言葉もない……
正直なところ、今回に関してどのような言葉を紡ぐべきかわからない。まさか銀魂でここまで感動することがあるとは、全く思っていなかった。
とりあえず取り留めもなく感想を書いていこうと思う。
(私は将軍暗殺編は原作未読、次の新撰組の話からジャンプで原作を読み始めたため、将軍暗殺編はアニメが初)
なぜ日本は明治維新に成功したのかと言えば、それは薩長などの倒幕派が優秀な人材を多く輩出したことも確かにあるが、一番の要因は徳川慶喜にあったと言われている。幕府よりも朝廷を重視する水戸藩の元で育った慶喜はこのまま内戦状態に突入するならばと自ら大政奉還することで幕府を閉じることを決意した。
それで全てが丸く収まった……とはいかなかったことは歴史が証明しているが、武力倒幕になれば内戦が長引く結果になったのは必至であり、疲弊した国の元に諸外国が押し寄せていたことは容易に想像できる。
徳川慶喜の思惑がどこまであって大政奉還をして、それがどれほど達成されたかは諸説あるだろうが、現代につながる明治政府を発足させた最初の功労者は敵であった幕府の長である徳川慶喜であろう。
将軍暗殺編のラスト、将ちゃんの演説を聞いた時、私は徳川慶喜を思いだした。結局大事なのは将軍や支配体制ではなく、それぞれの信念を元に戦うべきであるというのは当然ながら慶喜の掲げたものではないが、幕末物を現代劇のように扱うとなった時、これはまさしく慶喜の理念になりそうだと思ったからだ。
そして何よりも驚愕したのは、二月にもわたって繰り広げられた大騒乱のラストが絵として全く映えない静かな暗殺だったということだ。
銀魂は少年漫画である。その重要人物のラストを描くのであればもっと派手に爆発でも起こり仲間の裏切りや敵の襲撃に遭い、みんなが叫ぶ中を華々しく散るというのもあってしかるべきなのだ。しかも6時台のアニメになるということを考えれば派手な演出にしてくれるのは当然わかりきっているのだから、より派手に、より豪華にこれでもかと煽ることだっていくらでもできるはずだ。
だが、空知はそうしなかった。
あえて静かな舞台において、忍びのような派手な相手ではなくかつての旧臣であるといういかにもな暗殺者、そしてその手段も毒針という暗器による暗殺……これほどまでに静かにこの騒乱を収めるという手段を用いたということに、私は驚愕した。
ここは派手さやわかりやすさではなく、その静かさを持って情緒的に表現する方法を選んだ。
その情緒的に終わらせるという方法を選んだことを理解したアニメスタッフも最大限の工夫を凝らしたと思う。
もともと一年近く放送されてきたシリーズだけに、作画や演出にどこまで求めるかということはあると思う。あまりに過度に過ぎた作画をして息切れになるわけにはいかないだけに、どこをセーブしてどこから本気を出すかというのは重要な判断になる。
もともとギャグ要素が多く、止め絵を多用しても怒られにくい銀魂だが、この将軍暗殺編はよく動いたし夕方の作品にもかかわらず流血なども逃げずに描き抜いた。
その上で今回のラストである。
疲れ切って最後にそよ姫の茶を飲み、いつも通りにぬるいと言って横になる。その夕日を正面に二人の背中を見せながらのEDが流れ始め、歌詞やテロップにも影が入り、同時に流れていく演出。
そよ姫は将ちゃんを撫で続ける……その顔は果たして笑っているのか、泣いているのか、ほおけているのかわからない。
そしてED後にも音がなくなり少しだけ間があり、暗転する演出。
余韻も素晴らしい名シーンだ。
正直銀魂でここまで感動するとは全く思っていなかった。これほどの作品を作り上げた空知とスタッフには最大限の敬意を表します。
「夜明け前が一番暗い」
やっぱいい言葉だわ……
支離滅裂な感想記事になったけれど、ちょっとこの熱を持ったまま書きたかったので急いで書かせていただきました。
ちなみに銀魂ウェアハースを三枚買ってみたら、高杉が二枚出るという……
(もう一枚は近藤だった)