通勤途中に小説を〜短編小説 『見えないもの』

今週のお題「卒業」 三月に入ると一時期に比べて、寒さもだいぶ和らいできた。つい一月前は雨が降るたびに『雪が』と騒いでいた天気予報も、今は花粉と桜の開花予想に話題が集中している。 終業式も終わり、職員室とは別に用意された準備室に戻ると老齢の教師が一人で窓の外を見つめていた。その手に握られた紅茶のペット…