カエルくん(以下カエル)
「3月のライオンの最新刊が発売したよ!!」
ブログ主(以下主)
「アニメももうじき放送開始、さらに実写映画も決定……まだ13巻の発売時期は未定だけど、3月と考えていいんじゃないかな?」
カエル「そう考えると映画も3月に合わせてきたんだねぇ。タイトルを考えたら当然か」
主「これはリアル路線の漫画だし、話題の大ヒットメーカー神木隆之介主演ということもあって、非常に高い注目度があるな。もしかしたら、2017年最も話題になる映画化もしれんね」
カエル「……あれ? 主って漫画原作の邦画大作はあまり評価高くない傾向がない?」
主「一部作品だけだ、それは。ちはやふるとかは実写映画もなかなかいい出来になっていたし、3月のライオンは現在連載中ではトップクラスに好きな作品だから、非常に高く注目していきたいね」
カエル「アニメ化もあるし、記事も多くしておきたいところだよねぇ」
主「あ、多分アニメの感想記事も書く予定なので、よければ読みに来てね」
カエル「……宣伝はここまでにして、12巻の感想記事を始めるよ」
あらすじ
藤本雷堂棋竜と土橋九段のタイトル戦は、藤本雷堂の0勝2敗と崖っぷちに追い込まれていた。しかし、次の決戦の地は雷堂の地元、鹿児島。気合いが入りながらも、才能ある土橋や、他の要因(ほぼ女性関係)のこともあり、テンションが高く周囲を巻き込みながら対局までの時間を過ごす雷堂。(つまり平常運転)
一方、そのタイトル戦の解説のために鹿児島に来ている桐山は約束通り川本三姉妹を鹿児島へと連れてきていた。
前巻で始まったあかりのお婿さん探しも着々と? 進行しているが、それは一体どうなるのか?
そして肝心の藤本雷堂の勝負の行方は?
そして鹿児島から帰った桐山を待ち受けていたのは、『死神』滑川との対局だった……
以下ネタバレあり
雷堂VS土橋
カエル「まずは何と言っても藤本雷堂棋竜のコメディタッチな戦いだよね! これまでこの作品の棋士の対局って、結構重々しい場面が多かったけれど、ここまでハイテンションなのは初めてなんじゃないかなぁ?」
主「そうね。それまでの対局、特にタイトル戦はその貫禄に違わないような、重々しい人だったり、対局が続いたわけだが……やっぱりいいわぁ、雷堂さん。このタイトルホルダークラスだとこれほどまでにはっちゃけたキャラクターって今までいなかったような気がするな」
カエル「そしてその対局の描写もまたいいよね」
主「それまでコメディタッチで続いていたのに、ある瞬間に一気に空気を一変させる。そしてそこからの足掻きと……諦めない強さというのかな、それがよく出ていた。
特にあの……駆け抜ける場面ね。そこで一気に引き込まれたよ。それまでのギャグ調のテンションが嘘みたいだった」
カエル「やっぱり鹿児島ということは西郷隆盛とかをイメージしているのかな?」
主「それはあるかもねぇ。11巻の伏線を回収してきたね。
この終盤の……6ページくらいかなぁ、この部分は非常に上手かったね。
まずはそれまでと打って変わって真っ黒な背景に言葉が並ぶ……こういうとなんだけど、3月のライオンではおなじみの演出なわけだ。
そこに雷堂の、それまでと打って変わって決意の視線。
そしてあの絵の……抵抗し、座り込む鉄砲隊と、その逆に走る雷堂の絵だよね。月を……11巻にて『ポジティブ大権現』なんてギャグにされていたけれど、月に向かって必死に走るわけだ。
それを眺める棋士達と、そして家族……特にさ、この家族の描写を最後にきっちりと描いてくるという点において、それまでのギャグと、シリアスのメリハリと……それからこの漫画のテーマである『家族の形』という点において、素晴らしい演出をしているわけだよね。
そして最後にぽっかりと浮かんだ月を挟んでのあの文字……結局月には届かなかったけれど、その空虚感を見事に表現している。
これが漫画のうまさかと思い知ったよ」
カエル「ポジティブ大権現こそが強さの秘密ってギャグのように言っていたけれど、本当の強さはあのような状況でも勝ちを諦めない姿勢なのかもね」
主「それは柳原戦でも描かれたことだけど、改めてきちっと描き切ったね。素晴らしい」
これまでになかった『家族の形』
カエル「この家族の形って、すごく大事な場面だよねぇ」
主「それまでの3月のライオンで描かれた棋士像って……なんというか『家族』がいないよね。
それは桐山零が一番顕著だけど、他にも幸田家は家族が崩壊しているし、島田は独身で家族もいない、後藤は奥さんが入院中で、しかも……押しかけ状態だけど不倫中、宗谷名人や熊倉、辻井などの、ほとんどの棋士は家族が描かれていないし……唯一普通の家族を持つのが引退をチラつかせた松永くらいだけど、絵には出ていないし、実力のある棋士ほど家族は描かれてなかった」
カエル「それこそ川本家は家族の形としては結構……個性的だもんね。唯一描かれたとしたら、それこそ土橋さんくらいじゃないかな?」
主「それだって両親との関係だからさ、自分で切り開いたり、作り上げたものじゃないんだよね。川本家も零も、親が不在という状況だから、また違う形だし。
だけど、この巻で初めて、奥さんや娘とまともなコミュニケーションをとる、タイトル級の実力のある棋士が出てきたわけじゃない? しかも、川本家と似たシュチュエーションだけど真逆の結果になるというさ」
カエル「若干のご都合は感じるけれどね……あの年頃の娘さんって、父親の不貞を許せるとは思えないし」
主「まあ、でも女性作者だから許せる人もいるんじゃない? これが男性作者が描いたら、都合が良すぎる気もするけれど。『結局女が許すのかい!』ってさ。
でも、この描きかたをした時に……『家族』という1つの大きなテーマをこのような形で描いた時に……なんとなく終わりが見えてきたような気がしたな。
一番の峠はもう超えたのかな、って」
カエル「……結局は零ちゃんが名人になるまでを描く物語ではなくて、孤独な棋士という職業の中で、家族を見つける物語だからねぇ」
主「あとはあかり達の恋愛関係しか残っていないんじゃないかな?」
あかりの恋愛の行方は!?
カエル「そして滑川との対局もあるけれど……やっぱりそこよりも面白いのは、あかりの相手があの人になりそう!? ってところだよね!!」
主「急に現れてなんだ? って感じだったけれど、完全にフラグを立たせたからね。これだ三角関係の始まりみたいだよ。あかり本人も気がついていないところが、またうまい演出だよね。
結局、あかりは自分の結婚とか、そういうことには一切興味がなくて、白玉に代表されるけれど家族のことや家のことが一番大事なんだなぁって分かる場面だったね」
カエル「……で、この巻のラストはどう思った?」
主「なんだろうね。全員集合からのあのモノローグが入るとさ、前作の『ハチミツとクローバー』の『僕たち全員が写った写真は1枚もないことに気がついた』という描写を思い出すんだよね。
あれがハチクロの終わりの始まりだったけれど……もしかしたら3月のライオンも同じかもね。
予想では……15巻くらいで完結するんじゃないかな?」
カエル「う〜ん……この予想が外れて欲しい気もするし、ダラダラと長引かせずに綺麗に終わって欲しい気もするし……」
主「ここまでの作品だから、羽海野チカが満足するまで描いて欲しいね。
……もしかしたら、アニメも3月終了だし、映画も3月公開だし、次の巻で終了してアニメも映画も最後まで作る可能性もあったりして」
カエル「さすがに考えすぎじゃない? 人気だったら続編も作りたいだろうし、終わらせないでしょ」
最後に
カエル「今回語らなかったけれど、滑川さんもすごくいいキャラをしているよね!」
主「この1戦もすごく好きよ? 今回は記事にする上で雷堂棋竜の方をフューチャーしたけれど、この戦いもすごく良かったね。
個人的には川本家のゴタゴタよりも、棋士の戦いの方が好きなのよ。将棋は弱いからこの棋譜がどれだけすごいのかわからないけれど、でもそこに至るまでの心情はリアルなんだろうなって伝わってきて。
だから今回、対局シーンが多かったから、特に満足のいく巻になったかな」
カエル「主は恋愛描写はいらん! とか言いそうだしねぇ」
主「軸が違うからね。この作品はその2つの、恋愛というか、家族と対局という2つの軸をきっちりと描いたけれど、それを違和感なく両立しているから漫画がうまいんだろうな」
カエル「アニメも実写映画も期待しています!!」
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