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物語る亀

ネタバレありの物語批評

少年Aが週刊文春に掲載される〜表現の自由と私刑〜

雑考 物語論

 今回書く内容はタイトルの通りで、個人的に表現の自由に関する問題は非常に重要なことなので書かせてもらいます。

 少年Aがブログを始めた時に考えたことはこちら

 

 

monogatarukame.hatenablog.com

 

  

 私が現代社会において最も重要視する自由は表現の自由である。これは私自身が今こうしてブログを書いているように、言葉で色々と話したい、語り合いたい人間であるからで、それには当然のことながら意見の違いや衝突、また意図していないとしても差別的発言を含んでいる場合もある。

 それでもやはり色々な意見の衝突や、議論によって生まれる新しい価値観というものもたくさんあって(むしろ新しい価値観というものは大体世間や常識から逆らうものだから、激しい議論を巻き起こす。同性愛問題とかね)、その発言自体を禁止するということは新しい価値観を呼び起こすことを禁じるということでもある。

 


 

 共産主義国家なんてものはその際たるもので、今支配している党や国が最も偉いのだから、それを覆すような新しい発想なんてとんでも無い。だから表現規制をする。逆に民主主義社会においては、その新しい発想の元に変換する社会というものを基軸にしているから、表現の自由は守られることになる。

 私などは多種多様な発言、意見がある社会や文化というのは、その成熟度を示すいい指標だと思っているから、むしろ色々と発言した方がいいとすら考える。

 

 だが、少年Aのような事件が巻き起こるたびに、私は困り果ててしまうのだ。 

 その報道自体は規制することはできないが、少年は大人と違って名前は公表されることはない。よほど残虐な事件であったり、容疑者の逃亡などでさらなる被害者が出る可能性が高い場合などは例外的に報道されるが、基本的にはそれは守られている。

 だがそれに対する世論の(主にネットの)問題意識の高さというものがあって、時にはその『正義感』が暴走してネット上にアップされてしまうこともある。

 それは明らかに倫理的に問題のある行動ではあるが、だがそこで表現の自由を振りかざされると非常に困惑するのだ。

 

 表現の自由があるからといって、人を貶める発言や、差別的な発言はしてはならない。つい昨日丸山議員が非常に差別的な発言をして話題を集めたが、これは『表現の自由』に当てはまるかといえば、当然のことながら否定してしまう。

 だが、その対象が重要な犯罪を起こした人物である場合においては、なぜだかそれを許容するような風潮というものが感じられてしまうのだ。

 

 今回の件に関して、少年 Aは何らかの事件を起こしたわけではない。過去の犯罪の手記を営利目的で販売し、またブログを有料化するということに関して、倫理的に非常にグレーな部分ではあるものの、それは今の所、法に反するものではない。

 少なくとも過去の犯罪は法のもとに償っており、社会復帰を果たしている。そんな人間に対して、過去の犯罪について報道することが果たして正しいのだろうか?

 

 私にはこの件は非常にやりすぎた民衆による『私刑』にしかならないと思っている。明らかなプライバシー違反だし、やり口も押しかけ、つきまとい等の行為や、盗撮、盗聴を指摘される可能性のある方法で、我々一般市民がやったら警察沙汰になりそうなことであり、これが是とされてしまえば、迷惑防止条例などは何の意味もない。

 ましてやこれが既に罪を償っている人間に対する態度であるのだから、やっていることは北朝鮮の将軍が気に入らない部下を左遷や、粛清しているのと変わらない。

 今回の事案は法治国家の恥であると考えている。

 

 本当にこの今の少年Aを取り巻く状況が気にくわないのであれば、それを公約に掲げて国会議員を目指すか、はたまたシールズのような団体を立ち上げるのが本来やるべき手段であるだろう。それをネット上で名前を晒すことや、一企業の相当数の販売数を誇り、社会に対する影響力の強い企業がやるべきことではない。

 

 今回の件で少年Aの生活が困窮したり、家族や会社の人間、近所の住人、子供がいたとしたらその子供の生活がままならないものになった場合、それは私刑による被害者だと思う。確かに彼は調子に乗りすぎたが、だからといってその生活を困窮させていいことにはならない。

 

 少年 Aを擁護するような意見になってしまったが、その意図はない。彼のやり方に苛立ちを感じるのは私も同じである。だが、気に食わないからといって何でも好き勝手にやっていいというわけではないと言いたかった。

 最近の週刊文春のやり方は公職である大臣に関してはともかくとして、少し行きすぎだと思う。