カエルくん(以下カエル)
「では、3月公開の中でも『リメンバーミー』と同じくらい注目を集めているボスベイビーの感想記事になります!」
亀爺(以下亀)
「劇場内ということもあって子供が賑やかじゃったの」
カエル「アニメ映画に関して言えば、子供が多い方がいいよね。その反応もダイレクトで楽しめるし、何よりも楽しいし!
子供向けアニメで子供が退屈しているようなら、もうその時点でダメだってはっきりわかるしね」
亀「他の映画であれば静かな方がいいがの。
しかし、春分の日に公開ということもあるのか人が多かったの……チケットを買うまでにかなりの時間を必要で、間に合わんかと思ったわい」
カエル「ちょっと早めに着いたんだけれどね。やっぱりドラえもん、プリキュア、リメンバーミー、ウルトラマンと子供向けアニメや映画が次々と公開しているし、大人も休みだからといっぱい来るから多いよねぇ」
カエル「そしてこれからコナンやクレヨンしんちゃんの公開も控えており、非常に大変じゃが……興行としてはどこが笑うのか、少し楽しみじゃな。
では、感想記事を始めるとするかの」
作品紹介・あらすじ
全米で大ヒットを巻き起こし、第2弾の制作も決定したアニメーション映画作品。『シュレック』や『ヒックとドラゴン』などのドリームワークスがユニバーサルスタジオの傘下に入って制作した初めての作品となる。
日本語吹き替え版にはムロツヨシ、兄のティムの声を芳根京子が演じ、その他にも乙葉やノンスタイルの石田などが声をあてることでも話題に。
7歳の少年、ティムは優しい父と母の3人で仲良く暮らしていた。そんなある日、家にひとりの赤ちゃんがタクシーでやってくる。それはティムの弟だった。両親は新しく迎え入れた赤ちゃんにばかり構ってしまい、ティムとは以前のように触れ合ってくれないようになってしまう。
そんな赤ちゃんに対して苛立ちを募らせるのだが、実はその赤ちゃんは可愛らしいのが外見だけで、中身はおっさんの『ボスベイビー』だった。
2人はそれぞれの思惑のために、時に反発しあい、時に手を組んで行動することになる……
1 感想
カエル「では、いつものようにTwitterの感想からスタートです!」
#ボスベイビー
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2018年3月21日
いや〜、アメリカのアニメ映画はやはりこうでないと!
圧倒的に『楽しい』に満ちた作品!
子供がケラケラ笑う劇場はやはりいいもんです
もう少しうまさが感じられたら文句なしだけど好きな作品です!
あと声優ファンはED後も立ち上がらないでね!
あの人、やはり面白いわ……
亀「アメリカのアニメーション映画らしい作品じゃな。
もちろん、映像の迫力や物語の奥深さでいうとディズニー/ピクサーの方が何段も上かもしれん。アメリカのアカデミー賞長編アニメーション部門でもノミネートはされているものの、受賞は逃したのも……まあ、納得ではある。
しかし、アメリカのアニメーション映画がディズニー/ピクサーだけではないということを強く感じさせる映画でもあるし、こちらも注目してほしい作品になっておるの」
カエル「面白さの質が違うのかもしれないけれど、単純に子供達のケラケラとした笑い声が絶えない劇場で、ドラえもんやピクサーの最新作より多かったかも……もちろん、向こうは感動させることも狙っているけれどね」
亀「物語の奥深さやメッセージ性で言えばディズニー/ピクサーの方が上じゃろうが、楽しいというだけならば本作が勝つかもしれん。
わしは本作からドリフターズのコントを連想したの。
子供達が『志村! 後ろ!』などと言って楽しんでいる様子……決してお笑いとして、表現として大人向けとは言い難いところもあるものの、それでも子供達が楽しんで一緒になって喜ぶ……それも立派な表現じゃろう」
カエル「もちろんちょっとお固い親御さんは教育上眉をひそめるシーンもあるかもしれないけれど、子供向けとして立派なメッセージ性も宿っているし、特に小さいお子さんと一緒に観るのにオススメできる作品だったと思います!
あと、映画が好きな人はニンマリできるオマージュもたくさんあって、大人も楽しめる作品でしょう!」
子育てはやっぱり大変……って意味がちょっと違う!?
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アメリカのアニメーション業界について
カエル「では、ちょっと話はそれてアメリカのアニメーション業界について話すけれど……
それこそ、15年前だったらこの映画を製作したドリームワークス・アニメーションとディズニー、ピクサーの三つ巴の状況になると考えていたよね。
『シュレック』なども高い評価を受けてアカデミー賞長編アニメーション部門を受賞したし、その後も『カンフーパンダ』や『ヒックとドラゴン』なども高い評価を獲得している。
でも、その後が伸び悩んでしまって……結局はユニバーサルグループの傘下になることで落ち着いているというね」
亀「今、アメリカのアニメーション映画というのはそれぞれの特色があって非常に面白いことになってきておる。
それこそ絶対王者としての、世界一の物語制作スタジオであるディズニー/ピクサーがおり、そしてここ10年では最も知名度を上げた『ミニオンズ』を擁するイルミネーション・エンターテイメントも注目度が高い。
さらに『KUBO』などの独特のドールアニメーションで世界から一目置かれているスタジオライカ……他にもソニーピクチャーズアニメーションに、アードマン・アニメーションズなど大小それぞれのアニメ制作会社がしのぎを削っておるような状況じゃ」
カエル「そこにドリームワークスがどのような形で存在感を再び発揮していくのか、楽しみなところだね」
短編映画『ビルビー』について
カエル「では、今回の短編映画であるビルビーについても少し触れておきましょう」
亀「まず、何よりも『短編だからできる勝負』じゃったかの。この作品は音楽や効果音はあるものの、基本的に台詞がない。その分、動きだけで物語を感じさせて、さらに魅力的に観客を引き込む必要がある。
その動きとキャラクター性がどこまで通用するのか? ということを試しておったの」
カエル「物語のあらすじを簡単に言ってしまえば、砂漠で命を賭けて暮らすビルビー(絶滅危惧種の夜行性有袋類)が出会った、1羽の小鳥を助けるというお話だけれど……この小鳥がとても可愛らしくて!
白くてフワフワした毛並みの1つ1つがまるで綿毛のようで……しかもつぶらな瞳で見つめてくると、思わず抱きしめたくなるほどだよね。
それに、この作品自体が『赤ちゃんの可愛らしさ』をアピールしていると思えば、ボスベイビーとの共通項もあるし!」
亀「それと同時にヒーロー役のビルビーのキャラクター性がとてもいい。
もしかしたら今後、この主人公がドリームワークスのシンボルキャラクターになるかもしれない可能性を秘めておると思ったほどじゃ。
それに、この作品では様々なシュチュエーションが登場しおる。砂漠、空、海、湖……様々場所が登場するのであるが、その1つ1つがアニメーションとして非常に凝っており、アニメーションとしてのレベルの高さを再確認させてもらう作品でもあるの」
カエル「もちろんボスベイビーを目当てに行ったけれど、今作を観れただけでも結構満足度が高いよね。アニメーションの持つ快楽性とキャラクターの持つ、ある種の萌えとでもいうべき魅力が両立した、アメリカの昔ながらのキャラクターアニメの良さが詰まっていた作品だったんじゃないかな?」
他の子供達も個性豊か!
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吹き替え版について
カエル「では、今回は吹き替え版で鑑賞したのでその感想も少しだけ……
まずはベイビー役をムロツヨシが担当しているけれど、何がすごいって全く赤ちゃん要素がないんだよ!
本当にムロツヨシの声のままで!」
亀「それがギャップになって面白い部分でもあったがの。『見た目は赤ちゃん、中身はおっさん!?』というキャッチフレーズに見事にあった、中々面白い試みじゃったの」
カエル「それから兄のティムを演じた芳根京子は?」
亀「若干硬いようなところもあったが、後半になるにつれてそこまで違和感は無くなってきたかの。母親役の乙葉や、父親役のノンスタイルの石田も十分及第点だったと思う。
ただ、今回はもしかしたら原語で英語特有の言い回しや、ダジャレのような言葉遊びをしているのか、ちょっと言葉使いに違和感があるシーンもあったの。
その意味では字幕版を見てみたいものじゃが、どうにもどこも吹き替えばかりのようじゃな」
カエル「あとは、今回も山寺宏一や宮野真守、立木文彦、釘宮理恵、中原麻衣などの人気声優も出演していますが……何と言っても圧巻は宮野真守!
いや〜……やっぱりすごいね。何がすごいのかは秘密ですが……EDクレジットロールが終わった後でその理由がわかります!
ここも笑い声が上がっていました」
亀「声優に興味がないという人も面白がれる部分であるので、ぜひ最後まで観てほしいの。
ちなみに、本作はクレジットロール後のおまけ映像もあるから、気をつけてほしいの」
以下ネタバレあり
2 様々な工夫とオマージュ
カエル「では、ここからは作中に言及しながら語っていくけれど……最初にも語ったけれど、どうしても先週公開した『リベンバーミー』と比べるとアニメーションとしての魅力は一段落ちるのは否めないというか……本作はもちろん単体で観ると笑いどころが満載だけれど、ね」
亀「相手は世界一のスタジオじゃからの。
しかし、それでも面白く魅せるように様々な工夫が溢れておった。
その1つが音楽との調和であるが、それがミュージカル風味でなかったのも良かったの」
カエル「音楽自体もちょっとレトロな部分があったり、登場するキャラクターの中でも大人でも知らないような古いスターを真似した人が出てきたり……やっぱり未だにスターというとアメリカでもエルヴィス・プレスリーなんだなぁ……とちょっと勉強になったというか」
亀「今のお父さん世代よりもさらに上の、おじいちゃん世代を狙ってきているようじゃったな。これは元々アメリカでもそうなのであろうから、日本に限った話ではないのかもしれんが……
それから、映画のオマージュも散見されて良かったの」
カエル「それこそターミネーターのシュワちゃん登場シーンやバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフのお馴染みのシーン、それにスターウォーズ恒例の一連の流れに至るまで、本当に色々な映画のオマージュが散見されていたね」
亀「大人でもあっても退屈することなく、そして楽しめるようにという配慮もされておる。この昔の作品やブームを取り入れるというのは『怪盗グルーシリーズ』などのイルミネーションエンターテイメントも行っておるが、やはり親世代やもう少し上の世代にダイレクトにアピールすることができるのかもしれんの」
未だにスターの象徴であるプレスリー
子供はわかんないよねぇ……大人もわからない?
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本作のテーマ
カエル「でもさ、ただのゲラゲラ映画ではないんだよね。
テーマとしては『お兄ちゃんの成長』というものがあって、弟が出来ることによってそれまで愛情を一身に受けていたのに、それができなくって悔しい思いをするという、兄弟あるあるが詰まっていて……」
亀「赤ちゃんが登場した時に『俺がボスだ』というわけじゃが、確かに赤ちゃんが少し泣くと家族全員がワチャワチャと動き回らねばならない。手のかかる時期で仕方ないとはいえ、その様子は確かにボスのようで見ていて『なるほど』と発見もあったの」
カエル「お兄ちゃんであるティムの気持ちもよく分かるし、彼の妄想についても理解できるんだよね。
小さい頃って両親に怒られて部屋にいなさい! とこもっているだけで、なんだか悪いことして永遠にここにいなくてはいけないような気がしていて……牢屋に閉じ込められたような、悲劇のヒーローやヒロインのような気がしてくる。
あのちょっとした遊びで想像を膨らませたりする部分も、なんだか子供時代を思い出したなぁ」
亀「大人になるにつれて忘れてしまう感覚を描いておる。
兄弟の絆と共に重要視したいのが、やはり赤ちゃん(家族)と仕事の関係じゃの。ワークライフバランスというのは、日本でも大きく取り上げられていることではあるが……出世と家族、どちらが大事なのか? というのはアメリカでもやはり重要な問題であるようじゃな」
家族と出世……どちらが大事?
(C)2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
セリフの味
カエル「ちょっとした描写だけれど、なんだかジンとくるシーンもあってさ……
中盤で敵から逃げるためにドタバタ騒ぎがあるんだけれど、そこでベイビーが語るんだよね。
『できるかできないかを決めるのは自分だ』とかさ
『一度自信がつけばその先は坂だ』とか。
これって確かにその通りであって……すごくありきたりなようだけれど、改めてこのような子供向けアニメで言われるとガツンとくるものがある」
亀「特に『一度自信がつけばその先は坂だ』というのは効いたの。そこを勢いがついて走っていくのか、それとも転げ落ちていくのか……あの描写もあって考えさせれたの。
しかし、本作はセリフが非常に洒落ており『お前がいないとドアノブにも手が届かない』というのも、中々面白かった。こうやって文字にするとありきたりのようでもあるが、実際映像とそこまでの流れを考えると、名言のように思えてくるの。
他にもキリスト教のネタがあったりと、色々なところで工夫やウィットに富んだジョークが炸裂しておった」
ちょっとした毒も炸裂!
カエル「結構危ないことも色々していたよね……」
亀「今回面白かったのが『ロングアイランド・アイスティー』を飲む描写があるんじゃが……『変な味のする紅茶だなぁ』くらいで終わっておる。
しかし、このアイスティーは実は紅茶を一切使っておらん」
カエル「……え? 紅茶を一切使っていないアイスティーなの?」
亀「そうじゃ。
これはウォッカベースのカクテルじゃな」
カエル「……お酒?」
亀「しかもアルコール度数も20度以上もあるという、それなりに強いお酒じゃな。かなり飲みやすいが実は強いカクテルでもある。
このように、子供にお酒を飲ませるという普通は問題が発生するような描写を、なんてことはないように見せている……これが本作の持つ毒の1つじゃな。ただし、多くの人は気付かない程度の毒ではあるがの、
ちょっと『悪い』作品ではあるが、だからこそワクワクする部分もあるの」
カエル「今回、文句がまったくないわけではないんだよ。
もっと深みが欲しいなぁ……とかさ、終盤の展開がちょっと早すぎたりとか。
でも、それもほとんど気にならなかった。ある程度しっかりとまとまっていて、97分と短い時間によく収めたな、と思うし。
下ネタ満載ということもあってアメリカでは賛否が分かれていて、ロッテントマトでは批評家票も一般票も50パーセントほどということだけれど……でも、子供も笑えて大人もちょっと考えさせられる作品として、これはこれで結構有りだったんじゃないかな?」
まとめ
カエル「では、最後になるけれど……このワークライフバランスや赤ちゃんをテーマにしたアニメーションって最近増えているような気はするよね。それこそ『コウノトリ大作戦!』などもあったし……」
亀「やはり子供向けアニメーションを作るにあたって、赤ちゃんをテーマにすることも大事だと思う人も多いのかもしれんの。
日本でも今年放送開始の『HUGっと!プリキュア』がライフワークバランスをテーマにしており、赤ちゃんを育てながらブラック企業をイメージした敵と戦い、そして頑張る人を応援するプリキュアとして描かれておる。
女児向けアニメとして切実な育児と仕事をテーマにするという意欲作でもあるの」
カエル「世界中でどこでも同じようなものなのかもしれないね」
亀「少子化が叫ばれる中でいかに仕事と育児、家事を両立させるのか……それは先進国をはじめとした世界中の切実な問題でもある、ということじゃの。
今回はそれに対して明確な答えを示すことはできなかったが、このテーマの作品は今後も増えていくかもしれんな」
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