亀爺(以下亀)
「いよいよこの熱いファンが多い作品に手を出していくのか……」
ブログ主(以下主)
「しかも第1章は鑑賞するも記事にしておらんわけだしね」
亀「ヤマトは日本のアニメ史の中でも燦然と輝く作品じゃが、この作品に特別な思い入れがあるのかの?」
主「特にはないかなぁ……多分、今時のアニメファンに多い『2199おもしれぇ!!』ってところから入っただけだし。むしろ、原作のヤマトも続編があるなんて一切知らなかったレベルだし。
面白いんだろうな、とは思いつつも、初代はさすがに古すぎて手が伸ばしづらいし、そんなに長くはないけれど打ち切りといえば打ち切りだしねぇ。リメイクも何回もされていてその度にお話が若干変わっていくから、新規参入にはちょっと辛いなぁって思いはある」
亀「もちろん伝説的な作品じゃから鑑賞しておくべき作品だとも思うがの」
主「だけど、2199をテレビで放送してくれたからさ。
あれはヤマト初心者にも優しいし、見事に現代版にリメイクされていて、おそらく初代の重要な部分を継承しながらも新しいヤマトになっていたんだと思うんだよね。ファンの評価も高いし。
そんな作品の続編とだけあって、本作にはすごく高い期待をしていたんだよ」
亀「ヤマトにかける思いというのは特に昔からアニメを愛する者であれば、熱いものがあるはずじゃからな。
それでは、感想記事を始めようかの」
1章の感想
亀「しかし、第1章は記事を書かなかったのに、2章から書き始めるのも珍しい話じゃな」
主「正直な話をすると、第1章はかなり期待はずれだったというか……なんだかなぁって思いもあったんだよね。
悪い作品ではないのかもしれないけれど……大まかなネタバレをしてしまうと、第1章って前作から数年過ぎてどのように地球が変わったのか? という状況説明が非常に多かった。
これは福井晴敏の影響が大きいのかもしれないけれど、世界観の設定だとかが非常に濃密で……もちろんSF作品としてみた場合にはその設定の1つ1つが大事になってくるから、それは間違っていないんだけれどさ……飲み込むまでに時間がかかるよね」
亀「いくら2199を見ておると言ってもテレビ放送からそれなりに時間が過ぎておるからの。キャラクターの整理であったり、様々なことを思い出す必要もある上に、新しい設定も数々出てくるしの。
『星巡る箱舟』も必見じゃというのも、後々知ったからの」
主「ガミラスとその後どうなったとか、そういうお話も大事だから丁寧にやっていたし……後はこれはしょうがないけれど、艦隊戦だからさ、現代のロボットアニメのように派手な動きが多いわけではないんだよ。それもまた魅力だけど……戦闘シーンも何をやっているのかよくわからなかったりして、とにかく疑問符の連続で……
情報量の処理をするだけで終わってしまった感もある」
亀「濃いファンであればリメイク前の過去作とのつながりなども考慮しながら色々と考察できるのじゃろうが……テレビシリーズを見ただけだとの」
主「しかもさ、2章のタイトルにあるから言っちゃうけれど、1章は発進しないの! ヤマトクルーがどういう環境にいるのかなどといった話がメインになってくる。
だから1章とは言っているけれど、自分は0章という方が正しいような気がする。お話が始まる前のプロローグみたいだなぁって。あまりにも話が動かなすぎて何かを語るというのが難しかったんだよね」
亀「おそらく、2202という作品自体は3話で1つの物語を終えるような構成になっているものと思われる。じゃから1話は冒頭で戦闘があったものの、2話は作品をより深く掘り下げる回となっておった。
本来ならば3話で大きなカタルシスを迎えるようになっていたのじゃろうが、理由はわからんが第1章は2話構成じゃった。
それゆえに物語として少し物足りないものになってしまったのかもしれんな」
第2章の感想
亀「では、いよいよ第2章の感想と行くが……こちらは文句なしに面白い作品に仕上がっておったの」
主「待っていたのはこれなんだよ!
このヤマトが見たかった!
多分後々テレビでも放送するだろうからどこまで明かすべきなのかは難しいところだけれど、まずこの話のスタートになる第3話がいきなりクライマックスで!
前回で溜まってしまったフラストレーションを一気に爆発させるような内容で……もう見ている最中で全く文句なしだよね!」
亀「物語としては危機が迫る中でヤマトが発進するという王道のものであるが、OPのヤマトのテーマなどがあとだとやはり高揚するものじゃな。劇場で一緒に歌いたくなるほどじゃ」
主「またそれぞれのキャラクターも抜群にいいし、この3話ではあるキャラクター達がヤマトを発進させるために危険な任務につくんだけど、そこも王道でよかったなぁ。
そしてそれを追う勢力の方にも色々な考えの人がいて、確かに少し悪役のように描かれてしまう人もいるけれど、言っていることは何も間違えていない。むしろヤマトクルーの方が問題だという人もいるかもしれない。この手の作品はちょっとしたことで無能なキャラクターを描いてしまいがちだけど、そういうことがないからストレスなく鑑賞できるね」
亀「散り散りになっていた仲間たちがまた集まり、遥かなる航海に飛び出すというのはやはりにわかファンであっても感慨深いものがあるの」
主「本作がOVAに該当するのかはちょっとわからないけれど、アニメーションの派手さは近年上がり続けている中では圧倒的にいいとまでは思わない。だけど、やっぱりCGもそうだけど、キャラクターのかっこよさ、美しさや安定感が非常に高いな、という印象があるね」
立場と思い
亀「ここからは作中に関して言及しながら語っていくが、この問題は難しいところじゃの。今度の相手は強大であることはわかっているものの、どのような相手なのかはあまりわかっておらん。
その中で救援要請を受けた場合において、どのように振る舞うのか決めるというのは大変なことじゃ。もしかしたら、それが罠かもしれんからな」
主「前作は地球があと1年で滅亡してしまうという危機的状況の中で、誰もがどうにかしなければいけないという状況下だった。世界中の希望を抱いて宇宙へと飛び出して行ったわけだ。
しかし今回はそうではなくて、地球が地球から飛び立つ必要性というのはあまりない。前作のように半ば自暴自棄というか……リスクばかりの賭けのような行為に打って出る必要は全くない。その差がはっきりと出てきたのが当初の話だったわけだ」
亀「しかも今回は沖田艦長不在じゃからな……あのヤマトクルーという英雄的立場はあるにしろ、政治的に力が強くて階級的に上層部と顔を聞くような人がおらんというのも、前回とは大きな違いじゃな」
主「やっぱり沖田艦長の存在感って偉大だったんだねぇ。
ちょっと話がそれるけれど、1960年代は沖田艦長のような提督クラスの軍部の上層部が出てきているんだよね。今回のリメイク版で沖田艦長は提督クラス、古代は一尉と明確になったけれど、例えばガンダムだと少佐、大佐などの佐官クラスの上層部が普通に登場する。
時代が進むにつれて主人公の階級が下がってくる傾向があり、それと同時に登場人物ももっと現実寄りに……階級が下になっていくんだよ。これはかつては偉い人に憧れを抱くという主人公像から、等身大の主人公の方が求められる結果になったからだ」
亀「提督クラスがおらず、英雄的な立ち位置とはいえ一尉が艦長代理になるというのも冷静に考えればおかしいかもしれんが、それも時代の流れかもしれんな。もしかしたらすごく出世しておるのかもしれんが……」
第3章の感想
亀「ではこのまま引き続いて第3章の感想を書いていくが……3章は中々語りづらい物語になっていたの」
主「う〜ん……第1章は構成の問題でちょっと難ありかな、と思ったけれど、2章を見るとしっかりと面白かったんだよね。
だけれど、この3章はそういう問題でもない。ある意味では非常に重要なことを描いているけれど、しかしそれが迷走しているようにも見えていて……」
亀「中々難しい話じゃの。
この第3章では進はむしろ波動砲などを使って戦うことに否定的な立場になっている。いや、それは今までもそうだったのじゃが、かなり戦争に積極的な……戦いたい斉藤隊長が出てきたことによって、その差がかなり目に付く形になっておるの」
主「単純にさ、ごちゃごちゃしすぎなんだよね。
地球側も一枚岩ではないし、今回は救助に行くという目的はあるけれど、それが地球側にどんな影響があるかもわからない。地球を救うという目的があった前作とは、全く違くて……
目的を完遂する理由が弱いようにも見える。
そしてガミラス側はガミラスで何かの陰謀があるようだし、ガトランティスとの戦いがあったかと思えば、進と雪のイチャコラ合戦が始まったりして……どれか1つに物語をしぼれよ! と言いたくなってしまう」
亀「もちろんこの先も続くであろうし、元々の作品を見ておれば色々と納得がいくこともあるのじゃろうが……」
2202の現代性
主「今回を見てわかったのが、多分ヤマトの1作目は『戦後』の物語だったんだろうな、ということで……まだ初期のヤマトを見ていないから適当なことを言うけれど、波動砲ってやはり核兵器を連想させる。
さすがにあの時代(70年代)で戦前の雰囲気などはそこまでないだろうけれど、ガミラスはガチガチの軍国主義のように描写されている。一方のヤマトクルーたちは平和のために宇宙へと旅を続けているけれど、やっぱり軍人なんだよね。これは戦前の軍国主義とも見えるし、逆にその否定の物語とも受け取ることができる。
架空の物語と政治云々を結びつける行為はあまりしたくないけれど、そう言いたくなる気持ちはわからないでもないかな」
亀「当時からヤマトという作品は軍国主義云々という議論が出ているらしいからの。やはり軍服を着て軍規がうんたら……と話しながら超兵器を使って地球を救うという物語がそのように見えてしまうのは致し方ないのかもしれん」
主「で、その対立が地球人側にも敵であるガトランディスに恨みを持ち、徹底抗戦を訴える斉藤が出てきたことによってより顕著になっているようにも見えるんだよ。
この描写によって何をしたかったのか? ということを考えてみると……やはり巨大な力の利用方法に対する問いが根底にある」
亀「現代日本で語ると、例えば核の平和利用であったり、それから自衛隊も似たようなものかもしれんな」
主「使い方によっては戦争のための力になるけれど、それを平和的に利用するという意思がある……
進の現状ってまさしく日本と同じなんだよね。強力な兵器(力)を有していながら、それを行使したことがない。それ自体はいいことだけれど、でもそれは運によるものも大きかったのではないか? という……ヤマトでこのテーマを語るのはかなりの挑戦もあると思うけれど、なるほど、中々面白いテーマで現代的だな」
『純愛編』
亀「そして本作は純愛編ということで……そのネーミングも納得の作品じゃったな」
主「この3章単体で見ると確かにまとまってないようにも見えるんだよ。いきなり進と雪の痴話喧嘩が始まって、そしてそれがイチャコラしていて……で、偶然やトンデモのように見える力によって救われるという展開。
だけれど、それがこの後に大きな意味を持ってくるかもしれない」
亀「それは敵側も単なる『愛を知らない宇宙人』ではなくて、親子や性別、家族という概念を持たない存在であっても似たような感情は芽生えているという描写でも明らかであるの」
主「この描写が今後意味を持ってくるとしたら、戦争をする理由の1つである『愛』について扱うつもりなのだろう。つまり民族愛や愛国心という意味での愛だね。
かなり大きな風呂敷を広げてきたけれど、ヤマトという作品が持つ『戦争と平和』のテーマに現代的にアプローチした結果なのではないだろうか?」
亀「ズォーダーが色々と意味深なことを言っておったが……それがどのような伏線の回収になるのか、注目じゃの」
最後に
亀「少し短い記事となったが、この辺りで終わらせるとするかの」
主「今回はかつての敵ガミラスとの共闘というのも胸が熱くなる展開でさ、しかも古代進が小野大輔なのに対して、ガミラス側のクラウスが神谷浩史だよ! このコンビの活躍が見ることができるんだよ!
これは男女ともに狙ってきているよなぁ……」
亀「地球に残った面々がこの先どうなるのか? というのも注目じゃの。明らかにキーとなりそうなキャラクターも登場しており、どのような役回りをするのか気になるものじゃ」
主「新見、山崎、星名、岬あたりは地球に残ったわけだしね。ガミラスや地球艦隊などの増援があるんだろうなぁって楽しみになってくるよ。
……ああ、恨むべきはウィキペディアですよ!」
亀「うん? いきなり何かあったのか?」
主「ちょっと名前などの確認用にウィキでいろいろ調べたらさ、過去作のスッゲェ重要な、ラストに関することがネタバレされていたんだよ!
いや、それ絶対に言っちゃあかんやつやんけ! 前作の最後の沖田艦長はまだわかるけれど……」
亀「もう50年以上前の作品じゃからな。リメイクではどのように扱うのか、それも含めて楽しみなのではないか?」
主「あ〜あ……1つ楽しみが減っちゃったなぁ……
今後も随時更新していきます!」
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