物語る亀

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物語愛好者の雑文

18歳に選挙権を与えても若者は政治に参加などしない

 ここ最近、参議院選挙や都知事選などもあり、政治の世界では様々な動きを見せている。

 今回の選挙の特長としては、何と言っても『18歳に下げられた選挙権』だろう。本日より施行されたようだが、これにより若者の政治参加が期待できるなどとお偉い方々は語っているようだが、全くの無意味だと私は考えている。

 では若者を政治参加させるためにはどのようにしたらいいのか。

 それに対する持論を述べていきたい。

 

 ちなみに私は特定の政治団体や人物、思想に対する賞賛も非難もしませんし、そのような発言はすべて無視します。

 

 なぜ18歳選挙権が無意味だと考えるのか?

 

 ではまず、なぜ18歳選挙権が無意味だと考えるのか、ということの説明をしよう。

 これは非常に単純な話であり『投票する相手がいないから』である。

「いやいや、そんなはずないでしょ? 自民党だろうと民進党だろうと、それ以外の政党もたくさんあるよ」という声が聞こえてきそうだが、それでは『若者の政治参加』には繋がらないと考えている。

 

 なぜ若者が選挙に行かないのか? と考えれば、それは『誰に投票しても同じ』という空気感があるからだろう。もちろん、同じなんてことはない、と答えるのが大人の回答ではあるのだが、私はこの気持ちがよくわかるのだ。

 18歳の若者が「僕たちの意見を代弁してほしい!」と意気揚々と参議院に出馬している人を選び始めたとする。するとそこにいるのは、一番若くて30歳の、一般的におじさんと言われ始める年齢の人しかいないわけだ。

 

 これを読むあなたに聞こう。

 あなたが30歳だとして、世代の代表として42歳の人を選ぶだろうか?

 50歳だとして62歳の人を選ぶだろうか?

 

 選ぶわけがない。世代の代表として選ぶならば、30歳は30歳に近い人を選ぶし、50歳は50歳に近い人を選ぶだろう。

 特に18歳の時の30歳といえばすごく大人で、全く違う世界の人間に思える年頃である。

 もちろん、年齢だけが選挙の基準ではないが、若者の権利拡大という世代論の話をするならば、年齢は大きな選択基準になってくる。

 

 仮に女性の権利拡大を謳う有権者が選挙に行き、そこに女性候補者がいなければ愕然として帰るかもしれない。これは性差別だと騒ぐかもしれない。(選挙区によってはあり得るけどね)

 年齢による差別が今の日本において、当たり前のように行われているわけである。

 

 

投票したい相手がいない

「いやいや、20代の若者なんて未熟だからね」

 そんな意見が聞こえてきそうだが、そんな馬鹿な話もない。それは過去において「女は馬鹿だから選挙権なんていらないんだよ」という性差別がまかり通っていた時代と何一つとして変わらないではないか。

 若者であることが不安だというのであれば、それは選挙で落とすべきであって、規制によって排除されるべきではない。

 

 賛否はあるだろうが、SEALDsの奥田愛基は今の20代以下で政治的活動をする運動家の中では、特に知名度のある若者であるが選挙に出馬することはできない。朝生などに出ている吉木誉絵はようやく今年参議院に出られる歳になった。

 こういった若い論客や活動家がいるにも関わらず、それらの人物たちを法により出馬を規制しているような状況で、若者の政治参加というのは不可能である。

 何せ、同世代で活躍している政治家、運動家がいないのだから「私も、僕も一緒になって活動しよう、応援しよう!」という機運になるはずがない。

 イチローやダルビッシュといったスターがいることで野球は盛り上がり、本田、長友がいることでサッカーは盛り上がる。

 政治においてはスターというのは諸刃の剣ではあるが、そのような存在がいなければ若者や世間が政治の世界に目を向けるきっかけが生まれないのは当然である。

 

 この状況は中国や北朝鮮などとほとんど似たようなもので、選挙は行われるが投票する先がないのと同じであり、このような選挙で『若者問題を解決する』とか『若者よ、選挙に行け』などというのはちゃんちゃらおかしい話だ。

 

 

落とすならば選挙で落とせ

 民主主義による選挙というシステムは、当然のように完璧なものではない。

 独裁者ヒトラーを産んだのも民主主義による選挙である。

 オバマもプーチンもパククネもメルケルもオランドも選挙で選出されている。

 日本に限定すれば、近年の安倍晋三、鳩山由紀夫は日本人が選挙で選んだ首相であるし、丸山和也、谷亮子、山本太郎なども選挙で当選した国会議員であり、舛添要一、猪瀬直樹、橋下徹なども選挙にて当選した首長である。

 

 この面々にどのような評価を下すかというのは各々の主義主張、思想なども絡んでくるだろうが、これらの人物を選出したのは他ならぬ有権者という国民(都道府県民、市民)であることはまぎれもない事実である。

 時にはトランプのように「おやおや?」と思うような人間が指名選挙に勝つこともあるが、それだって選挙による結果である。

 

 政治家は国民の写し鏡であり、それ以上の人物もそれ以下の人物も出てこない、とはよく言われることである。

「若者に政治は任せられん」などと言って年齢差別をするのではなく、「若者に政治は任せられないから選挙で落とそう」という運動が始まるようにならなければ、いつまでたっても政治の世界に若者が入ることができない。

 リングにすら立たせてもらわなければ、戦うことなどできるはずもない。

 

 少なくとも被選挙権を成人を迎える20歳、できれば選挙権が与えられる18歳まで落とすことで、初めて若者が政治参加できるような状況になるのだはないだろうか?

 

日本を変える!  若手論客20の提言

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