物語る亀

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物語愛好者の雑文

灰と幻想のグリムガル 8話までの感想 成長を感じられる話だった

 グリムガルの感想記事をあげる。

 本来は3話ずつ上げていこうかと思っていたが、グリムガルは4話で一区切りという話の構成のため、8話でも感想記事をあげる。4、6、8と偶数であげているが、一区切りついたところ、1クールのちょうど中間点、また一区切りという理由のため、次は12話になるかも。(1クールの大体4分の3にあたる9話で書こうかな、とも思っているが、さすがに連続しすぎ)

 

 ちなみに4話時点の感想記事がこちら

 

 

monogatarukame.hatenablog.com

 

  いつもこのグリムガルの記事で語っているのは、そのゆっくりとしたテンポと丁寧な作りだ。

 今回の8話の内容も、普通のテンポを重視したアニメであれば全てBパート一つにまとめることができる。(戦闘10分ほどで、墓のシーンを特殊EDを含めながら2、3分で終わらせる)

 だが本作はそんなことはせずに、1話まるまるかけて戦闘とその報告に使ってくれている。この丁寧さが最大の売りだ。

 丁寧な部分を幾つか挙げていきながら感想を書いていこう。

 

●アバンの円陣から雰囲気がよく、これから敵討ちに行くという劇的なシーンであるのに、そのスタートとしては非常に抑えられたものだった。一番盛り上がるシーンだからもっと熱いロック調な音楽を駆使して、演出することもできるのに、そうしないで抑えるところがグリムガルの魅力。

 

●戦闘が始まるとやはり速い音楽を流して成長した強さで魅せて、戦闘後のBパートはスローなED曲を流すことでメリハリのある演出が非常に上手いこといっている。音楽と合わせて魅せるということにすごく強い拘りを感じられるのがグリムガルだが、今回も同じように音楽を一つの演出として機能していた。

 この無双とまではいかないが、非常に強くなって大量の相手を倒す描写が仮に3話や4話で発生した場合、つまり俺つえぇ作品の場合では、ここまでの感慨深さというのは感じられなかっただろう。1話からの苦境や生きていく難しさ、必死に生きている敵、4話の苦戦、そこからの衝突などもあり、8話にてようやくこの結果を迎えたことに意味がある。

 そこでは爽快感は薄いかもしれないが、充足感が非常に強いものになっている。この成長を感じられる作りというのは、やはりこれだけスピード感を落としたゆっくりとした展開や作り故のものだろう。

 

 ●ゴブリンもやはり生きているから、チェスを楽しんでいたり、それぞれの生活をしている描写があったり、最後のEDの提供の絵もまた、ゴブリンがただの殺戮者ではないことを物語っていて非常に好感の持てるものになっていた。こんなやつらを敵だからとはいえ、倒さねばならないということは非常に残念だ。

 RPGやアニメ世界では非常に軽く見られがちが敵の存在を、ここまで描き出せるというのはやはり一つの才能だろう。

   

 

 本作は特に物語として練られた伏線や劇的な展開があるわけではないし(仲間の死もなんとなく予見できていた)原作付きだから先の展開を知っている人、ネタバレされている人もそれなりにいるのかもしれないが、それでもこの作りだったら楽しんでいるのではないだろうか。王道のうまさを非常に感じる。

 ラストのハルとメリィのシーンなどはまさしくその典型で、これが恋愛フラグとしても死亡フラグとしても効果的に演出できているように思える。これはどんな展開が来てもこの描写は生きるだろう。

 

 あとは新海誠とまでは言わないが、ハルの独り言(ポエム)がこの作品をよく彩っている。これが細谷佳正の朴訥とした声と合わさると、非常にこちらの心に響くものになってくる。すごく純粋さを感じる声だよなぁ。

 

 というわけで、良いと思う部分を羅列するだけの感想記事になってしまったが、丁寧さがそのまま面白さとして伝わってきているので、非常に好きな作品だ。こういう作品が広く売れるようになって欲しいけれど、どうなんだろうか。売り上げ云々はあまり興味がないので調べる気もない。

 

(ちなみに作品名を間違っていたことにようやく気がつきました……ずっとグリムガル<ド>だと思ってた……恥ずかしい)

monogatarukame.hatenablog.com

 

 

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灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)

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