば『葬送のフリーレン』だったり、少し前ならば『ぼっちざろっく』『水星の魔女』のファンアート漫画は、いくらでも見受けられた」
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もはや二次創作という枠組みを超えているのでは? と思うニ次創作の例
ボクも好きな作品で更新を楽しみにしています
著作権侵害を理由にダンス動画を規制した『逃げ恥』
それらのファンアートも、収益化をしていなければ見逃される可能性もあるけれど、収益化をしていれば著作権法違反となるの可能性がある、ということだね
でも、それらのファンアートなどが、作品そのものを盛り上げるという一面もあるわけだ
主「逆に『逃げるは恥だが役に立つ』では『恋ダンス』が流行ったが、踊ってみた動画の削除問題が発生した。その問題以降、やはり恋ダンスのコンテンツとしての寿命は急激に短くなったと自分は見ているし、同意する人も多いのではないか。
その逆がハルヒダンスで、ある世代以上のオタクであれば今でも踊れる人も多くて、原作も含めて新規供給が少ない中で、ファンが今だに踊るような息の長いコンテンツになっている」
コロナ禍でも話題となったハルヒダンス
すでに20年弱前のコンテンツだが、いまだに影響力がある
つまり、日本では実質的に著作権の一部流用も、コンテンツの寿命を長生きさせる効果もあるわけだ
カエル「Xで漫画の1コマを流用したり、それをコラ画像で改変したりしても作品の知名度が増すよね。特に『美味しんぼ』の三銃士だったり、『こち亀』の全部同じじゃないですか、系は本当によく見るよ」
それがネタとして流通することで、作品の知名度も上がり、最終的に作品にも還元される。
主「ある意味、ネタが流通しすぎているというのは、映画の『コマンドー』を1回も見たことないのに、既視感しかないという現象に似ているかもしれない」
主「同時に、早バレなども含めて悪ノリがコントロールができない暴走もあるため、ここの線引きは難しいからこそ、基本は黙認という名の放置になっているという意見もあるだろう。
Xでの早バレ騒動という意味では『キン肉マン』があまりにも早バレがひどいので、作者のゆでたまごが苦言を呈したところ、早バレは収まったけれど同時に作品に言及する人も減って盛り上がりが減ったという現象もあった。
ここは、本当にコントロールが難しい問題だ」
主「多くは暗黙の了解の元でファン活動が行われているけれど、それを打破して、切り抜きという配信の二次使用を積極的に許可し、ある程度悪意がないようにコントロールすることで、収益を稼ぐこと許可したのがYoutuber、Vtuberの流れだろう」
③ IPビジネスの許可
話をVtuberに戻して、それだったら、積極的に認めているか否かはあるけれど、他のアニメ作品も同じじゃない?
だけれど、今はその著作権者や会社が漫画やアニメ、ゲームというモノを売ることばかりに囚われているように見える
主「自分が感動したのは、カバー社が『自社のIP(タレントなど)を用いた自作ゲームの販売・収益化を許可する』システムを作ったことだ」
これは任天堂などのゲーム会社にはなかなか難しいし、出版社もやっていないことだよね
主「つまり、ファンが作るゲーム作品を公式にカバー社が認知することで、作品を発表して収益を得ることができるようになった。
二次創作の収益化であり、売るものはIPであるということを理解している動きだ。
今のゲーム業界は小規模制作の作品もバズることがあり、その代表が『スイカゲーム』だろう。しかもクオリティも高い作品も多くて、大規模制作ゲームと違う魅力を発揮している。
Vtuber事務所のキャラクターを用いれば、人気のVtuberが遊んでくれて宣伝にもなるし、より買ってもらえる。Vに興味がない層にも、ゲームを通して興味を持ってくれる可能性が高まる。
例えるならば、パチンコ化すればその作品を知ってくれる新たな層が生まれるというのに近いかもしれない。
ゲーム実況を得意とするタレントと、ゲーム制作用のIPが欲しいゲーム制作者サイドの思惑が一致している」
公式が認めた収益性のある二次創作ゲーム第1弾のホロパレード
1つ1つのゲームのクオリティが高いかはわからないんじゃない?
でも、とんでもない数は出てくるのではないだろうか
主「数を撃つというのはとても大事だし、色々なアイディアが出てくるだろう。
切り抜き文化もそうだけれど、コンテンツの数をたくさん供給するというのは、コンテンツの寿命を伸ばすためにはとても大切だ。
しかも作り手側にも金銭的に儲かるという商業的なメリットもあり、二次創作のハードルが極端に下がっているからこそ、今後もさらに発展していくと考えている」