では、いよいよエヴァQの感想記事とまいりましょう!
……今回も難産だった!
カエルくん(以下カエル)
「少し日が空いてしまったね」
主
「家だと書けない人間なんだよねぇ。
外に出たいけれど、自粛生活なので…はぁ」
カエル「今回も”ぼくがかんがえたエヴァンゲリヲンのかいしゃく”ですので、ご承知おきください。
結構とんでもも多いかも?」
主「エヴァ自体がとんでも作品でもあるけれどね。
じゃあ、記事のスタート!」
感想
それでは、Twitterの短評からスタートです!
エヴァQ
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年4月29日
わかる…わかるぞ! …多分
初見時は意味不の眠気すら漂っていたが、今回は割と熱中
やっぱり見返した効果もあったかなぁ…意味がわかると楽しい
そして何よりもラスト!
今回もあの衝撃に思わず声が出ちゃった
やっぱりなんだかんだQは好きな作品なのかな pic.twitter.com/0LN8hOobgb
改めて見返すと、結構理解できる……気がする
カエル「公開当時は、やっぱり意味不明で、しかも初見時は何回か寝落ちしてしまったという作品でもあるけれどね…」
主「Qはそういう人も多いんじゃないの?
破のエンタメ性の後に、Qの哲学性の塊が出てきたら戸惑うのは当然。
だけれど、そもそもエヴァとはそこまでエンタメ性の塊の作品だけではなかった。もちろん、そういった面もあるけれど、後半の哲学性なども話題になったわけだ。
その哲学性を内包し再現し、エヴァを壊し、新たに語りなおす、問いという意味でQというタイトルにふさわしい作品だったと思う」
シンジの思い・ミサトの怨念
シンジがエヴァに乗ってはいけない理由
それじゃ、早速解釈パートにいくけれど……なんで、シンジがエヴァになってはいけないの?
そりゃ、サードインパクト・及びフォースインパクトを防ぐためだ
カエル「……うん?」
主「1つ目は、狙いとしてシンジ=観客であることを強調するため。シンジの混乱は、そのまま観客の混乱に繋がり、与えられている情報はほぼ一緒なんだよね。
あとは旧劇もそうだし、新劇の破もそうだったけれど、初号機と碇シンジが接触すると、サードインパクトクラスの何かが発生する可能性は非常に高い。それを知った上で、エヴァに乗せるほどの覚悟も理由もないでしょ。
そもそも……おそらくミサトたちヴィレの目的は、ほぼ間違いなくサードインパクトクラスの現象の阻止。
ゲンドウ、及びゼーレが行おうとしている計画を否定し、そこと対立することを目的とするのであれば、当然エヴァには乗せない」
カエル「え、じゃあなんでシンジを迎えに行ったの?」
主「そんな危ないトリガー、ずっと放置することなんてできないじゃん!
ゼーレに取られたらもっと大変なことになる可能性だってあるんだからさ、早めに確保しておかないと。
例えるならば……シンジは世界を滅亡できるほどの核兵器を、しかも本人の自覚関係なしに唯一発射できる存在だ。そんな危ないもん、とっとと確保した方がいいじゃない。
だから、あんな『バトルロワイアル』かよって首輪までつける」
エヴァとは直接関係ないものの、2000年前後の時代を語るのに適切な作品かも知れません
今度、記事を書こうかなぁ
説明できないミサトたち
じゃあ、なんであんなに冷たく当たるのさ……せめて説明すればいいのに!
ここは2つの可能性が考えられる
主「1つはあんまり刺激しないようにしていた。
ここには、説明すると大変なことになる可能性も含まれる。知らないことが、トリガーとして覚醒させないために重要なことの可能性の1つ。
もう1つは……単純に、情報量の違いからして、シンジへの説明ができない。
これって、実社会でもよくあることだけどさ……例えば『信号機ってなんですか?』と言われてどう説明する?」
カエル「え、赤になると車が止まって、黄色はもうすぐ変わりますよって合図、青が気をつけて進めと示すもので……」
主「じゃあ、車ってなんですか?
なんでそんなものが必要なんですか?」
……いや、めんどい。何が言いたいの?
物事を説明するというのは、スキルが必須なわけですよ
主「アスカが『あれはガキね』というように、あのシンジはある意味、なぜなぜ期の子供みたいなものだ。
みんなが当然のように知っていることを、改めてシンジは尋ねてくるわけ。
しかも、鈴原妹の態度からみるに、相当大変なことがみんなに起きた。その原因は目の前にいるシンジで、張本人が『なんで? 説明してよ!』って言ってくる。
まあ、イライラはあるよね。
それと、1から説明する・教えるってスキルが必要で、実務能力が高ければ誰でもできるってわけではないのは、実社会でもよくある話だよね。
エヴァってその1から説明する能力がある人が、ほとんどいない。
せいぜい……梶くらいかなぁ。その梶も裏が山ほどある人だけれど」
カエル「あ、なんか一般社会において新人指導の大変さの話みたいだね……。
『エクセルってどう使うんですか? PDFって何?』みたいな」
主「それどころか『パソコンってなんですか!? ポケベルはどこいったんですか!? ソ連はどうなったんですか?』ってレベルだよ。
(時代がめちゃくちゃなのは、無視してね)
実際、14年前からきた人に今の社会を説明するのは難しいかもね。
311も知らないし『ライブドアやホリエモンってどうなったんですか?』って聞かれたりして。1回警察につかまって、今は実業家だよ、なんていちいち教えるかなぁ。
しかもエヴァ世界ってもっと大きな変革があったし、その原因を作ったのは目の前のシンジだし……と色々な思いがあるわけだ」
ミサトの怨念と人間らしさ
……なんか、納得できない部分もあるんだけれど
だけれど、ミサトの行動原理を考えたら当然のものだと思わない?
カエル「旧劇の時も、ゼーレの目的を知らなかった、あるいはもう戻れないところで状況に流されるままだったけれど、本来の目的を知れば、反対して強行的な手段に出たかもねぇ」
主「元々、テレビシリーズでも指摘されていたけれど、ミサトは私怨で動いている部分もある。自分の人生をめちゃくちゃにしたセカンドインパクトの原因である、使徒の殲滅に人生を費やしている。
そんな人だからこそ、ゲンドウやゼーレに反旗を覆すなんて、極々当たり前のことなんじゃないかなぁ……
旧劇の自衛隊も、情報が意図的に与えられていないでネルフを襲っているようにも見えたし」
だからこそ、世界の反乱分子を結集して戦っているようにも見える、と……
だけれど、シンジに対して様々な思いがあるわけだから……複雑だよぇ
カエル「チョーカーを爆発させろと呼ぶ声に対して、やっぱり戸惑ってしまう部分もあると……あれが、ミサトさんらしいのかなぁ」
主「自分は指揮官としてのミサトさんは、結構優秀だと思っている。
私怨もあるけれど、決断力もあるし、状況を分析しているし。あんなわけわからん使徒なんて相手に、戦力になるとも言えない暴走しがちで制御できないエヴァと、不安定なパイロットの面倒を見ながら地球を救うという重圧と戦うんだからさ。
アニメとしても、相当優れている。
内面の……人間性の問題はありつつね。
だけれど、情があるというか……割り切れるタイプではないからこそ、シンジを見逃してしまう。そこが魅力でもあり、弱さでもある、と」
中盤以降の描写について
渚カヲルの語り口
今作でシンジの次に出番が多いと思われる、実質ヒロインみたいな役割なのがカヲルくんだよね
……まあ、いつも通り難解な言葉を吐くよな
カエル「多分、役割としてはカヲルくんはシンジにとって絶対的に信頼できる存在だと思うんだよ。
救いの手を述べてくれる人というかさ。
その役割自体は変わらない……はずだよね?」
主「その解釈でいいと思うんだよ。
カヲルくんに関しては、使徒であること以外はほとんどわかっていない、なんだかんだで謎が多い存在だ。
今作でも色々と語っているけれど……まあ、よくわからんというのが本音だよね。
その中で、カヲルはシンジを支えるというか、一緒にいて魂を救済するための存在ということは、はっきりしていると自分は感じている」
リリン=リリスの子供、つまり人間と解釈するとして、彼が語る言葉の意味ってなんだろう?
設定を理解する上では、1番のヒントだとは思うんだよね
主「中盤の
『うまく弾く必要はないよ、気持ちの良い音を出せば良い』
『反復練習を何度もこなすしかない』
というのは、この新劇シリーズがループものだということを示唆しているようにも感じる。シンジは何度も間違えてしまっているけれど、同時にやり直してもいる。その間違いにまだ気づけていないけれど、少しずつ、少しずつ変化してやり直していくのだろう。
このQにおいてちょうど、ほぼ全体の半分の尺の部分にピアノの連弾のシーンがある。
ここからカヲルとの交流の場面が、非常に重要であると考えている証拠ではないだろうか?
そして……『運命を仕組まれた子供』と語るけれど、おそらくカヲルもまた、テレビシリーズ・旧劇版の記憶を持っている。
破では、冬月すら知らなかった存在ながらも、カヲルはゲンドウを知っていたのが、その証拠と言えるかも知れない」
冬月との会話
その後にある、冬月との会話はどのように解釈するの?
前回の破の記事で書いた『今回のゲンドウの目的は碇シンジ復活計画・あるいは仲良くなる計画』だと答えた理由の1つだ
カエル「あ、そこに繋がるんだ」
主「あの真っ暗な中で2人で将棋を差す場面だ。あそこで家族の話をしているけれど、そこではゲンドウ・ユイ・冬月の関係性が語られている。
ここで……これはかなり強引な考察ではあるけれど『世界を壊すのは容易いが、作り直すのはそうもいかん。時と同じく、世界に可逆性はないからな。人の心もな。だから今、碇は自分の願いを叶えるためにあらゆる犠牲を払っている。自分の人生もだ』と語る。
エヴァの場合、世界について語ることは自分自身について語ることも多い。
その、ゲンドウの自分の願いとは何か? というと……確かに碇ユイ復活計画の可能性もあるけれど、自分としては、シンジとやり直す計画の方がすっきりすんだよねぇ」
カエル「それならばもっと簡単な方法が……と思いきや、あの親子だからそう簡単にはいかないか」
主「その拗らせ具合が碇家だよねぇ。
冬月が間に入ってあげている訳だしさ」
碇シンジはどこへ?
でもさ、シンジはあそこにいる訳じゃない? それはどう説明するの?
前から行っているけれど、シンジが複数人いる可能性だって十分ありうる訳だよ
カエル「えっと……そうか、アスカが旧劇のアスカではないか? それを表すために目が潰れているのだとしたら、じゃあシンジは? って話か」
主「そうそう。
レイはほぼ間違いなく綾波シリーズの新作であり、旧劇の個体でも破までの個体でもない。
アスカもまた、破で死亡した可能性もある。Qのアスカは旧劇のアスカのように感じられる訳だ。
では、シンジは?
もしかしたら……破のシンジはまだ初号機の中にいる可能性も残されている。
その可能性を示唆するのが”アダムス”という呼称だ」
アダムはテレビシリーズで出た小さな虫の化石のようなのだろうけれど、旧劇の新世界で新たに生まれたアダムにシンジがなっという解釈だったよね……?
それが複数形になったということは、アダムは1人ではない
主「ここはいくつも解釈できる。
例えば……カヲルがアダムの可能性もある。確かに1番目の使徒だと語っているしね。
だけれど、やっぱりシンジが1人だとも思えない。
となると……ゲンドウの計画は、シンジを統一して親子関係をやり直す、あるいは碇シンジ補完・あるいは復活計画なのではないか? という予想になる」
カエル「……なんか、とんでもっぽいけれど」
主「まあさ、エヴァってどんなことを語ってもとんでもだから、許されるじゃない?
でも、Qのラストを見ると、その思いはさらに強くなる訳だよ……」
ラストバトルにおける渚カヲルの行動
そのラストにいく前に、カヲルの行動ってなんだったの?
最初は、シンジと同じくサードインパクトの前の状態に戻そうとしたんじゃないかなぁ
カエル「『その前の状態にも戻せる』みたいなことを語っていたし、シンジを救いたいからこそ、そのように動けるという話だよね?」
主「マリが『アダムスの器』と語っているけれど、これは第13号機のことだと思われる。13番目というのは、当然のことながらキリストの13番目の弟子であるユダのことも意識しているのだろう。
裏切りの象徴だ。
13番目のエヴァは2人乗りである。
そこにはトリガーであるシンジ(知恵の実)と、使徒であるカヲル(生命の実)が合わさることによって、フォースインパクトを起こそうという計画……それがこの映画の後半の物語だろう。
そして13号機はATフィールドがない=使徒・人間・そのほかを分けるものがないことからも、人類補完計画=人類の強制進化を促すものだろう。
最初はシンジも語るように、おそらくカヲルも世界を救うことを目的としていただろう。
アスカとしては、そんな余計なことはして欲しくない。何が起こるかわからないんだからさ」
カエル「まあ、サードインパクト級の何かが発生しかねない訳だしねぇ」
主「先にも冬月が語ったように、世界は不可逆的なものだ。もしかしたら……やり直すなんて、絶対にできないのかも知れない。
その意味では、あの場面ではカヲルもシンジも騙されているんじゃないかなぁ。
シンジは世界を救いたい&やり直したい、そして誰かに認められたいという自意識の暴走によって、本人も暴走するけれどね」
そして、カヲルくんはあんな状況になってしまう訳じゃない?
おそらく……シンジの代理品・あるいは使徒としての人類補完計画に必要な存在かも知れない
カエル「ゼーレの正体もよくわからないし……」
主「あのあたりはわからなくても良いような気がするけれどね。テレビシリーズでもただの人間ではないようだし、人類の上位存在、エヴァなどを与えてくれた、天使みたいなものなのかもね。
もしくは、人類に知恵の実を与えた存在なのか、人類補完計画の際に体は消え去ったのか。
まあ、良いや。
カヲルに話を戻そう。
シンジにとってのカヲルは、ある種の同性愛的な部分もある。女性(異性)とはうまく付き合えないけれど、同性であるカヲルとはうまくやっていける……そういうことって、思春期の頃はよくあると思う。
そういった、究極の理解者である、受け止めてくれる役割……それが、カヲルだ」
だけれど、最後はチョーカーによってあんなことになってしまったけれど………
そこも含めて、役割を果たしたのだろう
カエル「本当はシンジを抹消するためのチョーカーが、カヲルに使われた、と」
主「1つの身代わりだよね。
テレビシリーズの場合、使徒と人類……まあ、人類も最後の使徒だったわけだけれど、その生存競争を行っていたわけだ。そして、シンジの手によって二者択一の中で、カヲルは握り潰され、シンジは生き残った。
それと同じことをしているわけだよ」
カエル「………カヲルくん(T ^ T)」
主「なんか、絵文字が出てきた!
第13の使徒である……裏切り者であるカヲルがトリガーとなってしまう。だけれど、カヲルの思惑とは違い、シンジを幸せにする道は選べなかった。
だけれど、違う道を残したわけだ。
エヴァQというのは、テレビシリーズ20話以降、そして旧劇のリメイクのような扱いだ。そりゃ、解釈が難しいよ。
だけれど……ああいう旧劇版のラストになる可能性もあった……いまだにその可能性は残っているけれど、ほとんどゼーレの目論見通りでも、だけれど、Qのラストに繋がるんだよ」
ラストの衝撃
そして、件のラストへとつながりますが……こんなツイートもしています
みんなエヴァの話をしているから少しだけ語ると、エヴァQは意味わからんけどあのラストはホントに愛おしくて大好き
— 井中カエル@物語るカメ/映画・アニメ系VTuber(初書籍発売中!) (@monogatarukame) 2020年4月26日
ここだけで全部許せる
1800円の価値があった pic.twitter.com/MIbJc7J3pw
ここが圧巻の出来なんですよ!
カエル「そういえば、昔エヴァQのラストが素晴らしいと大絶賛して、友達に呆れられたものね……いまだに『カメの奴はエヴァQを褒めたから、信用できねぇ』って言われるし……」
主「いやいや、何もおかしくないです!
あのラストを描けたからこそ、至高にして最高のエヴァになった。どんなにわけわからんことを言っていても、特に問題なし!
それくらい、とてつもないラストだよ!」
カエル「では、その解釈をお願いします」
主「ここで重要になるのが、以下の2点。
- 本作はループものである
- 基本のシナリオはテレビシリーズ&旧劇通り
これは何度も繰り返してきた。つまり、ゼーレのシナリオとは、観客がテレビシリーズ等で見知っているものだということだ。
それを序破Q(急)という形で再びリメイクというか、振り返っていったわけだ」
それはもう、何度も何度も繰り返し述べてきたね
で、最も重要なのはキーアイテムが、あのテープレコードだ
カエル「今時珍しいテープレコードだ。よく言われるのは、26曲入りで、終わったら再び25に巻き戻ることからも、ループを象徴するアイテムだとされているよね」
主「破の時、レイがその身を持って手渡したアイテムでもある。
新劇場版は、このテープレコーダーをめぐる物語だといってもいい。
ループの象徴にして、過去作を象徴するものの1つでもある。
それをラストで捨てた……もしかしらた綾波が拾ったかも知れないけれど、それが落ちてシンジ・アスカ・レイの3人が同じ場所に歩いていく。これが非常に大事だ」
あのラストシーンは旧劇の『気持ち悪い』なんだよ
カエル「え、でも、全く違うじゃない?」
主「そう。全く違う。
だから、素晴らしい。
結局、エヴァンゲリオンというのはあの3人の物語なんだ。
そして……もしかしたら今まで1度もなかったかも知れない、というと流石に言い過ぎだろうけれど……あの3人が同じ方向に向かって歩いていく。
何度もいうけれどQでこれまでのエヴァの振り返りは終わった。
死海文書の文言は、ゼーレのシナリオは、誰も知らない新たな地平へと旅をはじめた。
それ以上に何が大切なのさ?」
リメイクでありながらも”かつてのエヴァの先を歩む”という、力強い宣言をしたのがあのラストなんだよ!
エヴァが問いかけるもの
アスカたちが老けない”エヴァの呪い”とは
じゃあ、もっと大きな枠組みの話をしようか
アスカたちが老けない”エヴァの呪い”とは何か、という話だ
カエル「そういえば、ラストでアスカも『リリンたちが来ることができない〜』と語っていたけれど、使徒になったということなのかな?」
主「すごく微妙な部分だよなぁ。
おそらく、アスカは旧劇のアスカだと思う。
そして人類補完計画を乗り越えて、自身の女性としての姿も受け入れて、だいぶ人間としては完成されているというのも1つ。
あとは……マリが『姫』って呼んでいるけれど、あれも自分からすると納得。何度も語ったたけれど、エヴァは基本的に姫騎士物語であり、救われるヒロインはアスカだった。
だけれど、アスカは女性であることを否定しているし、シンジは自分のことで手一杯で騎士としての務めも果たせない。それがマリの『姫を助けに行けよ!』とか、あるいはアスカの『助けてくれないんだ、私を』とかに繋がると」
………アスカもパイロットとして完成されているから、助ける必要がないのかも
”姫”だったのが、今のアスカは人間的に成長して”姫であり騎士”になったからな
主「そしてエヴァの呪いは14年の歳月がすぎても歳を取らないということだけれど……なんで14年なのだろうか?」
カエル「可能性として考えられるのは
- テレビシリーズのエヴァ(95年)の14年後の2009年
- 旧劇場版の(97年)の14年後の2011年
- シンジの年齢=14歳をやり直したから
この辺りかなぁ。14年というキリがあんまりよくない、微妙な月日なのも意味があるよね?」
主「そう考えるとね。実際は、エヴァQも公開がずれ込んでいたから、どこまで計算通りなのかはわからないけれど……
で、自分の仮説は”変わらない年齢=変わらないエヴァ”だと思うわけ。
つまり、アスカたちが歳を取らないのは、そこで止まっているから。
何がというと……それは作り手側のエヴァ、そして観客のエヴァンゲリオンが、だ」
なんで、ミサトたちは歳をとるの?
何回もいうけれど、新劇エヴァは”エヴァのやり直し”なんだよ
主「だから”あの時代から変わらないシンジ・アスカたち”を出すのが大事なわけ。
ミサトたちは新劇の存在だと思うけれど、時代はすぎてしまった。時間は不可逆的、戻ってはいかない。
あの時代……95年、97年から時計の針を進める、新しいものを作る……それが新劇なわけだ。
だから、時代が進んだ面々と、変わらないシンジたち……つまり、95年ぐらいの、あの頃に囚われたエヴァを救済することが大事なわけだ」
庵野秀明とガイナックスの歴史を語る?
……そういえば、映像に違和感があるって言ってたっけ
これって”何をやり直すのか?”ということにも繋がってくるんだよ
カエル「え、エヴァじゃないの?」
主「……2019年末に庵野さんが声明を出して、ガイナックスをでた理由を明かしたじゃない? それはあくまでも庵野さんの意見でしかないから、公平なものではないだろうけれど……まあ、色々あったんだろうなって印象があった。
で、この映画からは……特にQからは”ガイナックスとはなんだったのか?”を振り返る意図が感じられる」
カエル「あ、あれだ。ヴンダーだっけ? あの戦艦だ」
主「これもあくまでも自分の感覚だけれど、あの戦艦を出したのって、トップとか、ナディアを意識しているような気もするんだよ。
そして最大の違和感が……これって、もしかしたら悪口かも知れないけれど、後半の動きなんかは、すごくエヴァっぽくなかった。
今石さんが原画を描いたのもあるのだろうけれど、TRIGGERぽさというか……いや、TRIGEERはガイナックスから分かれた会社だから当然かも知れないけれど、後期ガイナックスぽさというか、そんな感じがあったんだよ」
原画勢は僕でも知っているスーパーアニメーターばかりだし、その中でも今石さんはテレビシリーズでは動画として参加しているから、当然なのかも知れないけれど
ちょっと、エヴァっぽくない部分も見受けられた
主「どこを担当したのかははっきりとはわからないけれど、アスカとか顔違くね? とかさ。
それって、あえて出していったのかなぁって。”エヴァっぽい”ではなくて、”ガイナックスぽい”を描いてきたのではないか。
このあたりはすごく微妙な感覚だと思う。反感があっても、自分としては当然だとも思う。
で、この思いって何に繋がるのかというと……この新劇エヴァの目的が達成されているのではないか? というこなんだ。
それは……
- エヴァンゲリオンの総決算
- ガイナックスの総決算
- 庵野秀明の総決算
この3つの意味が多層的に重なっているようにも感じられた」
カエル「……つまり、ループしてやり直しているのは、シンジたちの物語だけではないと?」
主「人類補完計画について、カヲルが『人類を強制進化させようとした』と語っている。
そして冬月の『世界を崩すことは造作もない、だが作り直すとなるとそうはいかん』という言葉。
この2つって、エヴァもそうだけれど、庵野さんやガイナックスについても語っているように感じられるわけだ。
だから、この記事でも語っている”碇シンジ復活計画”とはすなわち、”庵野秀明復活計画”にも繋がり、ひいてはガイナックス・エヴァとけじめをつけるための儀式にもなっている。
そう考えると、あのQのラストの尊さって、もっともっと伝わると思うんだよ。
それが、この新劇エヴァンゲリオンに対する、自分の考察だ」
終わりに
………これは、結構独特な考察になったのかなぁ
あくまでも個人の考察です
カエル「これが正解だというつもりもない、と」
主「単なる設定の解釈論に止まらないものを、と考えると、こんなところになるんじゃないかなぁ。
できれば早くシンエヴァを観たいよ。今度出す書籍でも、エヴァは大々的に扱う予定だったし」
カエル「コロナショックはここでも出てきています。
でも、シンエヴァも楽しみにしていますので、できれば年内には公開してください!」
主「こればっかりは誰のせいでもないんだけれどね…」