亀爺(以下亀)
「今回は血界戦線の中でも1stシーズンをまとめて感想を書いていくのじゃな」
ブログ主(以下主)
「やっぱり10巻で一区切りだし、そのあとの巻との意味合いも少し変わりそうな気がするからさ。1stの方が良かったとかいうことではなくて、こっちはこっちで語っておきたいから」
亀「そうなると、次はアニメ版かの?」
主「いやー、アニメはいいでしょ。あれはまた別よ」
亀「……少しは軟化したと言いながらも、やはりアニメ版に関する評価はそこまで変わらんのじゃな」
主「というかさ、あのホワイト関連のラストも含めて、やっぱり原作を読んでいるのと読まないのとではまた違う気がするんだよね。アニメ版のラストはいわば10,5巻とかにあたるような内容でさ、10巻までのレオの成長などを知ったから読むと感慨深いと思う。
でも原作ファンは『10巻のパクリだ!』ってなっちゃったし、アニメから入ったファンは原作の名シーンとか知らないから感慨深さがないし、しかも放送延期もあって色々とあったからなぁ……結構曰く付きの作品になっちゃった気がする」
亀「……ここまでの話はすべて『原作ファン、アニメアンチ』の意見じゃから、すべての原作ファンの総意ではないと一応言っておくかの」
主「全く見所がないわけではないけれどね。音楽は素晴らしかったし。だけど、なんだかなぁと思うところもあるけれど。特に7話の『拳客のエデン』のラストのモノローグがないのは原作ファンとして……」
亀「ほれ、漫画版の感想に入るぞ」
レオが『ライブラ』に入るまでの物語
亀「この小タイトルは一体なんじゃ? 1巻ですでにレオはライブラの一員になっておるじゃろうが」
主「そうじゃなくてさ、やっぱり1stシーズンの10巻かけて描いてきたことって、本当の意味で『ライブラ』に入るまでを描いたことにあると思うんだよね」
亀「……本当の意味?」
主「確かにレオはライブラに入って、今まで活動をしてきたけれどさ、それまでは余所余所しさもあったわけじゃない? 戦闘力も人並みで、それほど体が強いわけでもトンデモナイ能力があるわけでもない。一応神々の義眼はあるけれど、あれはレオが望んで身につけた能力ではないし。
ある意味ではチームの足手まといな存在だけど、その能力を考えたら前線に立たなくちゃいけなくてさ」
亀「まあ、そもそも主人公じゃから、それは当然じゃの」
主「だけど、レオ自身は結構卑屈というか『僕には無理ですよ』っていうキャラクターだったわけだよ。そしてそれはまあ、間違えていない。弱いし、戦闘要員だったわけじゃないからね」
亀「チェインなども戦闘そのものは強いわけではないが、自分の役割に徹しておったな」
主「そこまでの10巻って他のキャラクターの紹介だったり、日常的な話が……あくまでもHLの日常という、非現実的な日常だけど、それが描かれていて明確な1本の大きな物語の軸というものはなかった。
だから分かりにくいけれど、10巻において妹を助けるために全力で戦い、そして妹を守り抜いたわけじゃない。あの瞬間において、レオは本気でライブラになったんだよ」
障害の描き方
主「これは聲の形について語るときに語ろうかなぁって思っていたけれど、パラリンピックも始まったからちょっと語ってみようかな」
亀「この話は妹の話じゃろう?」
主「そう。結構障害の描き方って一面的になりやすいんだよね。元々車椅子に乗っていうということもありし、さらに目を失っていて……視力があるのかないのかはよくわからないけれどさ、誰が見ても薄幸の美少女なわけじゃない?
それこそ、悲劇性でいったら誰よりも高い存在でさ」
亀「この作品自体、人の命が軽いか悲劇性なんて皆無じゃがな」
主「その作風もあるのかね、人の命が軽いからこそ、妹の描き方も軽いんだよね」
亀「……それは褒めておるのか?」
主「めっちゃ褒めているよ!! レオはタートルナイトなわけで、彼女はお姫様なわけだからさ、考えようによってはもっと悲惨なお姫様に描いてもいいわけじゃない。
だけど、その悲壮感が本当にない。言葉に困る障害ジョークを飛ばして、ケラケラと明るく振る舞い、聡明な女性として描かれているわけじゃない?
ああ、この描き方、すごくいいなぁって。あえて……世間的に弱者と呼ばれる存在を弱者として描かないんだよね。それを個性の一つとして描いているんだよ。それはHL自体がそういう『異形の街』であることも関係あると思うけれど。
実はただのゲラゲラドタバタ漫画ではないよ」
内藤泰弘の描くもの
亀「そう考えると明らかにこの作品もトライガンと繋がっている内藤泰弘作品なのじゃな」
主「そうだね。トライガンはヴァッシュは最強の存在であるけれど、その能力をフルに使って人を守るという作品であり、その強さと孤独を描いた作品であったわけじゃない。そこに、様々な人……それこそ市井の人々や敵を描くことによって、さらに深みを増していた」
亀「血界戦線にはそれほどの深みは感じないように思うが……」
主「わかりやすい深みはないけれど、レオの描き方なんてヴァッシュと同じだと思うんだよね。確かに超人的な力はないけれど、限定された能力を使って目的を達成するというのは同じだと思う。自分の無力を痛感しながら、それでも挫けずに歩み続ける姿とかさ。
それは紛れもなく内藤泰弘の描いてきたものなんだよ」
亀「……そうかもしれんの。そしてそれを踏まえた上でアニメを見ると、あの最終話のレオの姿により思い入れが深まるということか」
主「そうね。それまでクラウス達に守られる存在だったレオが、自分が活躍することによって妹を守った。それで『守るもの』という意味で、ライブラの一員になるんだよ。
そしてそのライブラの一員となったレオが、再びホワイトを守る……そう考えるとアニメはあれはあれで、感慨深いものになるんだろうね。
賛否はあるけれど!!」
亀「……素直にあれはあれで良かったといえばいいのに」
最後に
主「というわけで、血界戦線の1stシーズンも語ることができました、と」
亀「……今回は結構難しい作品じゃったな」
主「血界戦線自体がそこまで内容の深い、1本のストーリーがある作品じゃないからね。お話の伏線が上手いとか、そういうことはあまりないし、ドタバタ話だから深いテーマ性も感じにくいし。
語るならトライガンの方が楽だと思うよ。わかりやすいテーマもあるし」
亀「それでも語っておきたかったんじゃな」
主「それだけ好きな作品だからね……
しかし、今後はどうなるのかね? 話の落としどころが見えないし、やろうと思えば長編がいくらでも作れる設定だけど、日常系ということもあってこのままいくのかね?」
亀「それはもう決まっておるじゃろう」
主「お、亀爺、わかるの!?」
亀「タートルナイトの大活躍じゃ!!
レオのピンチに訪れる、絶対に退かぬ、それがタートルナイト!! どうじゃ、わしが出るのに絶好の状況じゃろう!!」
主「タートルナイトはレオの事だし、お前は絶対登場しないからな!!」
血界戦線 コミック 1-10巻セット (ジャンプコミックス)
- 作者: 内藤泰弘
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/04/03
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