物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『亜人(実写版)』感想 アクションは確かに最高! でもそれ以外が擁護できない……

カエルくん(以下カエル)

「さて、今回は原作も人気である『亜人』だけれど、こちらはアニメ版も放送していたよね」

 

亀爺(以下亀)

「実は見たことがないんじゃがな」

 

カエル「ブログを始める前は案外見ていないないアニメ映画も多いよねぇ……

 本作はなんで見ていないの?」

亀「単純にCGアニメが苦手じゃからじゃろうな。

 近年はセルルックなどを駆使した意欲的な作品も多いが……やはり癖はまだあるからの。特に従来のアニメに慣れ親しんだことに加えて、アニメ映画を多く見ていると比較対象が劇場版CGアニメになるから違和感があるのかもしれん

カエル「そりゃ、どうしたって2時間を年単位で製作する劇場映画には勝てるわけがないよねぇ」

亀「どうしてもポリゴン特有のカクカクした動きなども出てきてしまい、それが余計なノイズになってしまったり、またキャラクターが画一的で個性が見えづらかったりするからの。

 この辺りは好みの問題にもなってくるが、人物描写をCGで、しかもテレビアニメになるほどの話数で描くというのはまだハードルがあるのかもしれん

 

カエル「と言っても1話を見て『こりゃきつい!』ってなった口だから、そのあとは大分見やすくなっているのかもしれないけれどね」

亀「というわけで、この記事は原作、アニメ共に未鑑賞の意見となるので悪しからず。

 しかし、亜人自体の知名度はどれくらいなんじゃろうな? そこそこあるとは思うが……」

カエル「意外と有名だと思っていた漫画原作作品の興行成績が伸び悩んだりするからね。もちろん、知名度だけの問題ではないにしろ。

 さて、では余計なことを語る前に感想記事に入ろうか」

 

  • 作品紹介
  • 1 感想
    • 一方で欠点も……
    • 役者について
  • 以下ネタバレあり
  • 2 多数の疑問点
    • バカばっかりの登場人物
    • テーマ性の惜しさ
    • 最後に

 

 

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『劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ』感想 より純化した久美子とあすかの関係性に心惹かれる!

カエルくん(以下カエル)

「9月度の個人的1番の注目作! ユーフォの映画が公開したよ!」

 

ブログ主(以下主)

「今回は2期の総集編となるわけだな。

 できれば記憶を抹消してから見たかった……

 

カエル「でもさ、結局は総集編映画なんでしょ? だったらテレビでもいい訳だけれれど、何がそこまで楽しみだったの?」

主「甘い! それは綿菓子にハチミツをかけて2日間置くくらい甘い発想だよ!」

カエル「……それ、ただハチミツに砂糖を足しただけじゃ……?」

 

主「これはアニメファンには常識的なことだけれど、京アニ作品は今のアニメ界でもトップクラスのクオリティをテレビシリーズでも披露している。しかも爆発などの派手な作画が素晴らしいわけではなくて、日常的な、時には見逃してしまうような描写が素晴らしいんだけれど……劇場で公開するに足るクオリティをテレビシリーズでも発揮して得るわけだ。

 しかも前作『劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』を見てもらえばわかるけれど、単なる総集編映画とはわけが違う

カエル「本当はそのあたりも記事にしようと思っていたんだけれどね」

 

主「簡単に言ってしまえば声優陣の演技プランの変更などもあって細かな味わいが違うし、カットされたシーンに注目すると総集編を作る上で何を重視し、何を除いたのか? ということについて考えると見えてくるものがある。

 例えば前作では葵や葉月、秀一の物語は省略されている。それによって『久美子と麗奈の物語』としてより純化されている。

 確かに総集編らしく走っているシーンもあるけれど……アニメ映画激戦区の2016年でも他に引けを取らない名作になっている

カエル「では、2になってそれがどのような変化を遂げているのか? というのも楽しみなところだね。

 では感想記事のスタートです!

 あ、あとテレビシリーズも放映していたので基本的にネタバレありになります」

 

  • 1 大きくいじってきた構成
    • 久美子とあすかの物語
    • 圧倒的な楽曲
  • 2 細かな演出について
    • 田中あすかという少女について
  • 3 より純化された物語
    • 親の気持ち
    • 演出について色々と
    • 最後に

 

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『3月のライオン』13巻感想 羽海野チカが描く映画版の先の世界

カエルくん(以下カエル)

「もうすぐアニメの2期も放送間近、今年かなりの注目を集める漫画の代表である3月のライオンの最新刊の感想を書いていきます」

 

ブログ主(以下主)

いきなりだけれど、羽海野チカって『魂』の作家だと思うんだよね

 

カエル「……え? いきなり本題?」

主「よくさ、『心を込めて』とか『登場人物の気持ちになって』とかいうじゃない? 確かに表現者の基本であり、核心の部分ではある。だけれど、簡単にできることじゃないんだよ。

 自分もブログを書いているけれど、じゃあ心の籠った本気の記事ってなん記事ありますか? と問われたら……多分1割もない。『シンゴジラ』や『聲の形』などの、本当に年間トップクラスに絶賛した映画作品の記事ぐらいだと思う。もちろん、自分はアマチュアでプロでないからかもしれないけれど、少なくとも自分が見た限りではプロでもそれは難しい。

 簡単にできないからこそ技術論があって、色々と……漫画で言ったらコマ割りとか視線誘導などの技術を駆使して作品を作り上げる」

カエル「もちろん、羽海野チカもその技術もしっかりした漫画家なのは当然のことだけどね」

 

主「だけど、羽海野チカの作品って『魂』が見えるのよ。それについては詳しくこれから述べていくけれど……また、わかりづらい例えをするけれどさ、野球に例えると岸とか和田毅のような綺麗なスピンのかかったようなストレートを放るのね。

 160キロに迫る豪速球ではないかもしれないけれど、惚れ惚れするようなストレートでバッターから三振を奪っていく……そんな作家

カエル「……どれだけの人にその例えが伝わっているの?」

主「ストレートは投球の基本と言われているけれど、速いだけが能ではない。綺麗なパックスピンやコントロール、投げ方を工夫すれば遅い球でも打ち取れる。もちろん、変化球などとの組み合わせも重要だけれど。

 で、それは物語作家も同じなんだよね。基本は『魂』ともいうべき、メッセージ性などが籠ったストレートで、羽海野チカはそれがすごく綺麗

 

カエル「……読み終わった衝撃でちょっと浮かれているのかぁ……わかりづらい話でスタートしたけれど、一応、これでも真面目な感想記事のつもりですのでご容赦ください」

 

  • 1 映画と漫画
    • 羽海野チカが示した結末の先へ
    • 林田と島田
  • 2 二海堂と滑川
    • 二海堂の挑戦
    • 本作のラストから見えてくる映画の影響
    • 最後に

 

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『劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』感想と解説 テレビとは違う映画の味がある!

 劇場版の『響け! ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』を見てきたのでその感想を。

 この記事を最初にアップした時(2016年4月24日)は、本シリーズを始めて劇場へ見に行った『ユーフォ初心者』でした。しかし、その後あまりにもはまってしまい、結果的に2期はもちろん、本劇場版を劇場で計3回鑑賞しています。(もちろん、もっと鑑賞している人もたくさんいるでしょう)

 

 今回は初見時の感想もある程度残しながらも、記事をリテイクして『劇場版ユーフォニアム』の味と演出について解説していきます。 

 

 先に言っておきますが、あの音響のために絶対映画館で観たほうがいい!

 

 自分がアニメが大好きなのもありますが……本作はアニメのみならず邦画激戦区の2016年を代表する映画であり、単なる総集編映画とはわけが違います!

 

 

  •  1 総集編映画らしさはある
    • 単なる総集編映画ではない
  • 2 リアル感のある青春群像劇
    • リアルに作るためのこだわり
  • 3 圧倒的な演出力の説明
    • サンライズフェスティバル 
    • 山の上の演奏
    • 地上の星と空の星
    • 麗奈の戦い
    • そして本番へ
  • 4 氷菓とユーフォニアム
    • 才能の戦い
    • 敗者の振る舞い方
  • 5 構造について
    • 最後に

  

 

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プリンセス・プリンシパル 12話感想 過酷な運命に抗う少女たちの雄姿に心うたれる

カエルくん(以下カエル)

「えー、今期唯一のテレビアニメ感想記事になりそうだね

 

 

ブログ主(以下主)

「さすがにアニメの数が多すぎて観るのが大変だからなぁ。

 来期以降はオリジナルアニメを中心に観ていこうとは思っているけれど

 

 

カエル「オリジナルだけならばある程度数は絞られるとはいえ、それでも10は行くのかな? まだ秋アニメって何があるのかチェックしていないけれど、多分たくさん放送されるだろうしね」

主「実は本作も途中から見始めた……というと誤解が生じるか。6話放送した時くらいに、話題になっていることを知って1話を見て、確かにこれは話題になるだけの作品だ! と熱中したけれど……下手すれば1話も見ないで終わっていた可能性も高かったわぁ」

カエル「これだけ多いと見逃してしまった名作ってのもたくさんあるんだろうね。話題になる作品は後々知る機会が多いからいいけれど、それこそ昨年の夏に放映していて賞賛した『91Days』とか、今語っている人はほとんどいないだろうし……」

 

主「映画や小説などもそうだけれど、物語との出会いも一期一会みたいなところがあるんだよ。どんな人でも、おそらく9割の作品はたった1回しか観ない。何度も繰り返して鑑賞する作品に出会えただけで、実はすごく幸福で幸運なことなんだ。

 自分の人生を変えるような出会いや、一生心に残るような作品なんて探しても見つからないことの方が多い。特に、これだけ毎期アニメが放送されているような状況だし、日々更新されてしまうから。

 勿体ないなぁ、と思う一方で、だからこそ美しいこともあるんだろうね」

カエル「……なんかそれっぽいことを言って始まったね」

主「というわけで、今期1オススメしていた作品の全12話の感想記事を開始します!」

 

 

  • 独特な構成
    • 過酷な過去を持つ少女たち
    • 最終話を観て
    • 語られなかった12話
    • 最後に

 

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映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』感想 廣木監督が表現してきたものがストレートに出た作品では?

カエルくん(以下カエル)

「東野圭吾原作作品かぁ……今や日本で1番人気の作家かもねぇ」

 

ブログ主(以下主)

「好きな人も多いだろうな。自分も好きな作品も多いけれど」

 

カエル「けれど? あれ、何か限定的な言い方だね」

主「……東野圭吾作品ってある時期を境に全く違うものに変化していてね。よく言われるのが『白夜行』なんだけれど、ここから新本格ミステリー作家からの脱却を図っている。もちろん、この後の作品も名作とされる作品も多く『容疑者Xの献身』などがヒットしている。

 だけど、自分は白夜行以前の方が好きなんだよなぁ。

 『悪意』とか『手紙』とか『名探偵の掟』とかさ。だから、一般小説のようなものを書き始めてからは疎遠になってしまったかなぁ」

 

カエル「ミステリー作家としての評価は非常に高いよね。僕は日本のミステリー作家の中でも5本の指に入る実力を持っていると思うなぁ」

主「もう30年以上も売れ続けている作家だしね。毎年映画化されているし。

 本作は原作未読なんだけれど、東野圭吾らしい味も映画になっているのかな?」

カエル「では感想記事に行ってみましょう!」

 

  • 作品紹介・あらすじ
  • 感想
    • 廣木隆一監督について
    • 廣木監督が撮ってきたもの
  • 演出について
    • ナミヤ雑貨店の奇跡
    • 山下達郎のREBORN
    • 最後に

 

 

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映画『ユリゴコロ』感想 暴力描写が過激なので苦手な人は合わないかもしれない……

亀爺(以下亀)

「沼田まほかる作品の実写化が相次いでおるようじゃの」

 

ブログ主(以下主)

「実は沼田まほかる作品って読んだことがないんだよねぇ」

 

亀「小説を熱心に読んでおったのは10年前くらいだという話じゃしの。その頃でいうと湊かなえや森見登美彦などが人気であったが、沼田まほかるもデビュー自体はその頃であるが、話題になったのはもう少し後の話じゃな」

主「まず、名前がすごくいいよね。キャッチーで目を引く。山崎ナオコーラなどを連想させるよ」

亀「近年、特に注目を集めている作家の1人のようじゃが、実はそこまで多作でないというのも驚いたの」

主「ウィキで見ただけど、まだ刊行数が少ないんだって意外だった。もっと量産しているイメージもあったから……それだけ出せば話題になるってことなのかもしれないな」

 

亀「そして、やはり湊かなえや貫井徳郎などのような、読み終わった後にいやぁ〜な気分になる『イヤミス』としても人気のようじゃな」

主「自分が手を出しづらいな、と思ったのはここでさ。イヤミスって他の作品に比べてちょっとハードルがあるんだよ。下手をすると途中で読むのをやめたくなってくるし、さ。

 湊かなえなどもそうだけれど、わざわざイヤな気持ちになるために小説を読むのもなぁ……という気持ちもある。読んだらイヤミスだった! というならまだいいけれど、イヤミスってわかっていて読むのは、若干の抵抗があるんだよね」

 

亀「そんな作家の映像化であるの。

 そして本作は『実写映画 心が叫びたがってるんだ』の監督を務めた熊澤尚人監督作品でもある」

主「ここさけの場合は原作が好きなこともあって、そのテイストの違いを楽しめなかったけれど、本作はどうだろうなぁ。

 というわけで、感想記事に入りますが……ここで先に1つ言っておきます。

 今回は酷評です。

 いや、正確には酷評ではないけれど……自分の信条と著しく相反する作品だったために、かなり厳しい論調になっています。

 世間評価は普通か、ちょっといいくらいであり、私も本作を評価する声があるのはもちろん理解できますし、納得もしていますが……いちゃもんかもしれないけれど、自分には受け入れられない描写がありました。その前提のもと読んでいただきたいです」

 

  •  作品紹介
  • 1 感想
    • 否定する理由
    • 暴力の反射
    • 役者について
  • 以下ネタバレあり
  • 2 過剰な演出によって
    • 今作が表現したかったもの
    • 最後に

 

 

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