物語る亀

ネタバレありの物語批評

6月19日は桜桃忌なので、簡単に紹介していく

 「6月19日は何の日?」と尋ねられたらどのように答えるだろうか?

 調べたところによると『朗読の日』(6ロウ 1ト 9ク)の日であったり、『ロマンスの日』(6ロマン 1チッ 9ク)という無理やり感のある語呂合わせの記念日であったり、『ベースボールの日』(公式な記録に残る最初の試合が行われた日)という分かりやすい記念日もあるようだ。

 一般的には特に思いつくものもないような1日であるが、文学好きには一つの大きなイベントの日である。

 

 それが『桜桃忌』だ。

 今回はそんな桜桃忌について、紹介をしていこう。 

blog.monogatarukame.net

 

 1 桜桃忌って何?

 近年は読書という趣味自体が高尚なものとされている風潮があり「趣味は読書です」というが、自己啓発本やビジネス本専門ならばまだわかるものの、実際は漫画や雑誌ばかり読んでいるだけだったり、それどころか無趣味であることを隠すためのカモフラージュとして使われることも多い。

 だが桜桃忌と聞いてピンと来る方はそれなりの文学好きだと断定しても構わないだろう。

 

 桜桃忌とは昭和を代表する作家であり、現代でもトップクラスの人気を誇る太宰治の命日である。

 文学界には偉大な作家の命日を偲ぶために、その作家の名前や代表作などから名付けられた『文学忌』というものがあり、代表的なものでは芥川龍之介の『河童忌』、夏目漱石の『漱石忌』、太宰の盟友坂口安吾の『安吾忌』などがあり、面白いところではラブクラフト(クトゥルフ神話の作者)の『邪神忌』というものもある。三島由紀夫の『憂国忌』というのも、その最期を考えれば中々に練られた名前だろう。

 近年に亡くなった吉本隆明も『横超忌』と名付けられていることから、これから先も増えて行く一種の文化といえるだろう。

 

 その中でも太宰治の桜桃忌は特に人気が高く、俳句の季語になっていることからも如何に文学ファンから愛されている存在かわかる。

 

 

2 太宰と『三鷹』

 桜桃忌が行われるのは東京、三鷹である。

 この地は晩年の太宰治の暮らす際の拠点になった場所でもあり、お墓も地元の青森ではなく三鷹にある。

 入水自殺をする玉川上水も流れる、太宰に縁の深い町である。

 そのため三鷹市も太宰との関連性を紹介するために、町のあちこちに紹介文の書かれた石碑があり、それを読むだけでも面白い。

 

 桜桃忌の会場となるのは三鷹駅から歩いて10分から15分の場所にある禅林寺である。この時期になると紫陽花が咲いており、非常に美しいお寺である。

 このお寺は文学者に縁が深く、一般の方のお墓に混じって太宰治の墓もあり、本名である津島家の墓も隣に併設されている。その斜め向かいには森鴎外の墓もあり(石碑には本名である森林太郎の名前が彫られている)太宰が森の信奉者であったためにこの場所を希望したようだ。

 

 詳しいアクセス方法などはこちら

www.zenrinji.jp

 

 こういった文学的なイベントとなるとそれなりにお年を召した方を中心としたものに思われるかもしれないが、相手は現在でも大人気作家の太宰治である。訪れる中には若者もたくさん来ており、以前私が出向いた際には三鷹よりも原宿などを歩いていそうな服装の若い女性もいた。一応桜桃忌というお墓参りの一環であるために、黒いスーツなどを着てくる人もいたが、普段着と全く変わらないような人も多く、そこまで堅苦しい雰囲気ではない。

 この場にいる人が全員60年以上前に亡くなった太宰のファンだと思うと、作家としての偉大性を感じる。

 

 私が出向いた際にはすでに終わっていたのだが、寺の住職が読経をあげる場面を神妙に聞くことがメインのようだ。

 当日は桜桃忌にちなみ、ガイドがついて無料でツアーも開催してもらえる。太宰の暮らした場所や、すでに無くなっているが愛したバーのあった場所、そしてその遺体が見つかった場所も紹介してくれる。

 最後は太宰治文学サロンに案内してもらえるので、そこでグッズを買ったり、本を購入することもできる。

 詳しいイベント内容はこちら

www.city.mitaka.tokyo.jp

 

 

 

 今年の6月19日は日曜日とあって、気軽に行きやすい日程となっている。特にお金がかかることもないので、興味がある方は是非行ってみてはどうだろうか?

 

桜桃

桜桃

 

 

 

三鷹という街を書く太宰治―陋屋の机に頬杖ついて

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