カエルくん(以下カエル)
「ジョン・ウィックかぁ……どうせ前作見ないで観に行くんだろうなぁ」
亀爺(以下亀)
「いや、一応見てから行っているからの。1作しかないからの、それなら見ることもできるし、結構評価の高い作品みたいじゃな」
カエル「面白い作品だよね。
前作の感想はまた後で語るとして……
この手の作品って1番語ることが少ないんだよねぇ。結局主演がかっこいい、アクションがすごい! で終始しちゃうからさ。あらすじ丸々語って単なるネタバレにしても面白くないし……
亀「その意味ではすごく映画的だということもできるかの。映画館やDVDで映像としてみることにのみ意義があって、文章で面白さを伝えることは相当難しいものじゃの」
カエル「一言で表したら『映画館で楽しく鑑賞してね!』ぐらいしか魅力を語れない作品ってこと?」
亀「『アクションすごいよ!』
『キアヌ・リーブスすごいよ!』
『アクションすごいよ!』
簡単に言ってしまえばそれでおしまいじゃな。脚本的などうのこうのとか、メッセージ性とかが特別あるわけではないから……まあ、そんなものを求める作品ではないけれどの」
カエル「そういう映画の語り口もそろそろ見つけないとね」
亀「ちなみに本作は冒頭で前作の大まかなあらすじを語ってくれるから、初見の人でも大丈夫な仕様になっておる。安心して劇場へ向かって欲しいの。
というわけで、感想記事を開始するぞ」
ネタバレなしの感想
カエル「というわけで、まずは感想から始めるけれど……もちろん、面白いことは面白いし、特に悪口を言う映画でもないんだけれど……なんかあれ? ってなったというか……」
亀「前作を見たときに確かにこれは人気になるのもわかった。アクションがすごいし、何よりもキャラクターが本当にいいからの。
ここ最近はCGを多用しているアクションヒーローが多いが、今作のように肉体を使ったアクションが熱い作品はそんなにないかもしれん。特に今作は『ガンフー・アクション』などと一部では呼ばれておるらしいが、その名に恥じないものであったように思うかの」
カエル「確かにTwitterでコメントをもらって気がついたけれど、ブルース・リーなどの映画の魅力に似ているのかもしれない。体術重視のアクションで、派手さは爆発などに頼らないでひたすら銃器と体の動きでカバーしていく、というのがさ」
亀「なんだか一周回って新鮮な気分じゃの。
ここ最近は『どうせCGなんじゃろ?』と思わせるものが多かったが、本作はCGをあまり使っておらんように見える。どれだけ使っておるのかはわしにはわからんし、CGは技術として優れておるからそれが悪いとは言わんが……アクションにおける原点、基本に立ち返ったような印象を受けるの」
銃を手にするキアヌ・リーブス
アクションが見映えるかっこよさに痺れる……
アクションの一方で脚本は……
カエル「体術もかっこいいし、アクションもド派手、ガンさばきも素晴らしい作品だったね。
結構詳しい人の感想を見るとリロードの美もうまく表現しているとか言っていて、確かに一々細かくやっているんだよね。そんな作品、最近に限らずあんまりなかったんじゃないかな?
アクションでいうと今作は結構寝技が多くてさ、地味なような寝技の掛け合いも銃を組み込んで派手に見せることで結構見ごたえのあるものになっていたよね!」
亀「まあ、現実に考えてみると寝技は1対多数の戦いでは不利だと思うがの、それをなんとかしてしまうのがジョン・ウィックの凄さなのじゃろう。
しかし、脚本に関して言えば……正直、非常に弱いとしか言いようがないの」
カエル「う〜ん……よくわからなかったというのが本音かな?
なんだか、1作目とほとんど同じ流れだし……」
亀「流れに関しては工夫を感じなかったかの。
この映画の見所なのはわかるが、結局はアクションで押していくことにのみ終始してしまった感じじゃ。アクションよし、キャラクター性良しではあるがの。キャラクターを面白くおかしく、観客に愛されるように描くという意味では見事に成功しておるが……
いや、結構いいテーマだとは思うんじゃよ。前作と同じように一度裏の世界に足を踏み入れた者は簡単には抜け出せないのというのは解りやすいし、物語としても映えるように思うが、しかし……このテーマが機能しておらん。いや、あえてさせなかったというべきかもしれんの」
カエル「その意味では英断だし、中途半端にグダグダさせるよりはいいかもしれない。それこそアクション全振りでヒットした『マッドマックス4』という例も最近もあるし……まあ、あれは批評性もあるという人もいるけれど、やっぱりアクションがメインで見ごたえがあるのは間違いない。
そっちに全振りしていた印象だなぁ」
圧倒的なアクションが魅力
頭空っぽで見るのが正解?
キャラクター映画の見本か?
カエル「本作は本当にかっこいいキャラクターが揃い踏みで、どの役者もみんな印象に残ったよね! キアヌ・リーブスは当然として、前作から続いて黒人の受付のおじさんも魅力は健在だし、狙ってくる暗殺者もみんなそれぞれ癖があって!」
亀「その意味では今作はキャラクター映画の見本のようになっておるかもしれん。
キャラクターが良くて、バトルが派手で、カーレースやアクションが素晴らしい一方で脚本のテーマ性が弱い……なんだか一部のアニメ映画を語っておるような気分になってくるの」
カエル「でもさ、悪口のようだからちょっと弁解すると魅力あるキャラクターって物語の基本じゃない? そこが一番重要という人も結構いて、その意味では本作って基本が1番できているとも言えると思うんだけど……」
亀「そうじゃの。結局のところ、何度も言うようじゃが本作は『アクションが豪華』であり『キャラクターがかっこいい』この2つに全振りしていると言っても過言ではない。
暗殺者があまりにも多すぎるようにも思えたり、ツッコミどころがあるのも事実じゃが、そういうところは無視していいかもしれん」
カエル「殺し屋の人たちの普段の生活であったり、殺し方なども面白いじゃない? それに数々のギミックや殺し屋専用のアイテムやサービスなどもあったりして、そういうのが好きな人にはたまらない作品に仕上がっていると思うけれどなぁ。
殺し屋同士で話すシーンにしても、戦っている最中にベラベラ喋って欲しくないもんね。
ちゃんと一回落ち着いてからそこでお互いの話をして、融和することなんてできないとか、この2つの緩急の使い方や会話を挟む理由がちゃんとできているし。」
亀「酷評する映画ではないし、ジョン・ウィックが好きな人にはお勧めできるがの。絶賛する映画ではないのも事実じゃ。ずっとアクションが続く割には眠くなってくる描写もあるからの」
以下ネタバレあり
目立ったところ
カエル「ちょっと流石に短すぎるから、ここから先は目立ったところについて考えていこうか」
亀「もちろん演出的な見ごたえもあるシーンもあるぞ。
ジョン・ウィックが重大な宣告をされた時に、鳩がたくさんおるところなどの。鳩という平和の象徴に背をむけることによって、実はその先を暗示しておったりして、続編を作るつもりが満々なのも伺えたの。
中には生き残った暗殺者などもおったりして……それが今後どのような役割を果たすのか、見ものじゃの」
今作で最も印象に残ったのはやはりスモウレスラー暗殺者?
カエル「あの相撲取りのような暗殺者とか、暗殺全く向いていなそうな目立つ体型だけどキャラクター性は抜群だったからねぇ。
ホームレスの暗殺者とかはこの手があったか! って唸るほどの魅力があったし!」
亀「しかし、あのラストはイマイチよくわからんのじゃよ。
ジョン・ウィックは平穏を望んでおるのじゃろ? 最も平穏をあたえてくれる権利を自ら放棄してしまった。そのことはこの作品を作ったスタッフもよくわかっていて、だからこそ鳩に背を向ける演出をしたのじゃろう。
では、なぜそうしたのか? わしには悪手中の悪手にしか思えず、続編を作るための映画の都合としか思えなかったの……」
カエル「ジョンウィックの行動原理がよくわからないんだよね……前作ではあれほどのことをしでかした人の末路がああいうものだったのに対して、ジョンはちょっと軽い印象も与える。まあ、オーナーのお気に入りですっごく強いのはわかるんだけれどさ……
そういうところがご都合かな? って印象はあるかな」
亀「しかし続編を見に行きたいと思うような作品であったからの。
やはりアクションは素晴らしいし、それを目当てに頭空っぽで見るのが正解なのかもしれんの」
最後に
カエル「ちょっと短めですがこれでおしまいです」
亀「満足度はそれなりに高い作品じゃよ。
これでこの手の体術を基本としたアクション映画が復興してくれると嬉しいんじゃがな」
カエル「斬新は斬新だったよね。ただ前作の衝撃を上回ることはできなかったのかな? って印象もあるかな」
亀「設定などは素晴らしいんじゃがな。世界観の構築も前作でなされていたことを吹く掘り下げてきたが……なんとなくマトリックスを思い出す流れになってきたような気もするの」
カエル「まあ、でも次があれば多分見に行きます!」