今回はいつも以上に取り留めのない話を書いていく。
トム・スタンデージが書いた「世界を変えた6つの飲み物」という本をご存じだろうか?
世界を変えた6つの飲み物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史
- 作者: トム・スタンデージ
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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この本の中には
ワイン(果実酒)
蒸留酒
コーヒー
茶(紅茶)
コーラ
の6つの飲み物の名前があがる。
最後のコーラに疑問符が浮かぶひともいるだろう。しかし、ちゃんとした理由がある。
この6つの共通点は? と問われてもすぐには挙がらないだろう。
では始めの3つと、後の3つに分けたらどうか?
そう、前者にはアルコール、後者にはカフェインという、中毒性(というよりは常習性が正確だろうか)がある成分がふくまれている。これらの歴史的、文化的背景や世界に与えた影響も面白いのだが、きょうは割愛させてもらう。
常習性があるからだろうか、コーラを除いた5つは大人の品格が漂う。
この品格は他の食品にはあまり見られない。
長いお別れ
レイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」に有名な名言がある。
「ギムレットには早すぎる」
終盤で登場する言葉はフィリップ・マーロウのハードボイルドも相俟って、非常に印象的に残る。
しかしこれが同じ横文字でも、食品ではダメなのだ。
オムレツには早すぎる
ペペロンチーノには早すぎる
やはりギャグだ。
カップラーメンには早すぎるに至っては、ただのせっかちか忙しいだけだろう。
わたしは下戸なために酒には疎く、だからこそ強いロマンを感じるが、正直にいえばギムレットがどんなカクテルかは知らない。そもそもカクテルで正解なのか疑念すらある。
しかしやはりギムレット、という酒が格好いい。
酒を扱った漫画
酒を扱った作品には独特の、孤高ともいえる雰囲気がある。
勿論食品を扱ったグルメ漫画にも「美味しんぼ」を始めとして、「クッキングパパ」「ミスター味っ子」「大使閣下の料理人」、古くは「包丁人味平」などの名作、良作も多い。
しかしわたしの中であの孤高を感じたのは、ドラマも放映された「孤独のグルメ」ぐらいだろう。
酒を扱った作品にも例外はある。「酒の細道」などはまさにその通りだ。
しかし「ソムリエ」「バーテンダー」など、やはり孤高は漂う。
比較的ライトな「夏子の酒」すら子ども向けではない。
「バーテンダー」という漫画がある。
嵐主演でドラマも放映していたからご存じの方もいるだろう。
原作ではよく小説からの引用をしていた。
例えば「老人と海」のヘミングウェイの愛した酒、そしてその人生など。その中で作者が多く引用したのが寺山修二だった。
わたしも寺山好きだが、最後に作者が選んだのは
花に風の例えもあるさ
さよならだけが人生さ
という詩を受けて作った
さよならだけが人生ならば
また来る春は何だろう
はるかなる地の果てに咲いている
野の百合は何だろう
さよならだけが人生ならば
めぐり会う日は何だろう。
寺山修司 『さよならだけが人生ならば』
という詩だった。
最近、ニュースでさようならが死語になるなったという話があった。この詩の魅力もわからなくなるという時代がいつか来るのかもしれないと考えるのは、少し大袈裟だろうか。
わたしは『バーテンダー』が好きで全巻集めたものだ。
この漫画で知った作家もいる。
エピソードでいうと敗北の北、などはわたしの心を強くうった。
負けた時、人は北へ逃げるのだ、と。東北の血が混じるからだろうか、寒いのや東北には強く惹かれる。
県民性などが薄くなった現代はともかく、昔の作家で好きなのは石川啄木、宮澤賢治、坂口安吾、太宰治、寺山修二などの東北勢が不思議と多い。
あの東北の寒く、どこか暗く、寂しい雰囲気がたまらなく好きなのだ。
酒に話を戻せば、基本的に北は度数が高く、南は低い。
暖を取るなどの意味合いも強くなる北に比べ、南は水のようにジャンジャン呑みたいために生まれた文化の差だろう。
これにも当然例外があり沖縄の泡盛などは当てはまらないが基本的には弱いと考えていいだろう。
長々と書いて来たが、なにがいいたいのか私でもわからない。だが、飲み会終わりの浮ついた頭では、このような酒の話が1番、今の気持ちに合っているように思えた。
それでは、しばしのお別れを。
(明日も更新するよ)
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