物語る亀

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物語愛好者の雑文

『コードギアス 反逆のルルーシュⅡ 叛道』感想 2章はテレビシリーズからの変更点も多数でもやはり面白い!

カエルくん(以下カエル)

「みんなが楽しみにしていたであろう、コードギアスの総集編第2段がいよいよ公開されたよ!」

 

ブログ主(以下主)

「単なる総集編と違って、この先の新作の物語のために色々と変更するポイントも多々あるという話だから、非常に楽しみな作品でもあるな」

 

カエル「前回の記事で熱く語ったけれど、谷口悟朗作品が大好きだから、今回も熱量も高くこの作品について語っていこうか!

主「一応直接的なネタバレはしない方向だけれど、ニュアンスなどでわかってしまうこともあるかもしれません、とは先に言っておきます。

 あとさ、テレビシリーズも10年ほど前に放送終了している作品なので、いい感じに忘れている部分と強烈な印象に残っている部分が交互に織り混ざっているような気がして……新鮮な気持ちで観られるかもね」

 

カエル「この2章は最大の鬼門だという予想は多くの人が共通する部分だろうけれど、果たしてどのような物語になるのか、注目していきましょう!」

 

 

 

 

Fスリーブコレクションvol.5 コードギアス 反逆のルルーシュ? 叛道

 

作品紹介・あらすじ

 

 2006年から2008年にかけて放送されていたコードギアスシリーズの総集編全3部作の2作品目。自分の母を殺害し、妹とともに捨てたブリタニア帝国への復讐を誓うルルーシュと、日本を取り戻すためにブリタニア帝国を中から変えようと奮闘するスザクの対決を描く。

 今作では1期17話ほどから2期中盤(15話ほど)までをまとめている。

 新アフレコに加えて新規カットも1章よりもさらに増えいており、ファン待望の作品に仕上がっている。

 

 

 黒の騎士団を結成し、日本解放に向けて大きな力を獲得しているルルーシュ。何としてもスザクを仲間に引き込みたいために、多くの策略を練るのだがそれも失敗してしまう。

 そんな中、ブリタニア帝国の皇族でありエリア11の総督となったユーフェミアが行政特区日本の設立を発表し、黒の騎士団の面々は動揺を隠せないでいた。その真意と母親を暗殺した犯人を捜すために、ユーフェミアと接触を試みるルルーシュであったが、事態は思わぬ方向へと転がり始める……

 

 


『コードギアス 反逆のルルーシュⅡ 叛道』特報

 

 

 

 

1 感想

 

カエル「では、まずはTwitterの短評からスタートです!」

 

 

 

主「まあ、賛否は間違いなく分かれるよね。

 そもそも、今回のリブート企画が報じられた時、1番の鬼門になるのはこの2章だというのはわかりきっていた。

 何せ1期から2期を接続するお話でもあるし、ブラックリベリオンからの2期というのは完全に分けられているから、総集編とするにはここがどうしてもネックになってくる。

 それをカバーするのはどうやっても難しいと思っていたけれど……本作はその接続をうまくした印象だね」

 

カエル「このつなげ方はそこまで強引という印象もないし、新規カットもあったりして『そのシーンが見たかった!』と思う部分を見せてくれたよね」

主「だけれど、その後にも色々な弊害があって……確かに非難も巻き起こると思うけれど、個人的には大満足な1作でもあるね」

カエル「1期後半からブラックリベリオンの流れは何度見ても面白いしね」

主「ただ、やはり残念なことに間がどうしてもなくなってしまって感情移入がしにくいというのはあるかもしれない。

 お話が急展開というのはギアスの魅力だけれど、それがあまりにもやりすぎと思う人がいたとしたら、それはしょうがないと思うな」

 

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ルルーシュの涙……そこに何を思う?
(C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2017 CLAMP・ST
 
本作の欠点
 

カエル「じゃあ、ここまでほめてきたけれど、逆に欠点をあげるとすると……やはり後半の流れが強引すぎるというのは上がるだろうなぁ

主「今回は2期でもかなりの話数を一気に消化したけれど、2時間強の物語の中で2期をここまで描くにはかなり無理がある。しかもさ、ギアスの2期ってちょっとだけ特殊で……普通のアニメって深夜ならば時間変更はあっても、深夜のまま放送するんだよね。

 でもギアスはその人気から夕方の時間帯に移動したわけで、当然観る層も変わってくるし、初見さんでもわかるような物語にしないといけない。

 その苦慮がとても伝わって来るのが2期のスタートだった

 

カエル「生徒会メンバーのみならず、学園の全員に記憶のリセットのギアスをかけるなどまでして、相当無理やりなこともしているしね……でも2期の1話の流れは完全に1期の1話を踏襲していて、そこも評価が高いけれど……」

主「1期の続編であるというのは当然のことながら、2期から入るご新規さんにもある程度は無理なく鑑賞してほしい……その配慮も加えながらも、当然魅力的な物語にしなければいけない。

 だけれど、今回の総集編は総集編だから、そんなご新規さん向けの配慮なんていらないわけ。

 その結果があの大量カットだった

 

カエル「……バニーの格好をしたカレン、見たかったよね」

主「お色気シーンもたくさんあったけれど……そこだけは正直不満かなぁ。まあ、別にあってもなくてもいいんだけれどさ」

 

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バニーカレンがなくて残念に思った人も多いのでは?

 

2期の内容が大幅カット
 

カエル「そして2期は案の定? バッサリとカットされたね」

主「2期の前半は扱いが難しんだよ。

 結局また仲間を集めなおして、スザクを騙して、しかも中華連邦に行って……という流れを繰り返すような形になる。ここは1期の踏襲としては面白いけれど、物語としてみた場合にはただの繰り返しじゃない? という思いもある」

カエル「踏襲する必要もない上に、しかも色々と変更点もあるしね」

主「元々1期と2期では中華連邦の設定とかも結構大きく変わったらしいしね。

 当時は放送期間が空いていたこともあったし、そんなに中華連邦自体に見せ場があるわけじゃないから全く気にならなかったけれど……

 その辺りをどう改変するんだろう? と思ったらあっさりカット。

 でもこれは個人的にはいい判断だと思うよ

 

カエル「う〜ん……見たかったシーンのカットで残念に思ったり、結構唐突な印象もあるけれどなぁ」

主「でもさ、はっきり言わせて貰えば2期のスタートってコードギアスという物語の中でも、そこまで面白いとは思えないんだよね。

 いや、暴言とかではなくて、あくまでもルルーシュが戦う相手は中華連邦ではなくてブリタニアなわけで、そうなると話の主軸がブレてしまうからこの総集編ではカットせざるをえない。

 個人的にはV,Vすらも……必要ではあるけれど、魅力は感じないキャラクターなんだよね」

 

カエル「人気キャラではないよね……それこそ、マオの方がインパクトがある分人気なのかな?」

主「ギアス関連のオカルト話は結構賛否分かれると思うんだよ。

 絶対必要なのはもちろんだけれど、あの周辺はかなり人を選ぶ内容だと考えていて、そこを描きながらもある程度カットしたのは英断と言えるんじゃないかな?

 多分、自分が総集編を作ってください! と言われたら同じ選択をするでしょう。

 ブラックリベリオンも含めるとかなりの話数を一気に消化したけれど、これで3章に対する期待値が上がってきたね」

カエル「それだけの尺を確保したってことだからね」

 
 

 

 

2 コードギアスをどのように構成したのか?

 

カエル「続いてはその構成について考えていくけれどまずはスタートからしてコードギアスという作品がどんな作品なのか、はっきりとわかるようになっていたよね。

 黒の騎士団の方は真っ黒な見た目もそうだし、仮面の男ということでかなり怪しい空気がある。けれど、実際には人種や性別などには捉われず、実力主義で重要な役職に登用するチームでもある。

 一方でブリタニアは白の服装をまとって、まるで正義の騎士のようだけれど人種差別の塊のような国でもあり、スザクに対する偏見が非常に強かった」

 

主「簡単な正義と悪で割り切れる物語ではない、ということだ。

 これって結構リアルなお話だと思っていて、伝統的な価値観に縛られていると、その差別的な思想が跋扈することはよくあるお話でもある。ブリタニアは一貫して『競争と差別の国』であり、その身分制度こそが最大の力を発揮すると考えているからこそ、このような差別がまかり通る。

 この描写をスタートに入れてくることによって、スザクがどのような環境で騎士となり出世していくのか、そしてルルーシュが悪の組織を率いながらも、その奥底ではブリタニアを否定するという思惑はあるにしろ、差別的な状況を瓦解させようと苦心している様も伝わってくる」

カエル「単純な正義と悪の話ではないということを印象づけるための、再構成だったんだろうね」

 

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もちろんアクション全開! 今見ても綺麗な作画です
(C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2017 CLAMP・ST
 
ユフィの描き方
 

カエル「そしてそれはユフィの描き方にもあって……もちろん、全体的には変わらないだけれど、この映画を見ると1番人を見る目があるのがユフィという描き方になっているんだよね

主「人を偏見の眼差しがないと観ることができないブリタニアの中での異端者、それがユフィである。

 彼女の存在はこの作品の中では非常に重要で、それはスザクの恋愛対象だからというだけではない。

 リベラルの強さであり、怖さでもあるけれど……ユフィは悪と称される黒の騎士団や日本人に対して、その無垢な優しさで手を差し伸べる。この作品の中で最も偏見を持っていない存在でもある」

 

カエル「偏見が跋扈する社会に、その価値観を破壊する人間かぁ」

主「彼女が行ったことは実はルルーシュと一緒なんだよ。

 ただ、やり方が全く違う。

 ブリタニアを否定し、新しい国を作る。そのためには王位継承権も放棄して、その先にある大事な理想に対して向かっていく。それがユフィの思いだった。

 かたや暴力革命を目指したルルーシュと、平和的に特区設立により革命を志したユフィ。

 この2人の描き方が特に印象に残るね」

カエル「だけれど、あのようなことになってしまうわけだけれどね……」

 

主「作品中ではルルーシュとスザクが表裏一体の存在であることが何度も示唆されている。例えば両方とも国のトップ……王族や首脳の子供という点でも一緒だし、国をある意味では捨てているのも一緒。

 そして初恋の人も一緒であり……この同一の存在がどのように反目しながら向き合うのか? という物語でもある。

 では、ルルーシュサイドの『スザクにとってのユフィ』にあたる人物は誰なんだろうか? という話だよね」

 

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改めて見返してみるといいキャラクターしているよなぁ……ユフィ

 
大幅な変更点
 

カエル「全体的にはカットは多かったとはいえ、大筋は変わらなかったけれど……今作で1番大きな変更というと、シャーリーに関するところだよね」

主「前にも話したけれど、魅力的なキャラクターが多い中でもギアスのヒロインって誰ですか? と尋ねらたら、自分はシャーリーと即答する。

 C,Cは共犯者だし、カレンは上司と部下の関係性である。これはまたヒロインとは違うものがあるじゃない?

 だけれど、無条件でルルーシュを信じて、どんな状況であろうとも彼の力になろうと決めて、その背中を見つめ続けた存在は、やはりシャーリーしかいない

 

カエル「今作で1番の不満点……というかは難しいなぁ。人によってはむしろ喜んでいるかもしれないけれど、変更点として1番大きいのは、シャーリーのシーンがなくなったことだよね」

主「あのフラグ回避はさすがに驚いた。

 あの周辺に関しては……ジェレミアが仲間になるところも含めて、さすがに早すぎるし文句が出るのもわかるけれど……ジェレミアに関しては尺の都合とわかるけれど、じゃあなんでシャーリーのシーンを回避したのか? というのが疑問でもある。

 ここは今の段階では意図があまりわからないんだよなぁ。

 だってさ、あのシーンってギアスという物語を語る上では非常に重要じゃない?

 

カエル「この後の続編に繋げるため、というのが1番の理由だろうけれど……」

主「あそこがギアスの最後のターニングポイントだと思っていて、結局ルルーシュとスザクの関係性を変えることができるのは、それぞれのヒロインであるユフィとシャーリーだけだったと思っている。でも、その2人があのような結末を迎えることで、物語は最終話の展開になることが確定したというのが持論なわけ。

 でも、シャーリーのフラグ回避ということは、物語があのラストとは違う形になるんじゃないか? ということになる

カエル「元々あのラストにはならない、という予想は多かったけれどね」

 

主「個人的には『スクライド』の時に『女に関して語ることなどない』と言い切り、過去作でも恋愛要素をあまり積極的には入れてこなかった監督だけあって、ルルーシュとスザクの関係性に特化したのかもしれないけれど……

 これは、最終章の十分な尺もあって……もしかしたらあの最終話の衝撃を超える作品が生まれるかもしれないな

 

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スザクの怒りが向かう先は……

(C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2017 CLAMP・ST

 

音楽について

 

カエル「そして音楽について語っていくけれど、やはりギアスの音楽ってすごくいいよね!

 もちろんテーマソングもいいけれど、Hitomiの楽曲が名場面と一緒になった時に、起きな感動がぐっと押し寄せてくるし!」

主「谷口悟朗のうまい部分はたくさんあるけれど、Hitomiや酒井ミキオなどの音楽を聴くと『ああ、谷口作品だなぁ』という印象が強く残るんだよね。今回も酒井ミキオの楽曲はなくて、そこだけがちょっと思うところがあるかなぁ。まあ、元々ギアスでは1曲しか歌っていないけれどね。

 今回も印象的なシーンであの幻想的な楽曲と歌声が響き渡った瞬間に、ぐっと感動が押し寄せてきたよ

 

 

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カエル「特に今回はテーマソングが藤原さくらを起用するという意外性のある選択だったけれど……これがまた良い曲なんだよね」

主「この曲の歌詞を読んでいたけれど、思わず『作詞家が書いたのかな?』と思ったら、藤原さくらの作詞作曲でかなり驚いた。

 コードギアスという物語を、そしてこの2章の意味を知っている人じゃないと絶対に書けない歌詞だろう。

 ギアス世代でもないはずなんだけれどね……まあ、知っていてもおかしくはないだろうけれど。

 自分はコードギアスのアニソンとして全く違和感のない作品に仕上がっていると思うよ

 

カエル「ルルーシュがスザクに対して語っているようにも思えるし、スザクがルルーシュに向かって話しているような歌詞もあって、この2人が本当に親友であり、そしてそれでも許せないという気持ちがぐっと伝わってくるような歌詞でもあるね」

主「この歌詞を読んでいてふと思ったけれど、やはりこの2章は『ユフィを中心としたルルーシュとスザクの物語』に特化させようとしたのかなぁ。

 だからシャーリーのシーンも全カットして、こうした再構成をしたのかもしれないね

カエル「う〜ん……考えれば考えるほどに色々な思いが詰まった作品なんだなぁ」

  

 

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最後に

 

カエル「1番の鬼門であった2章だけれど、賛否はあれどもいい形で駆け抜けたのでは?

 これだけ2章で消化してくれると、3章にはたっぷりと時間が残されているし、何よりもここから先は見所しかないし!」

主「ここから先の展開は1週見逃しただけで何が起きたのか全く理解できないくらいに急転直下だったからな。

 ここから最後までどのように駆け抜けていくか、非常に楽しみだよ」

 

カエル「……まあ、多分ないとは思うけれど、最悪開幕シャーリーから始まる可能性も……」

主「う〜ん……単純にあのラストになるとは思えないんだよねぇ。

 楽しみでもあり、怖くもあり……でも不安は何もないという不思議な物語でもあるよ」

 

 

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