物語る亀

ネタバレありの物語批評

さらば善き日(既刊2巻)の紹介と感想

 今回紹介する漫画は『さらば善き日』

 既刊2巻

 

 この作品はCOMIC itという雑誌で連載されているのだが、どうやら最近刊行されたばかりのようでラインナップを見てもピンとくる作品がなかった。

 絵柄から察するに少女漫画雑誌に分類されそうではあるのだが、そこまで過度な少女漫画ではないので男性女性の区別なく読まれやすい作品ではあるのかな。(ちなみに私が行く書店では少年漫画と少女漫画が入り混じる区画に置かれていた)

 

 

さらば、佳き日1<さらば、佳き日> (it COMICS)

さらば、佳き日1<さらば、佳き日> (it COMICS)

 

 

1 登場人物紹介

 

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 晃

 今作のヒロイン。

 一応1番初めに紹介するが、次に紹介する桂一の相手役なので2人でセットである。

 性格はサバサバ系女子であり、ショートカットからもわかるように女らしさをアピールするようなタイプではないが、保育士をしていることもあって子供好きなど、女性らしさもある。

 男性からしたら理想の女性像の1つでしょう。

 

さらば、佳き日2<さらば、佳き日> (it COMICS)

 桂一(2巻の表紙から)

 晃の相手役。

 ビビリで晃がいないと何もできないような気弱系男子ながらも、晃のことならば一目散に駆けつける男らしい面も持つ。

 出版社勤務だが、時系列からすると1話が1番後の話なので、高校時代や大学時代がメインとなる。(話によって時系列はバラバラになる)

 

 基本的にはこの2人を中心に話を展開させていく。

 時系列は先ほども述べたように話ごとにバラバラではあるのだが、1話が最も最近の話であり、2話以降は過去をじっくりと描いているので、頭がこんがらがるということはない。

 

 

 

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2 本作の見所(ネタバレ含む) 

 ではさらば善き日の見所となると、これはもう現代の恋愛ものでは致し方ないことなのであるが、この2人は実は兄妹なのである。

 直接的な性描写というものはないものの、1話においてキスを交わす程度には親密な仲であり、年齢も加味するとそれが「お兄ちゃん大好きー」なんていうレベルのものではないことがわかる。

 本当ならこの設定は隠しておいたほうが良かったのかもしれないが、帯に大々的に書かれて宣伝しているため、もうネタバレもクソもないのだが、この情報は知らないで読んだほうが面白いだろう。(実際、私は帯と表紙に惹かれて買った)

 

 最近の恋愛作品は男性向け、女性向けを問わずに兄弟間の恋愛を扱ったものが多いが、これは現代の価値観に合わせると仕方ないことである。

 例えば『ロミオとジュリエット』を思い浮かべた時、あの作品を現代にリメイクするのはほぼ不可能である。なぜならば、それは『ロミオとジュリエット』はお互いの家柄が仲が悪いので結婚できないからである。

 

 では現代において家柄のせいで結婚できないなどということがあり得るのだろうか?

 これが天皇家であるならばわかるが、そこまで行くともう一般性はなくなってしまう。

 家柄のせいで結婚できないということは一般人には想像できない。(最悪、駆け落ちすればいいだけの話ではないか)

 このように恋愛に限らず物語にはその目標を阻害する『敵』が必要だが、現代では多くの視聴者が無理だと思う障害がほぼ撤廃されたため、観客が結ばれないとわかる兄妹の恋愛(近親相姦)というのは数少ない障害のひとつなのである。 

 

 

 

3 丁寧な絵と心情描写

 兄妹間の近親恋愛というと少し陰鬱だったり、悲劇的な印象があるかもしれないが、本作はそのようなことは一切なく美しく、しかし切なげに描かれている。

 それから絵も綺麗で上手いので読みやすい。おそらく茜田千(アカネダ ユキ)という名前から察するに女性作者なのだろうが、女性の描き方が男性の理想とする女性キャラ(妹キャラ)ではないのであざとさが感じられないのがいい。逆に萌えを望む人には受け入れられにくいかも?

 

 一方男性キャラは、女性作者の描く男性キャラクターらしく、男性からすると少し

違和感があるかもしれない。あまり汗など感じないような、なよっとしたような男性が多いのでそこが受け入れられるかどうか。

 特に牧島先輩のキャラクターが、その特殊なキャラクターから受け入られるかどうかという問題もあるだろう。(逆に男性作者だとしたら、この描き方は凄いと思う)

 

 2巻の段階でようやく2人がお互いの本心を理解し、わかりあったのでここからどのような展開を見せるのだろうか。おそらくここまできてしまうと、あとは突っ走るか邪魔されるかという展開が王道なので、数巻続けるのは難しいかもしれないが、このまま丁寧に最後まで仕上げてもらえれば、読者として満足である。

 

 いい作品なのでそのような恋愛作品が好きな人は手にとってほしい。

 

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