物語る亀

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物語愛好者の雑文

修羅の刻17巻 昭和編最終巻を簡単に感想(レビュー)

 修羅の刻の最新刊が発売されたので簡単に、短めにその感想を書いていく。

 一応タイトルは17巻のみのレビューとなっているが、昭和編ということで16巻も対象に入っている。

 しかし、山田さん(不破現)というキャラクター、本当に美味しいよなぁ。不破の名前以外、ほとんど欲しいものを手に入れているんじゃないか?

(性格的に不破の名前も欲しいのかイマイチわからないし)

修羅の刻(17) (講談社コミックス月刊マガジン)

修羅の刻(17) (講談社コミックス月刊マガジン)

 

 

登場人物紹介

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 (不破)現

 嘘つきの臆病者。だけど実力は非常に高く、身体能力だけならば不破一族だけでも100年に1人の逸材と言われている。

 不破は陸奥から派生した最強の一族だが、(詳しくは信長編参照)現は臆病な性格が元で不破の名前を継承しておらず、その名を名乗ることはない。

 

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 ケンシン・マエダ

 上の人物。

 グレイシー柔術を生み出した1人であり、柔術をブラジルに伝承などの功績を持つ、実在した前田光世の孫弟子という設定(ケンシン・マエダは当然ながら架空の人物)

 最強の存在である陸奥を越えるべく日本に降り立つが、陸奥一族に適齢期の相手がおらず、陸奥のライバルである不破のなりそこないの現と戦うことになる。

 ちなみに約20年後に念願の陸奥との戦いを迎える。その結果は修羅の門第弐門参照。

 

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 静流

 陸奥一族の娘。女性であることにう加えて、心臓に病気を持つために陸奥になれなかった。

 だが、それでも陸奥一族らしく強い男、バカな男が大好きであり、現とケンシンに興味を持つ。修羅の門の主人公、陸奥九十九の母親。

 

 基本的にはこの3人を中心にこの昭和編は進行していく。 

 

 

感想

 読み直してみると、静流は初めから現のことしか見てなかったんだなぁと改めて実感。確かに冷たい印象があったのだが、それも鬼の論理からすると『強い存在は相手にする必要もない』ということであって、興味がないから冷たくしたわけではないというか。

 単なる種馬と言いながらも、現はそれ以上の活躍ぶりを見せた気がする。

 

 修羅の門、修羅の刻を読んでいて感心するのが、『絶対に勝つ』ということがわかっていながら面白い物語を作れるところである。バトル物において先がわかっているのに面白くするなんてのは難しくして、基本的にこの試合はどちらが勝つかわからないというものが読者の心をワクワクさせるはずだ。

 修羅の門は九十九が必ず勝つことがわかっているが、刻に関しては勝利はわかりきっているがその生死まではわからない。4巻の雷、義経編の鬼一などは最期に非業の死を遂げるが、現の場合はそういうわけにもいかない。

 

 前田との戦いもその先の修羅の門の内容を考えると、明らかな敗北というのもできないし、もちろん死なせることもできない。展開が限定されている中で、物語を如何に展開させて、紡ぐかというのは難しいと思うのだ。

 それでもしっかりとした物を描ききるあたり、やはり漫画が上手いということなのだろう。たぶん、実写や小説にした時に面白みの失われてしまうタイプの作品だろう。

 

 個人的に好きだったのは182P、183Pの静流の言葉だった。

『私は陸奥になれなかった

 陸奥の嫁ににも 不破の嫁にもなれない

 でも 陸奥の母になれます』

 

 それまで陸奥の家に産まれながら女性の身と、体のハンデもあって思い悩む部分もあったと思うが、それが不破史上稀に見る身体能力を持った現との間に生まれた九十九の存在によって救われたというのが、なんだかいいなぁ、と。

 修羅の門の回想で床に臥せっているシーンや、真玄の「人に頼んで種をもらった」みたいな発言から、どちらかというと家に翻弄された女性のイメージがあったのだが、むしろあの九十九の母らしく非常にマイペースで、しかも明るい人物だったので少し安心したというか。

 

 しかし、この時の真玄が50過ぎで老いているというが、この後少なくとも5年後に生まれる九十九が成人に近い年齢になる頃まで成長を待って、前田はざっと40くらいと肉体的ピークから下り坂になった時にあれほどの実力なのだから、この時の前田はもしかしたら陸奥真玄よりも強かったのかもしれないというのは、非常に説得力のある話のように思える。

 描写からも過去最強の挑戦者かもしれないな……(個人的には体格もあって雷電が過去最強な気がするが)

 

 あと柏木士郎もあれだけのぽっと出のキャラクターにしては非常にいいキャラクターだった。たぶん、修羅の門に出たらそれなりの人気を博したのではないだろうか?

 

 

 というわけで修羅の刻昭和編のレビューを簡単にしてきた。

 あとがきを読む限りではこれで刻シリーズの終わりではないようなので、続きが気になるものの、あとはどこの時代で描くのだろうか?

 室町あたりかな……個人的にはよく知らない時代なので、相手が誰になるとか全くわからないけれど。

 

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