物語る亀

ネタバレありの物語批評

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンス 1期最終回に伴うまとめ感想と考察 1話から25話まで

 当ブログは1月に開始しており、アニメ感想は1月スタートのものを中心に書いてきた。なので2クールものである、ガンダム、うたわれるもの、ルパンなどは途中から感想記事を書いても何なので書いてこなかったが、1期終了のタイミングで25話をまとめて感想と解析をしていこうと思う。

 

 なお、私はガンダムなどロボット作品は好きであるが、あまりロボット愛というのがなく、プラモなどを買うタイプではなくて、戦争などの骨太なストーリーが好きな人間なのでその目線で感想を書いていく。

1 安定のスタートの上手さ

 今回の監督である長井龍雪とシリーズ構成である岡田麿里のコンビというのは、スタートの上手さというのが非常に際立っている。

 例えばこの2人の代表作である『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』の1話というのは近年のアニメ界屈指のものであるし、『心が叫びたがってるんだ』の冒頭5分ほどというのも物語のスタートして白眉である。

 私などはここ叫に関してはこのスタートだけで名作であると確信したほどだ。(そしてその確信は間違っていなかった)

 

 鉄血のオルフェンズもその例にもれず、序盤は過去作を含めても1番といえるほどの出だしだったのではないだろうか?

 少年兵が大人たちを追い出し、傭兵団を乗っ取る。そして攻めてきたギャラルホルンの面々をいかにも戦争というように残虐に倒していき、最後の言葉を途中で遮りながら主人公が銃を撃つというのは、今回の方向性と主人公の性格というのが端的に表すいい演出だった。

 ヒイロ以上の非常さと、任務遂行力、そしてオルガに対する絶対の信頼という要素は今までのガンダムと違ういい設定だと思う。

 

 私もこの時点では今回のガンダムはもしかしたら、過去のテレビシリーズで最高のものになるのではないだろうかという予感がしていた。

(ちなみに私はガンダムはOVAの方が好きで、ランキングを作るならば1番は0080、2番はUC、3番目にZZかXが入る)

 

 

2 構成に対する疑問

 しかし、今回のガンダムは最終的に満足する出来かというと、決してそうではなかった。その理由の1つが構成に対する疑問である。

 本作は火星から旅たち、地球に向かうというのがメインストーリーであるが、その地球に降下したのは19話であり、地球編と呼べるものは20話以降の6話ほどしかない。初代のガンダムとは話数も2部制作という制作状況も違うのも重々承知であるが、ファーストでは5話で大気圏に突入、10話でガルマが散っている。

 このテンポの良さがガンダムの1つの魅力であるが、せめて地球圏降下を15話ほどにしておいた方が良かったように思う。

 

 やはり地球に降下してからの話というのは走り過ぎたきらいがある。特に24話などは状況を説明してくれはするものの、1話見逃したのかと思ったくらいだ。後半に詰め込み過ぎてしまうのはこうした連続テレビシリーズでは致し方ないものでもあるのだが、では前半の宇宙パートをあれだけゆっくりやる必要があったのかと問えば疑問がある。

 

 今回の構成を考えてみた場合

 1〜3話 鉄華団誕生編

 4〜6話 地球へ向けて出発 日常シーンにて掘り下げ

 7〜9話 名瀬との兄弟杯

 10〜13話 昭弘の弟を巻き込んだ宇宙戦(1クールの切り目)

 14〜16話 火星の反乱からフミタンの死

 17〜19話 地球圏への脱出

 

 とここまでは3話理論に基づいた構成として成立している。

 しかし残りの話数を考えてみると

 

 20、21話 地球降下〜ビスケットの死

 22、23話 鉄華団暴走〜カルタの死

 24、25話 議場に案内するための戦闘

 

 と2話構成になってしまっている。これをもって終盤の走ったというのはお分かりいただけただろう。

 もしかしたら本来26話構成だったものが、26話をできなくなったということで構成しなおした結果であり、本来24話の前に導入される話(ここでは23,5話とする)があったのかもしれないが、それを丸々カットした結果なのかなと想像する。

 

 しかし改めて見直すとこの話数の切り方というのも理に適ってはいるのだけれども、やはり後半走ったのは反省材料ではないだろうか?

 14話から一気に話が加速させたいから火星の反乱を14話に持ってきたのはわかるが、こうして見直すと4〜13話でダレてしまった感があるので、もう少し圧縮して欲しかったなぁ。

 

 

blog.monogatarukame.net

 

3 主人公サイドの目的は?

 今回もガンダムらしく専門用語が多めの上に、政治情勢などが複雑なため一見するだけでは理解することが難しいが、今回の主人公サイドの目的は

 

 三日月=オルガや鉄華団を守りたい

 オルガ=鉄華団の箔をつけたい

 クーデリア=火星独立運動を成し遂げたい

 

 と微妙に異なっているが、クーデリアを守り切れば鉄華団の箔がつくなど、利害関係が一致しているために共に行動している。

 ここで気になるのが、クーデリアの目的達成のための方法がわかりづらいことである。

 

 本作では様々な人間の思惑が複雑に絡み合ってしまっているため、どうすればいいのかよくわからない。

 例えばマクギリスの狙いが明らかになるのは25話であり、そこまでは暗躍はするものの、何がやりたいのか、なぜそうなるのかということは明かされない。

 他にもマクギリスの父であるイズナリオ、マクワード、蒔苗などの陰謀であったり、ビスケットの兄、クダルなどの面々の思惑も絡んできてあまりにも複雑すぎてこんがらがってしまう。

 なので結局は分かりやすいガエリオ、カルタ、アインなどに人気が集まってしまった印象がある。

 今回はクーデリアの政治劇がメインであり、戦争で世界を変えるのではなく、きっちりと選挙と政治で事を動かすというのをやりたかったのは分かるが、この辺りを少し整理することができたらより面白くなっただろう。

 

 それから、あとは三日月が感情移入しづらいキャラクターになってしまったのは残念かなぁ。今回のガンダムを見て、バーサーカータイプの主人公はガンダムに向かないような気がした。

 戦いに対してウジウジ悩む姿であったり、快活であってもガロードやジュドーのような人を殺すということを是としない姿であることが重要なように思う。

 今回は少年兵の歪さや、悪徳の傭兵団を描きたかったのはわかるが、これもう一歩行けば賊と変わらない単なる戦争犯罪集団になりかねないよなぁ。

 

 あとなぁ……24話であれだけ絶望を煽っておきながら、みんな無事に生きてましたというのは逆に冷める…… 

 

 

4 今後の展望

 ここまで厳しいことを書いてきたようであるが、全体的には楽しく全話見ることができた。

 では個人的に2期に何を望むかというとズバリ鉄華団VSクーデリア(&マクギリス)の戦いである。

 

 今回の一件により鉄華団の任務は終了、泊もついたしこれから先は安定した職にありつけるだろう。クーデリアはここから権力をつけていくであろうし、様々な権力に翻弄されていくのだろうが、そこでクーデリアと戦闘状態になったらさすがの鉄華団も迷うよなぁ……

 あとはガエリオなども加えての三つ巴戦とか。

 本当はオルガVS三日月が見たいのだが、それはどうにも起こりそうもないので、VSクーデリアで。

 

 でもモビルスーツの格好良さがわからない私でも、今回のガンダムはかっこいい機体が多いなと思ったし、様々な面から見ればこの作品は成功したのではないだろうか。

 10月からの続きも期待したい。

 

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