それでは『エヴァンゲリオン新劇場版 序』と破の感想を合わせた記事になります!
2作セットで語る記事です
カエルくん(以下カエル)
「今回も『ぼくがかんがえたエヴァンゲリヲンのしんじつ』みたいなものなので、気張らずに読んで欲しいです……」
主
「いや、これは自信満々ですよ!」
カエル「いや、ほら、正解不正解ってものでもないしね?」
主「シンエヴァ公開時に、みな恐れ慄くだろう!
物語る亀の語る通りになったと!」
カエル「……それで全外しして、大恥をかくフラグにしか思えない……
では記事のスタートです!」
エヴァ序について
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです
エヴァ序鑑賞
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年4月29日
基本的に1〜6話までを忠実にリメイクすることで『仕組まれたシナリオ』てあることを示唆する新劇の存在意義そのものをが物語の意味を持つと思われる魅せ方が見事
しかし旧劇から10年でここまで映像的進化を遂げたことが最大の驚愕ポイント
2000年辺りを境にアニメ映像の迫力が増している pic.twitter.com/Fj2uGHvakr
映像表現の進化にびっくりした作品だね
カエル「確か、旧劇から考えると10年しか過ぎてないんだよね……制作時期を考えると、多分5年くらいしか感覚が空いていない可能性もあるけれど、そうとは思えないほどの圧巻のクオリティで!」
主「2000年前後はデジタル化が本格的に制作で取り入れ始めた頃だと思うけれど、その違いが画面からも溢れている。
そもそもテレビシリーズと劇場版の……しかも、社会現象となるほどの大ヒットしたあとだから、お金がすんごく掛けられているのは、当然と言えば当然かもしれないけれど……本当にみんなが観たかったエヴァンゲリオンその1、って感じじゃないかなぁ」
カエル「物語も、ほぼフルリメイクながらも徐々に謎を散りばめていて、確かにエヴァっぽいなぁ……という印象だよね。
これは今後の展開に期待するのもわかるかも……」
主「ただなぁ……個人的には評価が難しいというか、語りづらい。
9割くらいリメイクだから、新規で語ることが少ないしね。この辺りも計算だと思うけれど、同じ物語を見せられてもなぁ……という思いも、やっぱりどうしてもある。
だけれど、それもまた1つの実験なのだろうとは、解釈ができるわけだ」
リメイク作品を作り始めた理由
リメイクであることが実験?
つまりさ、”シナリオを知る者は誰か?”という問題だ
主「多分、多くの人が語るように、この新エヴァはループしているんだよ」
カエル「テレビシリーズ・旧劇の内容はそのままに、シンジたちがやり直しているという解釈だね」
主「もしくは、シンジの心の中の話か……最終話付近のような。
いや、それはないのか……?
まあ、いいや。
で、よくエヴァで語れている『ゼーレのシナリオ』とかさ『死海文書の文言が〜』ってあるけれど、それって一体なんだろうね? って話。
おそらく、メタ的に語れば『テレビシリーズの内容』なんだよ」
カエル「……うん?」
主「ということは『シナリオに沿って行動する』って何? というと、それは”かつてのエヴァンゲリオンの内容通りに進める”ということなんだ。
ということは、リメイクで前作のように進められているのも、計画通りなんです」
……え、リメイクだから当たり前と言えば当たり前だけれど……
それが当たり前だと、なぜ言えるのか?
主「以前の記事でも語ったけれどエヴァンゲリオンというシリーズは、壮大な映像実験でもあるんだ。
アニメや映像とは何か? ということを語っている部分も多い。
その精神はこの作品でも生きている。つまり”リメイクをする=ループする”ということを、そのまま物語として踏襲する。
では、死海文書に書かれたゼーレのシナリオとは何か? となると……それは、作者が書いたシナリオ、つまり庵野さんの脚本、あるいは前作の物語となる。
ループするのはキャラクターだけではない。
我々観客も含まれている。
これが、自分の新劇エヴァ論の基本の1つね」
風姿花伝と庵野作品
なるほどねぇ……それに添う形だから、序はより忠実に再現したと
序破急の考え方において、重要な影響を与えている世阿弥の『風姿花伝』という、古典作品がある。日本初の芸能論を説いた本とも言われているね
主「基本的に、能の世界では『物真似が基本』とされている。師匠の動きを物真似し、市井の人々の癖や動きを物真似し、動物を物真似し……その先に、自分の動きやオリジナリティを追求する。
まずは、真似から始まる。
それが序だ」
風姿花伝の中では、以下のような文言があります。こちらは水野聡による現代語訳になります
『これら万仏の数々をよく真似た結果、幽玄の物真似は幽玄となり、強いものは自ずと強くなるものなのだ。この違いをわきまえず、ただ幽玄になることだけを目掛け、物真似が疎かになれば、そのものに似ない。似ないということをわかりもせずただ幽玄になろうとする心、これが弱いということだ。
中略
ただただ似せようとだけ考えるべきだ。強いということも、よく似せることができれば自然と強くなる」
幽玄……趣がある、優雅である、などの複数の日本の美意識を表した言葉
つまり、物真似を重ねることによって、本当の優雅さ、気品、あるいは強さなどが手に入る。優雅さなどを最初から出そうと思っても、それは偽物=弱さである、ということだろう
主「自分なんかは、庵野作品の根底にも関わる考え方な気がしている。
庵野さんは、インタビューなどでも『自分はコピー世代で、コピーをすればするほど薄くなる』というような意味のことを話している。当然、多くの特撮・漫画・アニメに関する造詣も深く、そのオマージュがたくさん重ねることで、物語を作るという手法を選択している。
そのコピーに、監督個人の思いを投影することで生まれた作品……それがエヴァだ、とも解釈ができるわけだ。
物語を試行するのではなく、人間を描くことを志向した作品が、エヴァだ」
カエル「だからこそ、物真似のスタートだと……」
主「当然、全てが真似・セルフオマージュではない。映像表現も一級品、超面白い作品に仕上がっている。
だけれども、模倣がたくさんあることによって、先にあるもの……それを描こうとしたのではないか? というのが、自分のエヴァ序の解釈かな」
エヴァ破について
感想
続いて、エヴァ破の感想からスタートです!
エヴァ破
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年4月30日
エンタメ性の嵐の中で徐々に崩壊していくテレビシリーズのシナリオ
シンジやアスカ達の躍動に心躍るも、印象的な歌が流れる不穏な影の前に翻弄されるのはキャラか観客か
序破と駆け抜けたエヴァはいよいよ最難関のQに至る
次回 物語るカメはエヴァQの夢を見るか?
サービスサービス❤️ pic.twitter.com/JC3eDwqeHQ
エンタメ性が、ずば抜けているよねぇ
カエル「数々の名作がある2000年代のアニメ映画の中でも、1番好き! という人もいるのではないでしょうか?
それほど強烈なエンタメ性を内包している作品でもあります!」
主「自分もブログを始めるずっと前だったけれど、劇場で観終わった後に両手を握り締め、3回は観たからなぁ……
それくらい面白かった。
ちょっと卑怯なくらい、最初の15分くらいが、ずば抜けている」
カエル「マリ登場→バトル&梶さん登場→アスカ登場→シンジ・アスカの交流と、面白い場面が続くもんねぇ」
主「快楽性で殴りにきているよねぇ。
元々、この辺りってエヴァでも最も快楽性が高い部分だと思うわけですよ。
3人で同居を初めて、心を重ねて、学校通って、みんなでラーメン行って……とかさ。ラブコメ・エンタメとしてずば抜けている。そこを現代のクオリティでリメイクするんだから、面白くて当然と言えば当然。
……しかし、14歳であんな環境にいたら、シンジくんの頭がおかしくなるよなぁ。
女性不振か、逆にスケベ男子になるかの2択な気がする」
カエル「え、エヴァの時はエッチな話をしなければいけない縛りでもあるの?」
主「まあ、でもさ。エヴァらしいと言えばらしいけれど、旧来の男女の役割が逆転しているのもポイントでさ。
まるで亭主関白のようなアスカ・ミサトに振り回されるシンジという構図、それも現代的だけれど、押し付けがましくないし、リメイクの意味があったんじゃないの?」
壊れ始める物語
じゃあさ、なんでこの物語は”破”なの?
え、だって、壊れているじゃん
カエル「……え、壊れているの?」
主「壊れているよ。
さっきも語ったように、新劇場版のエヴァというのは、予め決められたストーリーを辿っている。それはテレビシリーズのシナリオだ。
だけれど、それは一部では踏襲しながらも……マリの冒頭で明かされた使徒と戦った果てのエヴァ(5号機だっけ?)の爆発、海から訪れるアスカの到着、そのほか様々なシナリオがテレビシリーズの通りに進んでいながらも、少しずつ少しずつ壊れていく。
それがあのラストだ」
カエル「……Qの話にも触れるけれど、ニアサードインパクト、だっけ?」
主「そうそう。
アスカがあんなことになって、退場してしまうのもテレビシリーズとは違う。
シナリオと変わっている……あの時の衝撃って観客が味わっているだろうけれど、テレビシリーズとかで冬月などが『ゼーレのシナリオとは違うぞ!』と驚いているのと、シンクロしている。
知っているはずのシナリオとのブレ……それが破だ」
それでいうと『シナリオからすると早すぎる、ゼーレが黙ってないぞ』という言葉も理解できるでしょう
主「本来、破のラストは19話の部分、初号機が覚醒するのは旧劇なんだから、実際に早すぎるんだよ。
ゼーレがやろうとしていると思われるのは……旧劇の再現だと言える。
だけれど、それはできていない。
もちろん、実際にあった大人に事情も関わっているだろう」
カエル「ガイナックスから庵野さんたちが去り、カラーやtriggerとして独立していく原因だよね。2019年末に庵野さんが声明を出していて、その過酷な状況があらわになったという……」
主「資料を全て引き取ったわけでもなく、一部はすでに紛失されていた、と。エヴァンゲリオンがエヴァンゲリヲンになったのも、商標権の問題などの大人の事情だという話もあるよね。
そういうこともあって、シナリオ通りに物語を進めなくなったということもあるだろうけれど……その状況も逆手にとったのが本作だと言えるわけだ」
音楽面の変化が語る物語
それでいうと、音楽も変化したよね
クラシックから童謡というか……フォークソングになったな
カエル「すっかり、自分たちの世代としては合唱曲って印象だよねぇ。学校で習って、小学生とかでみんなで歌う、的な」
主「『今日の日はさようなら』『翼をください』が、独特の雰囲気を醸し出しているよね。
エヴァはクラシック音楽を多用するシリーズではあったけれど、今作ではフォークソングを使うことによって、新たな魅力を出している。
そして……やっぱり、この楽曲であることが意味深ではある」
カエル「それこそ、アスカがいなくなる場面で『今日の日はさようなら』というのは、ここで一旦退場になることを意味しているしね」
主「子供の声が入ることで、味わいそのものは一種の賛美歌のようでもある。
で……ここで思うのが、惣流から式波への名前の変化。これって……やっぱり、アスカは別人なんじゃないかなぁ」
レイみたいなこと?
というよりは、アスカは2人いるのかもしれない
主「これはQの話にもなるけれど、自分はQのアスカは旧劇のアスカだと思っている。
で、新劇の……シナリオ通りのアスカは、あそこで亡くなったのかもね。あるいは再起不能になったか、初号機に取り込まれたか。その後の描写がないから、なんとも言えないけれど。
『今日の日はさようなら』の歌詞って、その日はさようならって意味にも、もう2度と会えない人への別れの歌にも聞こえるから、どちらにも解釈は可能なんだけれどねぇ」
カエル「そして『翼をください』が出てくるわけじゃない?
あれは、やっぱり天使の状態ということもあるの?」
主「多分そう。
あの時、シンジはニアサードインパクトを起こしかけているんだよ。
旧劇もそうだけれど、おそらくサードインパクトの条件は
- トリガーとなる初号機&シンジ
- 使徒(リリスでも可)と一体化した綾波
この2つが接触したときに発生する。
リリスという器に対し、綾波レイというシンジの母(女家族の象徴)が入り込む。そして覚醒した初号機&シンジという神の化身、あるいは悪魔と触れ合うことで、サードインパクトが発生し、人類補完計画が完遂される。
で、あの時は……ゼルエルとレイが融合し、覚醒した初号機とシンジの接触、そしてレイとシンジが手を繋いだ瞬間に、ニアサードインパクトが発動した、と」
……カヲルくんはカシウスだか、ロンギヌスの槍で、それを止めたんだよね?
そう。そして、シンジという存在は封印された
主「話の流れ的にQにもいくけれど、やっぱり破の綾波とQの綾波は別人だと思う。
クローンというか、何体目かの綾波。
破の綾波は死んだとは思えないから、やっぱり初号機の中かなぁ?
だから……もしかしたら、アスカとレイ、2人とも破でいなくなったのかもしれない」
カエル「え、なんでそんな話に……」
主「……これってゲンドウの目的についての考察にも入るんだよ」
ゲンドウの目的の推測
えっと……Qに入る前に、結構語るんだね
自分でもドキドキだけれど……たぶん、ゲンドウの目的は旧劇と違う
カエル「それは……何?」
主「おそらく、碇シンジ復活計画じゃないかな」
完全に自分の願望込みなんですが、新劇のゲンドウの目的って碇シンジ復活計画(仲直り計画)なような気がしてくる
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年4月29日
さて、Qを見ようと
カエル「……それは大胆な仮説だね」
主「多分、ね。
もちろん、憶測でしかないけれど。
アスカもレイも、別個体が存在する可能性がある。
序の最初で制服姿のレイがシンジを眺めている。あれって、おそらくあの世界の綾波レイではない。ということは……旧劇の時の綾波レイではないだろうか?
だから、さっきも『碇シンジの記憶・あるいは想像の中』という説もここから出ている。
今回のエヴァンゲリヲンの目的は、ある意味”碇シンジ補完計画”だという、予測だ。
そしてそれは、もしかしたら庵野秀明補完計画になるのかもしれない。
詳しくはQの記事で話そうかな」
最後に
というわけで、新劇の序・破の考察記事でした!
色々と語り疲れたなぁ……
カエル「次はいよいよQだけど……難解な内容と言われているけれど、大丈夫?」
主「大丈夫じゃないかなぁ。
結構、わかったし。
色々と独特なことを言えると思うよ」
カエル「それでは、次回はQでお会いしましょう!
サービスサービス♡」
主「あ、パクられた!」