亀爺(以下亀)
「それではリトルウィッチアカデミアの感想記事を始めようかの」
ブログ主(以下主)
「今期は何の感想記事を書こうかなぁ……意外といい作品が多くて、結構迷うよね」
亀「まずは春アニメで注目作について軽く触れておこうかの」
主「今期はまず『月がきれい』が抜群にいいかな。あとはPA枠として『有頂天家族2』と『サクラクエスト』は注目している。あとは評判がいい『Re:CREATORS』『エロマンガ先生』『正解するカド』『ID-0』あたりを視聴していこうかな、と考えているけれど……ブログの記事にするとなると個人的にはオリジナルがいいけれど、語りたいほどの作品となると今のところは『月がきれい』だけかな」
亀「今期は豊作という話もあるの」
主「でもさ、いつも言うけれど多すぎるよね。毎日5作品見ても週で35作品。それでも全部観れるかというと、そういうわけじゃなくてさ……それでアニメソフトが売れないって、そりゃそうだよ。明らかに業界全体が供給過多」
亀「この間のアニメランキングもいろいろ言われたが……」
主「あれはそれだけ女性向けアニメがまだ少ない、ないしは需要に対して供給が追いついていないってことを示すデータだと思うけれどね。男性向けアニメは多すぎて票が割れているけれど、女性向けアニメがまだ数自体は少ないからその分票が集まりやすい。
多分アニメ業界が一気に注目を浴びた&売り上げが伸びたのは女性ユーザーが多く参入してきたからなんだよ。ここ最近、どの業界もメインターゲットにしている女性を獲得していたから伸びたんだろうな」
亀「女性である、ということは1つの強みになるかもしれんの」
主「だからと言って女性向け作品が増えると今度は萌えアニメと同じ状況を招くだけだろうけれど……例えばこれは表現者側も同じで、最近は山田尚子などの女性アニメ監督やスタッフも注目を集めるようになってきている。
特に自分が思うのは映画ブログだね。映画ブロガーって多くが男性なんだよ。だけど、女性が映画ブロガーになればそれだけで差別化ができるし、需要もある。
『これからは女性の時代』と言われがちだけど、逆に言うとそれだけ女性の活躍の場がなかったってことの反動でもあるんじゃないか?」
亀「ちょっとアニメなどの話から外れてきたから、そろそろリトルウィッチアカデミアの話に入るとするかの」
1 18話の感想
亀「それでは18話の感想から語るとするが今回のお話はこの作品にとって重要な回であったのではないかの?」
主「まあ、この作品はほぼ全ての回がキチンと意味を持っているようだけどね。
でも、この回はこれからのアニメ界にとって重要な意味を持つ……と毎回言っているけれど、この回もまた素晴らしい。
例えば最初のワイルドハンターのシーンって少し古めの作画を連想するように作られていた。そこに参加するのは魔法ではなくて機会を用いることを得意とするコンスタンテだった。いつも語るけれど、この作品における『魔法=手書き作画』であり『科学=CG作画』の象徴になっている」
亀「『私たちってちょっと似ているよね』というセリフもあったが、あれは魔法=手書き作画に憧れてきたアッコと、科学=CG作画に憧れてきたコンスタンテという対比になっておるの」
主「さらに言うと魔法に対して意識が高いダイアナも実はアッコと似ている存在でもある。そしてこれが後々大きな意味を持つと思うんだけど、それはまた後ほど語るとして……
今の回が示したのは『手書きとCGの共存』なんだよ」
亀「2クール目に入ってからそれまで『魔法と科学』という相対関係にあったものが、少しずつ歩み寄る様子を見せてきたの。その象徴が14話の魔法ストライキ問題であり、その解決策は科学の力であった」
主「例えば5話においては潰れそうなルーナノヴァと対比するように、現代のネット技術で儲けるドラゴンの話があった。6話ではアンドリューの父親が『魔女なんて時代遅れだ』というセリフがある。実は魔法技術は万能でもないし、しかも時代から考えると時代遅れの技術であることを何度も示唆されてきたんだよね。
『ではどうすれば魔法は存続できるのか?』それこそが2クール目のテーマである」
あの名作アニメを連想させるグランシャリオン!
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
コンスタンツェの技術
亀「それを読み解く鍵がコンスタンツェとアッコの関係性と言えるのかもしれんの」
主「これって『SHIROBAKO』でもあったし、今でも多くの業界人が語っていることだけど、CGクリエイターに対してアニメーターが教えているというのはよくあることなんだよね。CGのクリエイターは新しい技術は持っているけれど、動きのノウハウがない。逆にアニメーターは動きのノウハウはあるけれど新しい技術に対しては疎いところがある。
その両者が手を組むことにより、新しい『日本のCG』を生み出そうという動きがある。例えばセルルックなどの技術や、サンジゲンや白組などの会社がその代表になるのかな?」
亀「そして出来上がるのがあの究極のメカなわけじゃな」
主「全く新しい発想が入ってくることによって、CG業界も刺激になる。アニメーターの方もできることがどんどん多くなる。表現の幅も広がっていく。
それを象徴するのがあのグランシャリオンだな」
亀「コンスタンテの科学=CGが生み出したのがロボットであることも面白いの。やはり現代におけるCGが得意とするのは車などの無機物、そして何よりもロボット描写であるからの。もちろん手書きには手書きの良さがあるが、CGの動きの華やかさ、素早さもまた違う味を出しておる」
主「だけど変身しただけで魔法エネルギーはなくなってしまう。それを救うのはハンターたちだ。これは『過去の作画の象徴=ハンター』と『未来の作画の象徴=グランシャリオン』という過去と未来の融合した先こそが、このような素晴らしいアニメーションを生むんだよ、という意味を持っている」
手法とメッセージの一致
主「その融合こそがこれからのアニメ界を語る上では非常に大事なことになってくる。
そしてさらにすごいのは、それを示す作画=18話でいうとグランシャリオンの戦闘シーンというのは地味なものになってはいけないんだよ。それは17話の戦闘シーンもそうだけど、見ていて楽しく、そして意義のあるものでないといけない。でないと手法とメッセージが一貫しないから。
この作品が素晴らしいのは、その先もきちんと作画として見せてくれること。しかも楽しんで書いているのが伝わってくる。これはアッコの語る『ドッキドキのワックワク』な表現でもあるよね」
亀「『グレンラガン』のオマージュなどもあって見ている側も面白かったの」
主「この作品の1番のメッセージって『魔法は楽しいもの、素晴らしいもの』ということだ。それはすなわち『手書き作画は楽しい、素晴らしい』ということに繋がるし、もっと言えば『アニメってこんなにも楽しいものだ!』ということになる
亀「最後に渡したコンスタンテの箒のように、今はまだ魔法で飛ぶ方が素晴らしいかもしんが、それまで箒で空を飛べなかったアッコが飛べるようになったというのも象徴的じゃの。
これは『アッコの想像力とコンスタンテの技術の融合=グランシャリオン』であるのと同時に、『コンスタンテの技術によってアッコができなかったことを達成する』ということでもある。
つまり『手書きとCGは共存するものである』というメッセージにもなっておるの」
主「日本アニメの強さってやっぱり手書きにあるのは間違い無くて、今でも手書きアニメーターで素晴らしい人はたくさんいる。だけど、その手書きの技術も、継承の問題だったり賃金問題など色々と言われている。もしかしたら、20年後には手書きアニメは滅びるかも、という話もあった。セルアニメも消滅したしね。
だけど、そうでは無くて……『手書きVSCG』と考えるのでは無く、もっと共存できる楽しみ方を見つけようよ! というのが本作なわけだ」
2 これから先の展開の予想
亀「さて、ではここから先の展開を予想するとするが、ある程度見えてきたものも多いかの」
主「まず自分が間違いなく断言するのは『クロワ先生は絶対的な悪ではない』ということ。視聴者はアッコ、アーシュラ先生サイドの『魔法サイド』から物語を見ているから、どうしても科学側のクロワは敵に見えるかもしれないけれど、実はそうではない。
対立する『手書きVSCG』の象徴がアーシュラ先生とクロワ先生となっている一方で、アッコたちは『手書きとCGの共存』を示してきた。それが前回語ったOPの解釈にもつながってくる」
亀「むしろここまで明確に敵がいないのにこれからクロワが敵になってものぉ……」
主「1つ見えてきたのは『ナインオールドウィッチ』のお話で、これは多くの指摘でアッコ、ロッテ、スーシィ、アマンダ、コンスタンツェ、ヤスミンカ、ダイアナ、ハンナ、バーバラの9人がそれに該当すると言われている。
ちょっとハンナとバーバラのキャラクター性がまだ弱い気もするけれど……実はここにアーシュラ、クロワが入る可能性もまだないとは言えないかなぁ、と思っているんだけどね」
亀「そこでこの2人が入ってくると巨大戦力になるの」
主「まあ、それはおいおいわかるとして、じゃあ、この9人、3組のそれぞれの役割を考えてみると
アッコ組=落ちこぼれの中でも魔法や好きなものに対する思い入れは非常に強い
アマンダ組=特定の技術に特化している
ダイアナ組=オールマイティに優秀
ということになっている。じゃあ、詳しく1人ずつ見ていこう」
最後にすべてを持って行ったコンスタンツェの笑顔
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
それぞれの役割
亀「まずはアッコ組じゃな。
アッコは語るまでもなく、シャリオに対する憧れが非常に強くてどんなにダメでも決してへこたれない強さを持っておる。
ロッテもファンであることを選択したが、ナイトフォールに対してはオタクとも言えるほどの知識を有しておる。
スーシィは少し特殊じゃが、自分の興味のあるホラーやキノコに関しては並々ならぬ興味と研究心を発揮しておるの」
主「つまり、その3人は『心技体』のうちの心だったり、思いの強さ、夢や憧れに対してまっすぐに進むという気持ちを象徴している。
一方のアマンダ達は特化型のスキルを有していて、アマンダは体術や飛行能力のような迫力のある魔法が得意。
コンスタンツェは機械を用いた魔法。
ヤスミンカは食事に対する魔法が得意だ。
この3つ、つまり『飛行やアクション、CG、食事、食べ物』の作画は難しかったり、とりわけ注目を集める作画でもある。そこに特化した面々だね。
未来の技術だったり、特化した技術の象徴の3人組かな」
亀「となるとダイアナはわかりやすいの。
こちらはオールマイティになんでもできるということを考えると、宮崎駿のような伝統やそれまでの手書き作画の守り手となるかもしれん。なんでもできる分、少し頭が固そうなところなどもあるかもしれんの」
主「びっくりするほどなんでもできる子になっているけれどね。
そしてハンナはスーシィのライバル役、バーバラはロッテのライバル役として機能している。
つまり、ダイアナ組は『伝統の技術』を象徴する存在だ」
亀「つまり
『心と信念のアッコ組』
『未来と特化のアマンダ組』
『伝統と技術のダイアナ組』
この3者が揃うことによりナインオールドウィッチになり、素晴らしい魔法=アニメが完成するということじゃろうな」
最後に
主「そう考えると、この先鍵を握るのはまだ描写の少ないヤスミンカたちをどのように描くか、そしてそれを取り巻く面々をどのように描くかにあると思う。
でもここまでうまく、計画的に物語ができているから、この先、おそらく19話くらいでヤスミンカの話をやって、ハンナとバーバラのお話もあるはず」
亀「そうでないと物語としておかしくなるからの。おそらく、ダイアナの実家の話でハンナとバーバラはやってくれると思うんじゃがな。そうでないと、ナインオールドウィッチの伏線が生きてこないように思うのじゃが」
主「もしかしたらもっとすごい展開を用意しているかもしれないけれどね。
あー、また来週まで楽しみだなぁ!」
亀「最近、少し更新頻度も落ち気味じゃが、こうしてアニメ記事を書いて気分転換もいいかもしれんの」
主「ちょっと最近映画感想記事に偏り過ぎな印象もあったんだよね。まあ、そっちを楽しみにしている方も多いと思うけれどさ。
少し気分転換も入れて小説や漫画記事を増やしていくかも……」
亀「そのためには春アニメも見なければいかんの。豊作なのは嬉しいが、同時にそれを追う辛さもあるかもしれん」
主「わがままな悩みだけどね」
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