物語る亀

物語る亀

物語愛好者の雑文

映画『牝猫たち』感想 思ったよりも……な落ち着いた良質な作品 

亀爺(以下亀)

「いよいよ主も日活ポルノ映画に手を出したか」

 

ブログ主(以下主)

「……あんまり滅多なことを言うと、なんかまずいことになるかもしれないから、いつも以上に言葉に気をつけないとな」

 

亀「何、少し過激な性描写があるだけで、普通の映画じゃ。そこまで大きな問題もないじゃろう」

主「それならいいんだが……

 意外と女性客も多いんだな。カップルで来ていたりして、何となくおじさんばっかりだと思っていたけれど、そうでもないってことがよくわかったよ」

亀「それこそ、単なるセクシーな表現がハードなだけの映画じゃからな。

 基本は映画、と考えれば、欲情を煽るために制作されるセクシービデオとは訳が違う。ましてや、近年は一般向け映画でも相当ハードな作品が作られておるからの。その意識で行くと、若干面喰らうこともあるかもしれん」

 

主「考えてみれば最近見た『ネオン・デーモン』も、それから昨年でいうと『ヒメアノ〜ル』もR15指定ではあるものの、結構な性描写も多いんだよね。むしろ、演出が際立っているからこっちの方が危ないというか」

亀「その意味では濡れ場さえあればなんでも撮っていい、と言われる日活ポルノらしい作品かもしれんの。

 それでは、そこも含めて感想を書いていくとしよう」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • 色気と艶
  • 以下少しネタバレあり
  • 2 映画としての感想
    • 物語の帰結
    • 最後に

 

 

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映画『人魚姫』感想と考察 人魚の意味やこの映画のテーマって? 

カエルくん(以下カエル)

「今回は人魚姫のお話だね。海ということで亀も出てくるし、ここが亀爺じゃないんだ」

 

ブログ主(以下主)

「亀爺にはもっと大事な作品が控えているから」

 

カエル「でも、この映画って公開初週じゃないよね? 気が変わったの?」

主「……今週って大作にいい映画がないんだよね。いや『マッドマックス』はあるけれど、あれも実質再上映だし……

 だから今週はあまり行けていない単館系や小規模公開映画を中心に回ってみようかなって思い立った。

 あとは来週宇多丸がこの映画を批評するから、先にやっておきたいなぁ、って思って」

 

カエル「今年は宇多丸が批評する映画を全て観るっていうのが目標だもんね」

主「なので疾走スプリンターも近々見に行こうと思います。いつかはわからないけれど!」

カエル「……曖昧だね」

主「この日は4作品劇場で見に行ってさ。『聲の形』の4回目『牝犬たち』『人魚姫』『WILD〜私の中の獣〜』の4作だけど、聲の形を除く3作が意外と浅いながらも共通項目もあったので面白かったよ」

カエル「……その3作品を全部見たっていう人を探すのは結構大変そうだけどね。

 じゃあ、ここで記事を開始するよ」

 

 

  • 1 コメディであり、アニメ的な作品
    • アニメ的な演出
  • 以下ネタバレあり
  • 2 人魚の意味
    • 人魚の意味が指し示すもの
  • 3 この映画のテーマとメッセージ
    • メッセージとテーマの矛盾
    • 意図はわかるけれど……
    • 最後に

 

 

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題「夜は短し恋せよ男」(コメディ作品)

 お題「風、ドーナツ、メタボ」

 

 


「お前が……キューピット?」
 私がそう尋ねると、目の前で正座をしているメタボ体型の小さなおっさんは「ヘィ」と昭和の爆笑王のように頭に手を当てて小さく下げた。

 

 ことの始まりを説明しよう。
 まず、いつも通りの時間に朝に起床すると、窓の外が明るい気がしていたので思わず寝坊したかと時計を確認すると、むしろいつもよりも早いくらいだった。ではこの冬の、部屋の中にいても息が白く曇る寒い時期に、部屋を暖かくしてくれる唯一の熱源である太陽もまだまだ登っていないはずなのにもかかわらず、この昼間のような明るさは何だろうと思い、窓を開けてみる。
 私は少し期待していた。
 きっと、UFOか何かがそこにいて、未知との遭遇が待っているのではないかと。
 そう、頭が大きくて身長は小さな生物が外から私を覗き込み『ハロー?』と言ってくれることを。できればここで出てくる生物はなるべくグロテスクな方がいい。あまりにも美しい美女のような形だと、油断したところで首の後ろから大きな口がガバッと開き、一飲みされること間違い無い。

 

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映画『ネオンデーモン』感想と考察 演出が語りかけてくる情報量が非常に多い! ネタバレあり

カエルくん(以下カエル)

「さて、今回はモデル業界の闇と、女性の持つ美への羨望を描いた映画ネオン・デーモンの記事だけど……」

 

ブログ主(以下主)

「はい、今回は長いから前置きはなし、サクサクと行くよ」

 

カエル「え? そんなに語ることが多いの?」

主「超多い! いつも映画を見るときはノートを取るけれど、1ページも埋まらない作品が多い中で、2ページ埋まったから。ページ数が多ければ多いほど、書くことも増えていく。

 まあ、シンゴジラの場合は5ページ、聲の形は3ページとかだったから、それに比べると少ないけれど、今回は語ることが多い

カエル「へぇ……むしろ語りすぎてまとまりがない記事になりそうだねぇ……」

 

主「なんというか、作り手と受け手の相性が抜群に良くてキッチリとハマった印象だな。この映画の演出とか、テーマ性がガッチリと組み合わさって、見ている最中は『スゲェ!!』って思わず小声で口から出たほど。

 その理由なども解説します。

 あとは、最初に語っておくけれど本作はネタバレがない方が楽しめるので、未見の方はネタバレありは絶対に見ないことをオススメします!!」

 

カエル「早くもテンションが上がっている……

 じゃあ、感想記事スタートで」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • 連想した他作品
    • 色彩のマジック
    • 語らない脚本、雄弁な演出
  • 以下ネタバレあり!
  • 2 語られる演出
    • 階段とやまねこ
  • 3 美のテーマ
    • 持つ者と持たざる者
  • 4 ガラスとダイヤ
    • 記号の意味
  • 5 美と死
    • 美と傷
  • 6 演出の伏線の回収
    • そしてラストへ……
    • 最後に

 

 

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映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』感想 監督の熱意が伝わって来る!

亀爺(以下亀)

「少し公開からは時間が経ったが、今週はジャズミュージシャンでも伝説的な人物、マイルス・ディビスを扱った映画を取り上げるとするかの」

 

ブログ主(以下主)

「……また少しだけ失敗した」

 

亀「失敗? 公開時期でも間違えたかの?」

主「いや、公開時期はしょうがないんだよ。この映画って12月はシャンテぐらいでしか公開していなくて、1週間くらいしてから公開劇場が増えた……はず。まあ、それは今更どうでもよくて……

 今年は折角だから宇多丸が批評する映画と同じ作品も全作やろうかな? って考えていたのね。まあ、続き物も多いし、前作や関連作品を見ていないとわからない作品も多いけれど……単独で成立している映画はなるべく見に行こうかなって」

 

亀「そして新年1発目がこの作品だったの」

主「だけどさ……年末だから1週映画批評が空いたのよ。それで、何を勘違いしたのか、今週末に映画批評をやると思い込んでいて……確認したら、もうマイルズアヘッドはやっていたのね……

亀「まあいいではないか、それくらい」

主「……まあ、どうでもいいといえばいいけれど、なるべく人の感想とか批評を聞かない状態で書いた方がいいからさ、そこは少し考えてしまう結果になったかな」

亀「それでは記事を始めるぞ」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • 音楽を語るということ
  • 2 映画としての完成度
    • 伝記映画なの? 
  • 以下ネタバレあり
  • 3 詰め込まれた要素
    • この映画を支えたもの
    • 最後に

 

 

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江川、石田、井筒の君の名は。と新海誠に対する悪評に関して思うこと

カエルくん(以下カエル)

「2016年の映画界の話題の中心は、よくも悪くも新海誠だったような気がするね」

 

ブログ主(以下主)

「明らかに邦画、洋画を問わず、実写の映画よりも存在感を示したのがアニメ映画だったしな。シンゴジラもアニメ界に縁の深いスタッフが集結しているし、アニメを実写でやっているという意見もある」

 

カエル「もちろん主がアニメ好きっていうのも大きいかもしれないけれど、毎日のようにアニメの話を聞いていた気がする。

 それこそキネ旬も『この世界の片隅に 』を1位に選んだし。トトロ以来の快挙なんでしょ?」

主「ジブリが実質解体した後のアニメ映画界を象徴する出来事になったんじゃないかな? 色々な問題もあるし、中には『10年後には衰退している。なぜならば一流アニメーターが高齢化していて、新陳代謝がないからだ』と語る人もいるような状況ではあるけれど、それも含めて色々と考えていかなければいけないよね」

 

カエル「で、今回はまた新海誠について語るのね」

主「宮崎駿でも売れすぎだよなぁ、って思ったけれど、新海誠は特にそう思うんだよ。いや『君の名は。』は200億の価値がない! とは言わないよ? 作品クオリティが高くても全く流行らなかった作品なんていくらでもあるし、売れた作品が名作なわけでもない。

 だけど、売れるということは色々と注目を集めることでもあって……あまりにも罵倒が多すぎると思うのね

 

カエル「宮崎駿にはそんなこと言わない人も、新海誠だと言いやすいっていうのもあるのかもしれないけれど」

主「今回はそんな意見に対して色々と思うところを書いていこうかな、と思っている」

カエル「了解、じゃあ記事を始めるよ」

 

  •  1 江川達也、石田衣良、井筒和幸の発言
    • 語り口と芸風
  • 2 批判意見は正しいの?
  • 3 過去の名作と現代の名作
    • 作品の品格
    • ヒット作品の意義
    • 最後に

 

 

 

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ブログ開設1周年! 皆様への御礼と、これからの目標を語ります。

 本日、1月10日をもちまして、当ブログはめでたく開設1周年を迎えました。

 ここに、日頃の皆様のご愛顧に感謝いたしまして、深く御礼申し上げます。

 

 この記事に検索流入などでたどり着き、初めて当ブログ『物語る亀』を読むという方は中々いないと思いますが、初見さん、常連さんのご尽力があればこそ、この1周年を迎えることができたと思います。

 

 1年目ということを考えても、非常に多くの方に閲覧していただくことになりました。

 今回はこの1年書き続けて思ったこと、今後の目標なども書いていきたいと思います。

 

 では、いつものスタイルで始めさせていただきます。

 

  • 1 一年間の感想 
    • このブログを立ち上げた目的
    • 方向性の転換
  • 2 人気だった記事
    • 特にお気に入りの記事
  • 3 今年の目標

 

 

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