カエルくん(以下カエル)
「では12月のオススメ映画ランキングだけど……こういうのって、正月前にやって観る映画を決めかねている人の手助けにするべきなんじゃないの?」
ブログ主(以下主)
「普通はそうだね」
カエル「しかも12月も過ぎているし……」
主「……本当はさ、単館系の良作を見てからこの記事を書こうと思ったんだよね。それが『アイ・イン・ザ・スカイ』と『幸せなひとりぼっち』『WILD わたしの中の獣』だけれど……」
カエル「日本でも数館でしかやっていないからねぇ……それを割引デーに見ようとしたら、映画ファンがたくさん来るから、チケットも売り切れるよね」
主「結局、見に行けず……
でも後々見に行こうとは思ってはいるから、行けたらランキングに反映するかも。結構変動しそうなんだよなぁ、評判いいし」
カエル「じゃあ、そういう作品もこれから出てくるとして……12月は17作品鑑賞したね。その中でも半数がアニメになるけれど……」
主「お正月ということもあるのか、アニメ作品が多かった印象かな。それと12月公開じゃない『築地ワンダーランド』などの記事は除外するけれど、こちらも中々面白かったねぇ」
カエル「じゃあ2016年12月度のオススメ映画ランキングを発表していくよ」
第5位
『カレーライスを一から作る』
作品紹介
『グレートジャーニー』と呼ばれ、国内外から評価の高い冒険家、関野吉晴。彼は今、冒険を一休みして武蔵野美術大学で教鞭をとっていた。
そんな彼が始めた特別授業が『カレーライスを1から作る』
これは『材料なども1から作る』という関野の信念から始まった計画だった。果たして授業はどのように行われるのか?
そして完成したカレーの味は?
そもそもカレーが完成するのか?
カエル「これは単館系のドキュメンタリー作品だね。映画らしい映画というよりは、深夜にNHKとかで放送されているよう、テレビ番組のようだったけれど……」
主「その意味では物語を扱う映画でもないし、わざわざ映画館に行く意味ってあるの? と尋ねられたら色々と言葉に詰まるし、しかも食に対して興味があるという個人の趣味が出ている選出なのは認める。
だけど、こういう風に『カレーライスを一から作る』って発想自体が面白いじゃない? この題名を教えたら誰もが『それって面白そう』って食いつくんだよね」
カエル「キャッチーではあるよね」
主「しかも我々が普段行っている『食べる』という行為が、どんな行動の上に成り立っているのかということを炙り出した傑作でもある。
自分はこの映画を見て『知識と実感の差』を思い知ったよ」
カエル「この作品は『築地ワンダーランド』『noma東京 世界一のレストランが日本にやってきた』と合わせて『食事系ドキュメンタリー3部作』としてこのブログではまとめているので、ぜひとも読んでほしいね」
第4位
作品紹介
テレビシリーズでも放映された『甲鉄城のカバネリ』を再編集し、劇場アニメ化した作品の前編。本作は全12話のうち、前半の6話分を再編集し、まとめたものになる。
近代化以前の日本を思わせる世界でウイルスによる『カバネ』と呼ばれるゾンビのような存在が人類と対決している時代に、生き残った人は街を壁で覆い、移動は鉄道に頼っていた。
主人公、生駒はカバネに対抗する武器を作っていたところ、甲鉄城と呼ばれる列車が入城してきたところから物語は始まる……
カエル「カバネリの総集編がここでランクインかぁ」
主「この選出はちょっと他の作品に悪いような気もするけれどね……2時間という尺の中で色々と頑張っているのに、テレビで放送したのを総集編にして、しかも前後編でまとめた作品がここにランクインしてくると『ちょっと違うんじゃない?』って批判はあると思う。
だけど、テレビシリーズの時から屈指の完成度を誇っていたカバネリの作画を劇場で見ると、やっぱり惚れ惚れとするのも事実なんだよね」
カエル「映画でやっているからといって、必ずしも素晴らしい作画とは限らないしね」
主「今年もそこそこの数のアニメを劇場で見たけれど、それこそ力の入った劇場アニメと比べても決して負けているとは思わなかった。
カバネリの6話くらいまではお話としても面白いし、再構成もうまくいっているから、テレビを見るよりもこっちの方がオススメかな」
カエル「まあ、問題はこの後なんだけどね……」
主「その意味でも後編が楽しみな1作だよ」
第3位
『ドント・ブリーズ』
作品紹介
家族からの愛もなく、妹を守りながら暮らす日々を送るロッキー。彼女は男友達2人と空き巣、窃盗を繰り返すことで金を稼いでいた。
ある日、人気の少ない郊外に暮らす盲目の退役軍人の老人が大金を持っているという話を聞きつけて、その家に空き巣に入ることを計画する。
しかし、その老人には大きな秘密があったのだった……
カエル「まあ、この作品は入るよねぇ」
主「ホラーやサスペンスとしての評価は非常に高いし、気合を入れて作られているのもわかる。
個人的にはあまり得意なジャンルでもないけれど、それでも引き込まれたし……低評価にはならないよね。12月だったらNo,1という人も結構多いんじゃないかな?」
カエル「今でも公開観数は少ないけれど、お客さんはたくさん入っているって評判だしね」
主「自分は少しノれないところがあったから3位の評価だけど、演出とかもいいよ。
思ったよりもグロテスク、暴力描写も少ないし。だけどゾワッとくる。
バランスも優れた作品だと思う」
第2位
『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』
作品解説
大人気スマホアプリゲームのアニメ映画化。それ以前にもyoutubeにて連続アニメが配信公開されていたのだが、今作はそのエピソード0にあたる。なお、配信版を見ていなくても楽しめる1作に仕上がっている。
主人公、中学生の焔レンたちがモンストバトルをしているところ、謎の敵が襲来。その敵は時空を超える能力を持っていた。
仲間のひとりである影月明は巻き込まれて、ひとり時空を超えてしまう。その先は4年前の過去……そこで出会ったのは小学校4年生のレン達だった。
カエル「モンストアニメがここで登場だね」
主「色々と言われているし、それはまあ分からないでもない。やっぱり配信版を見ていないとよくわからないとか、話が急すぎるとかあるかもしれないけれど、自分はエピソード0として結構楽しめたよ。
それから、ある映画の要素が色濃くあるけれど、その映画が大好きだからさ、一つ一つの演出や描写がすごく刺さった」
カエル「万人受けじゃないとしても、評価できる作品ってことだね」
主「その意味ではドントブリーズと逆かな。完成度などでならドンブリの方が上だけど、個人的な好みでこの順位。
特に中盤の盛り上がりポイントとかはすごく良かったよ。それこそデジモンを思い出した」
カエル「子供も楽しめる1作だしねぇ」
主「世代を問わないっていうのは評価高いよ。しかも有名キャラクターものではないし、アニメも配信ということも加味すると、設定などもあまり知られていないわけじゃない? 子供向け映画だし、制約が多い中でこの作品を作り上げたことは素晴らしいと思う」
第1位
映画 ヒトラーの忘れもの 予告 2016年12月17日 公開
作品紹介
1945年のデンマークを舞台にした物語。
5年の占領から解放されたデンマーク軍は砂浜に設置された地雷を処理するために、敗戦を迎えたナチスの少年兵を使って処理させることにした。
鬼軍曹であるデンマーク兵とナチスの少年兵も最初はいがみあっていたが、次第に心を通わせあう。しかし、現実は悲惨だった……
史実を基にした作品。
カエル「この作品はねぇ……すごいよね。2016年の映画ランキング11位に認定したけれど、年末にしてこの映画が出てくるか、という衝撃の強さもあった」
主「12月はこの映画が圧巻だった。他の映画の衝撃を全て吹き飛ばしたんじゃないかな?
まず、緊張感がずっと続くわけだよ。地雷除去のお話なんだけれど、一つ間違えれば自分の手足、それから体が吹っ飛んでしまうわけで……そんな緊張感の中で作業をしている。
そしてその作業者が子供なんだからさ……きついよなぁ」
カエル「物語が進んで行くにつれて、登場人物に感情移入するのは当たり前の話だけど、この映画はのめり込めばのめり込むほどに、より衝撃や心配が大きくなるという……」
主「アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたのも納得だよ。
12月に見たから他の映画よりも有利というのはあるけれど、でも11位という評価でも信じられないくらい。2016年の戦争映画では、トップクラスの作品だった」
カエル「公開館が少ないのが勿体ないよね……色々な人に見てもらいたい名作だよ」
総論
カエル「じゃあ、総論だけど……」
主「今月は期待作が、個人的には少し微妙だったかなぁ? アニメ、邦画、洋画と結構注目作が来たけれど、どれもあと一歩欲しいという印象だった。
TOP3は結構簡単に決まったけれど、4、5位は迷ったよ。だから、あんまり注目されていない作品を入れてみた、というのもある。
『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』もいい作品だから、ランクインしてもいいしね。カバネリが卑怯だと言われそうだから、こちらを入れようか迷ったほど」
カエル「カレーライスを映画として評価していいのか? と言われると難しいよねぇ。テレビでやっていそうな内容でもあるし」
主「まあ、それも含めて個人的なランキングだから。物語だけが映画じゃないってことだね。
色々と文句も意見もあるでしょうが、こういうランキングになりました」
カエル「まあ、月単位だと結構難しいところがあるよね……」
主「毎月毎月ランキング形式にしないで、オススメ映画にしようかな? とも思ったけれど、しばらくはランキングをつけてみようかな」
カエル「数を絞るからこそ出てくる味ってものもあるかもしれないしね……あとは月何作観るかってことかな?」
主「あとは旧作の扱いをどうしようかなぁって思いもあるけれど、まあ、それは後々改訂していきます」
追記
『アイ・イン・ザ・スカイ』は1位相当でした。ちょっと甲乙つけがたいくらいの名作です。
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