物語る亀

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物語愛好者の雑文

RIN 13巻 感想 ラストスパートを駆け抜ける

 ハロルド作石の最新作、RINの最新刊である13巻の感想を書いていく。

 この作品は簡単に言えばまんが道系の、漫画家になるまでを描いた作品であるが、今作の最大の特徴はオカルト要素がふんだんに盛り込まれていることだろうか。

 

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 下の記事はネタバレあるので単行本で読みたい方はご注意を。 

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1 まさかの次巻完結

 私は月マガを毎週楽しみに買って読んでいるのだが、まさかのRINが次で最終回の予告にリアルで驚きの声が上がってしまった。

 ここ最近『ましろの音』『ポールルームにようこそ』が休載中であり、川原正敏の代表作『修羅の門』も終わり、次の作品の準備中で飛車角落ちの中、エースとして引っ張っていったのは間違いなくRINだと思っていただけに非常に残念である。

 

 そのための伏線やら展開やら、まだまだ回収できなそうなものも多そうだが、次でどのように締めるのだろう? 特に本多さん関係で行くと、特に進展しそうでせず、石堂凛のライバルということではあったが正直相手になっていなかったように思える。

 しかも漫画家になるまでの物語自体にはそこまで深く関与していないし、もうこのままフェードアウトになるのかな……連載開始当初からヒロインは凛一択ではあったが、ここまでくると少し哀れに思えてしまう。

 あとは伏見と瀧が同じ題材で物語を書くという予言があったけれど、伏見は『リメンバー』としても瀧の作品が『プレデンス』とは思えないから、そこの伏線もどうするんだろう。それから伏見の潜在的病気の話とか。

 話の内容や掲載順、雑誌の押し具合、人気から考えるとさすがに打ち切りはないだろうから、次できっちり締めてくれるのだろうか?

 

 

2 伏見VS瀧の卓越した戦い

 物語はいよいよ佳境に入って、ついにトーラス内でも1位、2位を争うレベルにまで上達したふたり。ここまで順調だと少し予定調和感があるんだよなぁ、と思いつつも、やはり面白いのでそれはOK。

 いつの間にか『ガナーズ』すらも抜いているが、多分水野プロを超えたという考えはなさそうなところが伏見の良いところだ。

 漫画は描いたことがないのでよく分からないが、それでも週刊誌において5週連続2号掲載ってのはとんでもない自殺行為のようなものなのだろう。この辺り、瀧が才能だけでやってきた男ではないことがよく分かる。意地や負けず嫌いというのは人の成長に欠かせないものだしね。

 

 それでも伏見はそれに負けじと戦い続け、ついにトーラスアンケート1位を獲得する。この辺りの急成長感は少し時期尚早な気もするけれど、作者が話を閉めようとしているための展開なのはよくわかる。なんだかこの巻あたりからお話のたたみ方が急になっているのは非常に気になる部分ではある。

 そしてついに伏見は凛と旅行をすることに。二人きりかと思いきや、まさかの瀧同行という展開だが、この辺りの負けじと行動する性格は嫌いになれない。

 伏見と瀧は凛がこの地に何を感じるかという期待をしているけれども、それは凛よりもむしろ伏見の過去巡礼の旅だった。そこで明らかになる伏見、凛、瀧の前世の過去。この辺りの展開はオカルト要素の強いRINらしさを感じさせてもらった。

 

3 愛して愛して愛し尽くさないとやってられない仕事なんです

 この巻1番の名台詞はやはりこれだろう。

 ここまでの一連の流れも含めて、RINの中でも屈指の名場面と言っても過言ではない。

 私が時折考えるのは『物語に愛される人間』についてだ。

 世の中には『物語に愛された人間』というものが必ずいるように感じている。世に言う天才神話の1つかもしれないが、息をするように面白い物語を書ける人間もいれば、どれほど願ったところで魅力的なものを書けない人間もいる。

 それでも簡単に諦められるほどヤワい氣持ちではないので、必死に追いかける。絶対に振り向いてもらえない想い人を追いかけるようなものだ。

 全てを捨てて、愛していって、ようやくどうにかなるかという趣味だ。

 

 

 

『新人の書くもんは自分の好きなもんで原稿が埋め尽くされなきゃいけない』

 この水野さんの言葉もまさしくその通りだろう。計算やストーリー構成などはベテランになればなるほど上手くなっていくものだし、いきなり新人が頑張ろうとしても簡単にできるものでもない。

 とりあえずガムシャラに好きなものを詰め込んで、詰め込んで、それで書きあがったものは、とにかく作者が愛してあげなければどうしようもないだろう。

 

 そんなことを考えさせられる巻だった。

 ここからどのように話を締めるか非常に楽しみである。

 

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RiN(13) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

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