物語る亀

ネタバレありの物語批評

灰と幻想のグリムガル 12話まとめて感想 ゆっくりと成長を感じられるいい作品だった

 灰と幻想のグリムガルが最終回を迎えたので、作品全体を通して語っていこうと思う。

 特に今期の中ではお気に入りの1作で、毎週楽しみに見させてもらっていたので、日曜の夜のお楽しみが1つ減ってしまったことに少しだけ寂しさを覚えている。

 

 8話の記事がこちら

 

 

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 1 本作のゆったりとした脚本構成

 グリムガルの記事で毎回言及してきたのが、この近年では珍しいゆったりとした脚本構成である。

 とりあえず簡単に下に書いていくと

 

 1〜4話 世界観説明からマナトの死まで

 5〜8話 そこから立ち上がり、マナトの仇を取るまで

 9〜12話 メリィのトラウマ克服とデッドスポット退治まで

 

 近年は3話構成というものが主流になっており、一定のリズム感と物語の展開の速さと丁寧さが丁度いいバランスで成り立つ構成だとされている。例えば上記の構成を1話や2話で消化してしまった場合(つまり世界観説明とマナトの死を2話で消化した場合)というのは、マナトに対する感情移入もできなければ急な展開すぎてついていけないだろう。

 だが、これを4話5話かけて消化すると今度は話が進展しないため、ダレてしまう。なので3話がベストいうのが近年の物語創作の基本だろう。

 お手本のような構成をしているのが今回のガンダムなので、興味があれば合わせて読んでみて欲しい。

 

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(ちなみに昭和元禄落語心中の場合は2話で1つのエピソードを消化し、2つのエピソードで1つの物語の切り目を作っている変則的4話構成といえる)

 

 だが、本作はその流れとは違って4話で1つのエピソードを作り上げている。

 これはテレビアニメが12、13話で構成されていることで考えれば4×3=12ということで1つのお話として全体で考えた場合3段構成として成立しているのであるが、1つのエピソードに4話かけるというのは結構大胆な構成だろう。

 

 私は原作を読んでいないので、それが作品としてみた場合の丁度いい切れ目だったのか、ここから先は長編になるためなのかがわからないのが残念だが、思い切ったことをしたなと感じる。

 

 

2 グリムガルから感じる『丁寧さ』

 この作品の魅力を語るときに丁寧だったり、空気感がいいという言葉がよく出てくるが、その理由も上記のような構成方法から推測できる。

 聞いた話では原作の2巻分を消化したとのことだが、ある程度の話の取捨選択をした後に、4話構成としたときに尺の問題が出てくる。そこをカバーするために音楽を使ってPVのような作りのシーンというのが多く挿入されたのだろう。

 

 映像系の物語作品において、音楽というのは非常に重要な要素であって、押井守などは『映画の半分は音である』などと発言しているし、デヴィット・リンチやキャメロン・クロウなども同様の発言をしている。

 もちろん映画とテレビアニメにおける音楽の役割なども微妙に異なってくるが、音楽と映像が見事にマッチしたアニメというと私は『秒速5センチメートル』であったり、スタジオジブリ作品を挙げる。特に秒速5センチメートルの場合は、ラストの山崎まさよしの音楽というものが欠かせない存在として際立った演出になっている。

 

 このグリムガルも3話だったか、街の様子を見せながらそこに住む市井の人間たちの生活をじっくりと絵で描き切った部分などが、独特の空気感の構成に一役買っている。こういったPVのような部分は話が動かないことが多いので、時間的に詰め込まなければならない作品では向かないけれども、本作は4話構成だからこういった部分の表現が出来たのだろうし、全体的にゆったりとした演出が目立ち、のんびりとした時間が流れながらも、バトルシーンではアップテンポな曲を使ったり、スピーディな絵作りで勢いを生み出してメリハリがついていた。

 中村亮介監督のうまさを感じた。

(中村監督作品ではあいうらでも似たような上手い空気感の演出ができていたし、Super cellのperfect dayのアニメもすごく良かった)

 

 

3 最終話について

 最終話はさすがに後半走ってしまったかなぁという気もするのだが、上手い具合にまとめたのかな。

 ハルヒロが目覚めた時にメリィが歌うシーンでカウボーイビバップを思い出したのは私だけではないはず。だけどスパイクは「音痴」っていうから三枚目のハードボイルドだけど、「ここは天国?」なんて素で言えちゃうハルヒロは天然のタラしだよなぁなんて思ったり。あと上半身裸って……

 ハルヒロとメリィがそれなりに連れ添った熟年夫婦すぎんだろ、ちくしょうめ!

 

 1つ気になったのは原作があるので仕方ないのだろうが、グリムガルの魅力は『敵が非常に強いこと』であって、簡単に倒せないところにあるので、デッドスポットをあの形で倒すのは、主人公だし仕方ないとはいえ、ちょっとご都合ぽいなぁなんて思ったり。

 あとは本当に歌が豊富で、毎回違う歌が流れていた印象がある。どれもいい曲揃いだったし、多分CDは買う。

 

 全体的に絵も綺麗だったし、キャラクターも魅力があって、嫌な奴もいなかったので(ランタもいいキャラしてた)個人的には落語心中と並んで今期随一の傑作だったと思う。できれば2期も作って欲しい作品だ。

 あ、あとウィキペディアは見ないほうがいい。すごいネタバレくらうから(マジでその情報知りたくなかったわ……)

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